悪の科学者を超える転生者   作:ヘルスパイダー

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ナッパ戦の戦闘シーン難しかった……。
マジで何回も激昂するシーン作ってしまったからクドくないように削除と改変の日々が辛タニエン……。


サイヤ人強襲IFその2

 

 ふむ、原作ではナッパにはZ戦士達全員で挑みかかっていたが、この世界ではピッコロとの一騎打ちとはな……。

 戦闘力はナッパが4000に対してピッコロの戦闘力は3000ほどか……、まあZ戦士達は戦闘中に戦闘力を変化させることが出来るから最低3000というわけだが、果たしてどちらが勝つのか? 

 

 おっ、戦闘が始まったか! 互いにまずは力試しといったところか、真っ正面からのぶつかり合いを選んだようだ。

 

 ふむ、ナッパの方は余裕の表情だが、ピッコロの方は驚きと悔しさが滲んでいる。

 

 実際、ナッパはパワー型に対してピッコロは技量で戦うテクニック型だ。真っ向からのパワー対決はナッパが勝つことはピッコロの方も予想はしていただろうが、予想外なのは相手の力量の高さといったところか……。

 

 さて、ピッコロはこの差をどう覆すのか? はたまた、原作通りに殺されてしまうのか? 

 

見物(みもの)だな……」

 

 コーラを胃に流し込みながら、画面の中の2人の戦いに注目する。

 

 

 ♦

 

 荒野のど真ん中で2人の男が殺気立った声を上げながら、拳を握って対峙していた。

 

「ずええああぁぁ!!!」

 

「どりゃああぁぁ!!!」

 

 互いにどちらも譲らず、拳だけでなく蹴りも交えたラッシュの攻防は並みの武闘家では太刀打ちできないほどに激しく、なによりあまりのスピードに目で追うことさえ至難の業とも呼べる領域だ。

 だが、そんな高次元の戦いを繰り広げている両者ではあるが、まったくの互角というわけではない。

 実際にピッコロとナッパの真っ向からの殴り合いはナッパが勝っており、次第にピッコロの方が後ろへと押し出されていった。

 

「っく、パワーではキサマが上だが、スピードはどうかな?」

 

 このまま正面からのぶつかり合いでは分が悪いと即座に判断したピッコロは、真っ向からの撃ち合いを一時止めて空へと逃げ、スピードで翻弄せんと縦横無尽に駆け回る。

 

「っち! ブンブンと目障りな!! 鬱陶しいんだよ!!」

 

 ピッコロのスピードを見て、とても自分では追いつけないと判断したナッパは、腕の一振りでエネルギー波を空へと向けて放つ。

 その瞬間、空一面がグワッ! と爆炎で染まり、ピッコロの姿が見えなくなってしまった。

 

「「「「「ピッコロ(さん)!!!!」」」」」

 

 地上で2人の戦いを見ていたZ戦士達はピッコロの安否に悲鳴を上げて叫ぶ。

 

「くっくっく……、ナメック星人如きが調子に乗りやがって、サイヤ人の怖さを思い知ったか!!」

 

 一瞬でケリがついたと判断したナッパは笑って声を上げるが、冷静に戦場を俯瞰していたベジータが油断しているナッパに警告を発する。

 

「……っち! ナッパ!! 後ろを見ろ!!」

 

「ん? なっ!!?」

 

 ベジータに言われるがままに背後を確認すると、吹き飛ばしたと思っていたピッコロが無傷の状態で立っていたのだ。

 

「バカめ! 自分から視界を塞ぐとはな……!!」

 

 あの時、ナッパが放ったエネルギー波を煙幕に使い、ピッコロは気づかれぬように超スピードで気配を消してナッパの背後をとっていたのだ。

 そして、完全に油断し無防備となっているナッパの背中目掛けて渾身の一撃を叩き込む。

 

「喰らえ! 爆力魔波!!!」

 

「がぁっっっ!!?」

 

 油断していたところを背後から攻撃を受けたナッパは爆炎で吹っ飛ばされ、岩山へとぶつかり大ダメージを受けた。

 

「やったぁ!!」

 

「ピッコロの奴め、驚かしやがって!!」

 

「だが、これで残るサイヤ人はあと1人だ!」

 

「ピッコロ凄い!」

 

「さ、さすがピッコロさん!」

 

 皆が喜ぶなか、当の本人であるピッコロは浮かれた表情どころか、未だピンと緊張の糸を張りつめたような顔で、吹っ飛ばされたナッパがぶつかり瓦礫の山となった岩山の方をジッと見つめる。

 

「まったく、これじゃあサイバイマン共の体たらくを笑えんぞ! さっさと起きろナッパ!!」

 

 サイヤ人として無様な真似を晒すナッパの不甲斐なさに頭にきているベジータは、怒鳴り声を上げて未だノビているナッパを叩き起こす。

 その声に反応して、瓦礫の山の一番上の石ころが転げ落ちる。その後、すぐに瓦礫の中からナッパが勢いよく飛び上がってその姿を現した。

 

「くっそがぁぁ!! ふざけやがってぇぇ!! ぶっ殺してやるぞぉ! ナメック星人がぁ!!!」

 

 瓦礫となった岩山からブチギレながら現れたナッパの背中に傷痕はあっても効いている様子はなく、恐らく怒りで痛みを忘れているのだろう。

 ピンピンした様子のナッパにZ戦士達はそのタフさに震えるが、ピッコロだけはニヤリとその口を笑わせて戦いの構えをとる。

 

「っっ!!? ムカつくぜ、その余裕そうな笑みをすぐに恐怖にひきつった顔に変えてやる!!」

 

「どうやら見た目通りの単細胞のようだな。このオレが真っ正面から正々堂々と戦うと思ったか?」

 

 余裕綽々の顔で対峙するピッコロめがけてナッパは全力で突進を仕掛ける。

 

「ぶっ殺してやらぁ!!!」

 

「自分から突っ込んでくれるならありがたいぜ!! どりゃりゃりゃりゃ!!!」

 

 勢いだけで突っ込んでくるナッパめがけてピッコロは気弾をグミ撃ちで迎撃するも、その勢いは止まることなくピッコロに近づいていき、そのままの勢いでピッコロに強烈なタックルを決めて今度は逆にピッコロが岩山にぶつかる結果となった。

 

「ピ……ピッコロさ~ん!!」

 

「へっへっへ……、ナメック星人の後はテメェだチビすけ、カカロットの息子ならサイヤ人の血をひいてるんだ、せいぜいこのオレ様を楽しませてくれよ!」

 

 さっきとは逆の結果となった戦場に悟飯の悲痛な叫びがこだまする。

 そんな悟飯の叫びに高笑いするナッパの声に反応したのか、ピッコロが吹っ飛ばされた岩山が吹き飛んで粉塵が巻き起こり、そこから人影が空へと飛び出した。

 

「へっ、今度は見逃すか! もう一度吹っ飛びやがれぇ!!」

 

「はっ、この単細胞が! 足元をよく見やがれってんだ!!」

 

「っなにぃ!?」

 

 空へ飛んだピッコロを撃ち落とそうとエネルギー波を叩き込まんとしたその時、ズボ! とナッパの足元からピッコロの伸びた手が地面から飛び出し、ナッパの足を掴んで転がすと、伸びた腕を引き戻しながら大きくグルグルと回転させてジャイアントスイングで地面にへと投げ飛ばす。

 

「ピッコロの奴、自分を囮にして粉塵のなか伸ばした腕を地面に潜らせてやがったんだ!」

 

「まったく、本当に大した奴だぜ……」

 

 ヤムチャと天津飯がピッコロの頭脳プレイに驚嘆の声を上げながら、グッと拳を握っていた。

 現在の戦況は見る限りピッコロの有利なまま。このままいけば本当にピッコロ1人の力であのサイヤ人を倒してしまえそうな勢いだ。

 

「地球を舐めるなよ……サイヤ人!」

 

 まんまと罠に掛かったナッパの醜態に笑いながら空から降りてくるピッコロ。

 地面にピッコロが着地するのと同時に投げ飛ばされたナッパが起き上がり、怒りに震えながら怒号を吠えながらピッコロを睨みつける。

 

「ちっくしょぉぉ~~!!!! オレは名門出のエリート戦士だぞ!! たかだかナメック星人風情に滑稽にされてたまるかぁ!!!」

 

「っち、まだあんなに叫び元気があるのか。ほとほとタフな野郎だぜ……」

 

 かなり勢いをつけてブン投げたというのに、耳がキーンとなりそうなバカデカい声で叫ぶナッパのタフさに辟易しながらもポキポキと首の骨を鳴らして戦闘続行の意思を見せる。

 ナッパもそれを見て怒り心頭といった様子でピッコロに再び何も考えずに飛び掛かりそうになったところを、ベジータの一喝で踏みとどまる。

 

「愚か者め!!! 頭を冷やさんかナッパ!!! 冷静に判断すれば決していいようにされるような相手ではないだろう!!!」

 

「……っ!! そ、そうだったな!! ありがとうよ、ベジータ。おかげで冷静になれたぜ!」

 

 怯えたようにベジータと呼ばれるサイヤ人のチビの言うこと聞くナッパの様子を見て、ピッコロは内心で焦りを見せていた。

 この戦いでナッパの厄介さを垣間見たピッコロはあのチビがこのデカブツと同程度であれば悟空が参戦すれば充分に勝ち目があると判断していたのだが、もし仮にあのチビがこのデカブツ以上の実力者だった場合、悟空が駆けつけてきたとしても厳しい状況になるかもしれない。

 

「っち! 嫌になるぜまったく……」

 

 いつの間にか敵であった悟空を無意識のうちに仲間として考えていた自分の思考に舌打ちをしながら、冷静になってこちらの様子を伺ってくるナッパに意識を戻す。

 ヒリつく空気の中で最初に仕掛けたのはピッコロだった。

 

「一気にいかせてもらうぞ!」

 

「ぬっ!?」

 

 地面を蹴って飛び出したピッコロの猛攻は激しく、気弾やズームパンチなどで決して接近戦には持ち込まさず、中距離を維持したままだけではなく、時たま近接戦闘を仕掛けて緩急ついた戦いを仕掛けてくるものだからか、戦いのリズムを掴めず終始主導権をピッコロに握られて押され続けるナッパ。

 

「ずえりゃりゃりゃりゃ!!!」

 

「っぐぅ、めんどくせぇ戦いしやがって!!」

 

 サイヤ人にとって武という概念=雑魚が使う面倒なものという認識であり、その持ち前の圧倒的バトルセンスと戦闘力で真っ正面から叩き潰して来たのだが、自分の足元どころか首筋まで迫ってきている相手が使ってくる武がここまで厄介なモノだとは思ってもみなかったようだ。

 ベジータによって冷静になった頭がすぐにヒートアップしていき、だんだんと攻撃も大振りの杜撰なものへと変わっていき、どうあっても勝利はピッコロの方へと転がり込むと思われたその時、ついに我慢の限界を迎えたベジータが大声でナッパに後ろへ下がるように指示を下した。

 

「っち! もういいナッパ!! この役立たずが!! 敵に翻弄されていいようにされるがままとはな。これ以上やっても時間の無駄だ! このオレがソイツを片付けてやる!!」

 

「っな!? べ、ベジータ!! ちょっと待ってくれよ! こんなナメック星人ぐらいオレがぶっ殺してみせらぁ!!」

 

「この単細胞がぁ! 今のお前では頭に血が登って勝てる戦いも勝てるものか!! いいから黙ってオレの言うことを聞け!!」

 

 ぐぬぬぬ……と悔しそうな顔でベジータの指示を聞くナッパに対してピッコロはあまりにも早い展開に焦燥感を抱いていた。

 目の前のナッパとは戦いの相性がいい為にどうにかなっていたが、見るからに冷静沈着そうな態度に加え、ナッパも怯えるほどの実力者であろうベジータとは悟空が参戦してからの2対1の構図にしたかったピッコロからしてみれば最悪に近い状況だ。

 

(っく! 敵を追い込み過ぎた。下手に加減すればオレの方がやられていたとはいえ、デカブツを倒せないままあのチビと戦り合うハメになるとはな……)

 

「……テメェの始末はベジータに譲るぜ」

 

「はっ、その言い方じゃまるでキサマがオレを殺せるように聞こえるが?」

 

「な、なに~!!」

 

 ナッパの売り言葉にピッコロは買い言葉で返し逆上させるが、後ろで控えているベジータが怖いのか睨みつけるだけで相手をすることはなく、渋々とベジータと交代すべくピッコロから離れる。

 

「確かにオレじゃオメェは殺せねぇかもしれねえな? だが、あの地球人共なら楽に殺せるぜ!!」

 

「!! しまった、逃げろお前らぁ!!!」

 

 積もった怒りをぶつけるように、ナッパはこちらをただ観戦していたZ戦士達に向けてエネルギー波を放ってきた。

 実戦経験が豊富なクリリン達はいざ知らず、ピッコロとの組手以外ではまるで経験が浅い悟飯だけはナッパの攻撃に反応するのが遅れて空へ逃げられないでいた。

 

「あっ……ああ……!?」

 

「ご……悟飯……!!!」

 

「「っ!!?」」

 

 1人取り残された悟飯を目にした瞬間、ピッコロは考えるよりも先に体が無意識のうちに動き出し、ナッパの攻撃が悟飯に届く前にその身を盾にして攻撃を防いだのだ。

 これにはベジータとナッパも驚きの表情で固まってしまう。

 

「ぐぅ……がぁぁ……」

 

「ピ……ピッコロさん……、ど……どうしてボクなんかを……」

 

「し……知るか、気づいたら体が勝手に動いてやがった。まったく、きさまら親子の甘い情がうつっちまいやがったのかもな……」

 

 片膝をついて倒れるピッコロに駆け寄ってきた悟飯の無事を確認したピッコロは痛む体を酷使して立ち上がる。

 原作であればナッパの尻尾を掴んで反撃する際に手痛いダメージを喰らったこともあり、今の一撃で死んでいたのだが、この世界線のピッコロは大ダメージは受けておらず戦闘力も原作以上の為に死ぬどころか戦闘不能にも陥っていないようだ。

 

「下がっていろ悟飯。あのデカブツはオレが何とかする! だからお前は残ったあのチビのサイヤ人をどうにかしろ!!」

 

「そ……そんなの無理だよ。ボクなんかじゃ……」

 

「いいや、お前には力がある。この1年でそれがよく分かった。真の力を解放しろ! そうすれば、お前はオレや孫よりも強くなれる!!」

 

 そう言って悟飯の頭に手を置くと、立ち上がって戦う構えをとる。

 それを見て、ナッパは笑って戦う意思を見せるピッコロに近づいていく。

 

「へっへっへ……、カカロットのガキを庇うなんざ思ったよりも随分と甘い野郎だぜ! なあ、ベジータ! やっぱりオレにやらせてくれよ! こんな死にぞこないの甘ちゃんには反吐がでるんだ!!」

 

「……好きにしろ。そんなくたばりぞこないならもう負けはないだろうしな! だが、くれぐれも勢い余って殺すなよ。オレ達の目的はソイツらを殺すことじゃなくドラゴンボールとやらのこと聞き出すことだからな……」

 

「へっへっへ……、そりゃそうだな。精々た~っぷりかわいがって喋らせてやるぜ!」

 

 ベジータからの許しをもらえたナッパは残虐な笑みを浮かべながらポキポキと拳を鳴らしてムカつくナメック星人をいたぶらんと近づいていく。

 そんな中、空へ逃げたZ戦士達がピッコロの元に着地する。

 

「す……すまない、ピッコロ! 悟飯のこと、助かった!」

 

「やはりオレ達も一緒に戦うぜ! 今のお前1人じゃあのデカいのは無理だろ!!」

 

「正直、あの戦闘を見て今の俺達が役に立つかは分からんが、助太刀するぞ!」

 

「うん……!」

 

「いらん!! あのデカブツは俺様が相手すると言った筈だ! お前らは大人しく見物しておけ……」

 

「け、見物しとけって、その怪我のまま1人で戦う気かよ!?」

 

 いくらなんでも無茶を言うピッコロを心配してクリリンが食い下がるが、ピッコロは頑固として譲ろうとはせず、たった1人でナッパを相手すると言い張る。

 

「お前達も分かってる筈だ。あのもう1人のチビのサイヤ人は目の前のデカブツ以上にヤバい存在だ。今のオレではどうあっても勝ち目はない。希望があるとすれば孫の奴と悟飯しかないが、孫がここに来るまでにはまだ時間がかかる! 悟飯に関してもまだ奴ら相手に実戦で戦えるほどの実力はつけていない!」

 

「だ……だからこそ! オレ達全員でかかって時間稼ぎをだな……」

 

「ハッキリと言ってお前らが何人束になってかかろうが、あのデカブツ相手には意味をなさん。だが、盾くらいにならなるだろう……」

 

 ジッと悟飯の方を見てそう言い放つピッコロの真意に気づいたクリリンは、一瞬悔しそうな顔を浮かべたあと、覚悟を決めた顔で後ろへと下がる。

 

「……分かったよ、お前の言いたい事は……。でも、言ったからには絶対に勝てよな!!」

 

「っへ、キサマに言われずともこのオレ様が負けるはずがなかろう。なぜならオレはピッコロ大魔王だからな!」

 

 不敵な笑みを浮かべ、とても死に掛けとは思えない力強い立ち姿を見せつける。

 それはまさに、かつて全世界を恐怖に陥れたピッコロ大魔王と呼ばれた魔族の威厳ある立ち振る舞いそのものだった。

 

「へっへっへ……、お仲間との最後のお喋りは終わったか? 麗しの友情ごっこの為に命を落とすんだ。哀れなもんだぜ……」

 

「言ってろデカブツめ、このピッコロ大魔王様を舐めるなよ!!!!」

 

 再びピッコロとナッパの激戦が繰り広げられるが、ナッパからの痛恨の一撃を受けたピッコロは先程までの動きのキレはなく、唯一勝っていたスピードもガタ落ちになりほとんど互角の速度にまで下がっていた。

 

 だが、流石はピッコロというべきか、スピードが落ちた分の穴を技量で対処してナッパの攻撃を捌ききっている。だが、捌けているだけだ。ナッパからの一方的な攻撃に防御で手一杯といった様子で、とてもではないが反撃に出れるような隙を見つけられないでいた。

 

 あまりの差にヤムチャが割って入ろうとしたが、それをクリリンが後ろから道着を掴んで止めにかかった。

 

「なにをするんだ、クリリン!?」

 

「待ってくださいヤムチャさん! 多分、ピッコロにはまだ勝算があるんだと思います……。だからもう少しだけ……」

 

 クリリンはきっと信じているのだろう。かつては敵であり、自分を殺した魔族の親玉の生まれ変わりであるピッコロの強さを……。

 

 そして、その信頼は形となって現れる。

 

 次々と繰り出されるナッパの攻撃を次第に見切り始めたピッコロだったが、悲しいことに戦闘力という絶対の現実がスタミナという形で両者に命運を分けさせた。

 

 徐々に疲弊するピッコロとナッパであるが、戦闘力が低いピッコロの体の方が先に音を上げていき、ダメージ以上に動きのキレを悪くさせていった。

 

「っく! このままやりあっても負けるのはオレの方か……。なら!!」

 

 ビュン! と高速移動で空へ逃げ、一発逆転を狙ってタメを必要とする技を放とうとする。

 だが、そんな隙をわざわざ見逃す筈はなく、すぐさま追いついたナッパの強烈な一撃によってピッコロは地上まで真っ逆さまに叩き落されることとなった。

 

「ぬおっ!?」

 

「げはははは!! 追い詰められてヤケになりやがったか? そんな隙をこのナッパ様が見逃すはずねえだろ!!」

 

 確かに、ピッコロにしては間違いなく悪手であろう手をとったということは、それだけ追い詰められているということなのだろう。

 

「クソったれぇぇ!!!!」

 

 地面に落とされ、ヤケになったように狙いもつけずに無闇矢鱈と気弾を撃ちまくるピッコロに、ついにイカれたか! とナッパが叫びながら地上から次々に撃ち込まれる気弾を避けていく。

 

 これには流石のクリリンも、もうダメかと判断し飛び出そうとしたその時だった。

 

「ま、待ってください!」

 

 ピッコロの加勢に向かおうとしていたZ戦士達を、今度は悟飯が止めに入った。

 

「なに言ってんだよ悟飯!? このままじゃピッコロが殺されちまう!」

 

「そうだぜ! 早く助けに行かなきゃなんねえだろ!!」

 

「ま、まだピッコロさんは負けてません! それに、きっとピッコロさんはアレを狙ってるんだと思うんです」

 

 この1年の修業期間の間、ピッコロが悟飯の育成と並行して自身の更なるオリジナル技の習得を目指して努力を積み重ねていた。

 それを間近で見ていた悟飯のみが、今のピッコロの無意味ともとれる我武者羅な攻撃の意味を理解していた。

 

「ったく、惨めったらしく抵抗しやがって! そろそろ、おねんねの時間にしてやるぜ!!」

 

「っへ、先におねんねするのはテメェの方じゃないか?」

 

「な……なにぃ……! 戯言ばかり言いやがって!!!」

 

「…………」

 

 あのナメック星人、あれほど追い詰められた状況だというのに、何故ああも冷静でいられる? いや、行動自体は追い詰められている者のそれだ……。

 だというのに、一体なんだこの違和感は……。

 

 ふとベジータはピッコロからナッパへ視線を移し変えるとその違和感の正体に気がついた。

 

「っ!? 周りをよく見ろナッパ!! 囲まれてるぞ!!!」

 

「っ、んな!? いつの間に……!!!」

 

 あのデタラメに撃っていた気弾が全て消えずにナッパの周りで漂っていた。

 全ての気弾がコントロールを失わず、ピッコロの指揮下で動いているという驚愕に値する技量の高さに敵味方の全員が破顔して身を固まらせる。

 

「脳みその足りないデカブツは罠にハメやすくて助かるぜ! もうキサマに逃げ場はないぞ!!!」

 

「ッッッ!! このクソォナメック星人がぁぁぁ!!!!」

 

 罠にハメられたと気づいた時にはもうどうしようもなく、一部の隙さえ見えないほど周りを囲まれたナッパは悔しさのあまりに叫び声を漏らす。

 しかし、いくら叫んだところで状況が変わるはずもない。

 今、ベジータに助けに来てもらったとしても、周りは爆弾の海といってしかるべきこの状況では、自身が助かる前に全弾命中してお陀仏になるのが関の山だろう。

 

「こうなったら! 死なばもろともじゃぁぁぁ!!!!」

 

 ここで何も出来ずくたばるくらいならと、真っ正面から気弾の中へと突っ込んでいく。

 

「っけ! 今更突っ込んできたところでもう遅い!!! くたばりやがれぇぇ!!!!」

 

 周囲に展開していた気弾を全てナッパめがけて集中砲火させる。

 その威力は凄まじく、ピッコロに近づかんとしたナッパを覆い隠す程の爆炎が舞い上がり、周囲の空気を震えさせるほどの爆音が響き渡った。

 

 これには誰もがナッパの生存は無理だと疑っていなかった。それは技を決めたピッコロでさえそうだったのだ。

 ニヤリと笑い勝利を確信したその時だった。未だ空中で渦巻いている黒い爆炎の中から1つの影が凄まじい勢いで飛び出して来た。

 

「グオオオオォォォ!!!!」

 

「っっ!? なにぃ!!?」

 

 全身火傷の傷だらけ状態のナッパが地獄の鬼すら怯えてしまいそうな顔で油断したピッコロに突撃してきた。

 これには流石のピッコロも面食らった表情で驚いて固まり、ナッパの突撃に何も出来ず衝突を許してしまう。

 

 そして、盛大に衝突した2人は共に地面にへとぶつかる。その際に、天にも届かんほどの土煙が2人を覆い隠し、暫しの沈黙が辺りに流れる。

 

 決着はどうなったのかとZ戦士達が唾を吞み込んだと同時に、舞い上がり続ける土煙の中から1つの人影が現れる。

 

「ふぅ……。ナメック星人が、このナッパ様をここまで追い詰めやがるとはな……」

 

 ふらつきながら立ち上がったのはボロボロになったナッパの方だった。そのことにZ戦士達はピッコロの敗北を知って絶望しながらも、敵を討ってやると意気込む。

 

「そ……そんな……。ピッコロがやられちまうなんて……」

 

「だ……だが……、奴も充分に弱っている! オレ達全員でかかればピッコロの敵討ちぐらいは……」

 

「だな、俺達も無駄に修業してたわけでは無いというところを見せてやる!」

 

「ボクも超能力で戦うよ!」

 

 クリリン達が立ち上がったナッパに恐怖しているなか、悟飯そしてベジータのみが静かに戦況を見守っていた。

 

「このカスの地球人どもが! ボロボロになったとはいえ、テメェら如きをぶっ殺すくらい訳はねぇぞ!!」

 

 ブチ切れたナッパの怒りは容易くクリリン達の戦意を削っていく。

 戦おうと構える手足に恐怖で震えが走る。それでも逃げることはできない。

 せめて1分……いや10秒でもいいから悟空が来るまでの時間稼ぎをしなければと心を奮い立たせる。

 

 だが、そのような必要はなかった。

 なぜならば──―、

 

「っがはぁ!!?」

 

「あれでこのオレが殺れたとでも思ったか? 脳みその足りないデカブツは最後のツメも甘いものだな……」

 

 やられたと思われたピッコロがナッパの背後に忍び寄り、その心臓を自身の右腕で刺し貫いたのだ。

 

「て……テメェ……、まだ……動けたのか……?」

 

「っへ! 心臓を貫いたってのに、まだ喋れるとは本当にタフな野郎だぜ! あのままテメェが油断せずにオレを確実に殺しにかかっていれば、あるいは今とは逆の結果になってたかもな……」

 

 ズボッ! とナッパの体から腕を引っこ抜くと、支えを失ったナッパは地面に倒れ、そのまま息を引き取り死体となったナッパをピッコロが気功波で消し炭に変える。

 既に心臓を貫き死んで死体になってたとはいえ、ラディッツのように原形を残せば後々厄介なことになる可能性が少しでもある以上、残り少ない気を消費してでもサイヤ人の死体は消し飛ばしておきたかった。

 だがこれでピッコロの力は完全に底をついた。もはや立ち上がる力も残っておらず、片膝をついて荒い息を繰り返す。

 

「まったく、この演技派め! ビックリさせやがって、この野郎!!」

 

「だが、これで残るサイヤ人はあのチビ1人だぜ……!」

 

 クリリンとヤムチャがピッコロの勝利に喜び舞い上がる。

 だがそうも喜んでばかりはいられない。ナッパを倒すだけで力尽きたピッコロは事実上の戦線離脱となった今、残されたZ戦士達だけでベジータを倒す。または、悟空が到着する迄の間の時間稼ぎをしなければならない。

 

「まったく、ナッパの奴め、まさかズタボロのナメック星人1匹に油断して殺されるとはな。だがまあ、あんな役立たずのゴミが死のうがこのオレ様には関係ない。ドラゴンボールで不老不死の願いさえ叶えられればこのオレ様が全宇宙を支配することが出来るのだからな……」

 

 なんたる邪悪な野望か……。仲間が殺されたというのに、涙を流すどころか悲しむことさえせず、あまつさえゴミと呼んで吐き捨てる。

 怒りで感情的になるナッパとは違う、冷徹で残酷なベジータの邪悪さに、ピッコロの勝利で浮かれていたクリリンとヤムチャは冷水を頭からぶっかけられたかのように熱が冷めていくような感じがした。

 

 そもそも、先程のピッコロとナッパの戦闘でさえ自分達との実力差を感じていたからこそ、クリリンとヤムチャは空元気を見せていたのだ。

 それを更に格上と思われるベジータからの底知れぬ悪意に飲まれて完全に戦意が薄れてしまっている。

 

 こうなってしまえば生半可なことでは士気を盛り返すことなど不可能だ。

 そう、それこそ誰もが頼れるスーパーヒーローが登場でもしない限りは……。

 

「「!?」」

 

 その存在にいの一番に気づいたのはピッコロと悟飯だった。遠くの方からもの凄いスピードでこちらへ向かってとてつもない力の持ち主がやって来るのを感じ、クリリン達もその存在の気を探り感じ取った。

 

「こ、この感じ……、間違いない!」

 

「ああ、やって来るぞ! あいつが……!!」

 

「これって、天さん……」

 

「ああ、まったく、待たせやがって……」

 

「あ……ああ……、この……すごいけど、なんだか懐かしい気は……」

 

「ああ、ヤツしかいない……。孫悟空がようやくやって来るぞ──―っ!!! 

 

 強敵ナッパを撃破し、ついに始まる最悪の敵ベジータとの戦いを前に、ついにこの世に戻ってきた悟空。

 果たして、悟空は仲間たちのピンチに間に合うことが出来るのか!?

 

 




次回は悟空参戦か?Z戦士達VSベジータに作者自身失踪してしまいそうな難産の予感が……。

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