俺はただうまぴょいしたかっただけなんだ   作:nyasu

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うまぴょいって、罪ですか?

恥の多い人生を送ってきました。

自分には馬の生活というのが分からない、というのも私は関東で生まれた人間でした。

女の子と付き合ったのは二十歳を超えてから、フラレたのも二十歳を超えてからです。

理由は私が馬っ気を出して迫ったことです。

その頃からでしょう、私は二次元の世界に逃げて、リアルの女に興が醒めました。

だから、ほんの出来心だったのです。

今にして思えばそんな罰当たりなことが原因かもしれません。

 

ウマ娘って、ありますよね?

あのゲーム、スマホで見たときですね。

あのウマ娘がライブのところで走ってくる姿、あれ……初めてみたとき……なんていうか、その……下品なんですが……フフ、勃起しちゃいましてね。

うまぴょい伝説の切り抜きだけ、部屋でずっと見てました、私もうまぴょいしたい……

 

『だからって畜生道はねぇだろ』

 

そんなに罪なんでしょうか、ウマ娘でうまぴょいしたいって思いながらうまぴょいして、うまぴょいするために育成するのって、うまぴょいな目線で見るのって規約違反ですか!?同人誌とか買ってないですよ、売ってないから!

 

『あぁ、世界がぐわんぐわんしてる。色がチカチカ、音がハッキリ聞こえる』

 

夢を見た、Vtuberの夢だった。

いや、あるいはポーションをガブ飲みしていた配信者だったかもしれない。

馬の頭に人間の体をした何かがマフTダンスしながら寄ってくる夢だ。

アンタの頭、正しくないよ。

嘶きと共に夢から覚めたら、俺は土の上で馬に見つめられていた。

 

『じゃ、邪神の類や。SAN値チェック失敗して、発狂しそう』

 

馬の視界は人間よりも広く、まるで横長のパノラマだ。

色の認識も人間と違うのか青とか緑は見えるけど赤とか見づらい。

読めたはずの人間の文字は認識障害でもあるのか、意味を理解できない。

いや聞き知ったはずの言葉を聞いても意味は分からない。

理解できないのに聞いたことがある音の羅列は精神をバグらせていく。

分かるのだ、読めると理解できるのだ、なのに実際には読めない。

喋っている内容は分かるはずなのに、意味がわからないんだ。

外国の言葉を聞いてる訳じゃないのに、日本語なのになんで理解できないのだ。

 

『あぁぁぁぁ、もう乳飲まずにはいられない!』

 

人間の価値観がミルクを嫌がる、衛生大丈夫そ?

でも悔しい飲んじゃう、腹減ってるんだもん。

 

母馬、マッマは数日で育児放棄しやがった。

なんなら、その足で頭を踏みつけようとしてきた、死ぬかと思った。

人間が助けに入らなければ死んでいただろう、分かるのか自分の息子が憑依されているって。

だがな、俺だって走れなければ馬肉になる馬になんてなりたくなかった。

 

 

 

生まれてから暫く、グダグダしてたけど手厚い保護なのか人間があれこれ俺にしてくれるのを見ながら心機一転した。

このまま俺は馬肉にされるかもしれないと気付いたからだ。

なんかで7000の頂点とか聞いたことがある。

確か7000くらいしか馬は年間生まれてないのだ。

俺は競馬をやってなかったから詳しく知らないが、負けたら馬肉、デビューできなかったら馬肉、怪我したら馬肉……今は安楽死だっけ、そうして9割が馬肉になるって聞いたことがある。

つまり、1割にならないと俺は死ぬ、馬肉になって死ぬ、馬肉は美味いし、馬の革財布はキレイだし仕方ない、そう人間の時は思ってました。

 

『嫌だ、俺は死にたくない!死にたくなぁ―い!』

 

こうなったら俺はレースするしかないのだ、馬の体に人間の賢さ?馬鹿野郎、賢いだけで勝てるか!レースは遊びじゃねぇんだよ!金を賭けなければブラッドスポーツ、つまり俺はアスリートにならないといけないんだよ、インテリはアスリートに勝てねぇんだよ!

 

そうして俺は暇さえあればずっと走っていた。

人には媚を売り、広い牧場を駆け巡った。

めっちゃ広い、馬も多い、ヒャッホー!走るのたーのしーい!

 

『……ハッ!?俺は一体いままで何を、まさか馬に意識を乗っ取られたのか?馬の本能怖い』

 

時々、記憶を失うこともあったがすくすく育つのだった。

 

 

 

馬の朝は早い、コイツらちゃんと寝てるのかというくらい早起き。

周りがうるさいが俺はしっかり休むタイプ、人間が馬の生活に合わせてなんかやってるが我慢している。

朝日は微妙な時間帯、たぶん夜明け間際だと思う。

人間、お前も大変だなと媚を売る。おら、舐め回してやるわ!

 

他の奴らは所詮は畜生、そこらへんでフンもするし餌はぶち撒けるし、ションベン臭い。

その点、俺は決まった場所でトイレもするしご飯も溢さない。

馬の成長は早い、いつの間にかミルクは卒業して草を食えるようになった。

オートミールとか玄米みたいで美味いけど、でも業腹である。

人間の飯が食いたい、たまに出るフルーツだけ食べて生活したい。

 

他の馬よりたっぷり寝て、いい加減起きろと人間に起こされてからはランニングである。

おう、いつものお前かよろしくな。

その前に、俺は馬小屋の窓に映る自分を見る。

人間がめっちゃ引っ張るけど、これだけは駄目だ。

なぜなら、これは俺が転生したことで手に入れていた唯一のチートを使っているからだ。

 

『な、なんだってー!?っていうわけでね、チェックです』

 

なんでか分からんが、俺はステータスが見えるのだ。

 

【メジロドーベル2005】

 

【調子】絶好調

【体力】100/100

【ステータス】スピード:E スタミナ:E パワー:F 根性:F 賢さ:E

【バ場適性】芝:A ダート:G

【距離適性】短距離:D マイル:B 中距離:A 長距離:B

【脚質適性】逃げ:D 先行:B 差し:S 追込:D

【スキル】

・スタミナグリード レース中盤で後ろの方にいると前方の持久力をわずかに奪う<長距離>

・八方にらみ    レース終盤に他のウマ娘が動揺する<作戦・差し>

 

う~ん、ウマ娘。

いらん、こんなんいらんから馬だけは嫌だ馬だけは嫌だ。

スリザリーン!はい、クソゲーですわ。

まぁ、貰ったもんは有効活用しないと馬として大成できないんでね。

なろう系でもステータス見れるのはあるあるだし、強そう。

 

『おし、数字がないから分からんが体力は大丈夫だし、調子もいいからボーナス入るで。今日も走るか』

 

このあとメチャクチャ爆走した、バクシン!バクシン!

 

 

 

ドナドナドーナー、子馬が売られていくよー。

どうやら俺のレースが決まったらしい、たくさんの馬と一緒に車に乗っている。

ヒンヒンうるせぇから、怒鳴りつけてやったので今は静かな車内。

おっ、どうやらついたようだ。

 

『おうおう、ついていけば良いんだな』

 

なんか人間に引っ張られて建物の中に入る、ほーんここが馬のレース場ね。

違った、なんかそういう感じじゃない。

ここは……コロッセオ!まわりに人間がいる。

あっ、ハンマー持った人だ、手を上げてるなんだお前らパリピか?

暇だな、人間がいっぱいいるけど、なんだこれ、走りてーなぁ。

 

「おうまさーん、おうまさーん」

『おっ、なんやガキがおるやんけ!おい邪魔すんじゃねぇよ、ちょっと近づくだけだろうが!』

「おっきーい、かわいいー」

『何言ってるか分かんねーな、でも笑ってるし褒めてんだろ』

「まぁ、血統はいいしなぁ。だが1000万かぁ、いや、もうこれで牧場も最後だ。最後に夢を見させてくれよ」

 

カンカーンとハンマーの音がしたと思ったら人間に引っ張られる。

おう、何だお前、寂しいのか?泣くんじゃねーよ。

帰ろうとしたら人間のガキが泣き始めた。

子供のあやし方とか分かんねー、なんかおもろいこと……そうだ、You Tubeで昔見たことあるわ。

ほれほれ、見ろ!俺の巧みなステップをこれがテイオーステップってやつだぁぁぁぁ!見てるかテイオー!

 

「おい!?どういうことだ!」

「あの馬!あの馬はなんだ!」

「ちょっと待て、やり直そう!」

 

なんか会場がざわついた。

アレ、俺なんかやっちゃいました?

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