BLEACH The 3rd Phantom?何それ知らない。 作:九頭竜 胆平
「オラッ、てめえ無駄打ちしてくんじゃねえ!隙作ってんだからそこに打ち込めよっ。ふっ!ダメだおせぇ、俺は堂円先生みてえに甘くねぇぞオラァッ!!」(ゴッ)
師匠になってからまあ一か月、俺ができることは鬼道教えることと、指導組手だけだ。今側頭部に回し蹴り入れたところ。
こんな一か月指導組手をしてもいまだにミスをするような志童ではあるが、実はこいつを弟子にとって俺に利点が二つあった。
「ちょっ、人体からなっていい音じゃないって!すぐに回道使って!」
一つ目は当然まつ梨と院内で話すことが多くなったこと。こいつがまつ梨と一緒にいたのは、俺の情報をまつ梨から聞くためらしかった。俺が鬼道が得意なんて情報はまつ梨しかしらんよなあ。院内では使ったとしても三十番台詠唱破棄程度だし、だからあの試合は四十番台そくぶっぱで決めようと思ってた。『啓活』。
二つ目はこれ、回道を使う回数が増えた。使う回数が多くなるということは練度が高くなるということだ。最近は切られることも殴られることも少なかったためなかなか回道の練習ができてなかったので願ったりかなったりだ。つっても使うのはもっぱら『啓活』であり『明癒(めいゆ)』はほとんど使うことはないのだが。
「すみません、師匠。師匠は白打も鬼道もすさまじいですね。前回の模擬戦ではこちらが一方的に仕掛けることができましたが、『鉄縄(てつじょう)』に失敗してたらあそこまでうまい試合運びはできなかったです。入院したての頃は座学など暇なだけだと思っていたのですが、情報とは力なのだと師匠から学ばせていただきました。」
…なんだこいつ。勝手に個人情報抜き取った挙句、成長できたって美談にすることでうやむやにしようとしてね?どんだけ取り繕っても、お前がまつ梨にストーカーまがいのことしかけて俺の個人情報抜き取っていったの忘れてねえからな。まつ梨が止めなかったら、完全詠唱の七十番台で消し飛ばしてる。
だけど、こいつを弟子にとってからまつ梨の笑顔が増えた。なんでか聞いてみたところ、ずっと友達がいなくて心配だった俺に友達(?)が一人でもできたのがうれしいらしい。
なんでこうなったんだろう。まつ梨に心配させまいと、強さを追い求めたはずなのに心配させている矛盾。情けなくて涙が出そうだと俺は思った。
最近の俺の自主練はもっぱら、まつ梨、志童の両者と同時に戦闘を行うこと。ざっくりいうと多対一の戦闘訓練である。ここでは俺も本気を出すため、すべてを持って二人を叩き潰す。まつ梨のこと殴るの辛いなあ。『蒼火墜(そうかつい)』で髪焦がしたときは死にたくなったっけ。志童は『廃炎(はいえん)』で炭にしても何にも思わない。
「「破道の三十一『赤火砲(しゃっかほう)』」」
なんで、一緒に戦うんじゃなくて対戦相手になってるんだろう。俺のラブコメ…(幻想)。とりあえず飛んできた『赤火砲』は反鬼相殺(浦原さんから聞いた)の回し蹴りで両方消し飛ばす。ここでちょっとだけ体勢を崩してみると…。志童君、いらっしゃーい(笑)。猪のごとく斬りこんできた志童をサイドステップで躱し、後ろ側に大きく入り込んで入り身投げ、ところで入り身投げは相手に触らず掌をかざしたりして相手を倒すので現在志童は顔面に掌を向けられたまま倒れこもうとしているわけだが、
「破道の三十一『赤火砲』」
顔面火の玉ストレート(物理)。使ってて思ったけどマジで合気道と鬼道の相性がいい。掌を向けるという動作がすべて攻撃に転用できるんだから回避しにくさも相まって、凶悪性2.5倍。
あとは、まつ梨を縛道の三十『嘴突三閃(しとつさんせん)』で捕まえて、ゲームセット!
47日目76戦72勝0敗4引き分け(引き分けた原因:まつ梨に破道を放つのをためらったため。)
講評のお時間です。
「志童はすぐ突っ込んでき過ぎ、少し難しいかもしれないけど、隙っていうのは一人一人違うんだ。俺みたいに白打がうまいやつはバランスを崩したように見せるのはすごいうまいし、そもそもバランスが崩れにくいし、何なら崩した後のリカバリもうまい。俺みたいなタイプなら、刀を振るった後は明確な隙だから、どっちかが刀をはじいた後に、詰め寄るのが正解だ。逆にまつ梨はチャンスに対して消極的過ぎだな。なまじ俺が何でもできるのを知っているせいで踏み出しにくいのはわかるけど極論訓練だからここで勘をつかむために多少なりとも積極的に動いていいと思う。」
二人とも斬術が得意だったり、どっしり構えて攻撃を受けてから反撃をかますタイプだったり似たところはあるんだけど、戦闘中の性格がびっくりするほど違うんだよ。ホントなんでその立ち位置俺じゃないの?兄弟ものにありがちな設定を赤の他人で補うのやめて。
「ということで、二人の欠点を補うための秘密兵器を用意しました!どうぞお入りください!!」
突然の展開についていけず混乱している二人の前に、二人の人(?)が現れる。
一人はまつ梨よりも背丈が短く、髪の毛を後ろにまとめた美人な少女、もといチャッピー。
一人は額すべてを覆うほど太いハチマキをつけ、そこからはみ出すように前髪を出している細マッチョの教師、もとい堂円攻。
チャッピーはこう見えて俺より容赦がない。やればできるの精神のため死ぬかもしれない可能性をすべて考慮して竹蜻蛉やら山嵐*1を加減をつけずに繰り出してくる。志童の突撃癖を治すには先ほどまつ梨に言ったことと逆に、訓練で死ぬ可能性を出してやればいい。
堂円先生はもっとわかりやすい。俺に指導組手をつけた教師であり、実力は上と認識させながら手加減してたことを一切気づかせない。まさに隙のスペシャリストといっても過言ではない(ダサい)。
「藤丸(師匠)はどうやって鍛錬するの(ですか)?」
今まで一緒に鍛えていたのだから当然聞かれるであろう質問に俺は完璧な回答で答える。
「心配しなくても俺は俺で一人でする鍛錬もあるから大丈夫だよ。」
俺式兵法その2。勝手に深読みして会話できないなろう系主人公!!鍛錬の方法を聞かれたのに、勝手に心配されてると曲解し答えを出さない必殺技である。
これからする鍛錬は鎖結を鍛えるあの鍛錬だ。いくらもう失禁しないとはいえ、「誰もいないところで激痛で痙攣しながら滝のように汗をふきだし、涙と鼻水とよだれで顔面をぐちゃぐちゃにしてきます」とは言えない。なにか二人の鍛錬に必要なものがあるなら、涅さんか、浦原さんに作ってもらうよう頼むつもりだから場所は教えてあるけど。二人には鍛錬場所は教えていない。万が一こっちに来て俺のそんな姿見たらトラウマもんだしな。
「んじゃ、お二人ともよろしくお願いします。」
堂円先生は、任せろ!と強くうなずき、チャッピーは、任されたぴょん!と独特な語尾で二人をドン引きさせていた。