BLEACH The 3rd Phantom?何それ知らない。 作:九頭竜 胆平
あれから一年がたち、飛び級をしたことで俺たちは最高学年になっていた。
あの日からまつ梨とはうまくいかず、志童ともあまりしゃべっていない。学年が上がった時に、あまりの気まずさに涅さんのところに逃げ込んだ*1ため、ここしばらくは征源様と伊花様ともしばらく顔を合わせていない。
「今日は現世に言って実際に虚と戦ってもらう。貴様らがいくら成績上位者といっても、決して安全ではない。常々油断しないように。」
クラスが変わってしまったため、もう堂円先生とも組手をしていない。今の担任の名前は、あーなんだっけな。覚えてねぇわ。
「藤丸。お前のことだから大丈夫だとは思うが、少し身が入ってないように見える。気をつけろよ。」
「うーす。」
現世の虚程度にやられるほどやわな鍛錬してねえから。余計なお世話にもほどがあるっての。まあサクッと倒して帰ってくるか。
そんなことを思いながら、俺は断界に入っていった。
忘れてたんだ。死ぬ気で特訓して強くなったから大丈夫だって。そう思ってた。けど、先生が言っていたように絶対安全なんてことはなかったんだ。
現世に降りてから俺は真っ先に鬼道を唱える。
「南の心臓 北の瞳 西の指先 東の踵 風持ちて集い 雨払いて散れ 縛道の五十八『摑趾追雀(かくしついじゃく)』」
『摑趾追雀』は索敵用の鬼道だ。なので、全体の虚を探ってすぐに全滅させようと思っていたのだが、
「師匠、虚はどこに、やけに多いな。この数なら皆で手分けして、「俺は北と東を担当する。残りはお前らが手分けして当たれ。」師匠!」
俺は飛び級してから対して周りに合わせようとしなかったのでいい顔はされないが、あいつらはちゃんと回りと話をしていたからうまく事に当たれるだろ。おっと、そんなこと考えてる間に虚はっけーん!
「破道の十二『伏火(ふしび)』」
スクリーマーや
「はっ」
斬って、
「破道の三十三『蒼火墜(そうかつい)』」
燃やして、
「竹蜻蛉」
叩きつけて、
北を殲滅し、東を半分潰し終わった時にそれは起こった。
ぴしっ
突如空間が割れるような音が響く。
そこから、まるで黒いぼろ布をまとったような体にとがった鼻を持つ巨大な虚達が姿を現した。
「メッ、
周りは恐慌状態に陥り、絶望に座り込んでしまう者もいた。
(くっそ!なんであんな奴らがいるんだ!とりあえず足手まといを何とかしないと。さんざん練習したんだから失敗してくれるなよ!)
「黒白の
それは七十番台の鬼道。副隊長クラスが適性があって初めてできるようなものを、藤丸は成功させた。それは連絡用の鬼道であり、霊圧を補足した複数人に伝達を可能とする。
「こちら藤丸。大虚でが出現したため直ちに帰還し、副隊長以上の死神に救援を要請する。
(覚悟を決めろ宮能藤丸!お前なら不可能じゃない!言え、言うんだ!)
言ってしまった。これでもう後戻りはできない。俺はあの化け物共相手に時間を稼がなくならざるを得なくなった。なんで、俺はまつ梨でもない奴のために体を張らなくてはいけないんだ。決まっている。まつ梨のためだ。まつ梨が誰も傷ついてほしくないって言ったから俺がやるんだ。
「今日は、月がきれいだ。」
誰に聞かせるでもなく、俺は最愛の妹を思い呟いた。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!「散在する獣の骨 尖塔・紅晶・鋼鉄の車輪 動けば風 止まれば空 槍打つ音色が虚城に満ちる 破道の六十三『雷吼炮(らいこうほう)』!!」
息が切れる。死にそうだ。あの巨体から放たれる攻撃はすべてが致命傷になりえる。だから走り続ける。雑魚を倒していた時とは違う緊張による疲労。当たれば終わりだからというプレッシャーは明確にパフォーマンスを鈍らせ、慣れ親しんだ詠唱をもう何度噛んだかもわからない。
奴らの口元から放たれる虚閃(セロ)なんて街中に被害が出るため絶対に撃たせてはいけない。
「破道の五十八『闐嵐(てんらん)』!!」
『闐嵐』は大虚に大したダメージは無いが、もしもほかの方法で対応しようとして詠唱を噛んでしまった場合目も当てられないので、詠唱破棄ができて尚且つ大虚の顔をそらせるこの鬼道で対処するしかない。
一体の足を白打と斬術で執拗に攻撃する。時々踏みつけようとしてくるため死ぬほど心臓に悪いが、これぐらいなら回避できる。ついにバランスを崩した大虚の背を駆け上がりとどめを刺す。
「凍てつく雛 雨・霧は全て刃となりて 切り裂き 削り 残るは白銀と紅 破道の六十『痕氷牙(こんひょうが)』*2!」
地面から巨大な氷山が出現し、倒れ伏す大虚の頭に突き刺さる。