BLEACH The 3rd Phantom?何それ知らない。 作:九頭竜 胆平
結論を言おう。これは勝てる。
「まつ梨、雑魚の処理を頼む。」
「藤丸一人じゃ倒すのは無理よ!わたしも、」
「時間稼ぎするだけだ。征源様さえ来れば勝てるし、たぶん雑魚が全滅しても勝てる。奇襲だけ警戒して、頼んだよ!」
そもそも勝利条件がイージーすぎるのだ。多分あいつは負傷している夜一様にも勝てないし、征源様にも勝てない。
「お前ひとりで向かってくるとは、死神とは馬鹿ばかりなのかぁ?くはは!」
だから雑魚を配置している。いつでも肉盾として使えるように。ならば、征源様が来るまでこちらは粘らせてもらおうじゃないか。瞬閧・閃光蒼幻の良いところは使っている鬼道が簡単なものばかりなので燃費がいい。つまり長期戦闘に優れている(なお体のことは考えないものとする)。
相手の尻尾が連続で襲い掛かってくるが、裏拳で受け流し、体さばきで躱す。
「おいおい全部掠ってるじゃねえか!?そんなんじゃすぐにボロボロになっちまうぜ!」
「馬鹿言え、掠らせてやってんだよ。俺に触ると火傷するぜってな。」
何ならこの勝負勝てるのでは?相手は趣向を変えて森の中に逃げ込む。
「シャッ!」
相手から何か発射されるが難なく回避。そのまま追撃もしたいが、相手は霊覚をごまかすのが得意らしく、絶妙に位置をつかませない。飛んでくる何かを躱しつつどうにか接近する方法を考え、あえて体を後ろに崩すことで突っ込んでこないか様子を見る。
「馬鹿め!飲み込んでくれるわ!」
虚は後ろに倒れるであろう藤丸を食らおうと、頭の部分にとびかかる。だがそこにはしりもちをついた死神の姿はなく、倒立状態でしゃがむという奇天烈な格好を見せた藤丸の姿があった。藤丸は頭上(足上?)を通過する
「ぐぶっ」
腹部に突き刺さったそれはおそらく牙だろう。大きくはなく致命傷にはならないが、それは軽度のめまいを引き起こす。毒、即効性のあるものだと思うが確証は持てない。すぐさま体勢を立て直し飛んで来る二撃目からにげる。
「(やっぱり今のままでは勝てないか。)」
それは藤丸にとっての事実であり、認識していた事象を再確認していただけだった。だが、
聞こえるのは斬魄刀の声。
「(無理だ、ここで無茶をしても死ぬ可能性が増えるだけだ。希望を持たせることを言うなよ。)」
間違っていない。敵う相手ではないはずだ。
やっぱこいつ斬魄刀じゃなくね!?氷輪丸の存在とかあるしまだ確定じゃないけど。
まつ梨が雑魚を全部処理したのが見える。これで、
「勝てる、とでも思っているのか?」
その時周りからぞろぞろと虚が出てくる。こいつどれだけ連れてきやがった!
「俺は用心深い性質でな。そろそろ死んでもらおう。」
スクリーマーが一斉に襲い掛かってくる。
「まつ梨!」
俺の、俺のミスだ。俺がいつでも庇える位置に立っていたら、まつ梨をここに連れてこなければ、ああ…もう…
「藤丸、まつ梨、よく持たせた。」
一掃される虚。そこには海燕先輩と征源様が立っていた。…よ、よかった。これで、
そうだよ、だからなんだっていうんだ。
まつ梨が死ぬことだ。
その一言に、魂が揺さぶられる。
…いらない。俺に怯えは似合わない。
俺が常に捕食者で、こいつ等はただの糧でしかない。
ああ、俺は忘れていたんだ、俺の原点はどこか。俺は至極単純に、まつ梨に害をなすものは全て、
征源は
「グゥ、貴様ごときに手を患うなどぉ!」
中級大虚《アジューカス》と戦う藤丸は瞬閧すら解除しており、その手には浅打が握られている。しかし藤丸に攻撃は当たらず、また藤丸も何かを待っているのか、
「遅くなってごめんね?行こうか。」
まつ梨は戦っている藤丸にやさしく微笑む。
「君のことなら千年でも待つよ。じゃあ行くか。」
藤丸は斬魄刀が話しかけてきたのなら、まつ梨もきっと心は一緒だと思い待っていたのだ。時は来た。兄妹は揃い、心合わせ、前を見る。
兄は獰猛な笑みを浮かべ、妹は恐ろしいまでに無表情。そんな対照的な二人だが、心はただ一つ、殺す。
藤丸の持つ竜条丸は先端に刀、上部に斧を持つ籠手のような姿、まつ梨の持つ虎淘丸ははばきの部分に斧がついた大刀に変化する。先に動いたのは藤丸、瞬閧を使っていた時ほどではないが、恐ろしいほど洗練された動きで
「(何故だ!?なぜ当たらない!?)」
一切の淀みない動きで、フェイントをかけても全く引っかからない。
「(しかも、この太刀筋は俺の筋を斬って!?)」
藤丸のつける傷は細かいが相手の動きを阻害するように刻まれ、
「はああああああ!!」
そこに降りかかる大刀、だが
バギィッ
真央霊術院を卒業して一年足らずの新米死神がたった二人でアジューカスを討伐するという偉業。
「二人ともよくやった。」
だがそんなことよりも征源にはこの二人が無事であったことが何よりも嬉しかった。大きく手を広げ二人を力の限り抱きしめる。藤丸は嬉しそうに笑った後意識を失い、まつ梨は二人を抱きしめながらわんわん泣いた。
「さすが五番隊よの。予想以上の速さで、よう来てくれた。」
流石征源様、海燕先輩、あとちょっとで死ぬところだった。
「良く走った其方の部下をほめてやるといい。」
「砕蜂をほめる前におぬしの部下に礼を言わねばな。宮能まつ梨、ようやってくれた。礼を言うぞ。」
わ、私!?海燕先輩じゃなくて!?
「も、勿体ないお言葉です!あまりお役に立てずにすみませんでした。」
「そういえば、まだちゃんと名乗っておらなかったな。儂は四楓院夜一。刑軍統括軍団長、隠密鬼道総司令官であり、おぬしの兄の上司に当たる。」
そっか、藤丸はこの人の下で働いてるんだ。
「夜一様ぁー!」
「…砕蜂?なぜ戻ってきた?」
「夜一様をお守りするのが私の役目です!さあ、夜一様も治療を!」
「よい。藤丸があらかた治してくれたわ。それより砕蜂、おぬしの働きで助かった。礼を…」
「礼などとんでもない!私のせいで夜一様を危険にさらしたのです。罰をお与えください!」
そっか、砕蜂さんからしたら、庇うべき相手に庇われたことになるのか。
「罰などやれるか馬鹿者。まったく、おぬしは…「本当ですよ、馬鹿は夜一様です。何護衛を庇って怪我してるんですか?」」
ちょっと藤丸!?それはさすがに失礼…
藤丸の後ろに鬼神が宿っている。これほど起こった藤丸を私は見たことがなかった。
「大前田副隊長にあれだけ言われて、まだ懲りないんですか?そもそも
そこから藤丸の説教は続いた。夜一様は非常に耳が痛そうな顔をしており、砕蜂さんは藤丸に激詰めされながらセクハラを受けて涙目だった。征源様と私はそれを黙ってみてることしかできなかった。
………
……
…
始解を習得したのち、まつ梨は五番隊十六席に、俺は二番隊三席に昇進した。蛆虫の巣?瞬閧覚えてるのに負けるわけないわな。明日から長期休暇ということだそうで、やっとまつ梨とデートできることになった。ふっふっふ、死ぬほど楽しんでやる。