BLEACH The 3rd Phantom?何それ知らない。   作:九頭竜 胆平

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自分が考えてない描写はどうしても文章が薄くなる。


まつ梨を殺す権利は与えていないわ!

『飛竜撃賊震天雷炮(ひりゅうげきぞくしんてんらいほう)』で大虚は三分の一ほどまでに減ったが相手には中級大虚(アジューカス)もいるため、油断はできない。

 

「伝令!八番隊、死傷者多数、消耗率三割を超えました!」

 

「後退しろ、といいたいところだけどね。」

 

京楽隊長も辛そうだ。…やはり俺が前線にでて、

 

「藤丸くん、何を考えているのかはわかりますがダメですよ。あなたは席官の中でも特に霊圧が大きく、副隊長格に匹敵します。もしもアルトゥロがあなたに狙いを定めれば、あなたが斬られた時点で消耗率はさらに一割増える事でしょう。」

 

「でも!まつ梨や海燕先輩、砕蜂ちゃんは前線に出てます!俺だけ後方から鬼道を撃ってるわけには!」

 

「藤丸、気持ちはわかるが堪えてくれ。まつ梨も海燕も最下級大虚(ギリアン)にやられるほど弱くはないし、砕蜂殿も刑軍だろう。そう簡単にやられはせん。」

 

「この状況、体を預かる身としては辛すぎるな…」

 

クソッ!何のために強くなったんだよ。せっかく強くなったのに、…なんで、俺だけ。

 

〖走れ、お前が大切なものを救いたいのならな。〗

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「興覚めだな、まったく、隊長格を糧にしようと思ったが、もう良い…」

 

アルトゥロは歩き出す。死神を喰らうために。

 

「死ね。」

 

 

 

 

 

 

海燕、藍染、まつ梨の三人は遊撃部隊となり中級大虚(アジューカス)を倒していた。

 

「うっ!この霊圧は!」

 

濃密な死の気配をまとう霊圧。それが動き出したことで三人はアルトゥロが本格的な侵攻を開始することを察した。

 

「アルトゥロが動き出したか、私が止めねば!」

 

「…俺が行きます!」

 

「志波君?」

 

「あなたの代わりはいないんです。副隊長の代理、しっかり務めてきますよ。」

 

今ここで副隊長格が殺されれば被害はもっと甚大になるだろう。そう考えた志波は自らが向かうことを決意する。

 

「海燕先輩!あたしも行きます!役立って見せますから!」

 

二人の背中が見えなくなったころ、藍染は

 

 

 

 

「フフッ」

 

 

 

 

笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

進撃するアルトゥロの前に二人の死神が立ちふさがる。

 

「止まりやがれ!」「まちなさい!」

 

「屑に用はない。去れ。」

 

「こっちは用があんだよ、わりいけどな!」

 

「邪魔だ。」

 

アルトゥロは霊圧を高める。ただそれだけのことで二人は魂魄が潰れそうになるほどの圧を感じていた。

 

「失せろ。」

 

「うるせえ!進みてえなら、俺の命を持っていきやがれ!水天逆巻け!捩花!」

 

三太刀、アルトゥロという怪物にそれだけ持たせるのは奇跡であり、その奇跡を海燕は起こした。

しかし、たった三太刀、それだけだ。胴を斬られ、足を折る。

 

「海燕先輩!」

 

「屑め、不死王を汚すとは。」

 

それでも海燕は折れない、最後の力を振り絞り水流を集めた全力の投擲を放つ。

 

「此れでも喰らえー!」

 

「む…?」

 

捩花はアルトゥロの足に掠りほんの少しの傷をつけた。

 

「しょせんこの程度か、だが、私に傷をつけた代償は払わせてやる。その命でな!」

 

「ぅぅぅうおおおおお!海燕先輩はやらせない!」

 

己を鼓舞し、立ち上がるまつ梨。だが、その足は震え地をまともにとらえる事すらできない。

 

「ほぉ、屑をもっと弱い屑が助けようというのか?上官に見捨てられ、必死に助け合う捨て駒…哀れなものだな。」

 

アルトゥロの言葉は本心であり、憐れんでいたのも間違いではない。なればこそアルトゥロはここで弱音や命乞いをすると思っていた。

 

「違う!これは自分の意思で選んだ戦いだ!」

 

馬鹿なものだ、最後まで現実を直視しない屑だったか。

 

「お前たちが選んだのは戦いではない。ただの死に場所だ!知るがいい!絶対的力の差というものを!」

 

お互いに剣を振るう。まつ梨の虎淘丸は大刀でありその振り下ろしが届く前に不死王の刃がまつ梨に届

 

鉄砂の壁

灼鉄熒熒

僧形の塔

灼鉄熒熒

湛然として終に音無し

鉄砂の壁

湛然として終に音無し

 

「縛道の七十五『五柱鉄貫(ごちゅうてっかん)』」

 

かない。シスコンはその死を許容しない。その男にとってそれは世界の終わりである。何を犠牲にしても守り切らなければならない。

気持ち悪い位に早口で紡がれた詠唱による十五本の柱がアルトゥロに襲い掛かる、真正面からならほぼ効果がないとしても隙をついて振ってきた柱はアルトゥロの行動を阻害するには十分であり、初代護廷十三隊しか知らず虚圏(ウェコムンド)で暮らしてきたアルトゥロは霊圧と気配を消し奇襲されるという経験はない。

 

体勢を崩されたところに虎淘丸の一撃が入るも体にダメージは無いが、

 

「小娘ええええ!貴様は絶対に殺す!」

 

精神は別。絶対的強者の矜持を持つ自分が殺すと決めた相手に空振り、あまつさえ一撃をもらうなどあってはならぬこと。

 

は?お前が死ね『煉獄』*1。」

 

高熱の炎がアルトゥロを襲い、一瞬怯んだアルトゥロであったがすぐさまその炎を無視し突っ込んでいく。

 

「縛道の二十一『赤煙遁(せきえんとん)』縛道の二十六『曲光(きょっこう)』縛道の七十九『九曜縛(くようしばり)』。」

 

それでアルトゥロが止まっていたのはせいぜい0.1秒程度、すぐさま煙を吹き飛ばすがすでに藤丸、まつ梨、海燕の姿は見えなかった。

 

「この地虫がぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「各隊、退却はほぼ済んだようです。」

 

「朱司波の坊、よくやった。」

 

まつ梨を助けに行っただけだ。

 

「いえ、勿体ないお言葉です。しかし、なぜ山本総隊長が出てこられたのですか?」

 

「実はの、数刻前に中央四十六室よりアルトゥロに対する熾水鏡使用命令が下されての、喜助の準備が整うまで時間を稼がなければならなかったのじゃ。」

 

「熾水鏡?」

 

聞いたことないものだ、もう完全に原作とは乖離してるんだな。

 

「それが切り札なのですね?」

 

「そうじゃ。熾水鏡を使用するため、われらは一時撤退する必要があった。最も危険な撤退の最後尾を山本総隊長と儂が受け持ったのじゃ。」

 

「夜一、ここは任せるぞ。儂は各隊へ説明に向かう。怒りで理性を失っとる者もおるからのう。」

 

「儂たちは志波を四番隊の救護室へ運ぶぞ。」

 

「「はい。」」

 

これでやっとアルトゥロを倒せる目途が立ってきたのか。長くつらい戦いだったな。

*1
瞬閧用の鬼道を開発している最中にできた鬼道であり直線状に大地から吹き上げた炎が敵を襲う。瞬閧時の特徴は歩くたびに地面から炎が噴き出し推進力が爆上がりするが、足が火傷まみれになること。


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