BLEACH The 3rd Phantom?何それ知らない。 作:九頭竜 胆平
熾水鏡に力を吸われたくないアルトゥロと伊花の命を心配する護廷十三隊、彼らの結論はどちらも速攻であった。征源は完全に勝負を決めにかかる。
征源の持つ身の丈ほどあった紫電は持ち手のみとなり、征源の周りに小太刀ほどの大きさとなった八本の紫電の刃部分が漂い始める。
「貴様ごときの矮小な卍解にかまっている暇はない、殺すぞ。」
「矮小かどうかはくらってみてから判断すると良い。」
その言葉を合図に八本の刃は一斉にアルトゥロに向かうが、アルトゥロは次々とその刃を打ち落とす。
「軽すぎる、ふざけているのか?」
征源を斬ろうとアルトゥロは走り出すが、山本元柳斎重國が立ちふさがる。振りかざされる不滅王は確かに脅威ではあるものの先ほどより威力はなく立ち合いはややアルトゥロがやや優勢、だが飛来する紫電や京楽、浮竹、卯ノ花等の猛攻により徐々に押されていく。
「(けど、このままじゃ伊花様が持たない。征源様の卍解が当たれば勝てるが、どうやって当てる?」
戦闘に加わらずまつ梨と遠くからほぼ無意味な鬼道で加勢しながら藤丸は竜条丸に問いかけ続ける。
閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け
様々な未来、それぞれの分岐、無限にある選択肢を閃き続けるが一向に伊花が助かる未来は見えない。
閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け、閃け
数億と見た未来の中、たった一つだけあった未来を手繰り寄せるように掴む。
竜条丸の未来視、というか未来把握はユーハバッハほど万能ではなく何も制限をかけず閃いた場合は0.03秒で限界が来てしまう。なので特定の個人の足の動きを視覚情報だけ把握するなどの制限をかけることで、それを三十秒程度にまで伸ばすことができる。この作戦をとった場合アルトゥロには勝てる、征源様も伊花様もまつ梨も無事である、ただ自分だけがわからなかった。死ぬことはないと断言(?)されたが無事ではないことも理解している。過去の藤丸なら即座にこの案を実行したのだろうが、今の藤丸にはそれが正解かわからなかった。まつ梨は自分が死んでも悲しむと知ってしまったから。思考の海にはまった藤丸は最後の選択さえ己の斬魄刀に任せた。
「(俺のこの未来は正解だったと未来の俺は思うか?)」
最も長く未来を知るなら知る事柄を少なくすればいい。はいかいいえの答えしか存在しない質問は遥かなる未来をも見通すことができる藤丸の最後の希望であった。
…
…
斬魄刀は己を映す鏡である。だが、斬魄刀とは自分ではないのだ。それに気づかぬまま全知全能に最も近い愚者は自分を投げ捨てることを決めた。
作戦を伝えられた征源はすでに息子同然の子が姉のために命を懸けることを知り罪悪感に圧し潰されそうになりながらそれでも最後になるかもしれない頼みを聞き入れ動き出す。
アルトゥロは当初の電撃戦という作戦を耐久戦に切り替えた。ここまでくれば力押しは困難。ならば熾水鏡使用者が死ぬまで粘りそこから反撃を開始する。突如防御寄りの戦術になったため双方がダメージを与えられなくなるが、当然追い詰められたのは護廷十三隊側であり山本、京楽の二人は卍解を使用するかどうか迫られる。
飛来する六本の紫電、それを軽々引き飛ばしたアルトゥロは残り二本のありかを思案する。可能性としてはさらに飛来してくるか、古参の女死神、屑1(男の方)、屑2(女の方)の三人、さらに少し離れた場所で伊花を守る白髪の隊長の計四人、さらにその中でもっともありそうなのは屑1だとあたりをつける。前方から走ってくる屑2を見てこれに自分を傷つけるのは不可能と判断し切り捨てる。なればこそ屑2を陽動としているのなら得てして屑1が殺しに来るはずである。後方から先ほどより翼も小さいが超速で迫ってくるのを確認したアルトゥロは振り向きざまにその手にある紫電を弾き飛ばす。世界がゆっくりと感じる中勝利を確信したアルトゥロは返す刀で藤丸を斬りつけようとし、自分が抱擁されているのに気づいた。
「征源様!」
まつ梨は作戦を聞いたとき激しく取り乱し反発した。
「伊花様が無事でも藤丸が死んじゃうんだったら意味ないよ!きっと、ほかにいい選択肢が「まつ梨」っ!」
「もう、探す時間はない。俺はどうなるかはわからないけど伊花様は確実に死ぬ。これしかないんだ。」
それでも食い下がるまつ梨に藤丸は意を決して言った。
「行かせてくれ、
まつ梨はお願いを拒否することができない。過去に自分のために殺しまで行った兄の意向を無視することはできないことを藤丸は知っていた。
征源に借りた二本の紫電を一本は素手に、そしてもう一本を背中にさしてもらう。二本の角があり、のこぎり状の刃はその見た目に反してまったく痛くなく恐ろしくすんなりと入る。藤丸はまつ梨がアルトゥロの視界に入ったのを確認してから瞬閧を使い走り出す。手に持った紫電をアルトゥロに突き刺そうとするが失敗する。当然それを
「打ち据えろ、死電!」
征源の持つ柄から紫色の電撃が伸びる。振り払うのは困難と考えたアルトゥロは毒々しい色をした雷を避けようとするが雷はアルトゥロを追尾しており、とっさに藤丸を盾にしたがその雷は藤丸ごとアルトゥロを焼き、その衝撃で気絶したのか藤丸は地面に落ちた。
「ふ、はははは!これは傑作だ!自分の身を犠牲にして当てた攻撃がまさか多少痺れる程度だったとは!」
そう言って笑うアルトゥロに対して藤丸から抜けた紫電が飛んでいきアルトゥロに刺さった。
「(躱せなかった!?体がうまく動かん!それに、これは!)」
「火雷腐毒鬼王の電撃はそれだけで内臓を腐らせる猛毒となる。そんな状態の貴様に躱せるほど私の卍解は遅くない。」
四方八方から襲う紫電と雷を躱すことができずに次々と喰らい続け、ついに最後の一本がアルトゥロをとらえる。
「終わりだ、『
……………
…………
………
……
…
「屑の分際でよくも私を殺してくれたな餓鬼。」
「ははっ、俺が?お前を殺したのは征源様だろ。そもそもお前が侵略してこなければ死ぬこともなかったしな。逆恨みからの筋違い乙。夢にまで現れるなんて胸糞悪いが伊花様の死ぬ可能性を生み出したお前が盛大に悔しがる様を見るのは滑稽だよ。文字通り死ぬほど後悔の念に苛まれてくれよな。」
「許さん、許さんぞ餓鬼。呪ってやる、貴様はむごたらしく死ね。」
知らない天井だ。いやまて、知っている部屋ではあるな。ここは確か、
「おはようございます。」
四番隊の救護室か。のそりと起き上がり気を抜けた挨拶をするとそこにいた隊士が驚いたように立ち上がりかけて行く。体は異様に重くだるいのでしばらく待っていると卯ノ花隊長が部屋に入ってきて、俺を見るなり少しほっとしたような表情をした。
「おはようございます。体の調子はどうですか?」
「ちょいだるいくらいで問題ないです。伊花様、征源様、まつ梨は無事ですか?」
「ええ、あの戦いで皆大なり小なり傷を負いましたが、命に係わるほどの大けがを負った人は藤丸君を除いていませんでした。でも藤丸君、あなたは左腕骨折、全身火傷、肝臓と肺は腐食しさらに霊圧枯渇。死んでないのが不思議なくらいです。」
「…ほんとよく生きてますね。あ、せっかくですから俺が何日寝てたか聞いてみていいですか?」
やっぱ定番のセリフだよな。ここは誰?俺はどこ?もやっておけば「7年です。」7?なな?
「…卯ノ花隊長冗談とかいう人でしたっけ。」
「いいえ、藤丸君、あなたがいない間に様々なことがありました。あなたに傷を負わせたことを理由に朱司波隊長は辞任、今は統学院で先生をやっています。。伊花は笑うことが少なくなりましたし、まつ梨さんはよく修行で無茶をするようになりました。」
これ本当に正解か?