BLEACH The 3rd Phantom?何それ知らない。 作:九頭竜 胆平
藤丸は荒れに荒れた。仕事をひたすらにこなし、後輩の仕事まで奪ってこなし七十連勤という頭のおかしい所業を行い、蛆虫の巣で暴れたものは気絶寸前の白打を10分間浴びせ続け、夜一脱走の際には瞬閧まで使って追いかけ大前田と一緒に即座に捕まえ、夜一が仕事をさぼるたびに人目も憚らず砕蜂にセクハラを行った。
最近脱走するたびに半泣きの砕蜂からもうやめてくれと懇願されることもあって、夜一は藤丸を除いた席官以上のものと被害者である砕蜂を入れて会議を開くことにした。
「皆の者、よく集まってくれた。早速で悪いが本題に入らせてもらう。宮能三席をどう止めればいいか考えてほしい。」
「そもそも止める必要がないと思いますが。」
大前田が出ばなを挫く。
大前田は仕事をする奴が好きだ。しかも今まで自分一人しかできなかった夜一確保という仕事をカバーしてくれるというのはものすごくありがたい。砕蜂へのセクハラも夜一の脱走を防げない刑軍統括軍団長直属護衛軍への罰と考えればまあ許容できなくもない。今の藤丸の問題点など瞬閧をいつでも使えるように上半身全裸なせいで襟巻上裸というイケメンの変態チックな見た目から女性隊員への刺激が強いことくらいである。
「確かに砕蜂へのセクハラはそりゃあもう酷いもんです。でも俺がやめろと言えば聞き入れますし、何より隊長の捕獲速度も上がって刑軍統括軍団長直属護衛軍も砕蜂を除き感謝しています。七十連勤も本人が望んでやってることだし、あいつ要領良いから必ず定時に帰るじゃないですか。砕蜂がセクハラされること以外いいことづくめですよ。」
「ま、待て、砕蜂は嫁入り前の乙女だぞ?それをああも官能的な手つきで触るのは砕蜂の教育に悪いと思うんじゃが、」
「もう散々触られてるし今更だと思いますけど。それに夜一様が逃げなければ砕蜂が藤丸に触られることはありませんよ?」
頼みの綱である大前田に見捨てられた砕蜂は静かに涙を流していた。実際困っているのは皆の前で痴態を晒したり、どこがとは言わないが少し育ってきている砕蜂とその罪悪感とサボれないことでストレスがたまる夜一だけなのだ。組織として歓迎されていることでありどうすることもできない。さらに言うなら夜一が脱走しなければ砕蜂という被害者もいなくなり困るのは夜一一人に収まる。
「あのー、発言よろしいでしょうか?」
「良い。狭間八席、言うてみろ。」
ここで、藤丸の元先輩であり二番隊の中で特に仲の良い狭間から爆弾が放られる。
「あまり言いたくはないのですが、砕蜂女史が、その…襲われる可能性はあると思います。」
砕蜂は悲喜交交していた。自分が助かる可能性が出てきたとはいえ、より絶望的な未来がまっているかもしれない。砕蜂がどれだけ全力で足掻いても藤丸は鎧袖一触できる強さを持つ。襲われたらまず砕蜂が助かる可能性はないだろう。
「…いや、いやいやいや、さすがに、流石に無い、よな?な?」
「…ああ、藤丸はいい奴だしあの件はちゃんと悔いていた、はずだ!たぶん、きっと、そうだよな?」
皆が確信に至れずお互いに質問しあってる姿を見て砕蜂は絶望した。心を殺すことができないことを今日ほど悔いたことはなかった。
「…まあ、結論はまだ急がなくてもいいじゃろ。
砕蜂は最後の頼みの綱である夜一をうるんだ瞳で強く見つめた。そこに打算などなく夜一ならまだそうにかできると思ったからだが、
今日は解散じゃ。すまんな砕蜂。」
近くにいる自分にしか聞こえない声で謝罪されたという事実から自分が解放されることはないのだと悟ってしまった。そこに死神*1の足音が迫る。
「よ~る~い~ち~さ~ま~」
突如夜一の背後から声がかかる。夜一と砕蜂以外の関係ない面々まで身の毛がよだつ。
「ど、どうしたんじゃ藤丸。何かあったかの?」
「どうしたもこうしたもありませんが、夜一様の机を整理していたらこんなものが見つかったんですが。」
そういって取り出したのは藤丸が作成した十一番隊の予算削減案であり期限は今日まで、夜一の確認が取れないと受理されない書類であった。
「そ、それか、これから受理しようと思ってたのじゃ。五分もあればこの程度の確認くらい、「定時まであと一分です。」
現在17:59分藤丸の定時は夜勤でもない限り6時でありいつもならあと一分で帰宅である。
「俺これ受理されるまで帰れないんですよね。ってこ・と・で、
夜一以外の全員は誰も切れた藤丸にかかわりたくなかったため最後の情けに痴態を見ないようさっさと帰った。大前田だけはほどほどにするんだぞと声をかけて帰って行った。
……
…
「ああ♡あぁっぁ♡あぁっ~゛♡やぁあっぁ!♡めて゛♡」
哀れ砕蜂。
………
……
…
「藤丸君最近元気そうね。何かお仕事でいいことでもあったの?」
「はい!最近すごく仕事が楽しくてですね!」
「うむ、お前が無茶をしなくなるのはとても良いことだ。確かに修業は大事だがお前はずっと程々という言葉を知らなかったからな。全力なのはいいことだが、あんまり自分を追い詰めるようなことはしないようにな。」
今までさんざん生傷を作り常に修行で精神をすり減らしていた藤丸がやけにツヤツヤしているのを見て伊花も征源もとっても喜んでいた。まつ梨はなぜ兄がこんなにつやつやしているのか知っていた、というか本人から何とかしてくれというSOSまで受け取っていた。
「(砕蜂さんの尊厳が破壊されるだけでみんなが幸せならいっか。)」
所詮、まつ梨は藤丸の妹だった。
………
……
…
「冬獅郎君死神に成らない?」
「何ふざけたこと言ってやがる。」
藤丸は、冬獅郎、桃、まつ梨、そして冬獅郎の祖母がいる中でいきなりそんなことを言い出した。
「冬獅郎君凄い霊圧が大きくてこのままだと近くにいる人無差別に凍り付かせちゃいそうなんだよね。」
これは本当である。このまま何もしないとおばあさんは死んでしまうだろう。桃と冬獅郎の祖母は俺たちの会話を心配そうに見つめている。
「じゃあどうすればいいっていうんだ。」
「これを何とかする方法はただ一つ!死神に成って霊圧の制御方法を学べばいい。」
これは半分嘘である。藤丸の襟巻をあげればそんなことしなくても何とかなる。
「冬獅郎君が心配していることはわかるよ。おばあちゃんが心配なんだよね?でも一考の余地はあるんじゃないかな。給金もいっぱい出るから贅沢もさせてあげられるし帰ってこれないわけじゃないよ。僕たちみたいにさ。」
お前強いから本編にいないと詰む可能性あるじゃん?
「時間はいっぱいあるしゆっくり考えてよ。俺は冬獅郎君の意見を尊重するから。」
そうそう、ほんとはこんな早くに入らないしあと十年位は全然時間あるから。