BLEACH The 3rd Phantom?何それ知らない。 作:九頭竜 胆平
俺tueee!・・・なんか違くない?
藍染という天才だったとしても未来を見通せるわけではなく、ほんの少しの誤差などはおこる。藍染の恐ろしいところは、その誤差を即座に修正、もしくは誤差を計算に入れて作戦を練り直すところだ。だからこそ細かい実験の進行速度のズレや、アルトゥロという脅威が出たとしても問題なく計画を遂行できていたはずだった。しかしアルトゥロという存在は誤差でしかなかった藤丸を脅威へと引き上げていた。
藤丸の存在を知らなかったわけではない。その少年は朱司波、浦原、そして自分の三人で見回りをしていた時に発見されたのだから。浦原に修行を頼んでいたのも知っていたが倫理観を考慮した修行しかやらず命の危険がある修行は課さないだろうと読んでいた。大虚を一人で複数体相手した話も聞いていたがそれだけ才能があったとしても強さの上限は副隊長格が限界だろうと考えた。アルトゥロという存在が出てきたとき、はじめて自分より霊圧の高い存在に出会ったがために計画に大幅なズレが出たが順調に平子が隊長になり自分が副隊長に慣れたことで計画の遂行が早まったとさえ思い、アルトゥロとの戦闘に生き残った藤丸の存在など、朱司波、浦原の両名が必死に守った結果それでも瀕死になった弱者という印象しかなかった。
「(だが、これは…)」
手数と霊圧頼みの軽い斬撃。瞬神夜一どころか、浦原にも及ばぬ歩法。鬼道の技術と、瞬閧という技は目を見張るものがあるが、前者は自分には遠く及ばず、後者もいくら速くなったところで私に聞くわけもない。その程度の強さだからこそ、
「これは、思わぬサンプルだな。」
「喜んでんじゃねえぞ変態眼鏡!」
Fuuuuuu!!!俺強くない!?俺強いって!俺Tueeeeee!!!転生してから始めて俺つええしてる!護廷十三隊全員相手取って戦えるバケモン相手に浦原さん、鉄裁さんが手伝ってくれてるとはいえもう5分も戦ってる!俺Tue…いやこれ俺Tueeeじゃないわ。あれもっといきり散らかせるもん。
「これは、思わぬサンプルだな。」
「喜んでんじゃねえぞ変態眼鏡!」
仕事終わりで眠くて疲れてる俺のことぼこぼこにしながらすげえいい空気吸いやがって、やろうぶっ殺してやる!
「『竜天蒼瞬』!」
竜条丸の力を借りて因果を弄り時間を飛ばす。なので結果だけが残る。キングクリムゾン!飛ぶのは俺だけなので厳密にはちょっと違うのだが、具体的には俺が振りかぶった剣が次の瞬間には別の場所にありその軌跡が斬れている、みたいな。ちなみに飛ばせるのは0.0013秒ほどなので剣を振りかぶっても次の瞬間には刃先が三センチほど動いてるだけなのだが。
「ほんのちょっと俺の体がぶれるだけでもやりづらいよなあ!」
未来を知ることができる俺が使うとすごい強くなる(小並感)。ふはは、先の先の先だぞぉ!
0.02秒の先の自分のうち九割八分はすでに死んでおり、そのうち一分二里は致命傷を負い、残りの八里を常に選択し続けなければいけない藤丸は自分が一歩でも間違えば死ぬというストレスに精神をむしばまれていた。
鉄斎と浦原に仮面の軍勢の面々を任せ、一人で戦い続けながらまだ一分しか経過していないが八里あった未来も今や二里まで狭まっている。それでも藤丸は起死回生の一手を探っていた。
「ふむ、埒が明かないな。砕けろ、『鏡花水月』」
来た!来た!相手に小休止が挟まれたタイミングで藤丸は首元に手を持っていき襟巻(二代目)を引きちぎる。再三言うが藤丸の能力は
現在藤丸が使える最も威力のある鬼道であり、重力に干渉するそれは『断空』でも止められることはない切り札。
藍染を囲むように黒い箱が出現し、その中にあるすべてを圧し潰す。だが未来を知る藤丸は『竜天蒼瞬』まで使ってその場から飛びのく。瞬間藤丸がいた場所におなじように黒棺が出現し草木の一切を地に圧しつけた。
「此れすら躱すか。謝罪しよう、宮藤藤丸。私は君の一切を見誤っていた。どうだい?君もこちらに来ないかい?新しい世界を見せてあげおう。」
「ほ…… ほんとに…? 俺の「命」…は… 助けてくれるのか?」
なんてひどい提案だ。俺がほぼ断れないのを知っててこの提案をしているじゃないか。
「ああ、本当だとも。君がこの手を取れば君は僕たちの仲間だ。」
ギン君もそっちにいるし何なら行ってもいいのでは?
な~んて
「だが断る。この宮能藤丸が最も好きな事のひとつは自分で強いと思ってるやつに「NO」と断ってやる事だ…」
「そうか、残念だよ。」
そうして藍染隊長の姿は消え俺の背後に回り込み後ろから斬りかかる。なので俺は後ろに掌を向けて
「虚閃」
霊圧の塊を閃光として射出した。
「驚いてくれました?渾身の一発芸だったんですけど。」
「ふ、ふははははは!そのふざけた言動も黒棺が破られるのもすべて仕込みだったと?面白い死神だ、思わず殺すのが惜しくなるほどに。」
虚閃ぶっぱなしたことに驚いてほしかったんだけどなんか違うところでツボってるな。虚化しても勝てないのはショックだったが、まあここが潮時か。
「あーもうやめやめ、俺はここから逃げますよ。」
「それを私が許すとでも?」
「許すでしょ。こんな面白いサンプルが残るって言うんなら、浦原さんのところに言ってデータでも取ってもらいますかね。あんたの策略で浦原さん捕まったりするんでしょ?俺のデータ簡単に取れるんじゃないかなぁ~。」
「いいでしょう。乗ってあげますよ。」
うん、
「んじゃ、愛染副隊長、またどこかでお会いしましょう。さようならー!」
逃げろ逃げろ!これからやることはたくさんあるぞ!時間外労働の始まりだー!
仮面の消し方わからないのまずくね?
………
……
…
まつ梨と征源様と伊花様にお別れを告げたけど、なんかすごいすんなり許してくれたな。俺離れ離れになるから泣いちゃったのにまつ梨なんかニコニコしながら抱き着いてきてびっくりした。次は砕蜂ちゃんの所かな~、手紙だけだけど、
砕蜂ちゃんの枕元に手紙を置き、寝間着を湯文字(ゆもじ)*1を丁寧に折りたたみ全裸の砕蜂ちゃんの枕元に置いておく。…弁明させてください。興味本位だったんです。気配消してるとはいえ隠密鬼道がここまで気づかないのはどうかと思ってお仕置きしてやろうと思っただけなんです。思いのほか起きなかったからどこまでできるか試していたら身ぐるみはいでしまっただけなんです。
…ほら!怒りの矛先が夜一様から俺に変わってルキアちゃん救出作戦楽になるかもしれないじゃん?作戦だよ作戦、だから俺は悪くない。
ここにいたらどこまでも罪を犯しそうだ。夜一様のところ行こう。
………
……
…
二番隊隊舎に戻り夜一様に報告をしに行くとそこには顔を隠しこれからどこかへ侵入しますと言わんばかりの夜一様の姿があった。
「夜一様!ただいま戻りました。」
「すまんな藤丸、報告を聞いている暇はない。これからちといろいろ準備しなければ…その顔のものは何だ?」
「そんなの後でいいんですよ。手はず整えて浦原隊長の救出に行くんでしょ?俺も行きますよ。どのみちこっちいたら処刑されるし。」
だから逃がしたんだろうなぁ。あの変態眼鏡ぜってえ何時かぼこぼこにしてやる。
「なに!?」
はい着替えて、顔隠して、浦原、握菱両名救出作戦レッツゴー!
竜条丸が強すぎる。侵入経路に誰もいないことを見なくても知れる。何ならどうやって行けばいいかとか簡単になら分かるのがずるだ。まさか俺が先導することになるとは思わなかった。
バタンッ
「何者だ!審議中の議事堂入出の許可など、誰が与えた!?」
皆さんお待ちかねの俺Tueeeeの時間です。
「「
「縛道の七十五『五柱鉄貫(ごちゅうてっかん)』」
これを詠唱と呼んでいいのかは甚だ疑問だが二十柱鉄貫がささる。俺が裏廷隊を抑えている間(2秒)に夜一様は二人の拘束具を破壊し逃げる手はずを整える。表から隊士たちがぞろぞろ来るがこれぐらいなら俺一人で十分であり、鬼道で蹴散らしながら進む。
………
……
…
「ありがとっす。夜一サン。藤丸サン。」
「礼なんぞいらん。昨夜なぜ儂にも一声かけんかったと蹴り飛ばしてやりたいが、藤丸に免じて許してやる。」
これを表現する語彙なんて俺にはないわ。
「八人は全員ここへ運んでおいた。おぬしが研究しておった、新しい義骸の試作品ものう。さっさとやってしまえ。今回の事件の話を平子に聞いた瞬間から、おぬしが考えておった顛末と、それに対する最善の策を。」
「何もかもお見通しっすね。やれやれ、やらしい人だ。鉄裁さん、平子さんたちに、時間停止をかけてください。そして、そのままこの場所に、ニ、三層の結界を。今から二十時間で、僕たち三人と平子さんたち八人の計十二体の霊圧遮断型義骸を作ります。現世に身を潜め、時間をかけて解き明かします。必ず、この虚化を解除する方法を。」
「夜一殿。」
「案ずるな、儂だけなら、どうとでも逃げおおせる。藤丸、そろそろその顔に付いているものについて話せ。さっき瀞霊廷内で何を回収していた?」
「これは虚の仮面ですよ。あと回収したのは不滅王です。」
「「「は(なんと)?」」」
瀞霊廷内セキュリティがっばがばだったし不滅王の管理すげえ雑だったわ。
「なんでそんなもの回収したんすか?」
「仮面がうるさいんですよ。不滅王が欲しいって騒ぐんです。」
騒ぐ、というのは正しい表現ではないかもしれない。仮面を中心に強い欲望があふれるような感覚、そんな感じがする。自分の中にある気持ちをより具体的に言語化しようとしている中後ろから肩を叩かれる。
「藤丸!」
「まつ梨!なんでここに!?」
「今度藤丸が無茶しそうだったら付いて行かせて欲しいって浦原隊長に頼んだら作ってくれたの、発信機。」
え、ナニコレ、体にくっついて離れないんだけど。
「すいません。まさかこんなことになるとは思わず、すいませんが藤丸さんも夜一さんと一緒に行ってくれないっすか?」
いや、無理ですって。夜一様と一緒にしないでくださいよ。…はぁ~言っても無駄か。
「わかりました、努力します。まつ梨、二人とお別れしてきたの?」
「うん。大丈夫。後悔はないよ。」
そっか、ならもうあとは腹くくるだけか。
「じゃ、またあとで。」
夜一様に付いて行くのキッツいなー。
その日、尸魂界から六人の隊長と三人の副隊長、大鬼道長、副鬼道長、そして二番隊三席と五番隊七席が現世へ逃走した。