BLEACH The 3rd Phantom?何それ知らない。   作:九頭竜 胆平

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師匠の師匠は変な人

ああ、俺は今死にかけてんのか。痛みも感じねえし、さっきまで寒かったのに今はこんなにあったけえ。そうして目を開ければ眼鏡をかけたごついおっさんの顔が、

 

「ぎええええええええええええええええええええええええ!!!!!」

 

「おお、素早い反応!よいですなぁ!」

 

きしょい!こわい!

 

「近いっ!近いっ!近ーいっ!」

 

「へんちょーう、くろはき殿が目を覚ましましたぞ!へーんちょーう!」

 

全力で遠ざけようと両手で顔面を押すが全然動かん。重すぎだろこのおっさん!

 

「お前!見たことあるぞ、下駄帽子の仲間だろ!なんで俺の布団に入ってんだよ!?でていけ!」

 

死ぬ気でおっさんを吹き飛ばし起き上がるが胸のところに鈍い痛みが走る。あれ、俺死んでねえ。てか、よく見たらここ俺んちじゃねえ。どこだここ?

 

「ほらほら、だめでしょ、黒崎サン。傷だってまだふさがっちゃいないんだ。あんまり動くと死にますよ?

 

ふすまを開けて部屋に入ってきた下駄帽子は俺にあれから起こったことを説明してくれた。俺を助けてくれたことや、石田のメッセージも。

 

朽木サンを救えるのは黒崎サンだけだってね。」

 

「俺だけか。ルキアは尸魂界に帰っちまったんだぞ!どうやって追っかけろって言うんだ!どうやって助けたらいいんだよ!できやしねえよ。…そうだ、藤丸さん!きっと藤丸さんなら「そうやって、いつまでも藤丸さんに助けを求めるんすか?」でもだったらどうしろってんだ!」

 

「本当に無いと思います?尸魂界に行く方法。」

 

「あるのか…?どうやったらいける!?教えてくれ!」

 

「もちろん教えますよ。ただし条件が一つ。これから十日間あたしと一緒に戦いの勉強をしましょう。」

 

「修行でもしろってのかよ。そんな暇ねえだろ。ルキアはあっちで何時殺されるかわかんねえんだぞ!そんなことをする前に少しでも早く尸魂界に行ってルキアを「わかんない人だなあ。」

 

そういうと下駄帽子は持ってる杖で俺の頭を小突いた。いつもならそれで出るはずの俺の死神の体は出ないまま俺は後ろに倒れる。

 

「いってるんですよ。今のままじゃ君は死ぬと。勝てるんすか?今の君が彼らと戦って。私は今回、あえて君を彼らと戦わせました。それは、そうしたほうが口で言うよりわかりやすいと思ったからなんすよ。今の君の実力じゃ、尸魂界では何の役にも立たないという事実をね。君は弱い。弱者が敵地に乗り込む事、それは自殺って言うんすよ。朽木さんを救うため?甘ったれちゃいけない。死にに行く理由に他人を使うなよ。尸魂界は通例、死刑執行に一か月の猶予期間を持ちます。それは朽木さんの場合も同じはず。人間が死ぬのとは形が違いますけどね。これから君をいじめるのに十日間。尸魂界の門を開くのに七日間。そして、尸魂界に到着してから十三日間。十分間に合う。」

 

本当に助けられるのか?

 

「十日間で俺は強くなれるのか?」

 

俺はあいつを助けられるほど強くなるのか?

 

「もちろん!あなたが朽木さんを助けたいと心から願うならね。思う力は鉄より強い。半端な覚悟ならどぶに捨てましょう。十日間、私と命のやりあい出来ますか?」

 

そんなの、考えるまでもねえ!

 

「当たり前じゃねえか。」

 

俺の返答を聞いた下駄帽子はにやりと笑った。

 

「藤丸さんには先に許可を取ってあります。ガンガン行っちゃいましょう!」

 

雨が止んだ…気がした。

 

 

………

 

 

……

 

 

 

 

今日は珍しく、登校中に藤丸さんの姿がなかった。今日は珍しく、石田が休んだ。ルキアの姿は当然見当たらない。それでもみんなは何でもないように過ごしてて、あいつがいなくても俺らの世界は回るんだってことを知った。当たり前だ、あいつは尸魂界の人間なんだから。だったらどうする…

 

後ろから足音が聞こえてきて、振り返る。

 

「井上、なんだよ、どうかしたか?」

 

「朽木さん、どこいったの?どうしてみんな朽木さんのこと忘れちゃったの?黒崎君なら、知ってると思って。」

 

 

………

 

 

……

 

 

 

 

「じゃあ朽木さん、元居た世界に帰っちゃったの?」

 

「ああ、しっかしびっくりしたな。井上に俺らのことが見えてたなんて。いつからだ?」

 

「お兄ちゃんのことがあった時から。あたしね、あの時のこと本当に感謝してる。お兄ちゃんを導いてくれて、お兄ちゃんはきっと向こうで幸せにしてると思う。なんとなくわかるんだ。朽木さんも、向こうで元気にしてるかな。家族や友達もいるんだろうね。」

 

その言葉で、俺は俺を斬ったあいつの顔を思い出した。

 

「連れ戻さなきゃならねえ。」

 

「え、でも、あっちで幸せならそれで…」

 

「あいつは今、何時殺されてもおかしくねえ状況なんだ。」

 

俺がその先を言い淀んでいると井上は突然立ち上がり急に変なことを言い始めた。

 

「そのあとはきっとこうね。*1向こうに家族がいようと何だろうと。生きてりゃそのうちまた会えんだろ。死んじまったら全部おしまいだぜ。…黒崎君の気持ちは決まってるんでしょ?」

 

井上の笑顔が、俺に勇気をくれる。

 

「あいつは確かに、ここにいた。居場所なら、ここにある。」

 

立ち上がり、前を見る。俺は結局進むしかねえ。

 

「ありがとう。井上。」

 

そうして俺は浦原さんのもとへ駆け出した。

 

 

………

 

 

……

 

 

 

 

店の地下に繋がっている梯子を伝っていった先には、雲一つない青空が目いっぱいに広がっていた。

 

「どっひゃ~~何だこりゃ~~!?この店の地下にでっかい空洞があったなんて~~!?」

 

「うるせえな。わざわざ代わりに叫ばなくても十分驚いてるって。」

 

「へへー、だったらいいんですがね。」

 

「あんたが藤丸さんの師匠だって話、まだ信じらんないぜ。本人から聞いた話だってのによ。」

 

あのあと、藤丸さんに電話で話したのだが、下駄帽子、もとい浦原さんは藤丸さんの師匠らしい。

 

「まあいいや、さっさと始めようぜ。お勉強会とやらをな。」

 

「そんじゃお望みどうり。」

 

そういって浦原さんは俺を小突き魂魄をはじき出す。俺の体から飛び出た俺はいつもなら黒い着物を着ているところだが今は来ている服と変わらない姿で、しかも胸に鎖がついた状態で飛び出した。そして何より違うのは、息苦しくて仕方がないってことだ。

 

「今のあなたは霊力の発生源である魄睡と、ブースターである鎖結を破壊されている。つまり、霊力を持たない普通の人間の魂魄なんっすよ。まずは、なくした霊力を元に戻さないとお話になりません。説明するより始めちゃった方がいいかな。おーい準備はいいかーい?

 

浦原さんが声をかけた先にはいつも店にいる気弱そうな女の子が立っていた。

 

「それじゃあ、よろしくお願いします。」

 

「レッスン1、彼女と戦ってくださいな。ルールは簡単。どちらかが動けなくなった時点で、レッスン1クリア。彼女をのしちゃってください。」

 

小さい子に殴りかかるのはすげえ嫌だ!でも、渡されたグローブとヘッドギアをつける。

 

「おっしゃあ、いくぜ!」

 

俺はその子に向かって走り出した。

 

 

……

 

 

 

 

(「浦原さんは俺みたいに甘くない。手を抜いたら死ぬからどんだけ意味わからん命令でも一護君のちんけなプライドが許さなかったとしても全力で取り組みな。」)

 

なるほど、確かに手を抜いたら死ぬだろう。拳一撃一撃が地形を変えるほどの衝撃を持っている。だが、スピードはどっこいだ。ミスらなきゃ当たらねえ。

 

「ふっはっ!おらぁ!」

 

顔も腹もだめだ。狙うならヘッドギア、あれしかねえ。

右から飛んで来る拳をスリッピングアウェーで躱す。怖すぎる!少しでもずれたら顔面ミンチだ!ここで引くかと思ったら少女はもう一方の手でさらに殴りかかってきたのでこれはスウェーで躱し、重心を戻す勢いをつけて少女の側頭部に殴り、その反動で少女は一回バウンドして地面を転がった。ってやべえ!

 

「おい大丈夫っ!?」

 

急に起き上がってきた少女のハイキックが眼前に迫っていた。

 

ドゴッ

 

ヘッドギアをしているとはいえ明らかに人体からなってはいけないような音が響き、俺は壁まで吹き飛ばされる。

 

「セーフ。」

 

浦原さんが少女の足を掴んで止めたらしいがばっちり当たってます。俺生きてる?

 

「危なかったですな。」

 

背後から声が…俺壁に叩きつけられたよな?なんで俺と壁の間におっさんがいるんだ?

 

「いってぇ、…もう一回、おねがいしま「おめでとさんです!」ん?」

 

「レッスン1クリアです。」

 

「え、あれでよかったのか。結局俺はその子に負けたんだぜ。」

 

「はい、私は雨をのしたらクリアーなんて一言も言ってませんよー?もともと、この子は対死神戦レベルの戦闘能力を持ってるんす。人間の魂魄じゃあ、どうあがいたって勝てやしません。ところで、まだ息苦しいですか?」

 

そういえば、いつの間にか最初に感じていた息苦しさは無くなっていた。

 

「つまり、霊力回復に成功したってことです。このレッスンのポイントは一発勝負。最初の一撃を躱せるかどうか、なんすよ。霊力ってのは、魂魄の消滅の危機に最も上昇しやすいっすからねえ。うまく霊力が上がればパンチを躱せて万々歳。」

 

「もし、あがらなかったら?」

 

「死にますね。」

 

あっぶな。手加減とかしなくてよかった。

 

「どうです?合格祝いだ。このまま、」

 

俺の因果の鎖が手斧で断ち切られる。

 

「レッスン2とまいりましょうや。」

 

俺の試練はまだまだ続く。

*1
なぜか俺の顔真似をおっぱじめた。激似である。

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