BLEACH The 3rd Phantom?何それ知らない。 作:九頭竜 胆平
腹の内から皮膚に突き刺さるような感覚がする。焦げ臭いにおいと吐き気がこみ上げ口から何かを大量に噴出した。
周囲の景色は途中で切れたように黒く塗りつぶされているが俺を見下ろしている男と、背後で呆然としている女の子がいることがわかる。ただ、その二人も誰かわからない。顔は見えているはずなのに、なぜ…
大丈夫だから。心配しないで。笑って。
はたして、俺の口から出た言葉はどちらへ向けられたものだろうか、そんなことを考えながらも俺は無意識にゆっくりとその腕を男の方へと伸ばして…
「藤丸!」「
「んあ?おひてる。おきてるよ。」
「嘘つけ爆睡中だったじゃねえか!来たぞ!」
本誌よりも強い副隊長、隊長+αとか過剰戦力もいいところだから俺要らないだろ。と考えていた俺をあざ笑うかのように苦難は降りかかってきた。身の毛のよだつような霊圧。万全には程遠い。絶対的強者の霊圧は見る影もない。それでも隊長格の三倍の霊圧を持つ奴のそれは俺のトラウマを刺激するには十分だ。
「こいつは…一体…」
「シロちゃん、尸魂界にも連絡。現世に
「お前、なんとかできんのか。」
「さあ?なんとかできなかったら俺ら全員殺されることしかわからない。」
シロちゃんは強いから柳が死ぬこともない。俺がやるべきことはアルトゥロの足止めまたは討伐。
…ちょっとまって?限定霊印、あれは最悪だ。自分がどれだけ弱くなってるかも分からないからも戦闘を予想をしにくくなる。ついでになんかこの辺の原作で皆は許可が下りるまで限定霊印を外さなかった覚えがある。しかも結構苦戦してた。
もしも、もしもの話ではあるが、もしそれでかわいいかわいい柳が怪我をするならば、俺は烈火のごとく怒り空座町を滅ぼす自信がある。
「
死んでくれ。
シャウロンと金髪を殴りつける。そいつらのいた数歩先にそいつはいた。
「ん!僕!僕じゃないかあ!会いたっかたよぉ僕!さぁ!僕と一つになろう!」
「お前誰だよ!」
薄い青緑の髪に鋭く光る金色の瞳、根源的な恐怖を刻み付ける霊圧。それらは俺の過去にあったそいつと変わりない。だがそれ以外のすべてが違う。口調はもちろん背丈は今の俺と変わらぬほどに縮み、顔だちも背丈に比例して幼い。まるで、俺と同じく帰刃から戻ったみたいに。
「それ!それそれそれそれっ!僕のっ!僕の刀だっ!それほしい!それほしっっぶ!!」
「うるせえ!」
顔面に竜哮衝をたたきつけられた推定アルトゥロはきりもみ回転で吹き飛んでいく。アルトゥロは斬魄刀も持っておらず弱いし鋼皮も昔より柔らかい(きがする)。戦闘スキルもろくに無いこいつになら余裕だと思い、シロちゃんや一護君を助太刀しに行こうと考えていた時だった。吹き飛ばしたアルトゥロは俺の腹に掌底を叩きつけた。
「すごいすごい!こうだよねっ!」
いや違う、と言葉を吐く余裕はなかった。その手の平から俺の腹部に叩き込まれたのは虚閃だ。鋼皮は貫通していないが、削れた。先ほどまでの動きとは比較にならないほどの速度、打撃センス。解放していない竜条丸が警報を鳴らす。こいつは危険だ。
「お前は、誰だ。」
「…?僕は僕だよ。藍染っていう人はアルトゥロって呼ぶけど。」
こいつは血を流しているにもかかわらず
瞬歩を行うときにやや体を傾けるよう回転させ、相手の背後に回り込み解放した竜条丸で魄睡目掛けて突くがアルトゥロ(もどき)は体をねじり俺の刀を受けた。更木隊長や卯ノ花隊長のように優れた剣の腕を持たない俺の放った刃は傾いた鋼皮を滑るように流れ、体が開いた俺の胸部に向かって打込まれる肘打ちを掌で防ぐが鋼皮の上から受けたはずのその一撃は掌と肋の骨にひびを入れ、痛みで呼吸が浅くなる。
アルトゥロは自らの圧倒的なスペックにものを言わせていただけで戦闘技術は下の下だった。でもこいつは違う。ハイスペックな肉体についている渇いたスポンジのような頭は俺の一挙手一同を知り、それを自らのものとしている。俺の戦闘スタイルは斬魄刀を使っている時も体捌きは体術主体の物だ。このままだとすべて盗まれる。俺の癖も、技も。
「散在する獣の骨 尖塔・紅晶・鋼鉄の車輪 動けば風 止まれば空 槍打つ音色が虚城に満ちる。」
「ンン~~~~?僕とやりあってるときに詩?」
「破道の六十三『雷吼炮』」
振り下ろす途中で竜条丸を浅打に戻し左手で掴み、そのまま右掌をアルトゥロに向けた。雷を纏った衝撃波はアルトゥロの体を包み込み弾き飛ばす。鬼道とは死神特有の業だ。これならば盗まれることはない。
瞬歩で距離を詰め、即座に踵落としを叩き込む。霊覚で知覚していたアルトゥロは俺の足に
「螺旋」
瞬閧開発時に制作した番外鬼道、螺旋は俺を中心として広範囲に紫に染まった霊子の突風が吹き荒れる。だがそれはアルトゥロを吹き飛ばすほどの威力は持たず、数瞬遅れたもののしっかりと俺の足を掴んだアルトゥロによって右足はひしゃげ、内部で起きた虚閃は鋼皮を貫通し出血をもたらした。
無傷のアルトゥロは歪んだ俺の足をさらに強く握りしめ地面に叩きつけようとして自らの体の異変に気付いたらしい。
「な、んだ、これ?」
アルトゥロの全身はまるで痺れたかのようにうまく動かず、握りしめた拳も弱弱しい。
螺旋は大量の霊力を消費するが、威力は御覧の通りゴミ。しかし、霊子を乱され崩れかけた体を再構築するときに何らかのエラーを発生させる。今回は麻痺だ。
「教えるかバーカ!このまましねえ!」
分かり切ってる未来だから言うが、このあと俺は完膚なきまでにぼこぼこにされることとなる。