世界はISの登場で混乱に陥っていた。
そんな状況で、1人の新人隊員がレスキューフォースに配属される。
これは熱いレスキュー魂を燃やす少年の物語のほんの1ページ。
注意
①ISとレスキューフォースのクロスオーバーです。
苦手な方はブラウザバックを。
②レスキューフォース最終回の後の話ですが、レスキューファイヤーは組織されてません。
レスキューファイヤーの物語が始まる代わりにISが開発されたという事にしてください。
③IS学園が舞台ではありません。
何ならワンサマーはISを動かせると知りません。
④この作品は読み切りです。
以上が理解できる方は、お楽しみください!
連載、読み切り合わせて初めて1話で20000字を超えました。
「うぇ、なっげぇ!読むの止めた!」
とか言わないで、最後まで読んでくれると嬉しいです。
世界各国で多発していた人類の常識を超えた災害、『超災害』。
自然現象だと思われていた超災害は、地球滅亡を企む悪の組織『ネオテーラ』が引き起こしていたものだった。
そんな超災害に対応する為、世界消防庁は特別救助部隊『レスキューフォース』を結成した。
レスキューフォースに任命された彼らは人々の平和と安全を守るため、日夜超災害を鎮圧し、ネオテーラと戦ってきた。
レスキューフォースの活躍によりネオテーラが壊滅し世界に平和が取り戻されてから25年。
超災害が発生しなくなってもレスキューフォースは解体されること無く今でも世界各国の人々を助けている。
そんな現代、今世界は超災害とは全く異なるものが原因で混乱に陥っていた。
その混沌の渦中にあるのは、インフィニット・ストラトス、通称IS。
とある天才にして天災である科学者が開発した宇宙進出を目的としたパワードスーツである。
開発当初は見向きもされていなかったISが注目されたのは白騎士事件と呼ばれる事件だった。
その日、突然世界中の軍事コンピューターがクラッキングされ日本に向けて合計2341発のミサイルが打たれた。
しかしそのミサイルが1発たりとも日本に着弾する事は無かった。
後に白騎士と呼ばれる白いISがミサイル全てを、そして白騎士を捕えるために世界各国が派遣した大量の戦闘機や戦闘艦などの軍事兵器の大半を無力化し、忽然と姿を消したという事件である。
この事件でISは注目を集める事となる。
ただし、軍事兵器として。
現行の軍事兵器を上回る戦闘力を誇るパワードスーツだなんてもの、軍事利用されない方がおかしいまである。
そうして世界でISを使用した戦争が起こらないようにアラスカ条約と呼ばれる条約で規制されている。
規制されてはいるもののやはり水面下での兵器開発が行われているのが現状である。
人命救助にしよう出来れば1機でかなり救助効率が上がる半面、テロに使用されれば被害が尋常ではない程拡大してしまう。
実際にISを使用したテロも何件か起こっているのでレスキューフォース並び世界消防庁からはあまりいい印象を抱かれていない。
また、ISを作るにはコアというパーツが必要である。
しかしそのコアはISの開発者にしか作れないうえにその科学者は467個目のコアを造った直後失踪したため、もうこれ以上コアの…ISの絶対数が増える事は無い。
その為各国や各企業、果てはテロリストといった様々な集団がコアを巡って争っている。
ISの登場により混沌に陥ったのは何も軍事情勢だけでは無かった。
ISの最大の欠点、それは女性にしか動かすことが出来ないという事。
こんなにも凄まじいものを女性にしか動かせないと分かったらどうなるか?
そう、一部の過激派が騒ぐのである。
その結果世界の考えは女尊男卑に汚染されていってしまう。
しかし、肉体労働はやはり男性の方が向いているし、ISの限度があるため軍や警察、消防隊もまだまだ男性部隊の方が多い。
それにその女尊男卑主義者が掲げているISだって男性の関わりが無ければ整備など出来ない。
つまるところ、世界はまだそこまで女尊男卑になっている訳では無い。
一部、本当に一部だけが騒いでいるのである。
今はISが開発されてから
例えば、IS開発当時小学4年生で10歳だった開発者の妹がもう
この長い期間の間、
そうして今年、レスキューフォースに新しい隊員が入隊した。
運命の歯車は、漸く廻り始める……
レスキューフォース本部兼移動前線基地『レスキューフェニックス』。
大きなディスプレイの前、部屋の中央に半円形の机と椅子が置いてあり、その中央の机に向けられて更に半円形の机と椅子が4つ置いてある部屋、作戦室。
此処には今5人の人間が存在している。
その5人は全員レスキューフォースの制服を着用している。
部屋の中央の椅子の前には制服の両袖とズボンの両脇、ジャケットの袖口と胸ポケットが黒の男性と青の青年が立っており、青の青年は何処か緊張した面持ちだった。
そんな青年を見守るように色が銀の青年と赤の女性と白の女性が心配そうな面持ちで見守っていた。
「それでは、指令を言い渡す」
黒の男性…レスキューフォース隊長『
「候補生、織斑一夏!」
「はい!」
その呼びかけに青の青年…織斑一夏がそう返事をする。
「本日付で、レスキューフォースへの正式配属を命じる。より一層の活躍を期待する」
純太はそう言うと、一夏に向かって手に持っている書類…正式配属決定の辞令と、レスキューフォース正式隊員のバッチを手渡す。
「おめでとう」
「……はい!拝命します!」
辞令とバッチを受け取った一夏は笑顔でそう返事をする。
「一夏、やったじゃねぇか!」
「おめでと~!」
「これから精一杯頑張るわよ!」
「はい!」
背後にいた銀の青年『
一夏はレスキューフォース見習い隊員だった。
だが、今までの活躍を受け本日正式に隊員へと任命されたのである。
友和達は一夏の先輩にあたるレスキューフォースの隊員である。
「一夏、正式隊員に任命されたと浮かれているようでは駄目だ。常日頃から身を引き締めて、訓練に生を出すように」
「はい!」
純太は一夏に正式隊員としての心得を説いていく。
そんな2人の様子を見て、友和達は息を漏らす。
「隊長は相変わらずだねぇ」
「まぁまぁ、あれが隊長ですし」
「そうね。あの熱血漢が心得を説かなかったら、そっちの方がビックリするわ」
「まぁ、確かにな」
「そこぉ!何喋ってる!」
「「「いえ、なにも」」」
自分の噂話をされ純太は3人に睨みを利かせながらそう詰め寄るも、まるで事前打ち合わせしているかのように同時に白を切る。
「……まぁいい。それでは、本日の訓練を開始する!一夏、友和は降下、明日香、真由理は人工呼吸からだ!」
「「「「了解!」」」」
純太の指示に4人は敬礼をしながらそう返事をする。
そして、今日もレスキューの訓練を開始するのであった。
「フンッ!フンッ!フンッ!」
「おー、一夏。頑張るじゃねぇか」
訓練開始から昼食を挟み、現在時刻13:30
多種多様なトレーニング器具が置いてあるトレーニング部屋で一夏と友和がトレーニングをしていた。
1時間休憩なしで訓練していたため友和は流石にベンチに座りスポーツドリンクを飲んでいるのだが、一夏は未だにトレーニングを続けていた。
一夏はチラッと友和に視線を向けてから、言葉を発する。
「これくらいしないと先輩方には…輝さんには追いつけないですから」
「そうか…まぁ、頑張れよ。俺は次行くわ」
「はい!」
友和はタオルを首元に掛け、スポーツドリンクが入ったペットボトルを持ちトレーニングルームから出て行く。
そうして残った一夏は1人でトレーニングを続行する。
大体30分後。
流石に疲れて来た一夏はいったん休憩する為ベンチに座る。
タオルで汗を拭いていると、トレーニングルームに人が入って来た。
明日香か真由理が来たのだろうか。
そんな事を考えながら一夏は視線を出入り口に向ける。
「っ!」
そこにいた人物を視認した一夏は思わず両目を見開く。
その人物が予想していた2人ではなかった、というのも理由の1つだが…
もっと単純に、やって来た人物が自身の憧れの人だったからである。
「輝さん!」
「一夏君!頑張ってるな!」
やって来た人物…『
輝も笑顔を浮かべると一夏の肩に手を置きながらそう激励する。
轟輝。
元レスキューフォースの隊員で、今は世界消防庁本部で働いている44歳の男性。
そして、一夏にとっての師匠であり尊敬する人物であり……命の恩人であり、レスキューフォースを志す切っ掛けとなった人物である。
事の始まりは一夏が8歳の時。
校外学習でクラスにバスに乗っていた時、トンネルの土砂崩れに巻き込まれてしまったのである。
当然ながらとても不安になる。
小学生であったのなら尚更だ。
そんな状況で助けてくれたのがレスキューフォースであり、一夏をトンネルの外に誘導したのが当時まだ現役だった頃の輝なのである。
親が存在せず、今まで助けてもらった事が無かった一夏は輝に、レスキューフォースに強烈な憧れを抱いたのである。
それから5年が経った時、再び一夏に転機が訪れた。
一夏が誘拐されたのである。
一夏の姉、織斑千冬。
IS世界大会『モンド・グロッソ』で優勝した
そんな千冬はISが開発される前の幼少期からとても優秀で、周囲からもてはやされていた。
弟である一夏にはその流れで理不尽な期待を掛けられていたが、一夏はそれを超える事は出来なかった。
その結果、周囲の人達からは蔑まされ虐められていた。
無論一夏は千冬に助けを求めたが千冬は忙しい事を理由に碌に取り合わなかった。
そうして誘拐された年。
この年は第2回のモンド・グロッソがあり千冬の連覇がかかっていた。
そんな千冬の優勝妨害目的で一夏が誘拐されたのだ。
誘拐犯に暴行されていた一夏を救出したのは千冬や現地の軍…ではなく、レスキューフォース、輝だった。
その後病院に搬送された一夏。
レスキューフォースは千冬の元に帰そうとしたが、今まで助けを碌に聞いてくれず、そして今回誘拐の原因になった千冬の元に帰りたくない一夏はそれを拒否。
一夏の過去を聞いた輝、そして当時のレスキューフォースの隊員は怒りを覚え一夏を世界消防庁で保護する事にした。
千冬は一夏を取り戻そうとしたものの一夏本人がそれを拒否している為どうすることも出来なかった。
その結果、千冬と一夏は分かれることになる。
一夏は千冬に怒りの感情を抱いたり毛嫌いしている訳では無いのだが、今更会おうとは考えていない…つまり、特に興味を抱いていないのである。
そうして一夏は世界消防庁運営の保護施設で生活する事になり、中学校も転校する事になる。
がらりと周囲の生活環境が変わった一夏だが、新しい環境では自分の努力が認められてドンドン実力を伸ばしていく。
成長していくにつれ、一夏は将来の夢が定まっていく。
自分を2度も助けてくれて、尚且つ環境を変えてくれたレスキューフォースを志し始めた。
輝を始めとした先代レスキューフォースの隊員達に指南を受けながら訓練を重ね高校卒業後訓練学校に入学。
師匠である輝譲りの高いレスキュービークルの操作技術を生かし入学1年でレスキューフォースへの隊員に任命されたのである。
「レスキューフォースに正式配属になったって聞いたよ。おめでとう!」
「ありがとうございます!輝さんと同じ、R1です!」
一夏は制服の右二の腕部分に縫い付けてある『R‐1』のタグを輝に見せながらそう言う。
それを見た輝は笑みを濃くすると一夏の頭をガシガシと撫でる。
「これから頑張れ!一夏君なら、世界中の人々をレスキュー出来るさ!」
「はい!輝さんから受け継いだこのレスキュー魂で、世界中の人々の平和と安全を、守ってみせます!」
「いい心意気だ!」
一夏と輝は同時に笑みを漏らす。
「それじゃあ、ここら辺で」
「はい!わざわざありがとうございました!」
一夏の返事を聞いた輝は満足そうに頷くと、そのままトレーニングルームから出て行った。
そうしてこの場に残った一夏は輝の背が見えなくなってからベンチに座る。
ペットボトルを開け中に入っているスポーツドリンクを飲む。
「ふぅ…さて、体力も回復したし、そろそろ再開……」
そう呟きながらベンチを立った時、事件は発生した。
ウー!ウー!
『火災発生。レスキューフォースに緊急出場要請』
レスキューフェニックス内にサイレンが鳴り響き、世界消防庁本部からの出場要請の指令が発せられる。
「っ!」
一夏は訓練の再開を中断し、全速力で作戦室に向かう。
その道中で友和、明日香、真由理と合流する。
作戦室に到着すると、4人は各々自分の席に座る。
「レスキューフォース、緊急出場!」
「「「「了解!」」」」
中央の席に座っている純太の言葉に、4人が返事をする。
それと同時に中央の机を向いていた他の4つの机が正面のディスプレイに向けられる。
「レスキューストライカーを搭載します!」
真由理が机の上のPCを操作しながらそう言葉を発する。
すると、レスキューフェニックスの地下に格納してある放水車型の大型ビークル『レスキューストライカー』が地上に出現する。
「レスキューフェニックス、フライトモード!」
明日香の言葉と同時にレスキューフェニックスは飛行能力を持つフライトモードへと変形。
地上に出ていたレスキューストライカーを機首先端部分に挟み込み吊り下げるような形で搭載する。
「レスキューフェニックス、発進!」
「「「「発進!」」」
レスキューフェニックスはその場から飛び上がり、火災発生現場に向かって全速力で飛んでいく。
『今回の現場は、ルクーゼンブルク公国よ』
作戦室のディスプレイに映っている世界総消防庁の総司令にして元レスキューフォース隊員の『
「ルクーゼンブルク…って何処っすか?」
「学校の授業で習ったでしょ?東欧の小国で、世界的な鉱石物の産地よ。此処からのレアメタルやクリスタルの世界シェアは共に1位よ」
「い、いやぁ~、覚えてなかったです」
一夏が零した疑問に明日香が半目を浮かべながら解説をする。
気まずそうに一夏が視線を逸らす。
『この国の王宮で、現在大規模な火災が発生しているわ』
「火災の原因は?」
『目下のところ不明ね。現在、まだ王宮には従者や騎士団の人間が数多く取り残されているわ。これ以上火災が広がると、彼らが危険』
寿里のその言葉を聞いた瞬間、全員の表情がピリついた真剣なものに変わる。
『レスキューフォースは、現地の消防団と協力して彼らの安全を確保するように』
「「「「「了解!」」」」
全員の返事を聞いた寿里は満足そうに頷く。
そこから飛行する事数分。
《まもなく、被災地上空》
そのシステム音と同時にディスプレイには宇宙空間で災害を監視する人工衛星『レスキューアイ』からの火災地の現状が映し出される。
「デッカ!」
友和が思わず驚きの声を発してしまうほどに大きい王宮。
その王宮の目視7割の部分から火が出ていた。
それを視認した純太は息を吸い声を発する。
「レスキューフォース、着装!」
「「「「了解!」」」」
その指示に従い4人は一斉に立ち上がると、作戦室の壁に存在する着装ブースへと入る。
着装ブースは180度回転しポット状になると下降を始める。
4人は腰に装着されているオレンジ色の総合ツール『レスキューコマンダー』を取り出すと、レスキューカード『ビルドアップ』を取り出す。
「「「「着装!!」」」」
レスキューコマンダーにレスキューカードを読み込ませる。
《 《 《 《BUILD UP》 》 》 》
そのシステム音が鳴ると同時に、ポット内に大量のデータが表記され、それが消えると4人の身体には強化スーツ『レスキュースーツ』アンダースーツが展開される。
右腕を胸の前に持っていくと、両腕の甲や肘、両足の脛や膝などに装甲が追加される。
甲に存在する円形のパーツが回転しながら装甲をしっかりと取り付ける。
腕をバッと開くと、一夏には青、友和には銀、明日香には赤、真由理には白の装甲とヘルメットが着装される。
フェイスパーツとしてヘルメットから黄色いメッシュバイザーでおおわれ、顔の横付いている円形パーツが回転し、顔にフィットするようになる。
そして頭部にレスキューフォースの証であるRのマークが表示されると同時に、4人は最下層に付きポット下部から外に出る。
「R1!」
「R2!」
「R3!」
「R4!」
4人は右腕で左胸を2回叩いてから前に突き出し、その後そのまま敬礼を行う。
「「「「レスキューフォース!着装完了!」」」」
着装完了と同時にレスキューフェニックスは下降場所に到着、下降し地面に着地する。
「レスキューフェニックス、フォートレスモード!」
純太のその掛け声と同時にレスキューフェニックスはフライトモードからフォートレスモードに移行する。
レスキューフェニックスの中央部分から青いパトカー型の小型レスキュービークル『コアストライカー』が出て来る。
その運転席に座るシートベルトを締めたR1は
「レスキューコマンダー!」
ハンドル部分にレスキューコマンダーを接続する。
その瞬間にレスキューストライカーへの光の道が作られ、その道を通りコアストライカーはレスキューストライカーのコックピットとして搭載される。
「レスキューストライカー、起動!」
R1はレスキューコマンダーにレスキューカードを読み込ませる。
《START UP》
エンジンがかかったのを確認したR1はアクセルを踏み込む。
「レスキューストライカー、発進!」
レスキューストライカーは、全速力で火災現場である王宮に向かって行った。
火災現場、王宮。
「消せ!何としても鎮火するんだ!」
「で、でも!勢いが強すぎて全然鎮火できません!」
此処では、ルクーゼンブルク国営の消防団が鎮火作業に当たっていた。
しかし王宮の7割以上を焼き尽くす炎の勢いに打ち勝てず全然消火できていなかった。
「弱音を吐くな!まだ王族の方々も避難しきっているか分からないし、騎士団の方々はまだ確実に取り残されてるんだぞ!」
「し、しかし…!」
ドガァアン!!
『うわぁ!?』
大きな爆発が起き、空気を震わせる衝撃波と共に黒煙が発生し、炎の勢いがさらに増す。
ごうごうと燃え盛るその炎は、まるで万物の命を奪い去る魔物の様だった。
「クソッ!このままじゃあ…!!」
消防団の誰かが悔しそうにそう呟いた、その瞬間。
「っ!サイレンの音!」
こちらに向かってくるサイレンの音が聞こえてきた。
バッと全員がそっちの方向に視線を向ける。
するとそこには、赤い大きな放水車…レスキューストライカーが此方に向かって来ていた。
「レスキューフォースだ!」
「要請が、届いたのか!」
消防団が喜びの声を発する。
そんな声に応えるかのように、レスキューストライカーは放水を開始する。
レスキューストライカーの水は様々な化学成分が混入されてるものであり、どんな種類の炎でも消火することが出来る。
その結果、消防団の近くにまで迫って来ていた炎を瞬く間に消し去っていく。
取り敢えずあたり一帯の炎を消化させたレスキューストライカーはいったん停車する。
「「「「ハァッ!」」」」
そうして、レスキューストライカーからレスキューフォース4人が全員飛び降りる。
『Save the Life!レスキュー開始!』
「「「「了解!」」」」
レスキューフェニックスに残っている純太の言葉に、4人同時に返事をする。
「レスキューフォースです!」
「増援感謝します!」
「私達が突入して要救助者の保護をしますので、みなさんは消火と保護した後の対応をお願いします!」
『はい!』
「よし、レスキューストライカー!消火続行!」
R1がマスクのマイクを使用しレスキューストライカーに指示を出すと、無人のまま消火活動を開始する。
「良し、俺とR1で本館の方に行く。R3とR4は別館の方を頼む!」
「了解!行くわよ!」
「ええ!」
「R1!ウェーブサーチとパワーサーチを出動させろ!その後本館に突入する!」
「はい!」
R2に言われ、R1はレスキューコマンダーと2枚のレスキューカードを取り出す。
「ウェーブサーチ、パワーサーチ、発進!」
そうして、2枚連続でレスキューコマンダーに読み込ませる。
《WAVE SEARCH,POWER SEARCH,START UP》
レスキューストライカーの車体後部のコンテナの扉が開く。
《GO》
そうして、放水車型の無人ビークル『ウェーブサーチ』とショベルカー型の無人ビークル『パワーサーチ』が発進する。
それを確認してからR1はR2と共に王宮の本館に向かって行く。
走る事3分。
王宮の前に付いた。
「どこか突入できる場所は無いか!?」
「R2!こっちにこじ開けられそうな扉がある!」
R1が発見したのは王宮に仕える従者用の出入り口。
しかし、炎の熱で歪んでしまっており簡単には開きそうもない。
「良し!ここから入るぞ!」
「はい!」
2人は扉の前に来るとバックパック付近に手を伸ばす。
「「レスキューブレイカー!」」
そうして、バックパックから総合レスキューツールである『レスキューブレイカー』を取り出す。
「ブレイクハンマー!」
「ブレイクアックス!」
R1はハンマー形態であるブレイクハンマーに、R2は斧形態であるブレイクアックスに変形させる。
2人は頷き合うと地面を蹴り扉に接近する。
「「ハァッ!!」」
そうして同時に歪んだ扉を殴り扉を破壊する。
「良し!行くぞ!」
「はい!」
そこから王宮内に突入したR1とR2はレスキューコマンダーに送信される反応を頼りに要救助者の元に向かって行く。
「っ!レスキューフォースです!大丈夫ですか!?しっかりしてください!」
2人はメイド服を着用し、廊下に座り込んでいる人を5人発見した。
慌てて駆け寄り声を掛ける。
「う、あ…だ、大丈夫です…」
「こちらR1、要救助者5名を発見!避難させます!」
『了解!』
「R1、俺はこのまま北棟に行く!お前はこの人達の避難を完了させたらこの南棟の捜索を続行してくれ!」
「了解!さぁ、みなさん行きましょう!ゆっくり、ゆっくりで大丈夫ですから」
R2はそのまま北棟に向かう。
5人のメイドの事を支えながらR1は外へと誘導する。
同時刻、別館。
R3とR4はもう既に別行動に移している。
1階をR3が捜索していた。
「っ!」
燃えている瓦礫の向こうに壁に寄り掛かっている執事服を着用した男性を1人発見した。
その隣には穴が開いており空が見えていた。
それを認識したR3はそのまま瓦礫に向かって走っていく。
「ハァッ!!」
高く、高く跳躍し瓦礫を飛び越える。
着地をすると勢いのまま男性に駆け寄る。
「レスキューフォースです。お怪我はありませんか?」
「は、はい。でも、出入り口が…」
男性の言葉と同時にR3は視線を穴に向ける。
跳躍する前は分からなかったが空が見えていた部分は穴のかなり上の方だけだった。
下の方には人間の身長と同じくらいの高さの瓦礫が積み重なっていた。
男性を抱えて跳躍するのは流石のR3でも不可能。
「大丈夫です。R1、聞こえてた?」
『はい!』
R1への通信で肯定の返事を聞けたのでR3は男性の身体を支え瓦礫から遠ざける。
メイド5人を誘導している途中のR1。
周囲を確認してからレスキューコマンダーを取り出し1枚のレスキューカードを読み取らせる。
「コアストライカー、発進!」
《CORE STRIKER,START UP》
レスキューストライカー前方部分が開き、コアストライカーを発射するためのカタパルトになる。
《GO》
そこに掲載された光の道を通りコアストライカーが勢いよく飛び出す。
「至急R3の元に向かってくれ!」
《了解》
R1の指示に、コアストライカーに搭載されている高性能AIが返事をする。
「ゆっくり、ゆっくりで大丈夫ですから。しっかりと姿勢を低くして意識を手放さないで!」
それを確認したR1は誘導を再開する。
コアストライカーの最高時速は400㎞を誇る。
その超スピードを生かしR3の元へ向かって行く。
ドガァアン!!
そうして瓦礫を突き破りコアストライカーが到着した。
「さぁ、乗って下さい」
「は、はい!」
R3に誘導され、男性はコアストライカーの後部座席に乗り込んだ。
コアストライカーはそのまま走り出す。
R4は最上階を捜索していた。
火災の影響で所々天井に穴が開いてしまっており地面には瓦礫が散乱していた。
「っ!いた!」
R4は要救助者に当たる女性を発見した。
その女性は鎧を身に纏っている。
近衛騎士団の団員なのだろう。
R4は慌てて駆け寄る。
「レスキューフォースです!大丈夫ですか!?」
「あ、足、足が…」
その言葉でR4は気が付いた。
女性の足は瓦礫の下敷きになってしまっており、このままでは動けそうにない。
「…こうなったら!」
R4はそう呟くと、瓦礫に手を置く。
「師匠譲りの!火事場のスーパーパワー!!」
そう叫ぶと同時にR4は重たい筈の瓦礫を持ち上げる。
「いんやぁ!!」
女性は驚きで目を見開くが、R4は気にせずそのまま瓦礫を遠くの方に放る。
「大丈夫ですか!?避難しましょう!」
R4はレスキュースーツの左肩に搭載されている酸素マスクを女性の口元に当てる。
そうして女性の足に負担がかからないように身体を支えながら外を目指す。
階段を1段1段しっかりと下り、そうして突入に使った扉から外に出る。
「もう少し、もう少しですから!」
必死に女性を励ましながらR4は歩いていく。
そうして避難してきた人達が集まているところに到着すると、それと同時に丁度メイド5人を誘導してきたR1が合流した。
「R1!この人、さっきまで瓦礫の下にいたの!直ぐに治療します!」
「分かりました!」
R1はレスキューコマンダーとレスキューカードを取り出し、そのまま読み込む。
「コアエイダ―、発進!」
《CORE ADER,START UP》
レスキューストライカーの車体後部のコンテナの扉が開き、中から救急車型のビークルである『コアエイダー』が姿を見せる。
《GO》
発進したコアエイダーはそのまま直ぐにR4の元にやって来る。
コアエイダーには様々な救命機材を搭載しており、どんな負傷に対しても適切な処置を行うことが出来る、まさに小さな総合病院である。
「R4、俺はもう1回本館に突入してきます!ここは任せました!」
「了解!」
R1はこの場をR4に任せ再び本館に向かって行く。
「良く頑張ってくれました!さぁ、処置をしますので!」
R4はコアエイダーに女性を乗せ、その足に処置を開始する。
それから、レスキューフォースは懸命な救助活動を続行する。
レスキュー開始から約10分後。
「もう少し、もう少しだけ頑張って下さい!」
「う、うぅ…」
「しっかりしてください!大丈夫ですから!もう少しだけ頑張って下さい!」
R1は鎧を着用した男性に肩を貸し、口元に酸素マスクを当て励ましながら歩いていく。
もう既に王宮からは離れた位置にまで移動出来ているが、R4達がいる安全な場所まではまだ少しだけ距離がある。
「R1!北館避難完了だ!」
そんなR1にR2が合流する。
「南館もあらかた避難完了していますが、完全確認は出来ていません!」
「…いったんその人を落ち着かせてから確認するぞ!向こうに行きゃあ、避難人数の確認が出来るからな!」
「了解!」
R1とR2はそう会話すると、そのまま男性の事を誘導していく。
避難してきた人達が集まっているのを小さく視認出来るようになってきた。
時を同じくしてR3とR4は広場にて避難した人に治療を行っていた。
「R4、そっちはどう!?」
「こっちは大体治療完了です!」
「こっちもよ。あとはR1達が戻ってくれば完璧ね」
R1達全員の会話を、レスキューフェニックスにて純太も聞いている。
「良し…!」
このままいけば、問題なくレスキュー完了できる。
誰しもがそう思っている。
「れ、レスキューフォースのみなさん、今回は、助けて下さってありがとうございます」
「あなた達のお陰で、私達も、従者も、近衛騎士団もなんとか無事です」
豪華な服を身に纏っている男性、ルクーゼンブルク第一王子『エドワード・トワイライト・ルクーゼンブルク』、同じく豪華な服を着用している女性、ルクーゼンブルク第二王女『ビクトリア・トワイライト・ルクーゼンブルク』がR3とR4にお礼を言う。
彼らの周囲には、同じく第三以下の王子や王女も避難してきている。
王族であり国の政治を担っている彼らは火災発生時も王宮の本館にて公務を行っていたのだ。
本来だったら真っ先に避難しないといけないのだが、火災の勢いが凄く炎をが早く回ってしまい第一公務室と第二公務室で孤立してしまった。
そんな彼らは、ウェーブサーチとパワーサーチによって発見され、R1とR2によって救出されたのである。
「これが、私達レスキューフォースの仕事ですから」
「まだ鎮圧出来たわけではありませんので、まだまだ気を付けてください」
R3とR4の言葉に、王族の彼らはしっかりと頷く。
「あ、R1!R2!」
ここで、R4が遠くの方にR1とR2、そして彼らに抱えられる近衛騎士団の男性を認識した。
まだ距離はあるが、これで全員が揃った。
一先ずこれで大丈夫。
R3とR4が安心したような息を吐こうとした、その時だった。
「お、王子!王女!た、大変です!!」
R3達の元に、1人の女性騎士が駆け寄ってきた。
その表情はとても焦っているもので、一気にR3とR4、そして王族たちに緊張がはしる。
「彼女は?」
「近衛騎士団団長、ジブリル・エミュレール。普段は私達に焦りなど見せないのだが…」
R3の疑問の声に、ビクトリアがそう反応する。
「どうしたジブリル!」
「あ、アイリス王女が何処にもおられません!」
エドワーズのその声に、ジブリルが敬礼しながら現状を簡潔に説明する。
『なっ!?』
エドワーズ達王族6人が同時に驚愕の声を発する。
その表情は共通して不安と絶望が見え隠れしていた。
「えっと、アイリス王女というお方は…」
「わ、我がルクーセンブルク第七王女にして、私達の妹だ……」
動揺を隠しきれない感じでエドワーズがそう漏らす。
「「っ!?」」
R3とR4は直ぐに状況を理解した。
R3がマイクでR1とR2に呼びかける。
「R1、R2、聞こえる!?大変なの!?」
『どうした!?』
「第七王女がいないの!?まだ逃げ遅れてる可能性があるわ!!」
『『なっ!?』』
R3の言葉に、R1とR2が驚愕の声を発する。
「せ、先輩!」
「R1、この人は俺に任せろ!お前は戻って捜索をしてくれ!」
「了解!」
R2に男性を引き渡し、R1は引き返す。
「コアストライカー!」
《全速力でそちらに向かう》
R1の声掛けにコアストライカーがそう返事をする。
その言葉通りR1に向かってコアストライカーが全速力で向かってきた。
R1の前に停車すると、自動で扉が開く。
《ニューフェイス、早く乗れ》
「分かってるよ!」
運転席にR1が乗り込もうとした、その瞬間。
事件が起こった。
バァン!!
「へっ!?うわぁ!?」
突如として発砲音が鳴り響き、R1が吹き飛んでいく。
《ニューフェイス!》
「R1!」
コアストライカーと純太が同時にR1の事を呼ぶ。
「ぐっ!?いったい、なにが…!?」
地面に転がったR1は頭を押さえながら身体を起こす。
そうして上空を見上げた時、驚きで息を詰まらせる。
自分に向けられたアサルトライフルの銃口。
それだけだったらまだいい。
いや、良くは無いのだが何とかなる。
問題は、そのアサルトライフルを持っている人物だった。
その人物は女性で、そして……その身にIS、ラファール・リヴァイブを纏っていた。
「IS……!?」
R1は驚きの声を発するも、それと同時にある事を思い出した。
それは、レスキューフェニックスでの一幕。
(「火災の原因は?」)
(『目下のところ不明ね』)
「っ!火災の原因はお前か!!」
R1がそう叫ぶと、ISを身に纏っている女がニヤリと笑みを浮かべ言葉を発する。
「そうよ!これは私達がやった事よ!まぁ、もう私以外は退却してるけどね!」
それを聞いたR1は怒りを覚える。
「ISを使用した、テロ事件だったのか…!!」
純太が拳を握りしめ、奥歯を噛み締めながらそんな声を発する。
「なんでこんな事を!何が目的だ!!」
怒りを露わにしながらR1が女にそう問う。
女は笑みを崩さずに言葉を発する。
「決まってるでしょ?レアメタルよ!こんなちっぽけな国にあの量のレアメタルは勿体ないわ!だから私達が貰ってあげたのよ!」
「それが何で王宮に火を放つことにつながるんだ!」
「ハン、ちょっと大きい火事でも起こせば、アンタ達レスキューフォースみたいなのが来ても、そっちの方に集中してくれるでしょ?」
あまりにも身勝手な理由。
R1は拳を握りしめる。
「ふざけるな!そんな、そんなくだらない理由で人の命を危険にさらすだなんて!!」
「レスキューフォース、アンタたちが活動してると私達の計画に不利益が生じる可能性があるわ。だから死になさい!!」
女はそう言うとR1に向かってアサルトライフルを発砲する。
「危ねぇ!?」
R1は紙一重で避けるも、射撃は止まってくれない。
(ここでコアストライカーが破壊されるのはマズイ!コアストライカーから距離を取らないと!)
そう考えたR1はコアストライカーから離れるように地面を蹴る。
「待ちなさい!」
女はR1への発砲を続ける。
R1は弾丸を必死に避けながら考える。
(クソッ!どうする!?このままじゃあ、第七王女が!)
打開策を考えながら必死に足を動かす。
(「一夏君なら、世界中の人々をレスキュー出来るさ!」)
「っ!」
ここで、輝の言葉を思い出したR1は足を止め振り返る。
「漸く観念した?」
女のその言葉は、R1には聞こえない。
「そうだ、俺の使命は逃げまどう事なんかじゃない!」
R1は覚悟を決めると、戦闘の構えを取る。
「俺の使命は、俺の助けを待っている誰かをこの手で救う事だぁ!!」
R1はそう叫ぶと女に向かって行く。
R1が思い付いたこの場の打開方法は至ってシンプル。
この女を倒して、助けに行く。
それだけだ。
「レスキューブレイカー!」
レスキューブレイカーを取り出したR1。
「ハハハ!ISに勝てる訳が無いでしょ!」
女はアサルトライフルを仕舞い接近用ブレードを展開するとR1に向かって振るう。
「ブレイクハンド!」
だが、それを待っていたといわんばかりにR1はレスキューブレイカーをマジックハンド形態の『ブレイクハンド』に変形させると、ブレードを挟みこむ。
「なっ!?」
「オラァ!!」
女が驚きの声を発した一瞬の隙を付き、腕に力を籠めブレードをへし折る。
「ブレイクピック!」
体勢を立て直される前にR1はピッケル形態である『ブレイクピック』に変形させると装甲のに向かって思いっ切り振り下ろす。
ビシィッ!!
そんな音を立てながらブレイクピックが振り下ろされた場所を起点として装甲に罅が入る。
「そんなっ!?ISの装甲が!?」
「ブレイクハンマー!」
ブレイクハンマーに変形させ、交戦する。
「くぅ!?なん、で、こんな、力が!?」
「決まってるだろ!助けを待ってる人がいる限り、俺は止まらねぇんだよ!!」
「一夏、良く言った!伏せろ!」
聞こえてきた声にR1は咄嗟に伏せる。
「「ブレイクアックス!」」
そんなR1の背中を飛び越え、R2とR3がブレイクアックスで女に斬りかかる。
「ぐぅっ!?」
「ブレイクハンマー!」
衝撃で思わず後退した女の背後からR4がブレイクハンマーで打撃を与える。
「先輩!」
「一夏!お前の言葉、しっかり聞こえたぜ!」
「ここは私達に任せて行きなさい!」
「助けを待ってる人を、助けるんでしょ!」
「……分かりました!ここは頼みます!」
R1は3人にお礼を言うとコアストライカーに向かって走る。
運転席に乗り込みシートベルトを締める。
《全速力だ、ニューフェイス》
「ああ!待ってろよ、今行くからな!」
R1はアクセルを思いっ切り踏み、全速力で本館に向かって行く。
「R1のレスキューの邪魔はさせねぇ!」
「捕まりなさい!」
「誰がアンタらなんかに捕まるもんですか!」
残ったR2、R3、R4は女との交戦を開始する。
各々のやるべきことを、成し遂げるために。
王宮前にコアストライカーが到着した。
R1が降りようとした時、コアストライカーが制止する。
《ニューフェイス、要救助者の反応をキャッチした》
「何処だ!?」
R1の言葉に応えるように、カーナビ部分のモニターに王宮のマップが表示される。
すると確かに、要救助者の反応がある事を示す赤い点が点滅していた。
その場所は…
「ここはっ!?」
《如何やら南棟と北棟を繋ぐ従者用の細い連絡ブリッジの様だ。外に露出していたから発見できなかったのだろう》
「そういう事か…コアストライカー!レスキューストライカーに戻っていてくれ!」
《了解した》
R1の指示に従い、コアストライカーは走り出す。
走り出したことを確認したので例の連絡ブリッジの元に走っていく。
「っ!いた!」
確かに外に露出しているブリッジ。
その北棟側に綺麗な金髪の少女を確認した。
「どうする…!?」
今から中に入ると間に合わない可能性がある。
なるべく早く彼女の元にたどり着く必要がある。
R1はいい方法を探すために周囲を見回す。
すると、北棟の壁に比べ南棟の壁がボロボロなのに気が付いた。
それこそ手と足を掛けられるくらいに。
「あそこから行くしかない!」
R1は壁に駆け寄ると、ロッククライミングの要領で壁を登り始める。
「ひ、ヒィ!?」
ルクーゼンブルク第七王女『アイリス・トワイライト・ルクーゼンブルク』は恐怖の声を漏らす。
突如として起こった大規模な火災。
自分は取り残されて、こんなところにまで追いやられてしまった。
まだ17歳の彼女には相当恐怖な出来事だろう。
「こんな時に、専用機があれば…」
彼女は時期IS国家代表生であり、普段はISを携帯している。
しかし、丁度定期メンテナンスに出してしまっており手元に存在していないのである。
アイリスは手をぎゅっと握りしめる。
恐怖が身体を支配して思うように身体が動かせない。
動いたとしても、どうしたら良いのか分からない。
アイリスは王子や王女の中で唯一政治に参加していない。
させてもらえない。
だからこそ、自分は要らないのではないか。
そんな思考まで出て来てしまう。
「わらわは、わらわは…!」
「うぉおおおお!!」
自分以外の声が聞こえて来て、アイリスは思わずブリッジから身を少し乗り出し声の聞こえてきた方向に視線を向ける。
そうして、壁を登って来るR1を視認した。
思わず驚きの表情を浮かべる。
「もう少しの辛抱だ!頑張ってくれ!」
R1はアイリスにそう励ます声を掛ける。
今はR1の方が辛い筈なのに、なんでこの人は自分に励ましの言葉を掛けられるんだろうか。
アイリスはそんな疑問を抱く。
「ハァッ!」
R1は壁を思いっ切り蹴り、漸くブリッジに乗ることが出来た。
「今行くぞ!」
そう叫ぶとR1はアイリスに向かって行く。
もう少しでアイリスの元にたどり着ける。
そう思った瞬間
ドガァン!!
「うわぁ!?」
R1の背後…南館の中から炎が噴き出て来てR1はバランスを崩す。
それと同時にもろくなってしまっていた床が崩落し、R1は空中に放り出される。
「落ちてたまるかぁ!」
R1は必死に右手を伸ばし、床の縁を掴む。
「ぐ、ぅぅうう!!」
「も、もう無理をするな!わらわの事なんか放ってお主だけでも逃げよ!」
アイリスは思わずR1にそんな声を掛けてしまう。
しかし、それがR1に火をつけた。
「『わらわの事なんか放って』?そんな事……出来るかぁ!!」
「っ!?」
「俺はレスキューフォースだ!俺の手が届くのに、失われる命なんか、俺は許容できない!俺は、助けを待っている人全員を救う!それが!俺のぉ!レスキュー魂だぁああああああ!!」
その咆哮と共にR1は左手でも床の縁を掴み、這いあがっていく。
「よしっ!」
R1はそのままアイリスの元に駆け寄っていく。
「よく頑張ったね。もう大丈夫だよ」
優しく語り掛けるR1。
「あ、ありがとうなのじゃ…」
「お礼はいいから!今は取り敢えず直ぐに…っ!危ない!」
「え、きゃっ!?」
ドガァン!
R1がアイリスの事を守るかのように抱きしめると、背後から…北棟の中から炎が噴き出してきた。
「クソッ!なんでまた火が!?」
レスキューストライカーによって粗方消されたはず。
だが、今そんな事を考えている余裕はない。
北館からも南館からも炎が噴き出ており、どちらにも入る事が出来ない。
万事休す。
アイリスは絶望したような表情を浮かべる。
だが、R1は諦めない。
膝を折りアイリスと視線を合わせると優しく話し始める。
「ねぇ、名前は?」
「あ、アイリス!ルクーセンブルク第七王女、アイリス・トワイライト・ルクーゼンブルク!」
そういえば取り残されていたのは王女だったと思い出したR1。
しかし今はそんな事関係ない。
「アイリス。俺の事、信じてくれるか?」
バイザーが存在する為、アイリスにはR1の…一夏の表情は見れない。
だけれでも、アイリスには何故か真剣な表情で自分に語り掛けている目を見れた気がした。
「…うん、信じるのじゃ」
「良し、しっかり掴まっていてくれよ!!」
R1に言われ、アイリスはしっかりとR1に抱き着く。
R1もアイリスの身体を左腕でしっかり抱えると、地面を蹴り思いっ切り跳躍する。
「うぉおおおおおお!!」
そうしてブリッジから身を飛び出す。
重力に従い、R1とアイリスが落下していく。
「レスキューブレイカー!ブレイクロープ!」
取り出したレスキューブレイカーをロープ形態の『ブレイクロープ』に変形させる。
勢いよく発射されたロープはブリッジの手すりに絡みつき固定させる。
そうしてロープを頼りにR1達は降りていく。
「良しっ!脱出成功!」
「お、おおお…」
無事に地面にたどり着き、R1は喜びの声を、アイリスは呆けたような声を発する。
「避難しよう!」
アイリスにそう声を掛けると、R1はお姫様抱っこと呼ばれる形で抱え他の避難した人たちがいるところに向かって行く。
急にそんな格好で抱えられたアイリスは顔を赤くすが、そんな場合ではないと必死に気にしないようにする。
「R1!大丈夫か!」
「R2!」
R1にR2達3人が合流する。
「ごめんなさい、逃げられちゃいました」
「大丈夫です、救出は出来ました」
R1の言葉と同時に3人は腕の中のアイリスに視線を向ける。
煤で汚れてしまってはいるが、怪我もないアイリスを見て安心したような息を漏らす。
「さ、取り敢えず王女を…」
R3がそう声を発した瞬間だった。
ドガァアアアアン!!
「「「「「っ!?」」」」」
今までとは比べ物にならない程の爆発音が聞こえる。
全員がそっちの方向を向くと、鎮火していたはずの王宮から再び出火してしまっていた。
「アハハハハ!これで終わりね!」
「あっ!さっきの!」
R2のその言葉と同時に、ISの女が逃げていく。
「クッソォ!最後に大爆発させやがった!」
「R2、落ち着いて下さい!」
怒りを露わにするR2をR4が宥める。
「先輩…アイリスを、頼みます」
R1のやりたい事を察したR3がアイリスの事を受け取る。
「王女は私達に任せて」
「はい!」
R3はR2、R4と共にアイリスを安全な場所に連れて行く。
をれを確認したR1はレスキューフェニックスに通信を入れる。
「隊長!ファイナルレスキューを要請します!」
『この規模の火災だ。一撃で終わらせる必要がある。R1、お前に出来るか?』
「出来ます!お願いします!俺にやらせてください!」
R1の言葉を聞いた純太は目を伏せる。
そして目を開き一瞬だけ口元に笑みを浮かべた後真剣な表情になり、席から立ち上がって言葉を発する。
「ファイナルレスキュー承認!」
右手で2回左胸を叩き、前に突き出す。
「爆裂的に鎮圧せよ!!」
「了解!」
R1はレスキューストライカーに向かって行き、コックピットになっているコアストライカーに飛び乗る。
シートベルトを締め、アクセルを踏み燃え盛る炎に向かって行く。
ヘルメット両側のパトライトが点滅を始める。
「ターゲットロック!」
R1のその言葉と同時にハンドルに接続されたレスキューコマンダーから空中にディスプレイが表示される。
《TARGET LOCK ON》
レスキューストライカーはエネルギーチャージを開始し、放水口が変形。
待機状態となる。
ディスプレイの下のゲージが溜まっていき、『9999』を表記する。
「ファイナルレスキュー!」
空中ディスプレイが消え、R1はレスキューカードを取り出し構える。
「ウォーターキャノン!発動!」
その言葉と同時に、レスキューコマンダーに読み込ませる。
《WATER CANNON》
車体両側の放水口から同時に放たれた放水弾が螺旋状に絡まり、1つの超強力放水弾になると巨大な炎に向かって行く!
「いっけぇえええええええ!!」
R1の言葉に応じるように、放水弾は炎に着弾!
バッシャアアアアアアアアア!!!!
水音と共に大量の水によって炎が飲み込まれ、大量の水蒸気が発生する。
そうしてその水蒸気が晴れた時……火災は、完全に鎮圧されていた。
「良し!」
「やったぜ!」
「「いぇーい!」」
『うぉおおおおおお!!』
その様子を見ていた純太やR2達、そして避難している人や現地消防団が喜びの雄叫びを上げる。
R1はレスキューストライカーの上部にでる。
「爆鎮完了!!」
ウォーターキャノンのレスキューカードを使い、ポーズを取るR1。
これにて、ISテロ事件火災は爆鎮されたのでった。
「兄上!姉上!」
「「「「「「アイリス!」」」」」」
アイリスは王子たちや王女たちの元に走って向かい、6人全員がアイリスの事をぎゅっと抱きしめる。
「無事でよかった!」
「ごめんなさい…」
「アイリスが無事なら、それでいいのよ」
アイリスは兄や姉たちと会話をしていく。
そんな様子を、ヘルメットを外し素顔を晒したレスキューフォースの4人が見守っていた。
4人の背後には従者達や近衛騎士団達がいるのだが、全員ボロボロ涙を流していた。
アイリスの無事をひとしきり喜んだ7人は、改めてレスキューフォースに視線を向け、歩み寄って来る。
「この度は、我が国を、私達を、アイリスを、助けて下さり本当にありがとうございました」
「謝礼は後日世界消防庁に送らさせていただきます」
「いえ、謝礼はお気持ちだけ受け取らさせていただきます」
「で、ですが…」
「折角の豪華な王宮がボロボロになっちゃったんですし、そちらの復興に使って下さい」
「私達は、みなさんがまた笑顔で生活できるようになれば、それで十分ですよ」
「……お心遣い、感謝します。ですが、何時か完全に復興できた際には、何かお礼をさせていただきます」
助けてもらって何も礼をしないのは王族のプライドが許さないという事だろう。
これ以上話を続けても平行線になる事を察したレスキューフォース側がここで折れた。
「あ、あのぅ…」
ここで、アイリスが1歩前に出て気恥ずかしそうに言葉を発する。
「お、お主!な、名はなんと申すのじゃ?」
一夏の事を見ながらそう質問するアイリス。
そういえば自分は名乗って無かった事を思い出した一夏は自己紹介を始める。
「世界消防庁レスキューフォース所属R1、織斑一夏です」
「…一夏、さっきはすまなかった。『わらわなんか』とかなんとか言ってしまって」
「気にしないで下さい王女」
「む、わらわには敬語は要らん。普通に喋ってくれ」
さっきは緊急事態だったので呼び捨てにしてしまったのだが、今は周囲の目があるのだ。
簡単に呼び捨てに出来ない。
一夏はチラッとエドワーズ達に視線を向けると、頷いてきた。
許可が出たという事だ。
息を吐いて膝を折り視線を合わせる。
「じゃあアイリス。気にしないでいいよ。アイリスが無事ならそれでいいさ」
笑顔を浮かべる一夏の顔を見て、アイリスは顔を赤くする。
そんな反応を見て首を傾げる一夏に、アイリスは咳ばらいをしてから言葉を発する。
「わらわは今まで、何処か兄上達の邪魔になってるんじゃないかと思っておった。だからあの時はあんなことを言ってしまった」
アイリスの言葉を聞いたエドワーズ達は視線を泳がせる。
政治に巻き込まないようにアイリスと距離を取っていたのは事実だったからだ。
「じゃが、わらわは変わる。兄上達とはまた違った方法で、わらわに出来る事をやる……わらわの方法で、人を助けられるようになる」
アイリスが目指している事は、途方もなく漠然としていて、大変な事だというのは誰でも分かる。
だが、一夏は不思議と納得していた。
アイリスなら出来ると、確信できていた。
だから一夏は右手をアイリスの頭に置くと、2、3回優しく撫でる。
「そっか。頑張れよ、アイリス」
「……うむ!」
一夏とアイリスは笑みを浮かべる。
それを見てエドワーズ達も、友和達も優しい表情を浮かべる。
こうして、救出した人に笑顔も戻った。
レスキューは、完全に完了したのだった。
世界では、まだまだ災害が発生する。
それは自然現象であったり、事故であったり、人為的なものであったり…テロであったりする。
だが、どんな現場でも彼らは駆けつける。
人々の平和と安全を、守るために。
その身に、熱いレスキュー魂を宿して。
『今回の現場はオランダの劇場だ。まだ内部には演者やスタッフ、観客が多数取り残されている。何としても、彼らを助けるんだ!Save the Life!レスキュー開始!』
「「「「了解!」」」」
その中心となる少年がISを動かしてしまうのは、まだまだ先のお話……
簡単な設定
〇レスキューフォース
世界消防庁が設立した特別救助部隊。
25年前にネオテーラから世界の平和と安全を取り戻した。
ISが登場した現在も活動を続けている。
一部過激派女尊男卑集団には敵視されているが、世界の大部分の人々はレスキューフォースを必要する。
〇織斑一夏
本作主人公。
レスキューフォース所属、R1。
年齢は19歳。
原作と異なりISを動かせることは分かっていない。
幼少期は姉が原因で虐められていた。
そんな中起こった誘拐事件も姉が原因だったため、レスキューフォースに保護された後姉の元から離れる選択をした。
師匠譲りの高いビークル操作技術と熱いレスキュー魂で人々を助ける。
R1としては彼は3代目。
〇遠藤友和
レスキューフォース所属、R2。
年齢は22歳。
小さい頃町で迷子になっていた時、先代R2に保護されその時話して貰ったレスキューフォースとしての活動に憧れを抱き、レスキューフォース入隊を目指した。
部隊のムードメーカーで、一夏と共に最前線で救助を行う。
R2としては3代目。
〇赤澤明日香
レスキューフォース所属、R3。
年齢は22歳。
訓練学校の近くに家があり、日ごろからレスキューフォースの訓練を見ていたため自然と憧れを抱いた。
部隊一のお姉さんであり、熱くなりがちな一夏や友和をクールダウンさせる役割を持つ。
R3としては3代目。
〇白取真由里
レスキューフォース所属、R4。
年齢は21歳。
先代R4の実家の武道場に通っていた過去があり、その時に話す機会の多かった先代R4に憧れを抱き、レスキューフォースに入隊した。
ほんわかしているが、本気を出すと師匠譲りの「火事場のスーパーパワー」を発揮する。
R4としては3代目。
〇黒澤純太
レスキューフォース隊長。
年齢は30歳。
隊長の前任者である師匠のヨーロッパ転勤に伴い隊長となった。
部隊を纏めるねじの役割を引き継いでおり、普段は冷静に物事を判断するが、胸の奥のレスキュー魂は未だに熱く燃え盛っている。
〇轟輝
先代R1。
一夏の師匠で命の恩人。
今現在は世界消防庁本部で働いている。
肉体的な理由でもう前線に出る事は無いが、熱いレスキュー魂は健在であり、後任の人達の指導を業務が空いたときにボランティアで手伝っている。
〇白木樹里
先代R4にしてレスキューフォース総司令。
真由里の師匠である。
普段は優しい笑顔の似合う女性だが、ひとたび任務になれば冷静で素早い指示を出すキャリアウーマン。
いかがでしたでしょうか?
レスキューフォース滅茶苦茶懐かしいですよね!
捕捉ですが、コアストライカーはマックスだと一夏が制御しきれなかったのでダウングレードされました。
なにか間違ってる箇所がありましたら優しく指摘して頂けると嬉しいです。
評価や感想、アドバイスなどよろしくお願いします!!