異世界はブリッツボールとともに。 ~異世界ワッカ~   作:3S曹長

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 当作品の連載を開始してから、一週間が経ちました。
 ハーメルンのランキングを確認しましたところ、週間ランキングで90位、週間「その他原作」ランキングでは何と6位という結果を残しておりました(6月26日13時のランキングです)。
 このような爪痕を残せたのも、ひとえに当作品を応援して下さる皆様のおかげです。本当にありがとうございます。これからも引き続きワッカの異世界冒険譚をお楽しみください。

 ちなみにFF総選挙(ワッカが53位だった例のアレ)を確認しましたところ、90位がケット・シー(FF7)、6位がエメトセルク(FF14)でした。

 今回は「まるで将棋だな」編です。数ヶ月経過しているのは原作準拠です。アニメだとそこら辺が全く伝わらない…。


「まるで将棋だな」編
旧王都、そして地下遺跡。あとブリッツボール。


 あれから数ヶ月、ギルドの依頼をこなしていたワッカ達は紫ランクから緑ランクへと昇格を果たした。ギルドのランクは下から順に「黒>紫>緑>青>赤>銀>金」となっている。ちなみに金ランクの冒険者は現在この国には存在しない。

 そんなわけでワッカ達は初めての緑依頼に挑戦する。「せっかくなら王都のギルドの依頼を受けよう」というエルゼの提案に乗り、一同は王都のギルドの掲示板前にいた。

 

「おい!この依頼なんてどうだ?」

 

 ワッカが一枚の依頼書を提示する。この数ヶ月でワッカは異世界の文字をカンペキにマスターしており、皆と共に依頼を選べるようになっていた。

 

「北の廃墟でメガスライムの討伐ってヤツだ!物理攻撃は効きにくいだろうが魔法なら…」

 

「「「ダメ!!!」」」

 

三人から同時に拒否されてしまう。

 

「ヌルヌルネバネバは嫌でござる!」

 

「生理的に無理です!」

 

「それにアイツら、服とか溶かしてくるのよ!絶対にイヤ!」

 

「な…、そんなに溶かす力がスゴいってことかよ」

 

「そうじゃなくて、()()()()()()()()()の!」

 

「なんだとぉ!じゃあ却下だな!」

 

ワッカは「どうして服だけ?」と疑問に思いながらも、(いさぎ)くメガスライムの討伐依頼を諦める。彼の戦闘服はビサイド・オーラカのユニフォームだ。それを溶かされるということは、ビサイド・オーラカというチームに泥を塗られることに等しい。ヌルヌルネバネバに関しては何とも思わなかったが、その点に関しては三人同様にイヤだった。

 結局受ける依頼は「旧王都に蔓延(はびこ)る魔獣討伐」に決定した。

 

 旧王都は1000年以上前に王都が存在した場所であり、現在はツタの蔓延る穴だらけの城壁や、もはや建物の形を留めていない瓦礫(がれき)ばかりの廃墟となっている。その廃墟にいつしか魔物が住み着くようになり、冒険者が度々討伐をするがしばらくするとまた魔物が住み着くという負のスパイラルに(おちい)っている場所だった。

 そんな旧王都にて、八重とワッカはある強敵と相対していた。

 

「八重、しばらく時間稼ぎしてくれ!次の一撃で決める!」

 

「承知!」

 

八重に指示を出し、力を溜め始めるワッカ。

 二人の相手はデュラハン。処刑された騎士の怨念が魔物と化した存在で、首を無くした巨大な体躯を鎧に包み、自身と同じ大きさの大剣を振り回して攻撃してくる魔物だ。

 リールが回り始め、左から順に止まっていく。

 

黄色

 

黄色

 

黄色

 

絵柄が三つ揃った。ワッカの持つブリッツボールに「サンダー」の力が宿る。

 とその時、瓦礫の影から乱入者が現われる。

 

「はああ!!」

 

エルゼだった。旧王都到着後、最初に現われたのは一角狼の群れだった。数は多かったが楽勝だと思っていたところでデュラハンが現われたのだ。そこで一角狼の群れは双子に任せ、強敵デュラハンは八重とワッカが相手することになったのだ。

 エルゼの強烈な蹴りによってデュラハンの巨体が斜めに飛ぶ。空中で身動きが取れないチャンスをワッカは逃さない。

 

「くらえ!エレメントリール!」

 

ブリッツボールを思いっきり蹴りつける。「サンダー」の力を宿したブリッツボールの刃物(エッジ)がデュラハンの体を右下から左上にかけて(たすき)のように斬りつける。そこから大量の黒い瘴気(しょうき)が漏れ出し、デュラハンは黒いモヤのように消え去った。

 

「そっちも終わったようだな、エルゼ!」

 

「まあね。20匹以上はいたわよ、まったく…」

 

わざとらしく自分の左肩を叩くエルゼの後ろからリンゼもやってきた。

 

「皆さん、お疲れ様でした」

 

「疲れたでござる~」

 

八重がその場に座り込む。

 

「時間稼ぎ助かったぜ、八重!」

 

「いえいえ、これくらい何ともないでござるよ」

 

そうは言いつつも皆(いく)ばくか疲れている事を察したワッカはこの場で休憩することを提案した。

 

「しっかし、昔の王都と言っても何も無いわね~」

 

 水筒の水を飲みながらエルゼが言う。彼女の言うとおり、周りはどこも瓦礫ばかりだ。

 

「隠し財宝とかあったら面白いのに」

 

「いや、それは無かろう。遷都(せんと)だったならば、財宝の(たぐ)いは新しい王都に持っていったハズでござる」

 

エルゼの発言を八重が否定する。

 

「分かってるわよ!ただ言ってみただけ~」

 

少しふてくされたようなエルゼの言葉を聞き、ワッカが立ち上がる。

 

「そういうことなら、ワッカさんに任せな!」

 

「何か知ってるの?」

 

「いや、そういうわけじゃねえけどよ。前の仲間達との冒険で色々見つけてきたからな~」

 

そう言ってワッカは辺りを探し始める。ユウナのガード時代、様々な宝箱を見つけた経験を活かし、ある程度の見当を付ける。

 

「おお!見つけたぜ」

 

 しばらく辺りを探していたワッカが皆を呼ぶ。瓦礫に覆われていて気付きにくかったが、四角(すい)の形をした石造りの建造物があった。高さは人の胸ほどまでしか無く、窓のようなものも無いので中の様子が(うかが)えない。

 

「何でしょう?コレ…」

 

「よく見てみ。この大きな瓦礫をどかすとだな…」

 

ワッカが建物にもたれかかっている瓦礫を押しのける。そこに隠れていたのは地下につながる扉だった。

 

「こいつぁ、扉を守るための建物なんだろ。瓦礫のせいで今まで発見されなかったんだな」

 

 扉を開けると、地下への階段が暗闇へと続いていた。

 

「光よ来たれ、小さき照明、ライト」

 

リンゼの光の球を生み出す魔法で辺りが照らされる。四人は足を踏み外さないように注意しながら階段を降りていく。しばらく降りると壁や床、天井が石畳で出来ている地下通路に到達した。

 

「こいつぁ完全に人が作ったモンだな」

 

 冷たく湿った空気が張り詰めた通路を、リンゼの明かりを頼りにしながら四人は進む。

 

「なんか気味悪いわねここ…。ゆ、幽霊とか出てきそう……」

 

「な、何を言ってるんでござるかエルゼ殿!ゆゆゆ幽霊なんて、いいいるわけないで、ござるよ…」

 

「でもま、こういう場所ってのはゴーストとか遭遇しそうだよなぁ」

 

「ちょっとワッカ!冗談だったんだから本気にしないでよもう!!」

 

エルゼと八重は完全に腰が引けている。リンゼは別に平気らしい。照明係に度胸があって助かったと思いつつ、ワッカは少し姉をイジってみる。

 

「こういう時はエルゼが後ろに下がるんだな~」

 

「ば、馬鹿にしてっ…!」

 

 そうこうしている内に、一行は(ひら)けた場所に辿(たど)り着く。向かいの壁には扉があったが、力を入れても開かなかった。

 

「行き止まりか?」

 

「これは…魔石ですね。土属性の魔力で開くかもしれません」

 

扉を観察していたリンゼが言う。確かに扉には茶色の魔石が埋め込まれていた。

 

「ここはワッカの出番ね!」

 

「オレかよ!?」

 

「だってこの場で土属性に適性あるの、ワッカだけじゃない」

 

エルゼの言うとおり、彼女は無属性、リンゼは火と水と光に属性の適性があり、八重には魔力の適性が無かった。扉を開くことが出来るのはワッカだけだ。

 

「しゃあねえな…」

 

 そう言いつつ、ワッカは扉に手を当てて魔力を流し込む。

 

「おい!何で後ろに下がるんだよ!」

 

ワッカの言葉通り、三人はワッカから大分離れたところで様子を見守っていた。

 

「「「一応、念のため…」」」

 

「ハァー、人をダシにしやがって…」

 

ワッカには確かに土属性に適性があるが、苦手な属性であったため、扉が反応するまで時間がかかった。その間、内心ドキドキしながら扉に触れ続けなければならない彼の苦労は、三人には伝わってないようだった。

 ようやく扉が反応し、道が開かれる。その先にあったのは、人の腰ほどの高さがある球状の物体である。六本の足が生えているがその内の何本かは途中で折れていた。虫のような形をしたソレは茶色い土埃(つちぼこり)に覆われていた。

 

「なんだ、こりゃ?」

 

ワッカは土埃を手で払ってみる。その下から現われたのは水色の水晶のような塊だった。土埃を払い続けて分かったのは、中に赤い球状の物体が埋め込まれている以外は、全身が水晶のような物質で構成されているということだった。

 

「何かの像かしら…」

 

「ん?辺りが暗くなってきてはござらんか?」

 

「リンゼ、アンタの魔法ってそんなに続かなかったっけ?」

 

「え?確かに私、光属性は苦手ですが、それでも二時間くらいは続きますよう」

 

リンゼがふてくされたように反論するが、彼女の言葉に反して「ライト」の明かりは徐々に小さくなってきている。

 

「ちょっと見て!」

 

エルゼが指す方を見ると、物体の中の赤い球が光り始めていた。「ライト」が小さくなるにつれ赤い球の輝きは増していき、やがて

キィィィィィィィィィィィィィィィィ

と耳をつんざくような高い音を発した。

 

「うわああああ!!」

 

四人は耐えきれず、耳を塞ぐ。

 

「み、見ろ!!」

 

高音を発している謎の物体が動き始めていた。(いな)、それだけでは無い。折れていた足が再生し始めているではないか。同時に辺りが揺れ始め、壁に亀裂が入る。このままでは生き埋めになってしまう。

 

「やべぇ!『ゲート』!!」

 

ワッカの「ゲート」で四人は地上に脱出する。それから間もなくして地面が揺れた。地下通路が崩落したのだ。

 

「危なかった…」

 

「何だったんでござるか、アレは?」

 

「……油断するには、まだ早ぇみてぇだな」




 頑張ったんだが一話で終わらせるのは難しかった。「まるで将棋だな」編、次回に続きます。

 異世界ワッカのスライムキャッスル編楽しみにしてるやついる!?いねえよなぁ!!?
 というわけで、アニメのスライムキャッスル編はカットします(予告)。マジレスすると、あのスライムキャッスル編は原作に無いアニメオリジナルなんですよ。映像という視覚情報のあるアニメだからこそ出来るお色気回なんですね。なので小説では魅力が減ってしまいますし、重大な場面でも無いためカットします。
 アニメでヒロイン達から再三(2話、3話)却下されているにも関わらず、結局5話でスライム討伐の依頼を受ける望月冬夜マジサイコ。その上で「皆どうしてそんなに嫌がってるの?」とか言うしもうね…(それまでも散々ヒロイン達は嫌な理由を伝えてる)。そんなだからみんなに嫌われるんですよ(二度目)。
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