異世界はブリッツボールとともに。 ~異世界ワッカ~   作:3S曹長

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 私が初めて「小説家になろう」サイトで読んだ作品である「異世界迷宮でハーレムを」(「小説家になろう」サイト内での題名は「異世界迷宮で奴隷ハーレムを」)がアニメ化されました。
 「異世界はスマートフォンとともに。」とは違って、主人公が悪戦苦闘したり試行錯誤する場面がしっかりあるので、比較的楽しく読めました。主人公も望月冬夜とは違って非常識な言動はせず、自分の欲求に正直でいながらゲスヤロウでは無いという絶妙なバランスなのがグッドです。
 そんな「異世界迷宮でハーレムを」のアニメが私の住んでいる地域で放送しません!チクショウ!
 
 ん?ちょっと待てよ。なんで、公式サイトにセリー(私の最推しキャラ)の情報が無いんだよ?まさか、セリー(二番目のヒロイン)が出ないままアニメを終えるつもりじゃないだろうな?ワカッテンノカ!?ヒロインがロクサーヌ一人だけだったら題名通りのハーレムにならないだろうがよ!


爵位授与、そして王宮の人々。あとブリッツボール。

 ある日、ワッカ達の拠点「銀月」に王城から早馬で手紙が届いた。手紙を受け取ったユミナがワッカに内容を伝える。

 

「お父様からです。例の事件解決の謝礼としてワッカさんに爵位を授与したいので王宮に来て欲しい、とのことです」

 

「「「爵位!?」」」

 

「まあた国王かよぉ…」

 

 エルゼ達が驚きの声をあげる中、ワッカは顔を手で(おお)って上を向く。面倒事だと察することが出来たからである。

 

「ふざけんなよ、ユミナを預かってんだからそれで良いだろが!辞退だ、辞退!」

 

「「「辞退!?」」」

 

またしても三人が驚きの声をあげる。

 

「結婚のことはともかく、爵位まで辞退することないでしょうが!もったいない!!」

 

「あ、でもお姉ちゃん。『貴族になる』ってことは『国に仕える』ってことなんだよ?ワッカさんがそれを喜ぶとは…」

 

憤慨する(エルゼ)に対し、(リンゼ)は冷静になる。

 

「国に仕える?」

 

「つまり、責任と義務を持って領地を治めるってことです」

 

「はあ!?あんの馬鹿国王、オレが怒った理由を理解出来てねえじゃねえかよ!教えはどうなってんだ教えは!!」

 

ワッカが怒りの声をあげる。

 

「ちょ、ワッカ!?言葉をつつしみなさいよ!」

 

「ユミナの前ですよ!?」

 

「王城で一体何があったのでござろう…?」

 

双子が戸惑い、八重が首をかしげる。一方ユミナはというと

 

「断ることも出来ますよ、ワッカさん。お父様も無理強いする気は無いでしょうから」

 

と平然としている。

 

「え、ユミナ?良いの?お父さんが馬鹿とか言われてるのに…。国王なのよ?」

 

「別に気にしてないです。そもそも、ワッカさんがお父様に苦手意識を持ってるのはその、私のせいですし…」

 

「別にユミナだけが悪いってんじゃなくて、王城(あそこ)のメンツが全体的にな…。まあその話はいいや。断るぞユミナ!」

 

「あ、えと、断る場合はきちんと公式の場で理由を述べて辞退して欲しい、とのことです」

 

「結局面倒じゃねえか!」

 

ワッカが再び憤慨した。

 

「断る理由ねぇ…『冒険家稼業の方が自分には合ってるから』とかで良いんじゃない?」

 

「はい、それで構わないと思います」

 

エルゼの意見にユミナが賛同した。

 

「それでいいのか…。うし!断りに行くぞ!」

 

「あ、それと、エルゼさん達にも一緒に王城に来て欲しい、だそうです。私がお世話になっているお礼がしたいとか…」

 

「ええ!?そ、そんなの恐れ多いわよ!」

 

「あのなぁ、今更だろ?この先ユミナと行動すんなら国王と会うことくらい慣れとけって」

 

「ワッカ殿、そうは申すが…」

 

「大丈夫だって!国王(あいつ)はそんな恐れるようなタマじゃねえよ!」

 

「ワッカさん、その国王を馬鹿にする発言、外で絶対しないで下さいね?」

 

「そうよ!これから(おおやけ)の場で爵位を辞退するんでしょ?絶対ダメよ!!」

 

「お、おう。わーってるって!」

 

双子に詰め寄られ、ワッカも言葉をつつしむことを約束する。

 

「ああ、そうだ。エルゼ、リンゼ、お前達にイイヤツ紹介してやるよ」

 

「イイヤツ?」

 

「お楽しみだ!それに王族達と関わり持って悪いこたぁねえだろ!タブンネ

 

 ワッカとしては、自分が万が一暴走した際に止めてくれる人物が欲しかったのだ。それにユミナと行動する以上、偉い人間に対する苦手意識を無くして欲しいというのも本音である。

 結局、全員で王城へ向かうことになった。「ゲート」を開く前に、ワッカがユミナに忠告する。

 

「そうだ、先に言っておくぞユミナ」

 

「なんでしょう?」

 

「あのシャルロッテにはオレの使える技をバラすんじゃねえぞ。面倒だからな」

 

「はい、分かりました」

 

「え!?ちょっと待って下さい!シャルロッテってあの、宮廷魔術師のシャルロッテ様ですか!?」

 

リンゼが驚きながらワッカに尋ねる。

 

「ああ、言っちまったな。そうだ、お前に会わせたかったのはシャルロッテだよ」

 

「スゴいです…。あのシャルロッテ様と会えるなんて…」

 

「つーかアイツ、様付けされるようなヤツだったのか?」

 

「とんでもないですよ!ワッカさん!!この国の魔術師が皆憧れる存在です!!」

 

ワッカの独り言を聞き、リンゼが憤慨する。

 

「悪かった悪かった!とりあえず、お前と話が出来るようオレが言ってやっから」

 

「本当ですか!?」

 

「ああ。でもユミナに言ったとおり、オレの使える魔法については一切話すんじゃねえぞ。アイツ、オレが三つ無属性魔法を使えるって知っただけで目の色変えて迫って来やがったからな」

 

「それは、確かにそうかも知れませんね…。分かりました。絶対話しません」

 

リンゼはワッカが全ての無属性魔法を使えることを知っており、そのことに関して秘匿することも既に了承済みだ。例え尊敬する魔術師相手でも、秘密は守ると約束する。同時に、ワッカがシャルロッテに対して苦手意識を持っている理由も何となく察するのであった。

 

 ワッカ達は「ゲート」で王城へ到着した。王城に「ゲート」で行く際はユミナ専用の応接室から来るようにと指定されている。部屋を出てしばらく歩き、回廊の奥にある部屋の扉をユミナが開ける。中には国王とレオン将軍、それにミスミド王国のオリガ大使がティータイムを楽しんでいた。

 

「お父様!」

 

「おお、ユミナか!元気そうで何よりだ」

 

「ワッカさんの側にいるのですから、元気が無いはずありません!」

 

父と娘が再会を喜ぶ。そして国王はワッカ達に目を向ける。

 

「良く来てくれたね、ワッカ殿」

 

「うす、どもす」

 

「後ろの方々はお仲間かな?」

 

「そうなんだ…ってお前らそんなに低姿勢になるなよぉ」

 

国王に対し(ひざまづ)く三人の姿を見てワッカが言う。

 

「ワッカ殿の言うとおり、そんなに固くならず顔を上げてくれ」

 

国王も(ほが)らかに言う。

 

「ワッカ殿」

 

声をかけられたワッカが振り向くと、声の主はオリガ大使だった。

 

「あ、ども、あの時はホント、すんません」

 

ペコペコ頭を下げるワッカ。思い返してみれば、バルサ伯爵の事件の時に彼女を散々疑っておきながら、彼はまだ大使に謝罪をしていなかった。

 

「今回の件は本当に感謝しています」

 

「い、いやいや。オレ、すっかりアンタのこと疑っちまって。それでおいて謝りもしないで…。本当にスミマセンでした!」

 

「どうか頭を上げて下さい。あなたのお陰で私の疑いが晴れたんですから、謝る必要はありません」

 

オリガ大使は笑顔で答えた。

 

「そ、そすか…。かたじけねえ」

 

「いつか我がミスミド王国に来る際は国をあげて歓迎しましょう」

 

「いやいや、ホント大したことしてないんで…」

 

と、ここで大使はワッカの後ろに座っている小さな虎に目を向ける。

 

「ワッカ殿、その子虎は?」

 

「あ、ああ。こいつはビャクティスって言って、オレのペットす」

 

『がう』

 

ワッカに抱きかかえられ、ビャクティスが可愛らしい鳴き声で挨拶する。

 ビャクティスの正体は神獣の一匹「白帝(びゃくてい)」なのだが、そんな大層な獣と一緒にいると知れたら大騒ぎになってしまうので、他の人の前では「ワッカのペットの子虎」として振る舞うことにしていた。

 そんなビャクティスをオリガ大使は不思議そうに眺める。

 

「な、なんかあったすか?」

 

「いえ、我がミスミド王国では白い虎は神の使いとして神聖視されているもので。白虎は神獣《白帝》の眷属(けんぞく)とも言われていますから」

 

「へ、は、へええええ!!そ、そうなんすねー。良かったなービャクティスぅ、ハハハ」

 

『がうがう』

 

ワッカは冷や汗を流しながら、わざとらしくビャクティスの頭をなでた。

 と、ワッカの背中に衝撃が走る。

 

「いやあ!久しぶりだなワッカ殿!!」

 

レオン将軍がワッカの背中を叩いたのだった。

 

「おお!レオン将軍!相変わらず元気そうじゃねえか!」

 

「ワッカ殿も相変わらずだ!ハッハッハ!」

 

「そうだ、アンタに会わせたいヤツがいんだよ。おーい、エルゼ!」

 

ワッカがエルゼを呼ぶ。

 

「何よワッカ」

 

「その娘が、ワッカ殿が会わせたいと言った?」

 

「おう!アンタ、ガントレット使って戦うんだろ?以前(にら)み合ったとき、アンタのファイトスタイルで分かったんだ」

 

 国王に激怒したことでレオン将軍と一触即発の状態になった時のことをワッカは思い出して言った。

 

「当然だ。『火焔拳レオン』の名、知らんわけでもあるまい?」

 

「あ!私知ってます!」

 

ワッカが「知らねえな」と失言するより早く、エルゼが叫んだ。

 

「炎を纏う拳で、メリシア山脈の大盗賊団をたった一人で壊滅させた伝説の武闘士ですよね?」

 

「そ、そーうそうそう。で、何を隠そう、この人がそのカエンナンチャラその人ってわけだ!」

 

ワッカが全くなっていない誤魔化しを行う。

 

「本当に!?超有名人じゃない!!」

 

「いかにも!儂がその『火焔拳レオン』だ!」

 

「すごぉい…信じらんない」

 

「お前とファイトスタイルが一緒だろ?だから会わせてやろうと思ったんだ」

 

「ほう、お前さんも武闘士か。女武闘士は珍しいな。どうだ?この後ちょうど軍の訓練があるんだが、参加してみないか?」

 

「良いんですか?是非お願いいたします!!」

 

「良かったなぁエルゼ」

 

「うん!来て良かった」

 

 嬉しそうなエルゼをみてワッカも笑顔になる。と、ここでリンゼに目を向けてみる。声にこそ出さないが、彼女もまた憧れの人物(シャルロッテ)と会うのを心待ちにしている様子が見て取れた。

 

「ああ、国王?今日はシャルロッテはいるんすか?」

 

「いるとも。今は自室で研究中だがね」

 

「彼女、オレの仲間の魔術師なんすよ。シャルロッテに会わせてやりてぇなって」

 

ワッカがリンゼを隣に引き寄せ、国王に告げる。

 

「構わないとも。誰か!彼女をシャルロッテに紹介してあげてくれ!」

 

国王がパンパンと手を打ち鳴らすと、一人のメイドが前に出てきた。リンゼは彼女に連れられて、シャルロッテのいる部屋へと向かった。

 

「さて、ワッカ殿。爵位授与の話だ」

 

「なあ、オレがそんなことで喜ぶと…」

 

「やはり、断る気だったか」

 

「知ってたのか」

 

低い声でワッカに尋ねられ、国王は頷く。

 

「何で打診なんてした?」

 

「国王が自分の命の恩人に対して何もしないというのは、周りからのイメージが悪くなるからな。君は断るだろうと思ってはいたが、『爵位を授与しようとした』という形が欲しいのだよ」

 

「んだよ、そーゆー事情だったのかぁ!」

 

ワッカは深く息を吐く。

 

「てっきり、またオレを自分の思い通りに動かそうとしてんのかと思っちまってよぉ。散々悪口言っちまったぜ」

 

「私の悪口をか?」

 

「おうよ」

 

「まあ、あの日のことを考えれば気持ちは分からんでも無いが、周りの目は気にするのだぞ?」

 

「はいはい。悪かったよ」

 

「さて、断るにしてもワッカ殿には授与式に出て貰わねばな。その日着る正装を選んで貰わねば」

 

 国王が再び手を打ち鳴らすと、メイドが二人現われた。

 

「え?今?」

 

「今でしょ」

 

「マジかよー」

 

メイドに連れて行かれながらワッカは八重に言葉をかけた。

 

「わりいな!しばらく暇つぶしてろ!」

 

「分かったでござる!」

 

そう答えた八重はエルゼと共に軍の訓練に参加するのだった。




 次回で名探偵ワッカ編を終了させる予定です。その次からは「ミスミド王国編」になります。お楽しみに。
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