異世界はブリッツボールとともに。 ~異世界ワッカ~   作:3S曹長

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 オーバードライブ技の仕様について、原作と変更点がありますのでお伝えします。
 ワッカが使うオーバードライブ技は原作「ファイナルファンタジーX」ではオーバードライブゲージを溜めないと使用することが出来ませんでしたが、当作品では好きな時にオーバードライブ技を使用することが出来ます。 
 その代わり、ワッカがオーバードライブ技を使用するには

1.力を溜める
2.リールを止める
3.オーバードライブ技が発動する

という手順を踏む必要があり、その間敵に対して隙をさらすことになります。
 ファイナルファンタジーXではリールを止めている間に敵が攻撃してきませんが、リアルな戦闘描写を意識した結果、上記のような変更を行うことになりましたので、よろしくお願いします。


オーラカリール、そして古代魔法。あとブリッツボール。

 翌日、洗面所にて朝の支度をしているワッカの元にリンゼがやってきた。

 

「ワッカさん、今日は空いてますか?」

 

「今日か?今日はなぁ、一人で自主練をしようと思ってるんだよな。明日の出発に向けて、練習したいことがあってな」

 

「なら丁度良かったです。私の魔法の練習に付き合ってくれませんか?」

 

「ん?確かにオレも魔法使えっけど、ブリッツボールで戦うのが基本だかんな。リンゼの方が専門だろ?」

 

「それでも良いんです。ワッカさんが近くにいてくれれば…」

 

「お?何だか、昨日エルゼとも似たような会話したな?」

 

「やっぱり…」

 

リンゼの声が低くなり、(うら)めしそうにワッカを見つめる。

 

「昨日、お姉ちゃんと一緒に買い物に行ったんですね?」

 

「まあな。ガントレット買うのに付き合ってくれって言われたからよ」

 

ワッカは何を思うでも無く、昨日のことを伝える。

 

「だったら!今日は私の番です!!」

 

リンゼが大声を出した。

 

「ワッカさんの練習を邪魔したりはしません。一緒の場所で練習してくれるだけで良いんです!ですから…」

 

「わーった、わーった!そんなに言うなら一緒にいてやるよ」

 

「本当ですか?ありがとうございます」

 

リンゼが笑顔になる。

 

「支度が終わったらすぐに出発しましょう。場所はリフレットの東の森です」

 

「最初に依頼やったところか。いいぜ、『ゲート』でひとっ飛びだ」

 

 こうして二人は、リフレットの町の東に広がる森へと向かった。

 

 東の森はワッカ達が初めてギルドの依頼をこなした場所である。今は魔物の数も減り、危険の少ない場所になっていた。

 

「付いたぜ。えと、オレも練習してて良いんだよな?お前の練習に付きっきりじゃなくていいな?」

 

「はい。大丈夫です」

 

 そう言ってリンゼは早速、魔法の練習を開始した。

 

「水よ来たれ、衝撃の泡沫、バブルボム」

 

彼女が構えた杖の周りに小さな水の塊が集まり出す。しかしそれから何かに発展することは無く、ボタボタと地面に落下してしまった。失敗してしまったようだ。

 

「水よ来たれ、衝撃の泡沫、バブルボム」

 

彼女はめげずに魔法を繰り返す。しかし今度も形になることは無く、地面に水たまりを作るだけに終わった。

 

「もう一度。水よ来たれ、衝撃の泡沫、バブルボム」

 

 頑張るリンゼに見とれていたワッカだったが、自身の目的を思い出す。

 

「おっと、オレも練習に取りかかんなきゃな」

 

そう言って彼はリンゼを見失わない程度に彼女から離れ、反対の方向を向く。

 ワッカが練習をしようと思っている技は、オーバードライブ技の一つ「オーラカリール」である。「オーラカリール」のブリッツボール絵柄揃いは、彼が持つ技の中で一発の威力が最も高いのだが、その分絵柄を揃える難易度が高い。無理をして「オーラカリール」を放つくらいならば「アタックリール」の2HITを揃えた方が効率が良い始末で、ユウナのガード時代には(ほとん)ど使わなかった技だ。

 だがこの異世界では、以前戦った水晶の魔物のように何時「アタックリール」で倒せない敵が現われるか分からない。そんな事態に備え、「オーラカリール」のブリッツボール絵柄揃いの練習を彼は続けていたのだ。

 ワッカが力を溜め始めると、彼の横に現われたリールが回り始める。

 

赤色

 

ブリッツボール絵柄

 

ドクロ

 

失敗だ。通常攻撃より威力の上がったブリッツボールが彼の腕から放たれる。しかし「オーラカリール」の真の力と比べると、その威力は雲泥の差だ。

 

「失敗か。だが、まだまだだぜ?」

 

ワッカはボールを拾って再びリールを回す。

 

ブリッツボール絵柄

 

ブリッツボール絵柄

 

黄色

 

最後のリールを失敗した。放たれた「オーラカリール」は先程と威力が変わらない。リールを一つでも失敗すると、最高火力は出せないのだ。

 

「もう一度だ!」

 

 ワッカは三度「オーラカリール」に挑戦する。

 

ブリッツボール絵柄

 

ブリッツボール絵柄

 

ブリッツボール絵柄

 

三度目の正直、ワッカは高く飛び上がり、バレーボールのスパイクの要領でブリッツボールを叩きつける。ドッゴオオオンともの凄い音が鳴り、土煙が巻き起こる。

 

「え?え?今の何ですか?」

 

驚いたリンゼがワッカの元へやってくる。ブリッツボールが着弾した場所には大きなクレーターが出来ていた。

 

「あっ、わりいなリンゼ、驚かしちまってよ」

 

「ワッカさん、コレは一体…」

 

「オレの最強技『オーラカリール』だ。破壊力はスゲェんだが失敗しやすくてな」

 

「スゴい…。こんな技を持ってたんですね」

 

リンゼが感嘆する。

 

「あの水晶の魔物との戦いでコイツを出せたら良かったんだがな…。失敗が怖くて出来なかった。またああいう硬い敵と戦う事があるかもしれねえから、成功率を上げるための練習をしてたってわけだ」

 

「そういうことだったんですか」

 

「なあ、オレが一緒で平気か?何度も挑戦すっから、またスッゲェ音とかするぞ」

 

「大丈夫です、理由が分かりましたから。私も練習に戻りますね」

 

「そっか、頑張れよ!」

 

「はい!私も負けてられません!」

 

 こうして二人は各々の練習に戻った。

 

 時間は流れ、試行回数が30回になった所で、ワッカは練習を一区切りする。成功回数21回で成功率は7割という結果だった。コツを掴んだ後半は成功回数が増加したものの、まだカンペキというには遠く、実戦で安心して使えるレベルではない。

 

「おーいリンゼ?そっちはど…なっ!?」

 

 リンゼの様子を見に来たワッカが驚きの声をあげる。リンゼが地面に倒れ伏して、荒い息を吐いている。周囲は水でビショビショだった。

 

「おい!大丈夫かよ!?」

 

ワッカは急いでリンゼの元に駆け寄った。

 

「ワ、ワッカさん…。大丈夫、です…。ちょっと、魔力を使いすぎただけ、ですから…」

 

「全然大丈夫そうに見えねえぞ?とりあえず、涼しい場所まで運んでやる!」

 

ワッカはリンゼを抱え上げ、木陰に座らせた。

 

「ほら水飲め、水!」

 

自分の水筒を渡して、リンゼに飲ませた。

 

「……ぷふぅ、すみませんでした、ワッカさん」

 

「気にすんな…と言いてえけど、自分の体調は気にしなきゃダメじゃんよ」

 

「そうですね、反省します…」

 

リンゼの上がっていた息も穏やかなモノへとなっていた。

 

「ありがとうございました。練習、続けますね」

 

「ダメだ!ビサイド・オーラカのコーチを務めた、このワッカさんが許さねえ!」

 

立ち上がろうとするリンゼをワッカが座らせる。

 

「大体、なんでそんなにムチャすんだよ?お前の魔法は十分、一線級じゃねえか」

 

「私は不器用ですから…。同じ事を何度も何度も繰り返して、やっと魔法を覚えることが出来るんです。今までもそうでした。今回の魔法も、何度も練習しないと…」

 

「気持ちは分かった。でもよ、それで倒れちゃ意味ねえだろ!」

 

「ワッカさん…」

 

「お前の強さの秘密も根性も理解した。だが無理は良くねえ。()()()()倒れちゃ大変だしな。今日の練習はここまでだ」

 

「はい、分かりました」

 

「うし!ま、お前の練習を禁じといてオレだけ練習してんのもアレだしな。オレの練習もここまでにして帰るか」

 

「そんな!私のためにワッカさんが練習を止める必要なんて無いじゃないですか!」

 

リンゼがワッカを申し訳なさそうに見つめる。

 

「練習なんていつでも出来る!ってとこを見せねえと説得力がねえだろ?オレはオレの意志で止めんだから、リンゼは何も気にする必要ねえよ」

 

「でも…」

 

「つか、どんな魔法を練習してたんだ?」

 

 ワッカは話題を変えることで、リンゼが引き下がるのを止めさせた。

 

「この間、シャルロッテ様とお話ししたとき、教えて貰った魔法です。と言っても、どんな魔法か分かってないんですが…」

 

「シャルロッテが使える魔法を教えて貰ったんじゃねえのか?」

 

ワッカの問いかけに対し、リンゼが詳細を語る。

 

「シャルロッテ様は古代言語の研究もなさっているんです。随分と大変な作業らしいのですが、研究の結果、古代に存在していた魔法の名称がいくつか分かったとのことなんです」

 

「はぁー、アイツそんなこともしてたのか」

 

「でも、その詳細は分かってないんです。もしも私が使えるようになればシャルロッテ様の研究のお手伝いになる、ということで水属性魔法の『バブルボム』を呪文だけ覚えてきたんです」

 

「ソイツを練習してたってわけか」

 

「はい。でも難しいですね。魔法の概要が分かってないと形にならなくて…」

 

「大変そうだな…」

 

 ワッカは同情するが、彼の使うスピラの呪文はこの異世界の魔法と体系が違う。故に彼女の(つまず)いているポイントを理解することは出来なかった。

 

「せめて、バブルボムって意味が少しでも分かれば……」

 

「う~ん…。すまんな、オレからアドバイス出来ることは無えみてえだ」

 

「ワッカさんが謝る必要ありません。また後日、挑戦します。練習はいつでも出来る!です」

 

「ああ。でも、ぶっ倒れるまでやんじゃねえぞ?」

 

「はい、分かりました」

 

 リンゼは今日の練習を諦めたみたいだったが、残念そうな表情は隠し切れていない。そんな彼女を励ますべく、ワッカが声をかける。

 

「まあ、そんなに落ち込まねえでよ。今日の夕飯は豪勢なモノにしてやっから!明日の依頼に向けて()()()()()()()()()()()()()()ってことで…」

 

「あああーーーーーーー!!!」

 

 リンゼが急に大声を上げる。

 

「ど、どうしたんだリンゼ、急に大声出して…」

 

「今のワッカさんの言葉で閃きました!」

 

「ヒラメキ?」

 

「お願いします!後一度だけ、魔法を使わせて下さい!これでダメだったら諦めますから!」

 

リンゼが手を合わせて懇願する。彼女の必死さを見て、ワッカは一度だけチャンスを与えることにした。

 リンゼが杖を持って目を閉じる。彼女は()()()()()()()()()()()()()()()()()魔法を唱える。

 

「水よ来たれ、衝撃の泡沫、バブルボム」

 

彼女の杖の周りに直径20センチ程の水の玉が現われた。この玉は彼女の意志で自由に動かせるらしく、フワフワ移動しながら一本の木にぶつかった。瞬間、とてつもない衝撃音とともに玉がはじけ飛び、周りの木々を粉々に吹き飛ばした。

 

「……出来ました…」

 

「すっげええへへええええ」

 

魔法を放った張本人も、見ていたワッカも呆気にとられる。

 

「やったなあリンゼ!成功じゃねえか!!」

 

「はい!ワッカさんのお陰です」

 

「オレのお陰…?」

 

ワッカには一切心当たりが無かった。

 

「先程のワッカさんの言葉がヒントになったんです。『()()()()倒れちゃ大変だしな』『ドカーンと一発景気づけの花火ってことで』って言いましたよね?」

 

「ああ、確かに言ったな。まさか、それがヒントに?」

 

「はい!だからワッカさんのお陰なんです。ありがとうございます!」

 

嬉しそうにリンゼは礼を言う。

 

「いや、ちげえな」

 

しかしワッカは彼女の言葉をズバッと否定した。

 

「お前が魔法を成功させれたのは、お前の閃き、そしてお前の努力の賜物(たまもの)だな。オレはこの魔法を知ってて、わざとヒントを出したわけじゃねえしな。全部お前の手柄じゃねえか!」

 

「そ、そうですか?エヘヘ、ありがとうございます」

 

「だからお礼はやめれって」

 

「違いますよぉ」

 

リンゼは笑顔で言った。

 

「ワッカさんが褒めてくれて嬉しかったから…だからお礼を言ったんです」

 

「なあんだ、そうだったか。ハハハ」

 

「フフフ」

 

メチャメチャになった森の中で、笑い合う二人なのだった。




 環境破壊とか、つまらんことを気にするヤツは反省して、どうぞ。

 八重の個別ストーリーは、スマホが活躍する話だったので出来ませんでした。許せ、八重。また今度だ。(CV:アーロン)
 まあ彼女の故郷のイーシェン編もこの後あるし、別に良いよね。
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