異世界はブリッツボールとともに。 ~異世界ワッカ~   作:3S曹長

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 この小説とは全く関係ない話になってしまうのですが、私のやっているスマホゲーム「白猫プロジェクト」が8周年を迎えました。
 と言っても最近はログインすら(ほとん)どしていません。何か色々新要素が増えすぎてしまってね…。
 でもこの「白猫プロジェクト」ですが、キャラの職業的に「異世界はスマートフォンとともに。」とコラボするのにピッタリだと思うんですよね。

望月冬夜……ルーンセイバー
エルゼ………拳
リンゼ………杖
八重…………剣
ユミナ………弓

みたいな感じで。リゼロや転スラとはコラボしてるのに、何で、いせスマとコラボしないんだよ…。教えはどうなってんだ教えは!!
 あと最近はジャンプ系とのコラボが多すぎる。来年辺り「マッシュルーMASHLEー」とコラボしそう。


アクセサリー、そしてドンヨリ。あとブリッツボール。

 6日後、ワッカ一行はベルファスト王国最南端の町であるカナンに到着していた。この町から両国の境界線であるガウの大河を渡り、対岸に存在するミスミドの町、ラングレーを目指すのだ。

 このガウの大河は単なる川では無い。その幅は、水平線にボンヤリとしか陸地が見えないほど大きく、ともすれば海と見間違うほどの大きさである。この大河をワッカ達は帆船に乗って渡ることになるのだ。船には風属性魔法の使い手も乗船するので風向きは関係ないのだが、それでも渡りきるのに2時間ほどかかる。

 ミスミドの人間が乗船の手続きをしている間、ワッカ達はカナンの露天商を観光することになった。この町は両国を行き来する人々を相手にした観光業が盛んな町だった。

 ワッカはユミナとアルマとの三人で店を見て回る。ユミナとアルマは同い年ということもあってか、すっかり仲良しになっており、色々な店をやいのやいの言いながら見て回る二人の姿は見ていて微笑ましかった。

 

「おや?ワッカさん、あれ…」

 

「お?」

 

 ユミナが指差す方角に、露天商の前で難しい顔をしているリオンの姿があった。その店にはブローチや指輪、ネックレスなどのアクセサリーが並べられており、その品揃えを目にしたユミナが(いぶか)しがる。

 

「アレって女物、ですよね?」

 

「いや、別に良いだろうよ。オレのネックレスだって似たようなモンだし?」

 

そう言ってワッカは首にかけた魚の形をしたネックレスを、ユミナに見せつける。

 

「多分、そういうことじゃ無いと思いますよ」

 

「?」

 

「とにかく、声をかけてみましょう」

 

三人はリオンの元へと近づいた。

 

「こんにちわ、リオンさん」

 

「うす。なあんだ、オミヤゲかあ?」

 

 ユミナとワッカに横から声をかけられ、リオンはあわてふためく。

 

「え?ワ、ワッカ殿!?いや、なに、その、は、母上に何か、買っていこうかなぁと思って、吟味している所でして、ハハ」

 

明らかに動揺している様子だが、ワッカは全く気にしていてない。

 

「おいおい、横から話しかけただけでビックリしすぎだろぉ?まぁとにかく、親孝行とは関心だな」

 

ワッカは腕組みをしながら頷く。物心つく前に両親を亡くしている彼にとって、親孝行はしたくても出来なかったことなのだ。

 

「そ、そうですか?」

 

「ああ。『親孝行したいときに親は無し』ってヤツだ。ま、母さんを大事にしてやりな!」

 

「は、はい!ワッカ殿」

 

「じゃあな、また後で会おうぜ」

 

 そう言って立ち去ろうとするワッカをユミナが引き止めた。

 

「ちょ、ちょっと待って下さいワッカさん!いい加減、気付かないのですか!?」

 

「な、何だよユミナ?ははぁん、さては…」

 

「そう!そうです!」

 

「オレとおそろいの魚型ネックレスが欲しいんだな?」

 

「ハァーーーーー……」

 

 ユミナは深くため息をつき、ワッカとアルマの手を引いてアクセサリーショップへ引き返す。

 

「アルマさん、一つ好きなアクセサリーを選んで良いですよ。ワッカさんがプレゼントしてくれるそうです!」

 

「え?本当ですか?」

 

「お、おう!好きなの選びな!」

 

「ありがとうございます、ワッカさん!」

 

アルマが嬉しそうにアクセサリーを選び始める。ワッカにしてみれば無茶ぶりに他ならなかったが、ユミナに魚型ネックレスを買ってあげるならば、アルマにも何か買ってあげねば不公平なので、(こころよ)く了承する。

 

「決めました!コレにします」

 

 そう言ってアルマが選んだのは葡萄(ブドウ)の形をしたブローチで、実の部分に紫水晶がはめられたモノだった。

 

「それが良いんだな?店員さん、このブローチをもらうぜ」

 

「まいど、ありがとうございます」

 

ワッカに買って貰ったブローチを身に付けご機嫌なアルマに、ユミナが尋ねる。

 

「オリガさんもこういうブローチが好きなんですか?」

 

「んー、お姉ちゃんは花とかの方が好きかな。このエリウスの花とかが大好きでよく買ってるよ」

 

「へえ、そうなんですね」

 

二人の会話を横で聞いていたリオンは心の中でガッツポーズをする。一方で二人の会話を聞き流していた男がワッカである。彼は二人が会話している最中にもう一つ買い物をしていたのだった。

 

「ありがとうございます。4つ同じのでよろしかったですか?」

 

「ああ、あるよな?」

 

「はい、ございます」

 

そう言って店員がワッカに商品を手渡す。

 

「ほれ、ユミナ」

 

「え?私にですか?」

 

 ワッカがユミナに手渡したのは、彼が首に()げているモノと似た魚型のネックレスだ。

 

「欲しかったんだろ?プレゼントだ」

 

「そう…、あ、ありがとうございます、ワッカさん!」

 

一瞬「そういうことじゃ無かったんですが」と言いそうになるユミナだったが、愛する人からのプレゼントが嬉しくないハズが無い。喜んで受け取ることにした。

 

「エルゼ達にも同じの買ったからな。お前だけに買うとアイツら、ぶーたれるからよ」

 

「構いません。フフ、大事にしますねワッカさん」

 

ユミナは満面の笑みを浮かべながら、貰ったネックレスを首にぶら下げる。

 

「おお、良いじゃねえか。全員で同じネックレス付けてりゃ、ワッカファミリーだって一目で分かるしな」

 

そう言ってワッカは高らかに笑った。

 

 船着き場にてエルゼ達と合流したワッカは、三人にも魚型のネックレスを渡す。

 

「え?これ私達に?」

 

「おう!オレの仲間だってことの印だ。ユミナにも買ってやったからな」

 

「あ、ありがとうワッカ」

 

「ありがとうございます」

 

「感謝するでござるよ、ワッカ殿」

 

三人も喜んでネックレスをぶら下げた。

 

「フフフ、皆さんとおそろい、ですね」

 

「こういうことを自然体でやっちゃうのよねぇ、この男は」

 

エルゼはワッカに聞こえないように言って、意味深な視線を送る。

 

「『オレの仲間』でござるか…。まあ、それ以上の意味は無いのでござろうなぁ」

 

「それでも嬉しいです。フフフ」

 

この前とは一転して、機嫌を良くするヒロインズであった。

 

 ワッカ一行を乗せた帆船がガウの大河を横断する。

 船の上で気持ちよさそうに風を感じていたエルゼがワッカに話しかけた。

 

「そう言えばずっと聞きたかったんだけどさぁ」

 

「ん?なんだ?」

 

「ワッカがいつも言っている『ブリッツボール』ってどんな球技なの?」

 

「あ、私も気になってました」

 

「拙者もでござる」

 

ユミナと八重が便乗する。

 

「ハッハッハ、良く聞いてくれたなお前ら。ブリッツボールってのはな、オレの故郷で人気爆発の球技なのだ!」

 

「だからどんなのよ」

 

「そうだな…。まず競技は水中で行われるんだな」

 

「海や川で行うのでござるか?」

 

「いいや、そうじゃねえ。公爵邸が丸ごと入っちまうような、デッケエ水の塊が浮いてんだよ」

 

「ちょ、ちょ、ちょっと待って!」

 

エルゼが話を遮る。

 

「今の時点で大分無理がある気がするんだけど?」

 

「水属性魔法で競技場を作るにしても、途方も無い魔力が必要になりますよ?」

 

「競技場作るのに何人魔術師が必要になるのよ!ねえ、リンゼ?」

 

「………はい…」

 

「い、いや、そうじゃなくてだな…」

 

 そこまで言ってワッカは説明に窮してしまう。幻光虫の説明をしようにも、幻光虫はこの異世界には存在しないのだから無意味なことだ。

 

「まあでも、ワッカみたいな魔力のバケモンがたくさんいれば可能かもしれないわね」

 

「そう言えば、ワッカ殿の昔の仲間にはワッカ殿以上の魔法の使い手がいた、という話を聞いたことがあるでござる」

 

「なるほど。ワッカさんの故郷には膨大な魔力を持っている人がたくさんいると。でしたら問題は無い…かもしれません」

 

「そうだな…ハハ」

 

 気分を落ち込ませたワッカが力なく笑う。

 彼女達の勘違いを正せないことを申し訳なく感じたのもそうだが、彼にとって一番ショックだったのは、ブリッツボールをこの異世界で再現することが難しいという現実を突き付けられたことだった。いつの日かこの世界でもブリッツボールをやってみたい、と心の中で思っていたこともあって、そのショックの大きさはこの異世界に来てから一番大きなものだったかもしれない。

 ドンヨリしたワッカの近くで、もう一人ドンヨリしている人物がいることにエルゼが気付く。

 

「ねえリンゼ、大丈夫?気分でも悪いの?」

 

「……うん、お姉ちゃん…」

 

「なあんだ、フナヨイかあ?」

 

ワッカもリンゼを心配する。

 

「そうみたい…です…。船の上で…読書してたのが…、いけなかったみたいで…」

 

「しゃあねえな、オレが治してやる」

 

そう言ってワッカがリンゼに手を(かざ)す。

 

「エスナ!」

 

しかし何も起こらなかった。

 

「あり?船酔いに効果はねえのか」

 

「心配かけて、すみません…。少し横になりますね……」

 

残りの乗船時間、ワッカ達は気分の優れないリンゼの心配をしながら過ごす事になってしまった。

 

 それから一時間ほど後、船はラングレーの町に到着した。エルゼ、八重、アルマ、ユミナの順番で船を下り、ビャクティスに続いてワッカがリンゼを背負いながら船を下りた。

 

「……すみません、ワッカさん…」

 

「気にすんなって!具合悪いんだろ?」

 

「ありがとうございます」

 

ワッカに背負われたリンゼが礼を言う。

 ラングレーの町はカナンの町と同じように、露天商が立ち並ぶ観光の町だった。違いがあるとすれば、ミスミドの領土ということもあってか亜人の割合が人間よりも多くなっていた。

 オリガ大使に案内された先には、カナンの町で置いてきたのと同じような馬車が三台用意されていた。

 

「ワッカさん、どうしますか?リンゼさんの様子が悪いのなら、一日待ってから出発ということも…」

 

「えっ、でもオレ達の都合に合わせてたんじゃ…」

 

「あ、大丈夫です…。船から下りたら気分が大分良くなりました」

 

流石に自分のせいで旅程に支障が出てはいけないと思ったらしく、リンゼがワッカの背中から降りた。そんな彼女にエルゼが小声で(ささや)く。

 

「もっとおんぶして貰ってても良かったのよぉ?リンゼ~」

 

「お、お姉ちゃん!?い、一体何を言っているのかな!?いるのかな!?」

 

「おお、元気そうじゃんか。でも、顔が赤くなってねえか?」

 

「ワワワ、ワッカさん!大丈夫でえすぅ!!」

 

リンゼが顔を真っ赤にしながら口調をおかしくする。

 

「で、では一時間後に出発ということにしましょう。私は獣王陛下に手紙を出してきますので」

 

 ワッカ達の様子を見たオリガ大使がそう提案すると

 

「あ、で、では私もついていきましょう!何かあっては困りますので!」

 

とリオンが申し出た。

 

「はい。それではリオン殿も」

 

 こうしてオリガ大使はリオンと共にその場を後にした。

 

「微笑ましいですねー」

 

「そうでござるなー」

 

「何でついてく必要があったんだ?まさか、獣王への手紙をのぞき見しようとしてるんじゃないだろうな?」

 

「ワッカは本当に分かってないのねぇ」

 

「な、何にだよ?」

 

 そんな会話をしていたワッカにガルン隊長が声をかける。

 

「ワッカ殿、この先しばらくは大きな町が無い。今の内に必要な物を買い揃えておいた方が良いかと」

 

「おう、そうか。ありがとな」

 

忠言を聞いたワッカが、皆に手分けをして買い物をするよう指示を出す。

 ワッカはユミナと一緒に食料の買い出しをすることになった。

 

「何を買うべきだろうな?」

 

「果物とかを腐らせない程度買っておきましょう。具合が悪い人が出ても安心できますから」

 

「なるほど、そうだな」

 

そんな会話をしていたワッカだったが、ふと誰かの気配を感じて立ち止まる。

 

「どうか、しましたか?」

 

「………」

 

しばらく立ち止まっていたワッカだったが

 

「いやわりい、気のせいだったかも知れねえ」

 

と言って再び歩き出した。

 

「どうしたんですか?」

 

「いやあ、誰かに見られた気がしてよ…」

 

「ビャクティスちゃんを珍しがっていた人の視線を感じたのでは?ビャクティスちゃんはこの国では神聖視されてますし」

 

「そうかなぁ」

 

『いいえ、主。私も確かに気配を感じました』

 

 ワッカの胸に抱かれたビャクティスがテレパシーで話しかける。

 

『確かに何者かがこちらの様子をうかがっております。私では無く、主達の方に。今は完全に気配を消しておりますが』

 

「マジか…。面倒だな」

 

ワッカもテレパシーでビャクティスと会話する。

 

『この旅行中、幾度か気配を感じておりました。向こうから仕掛けてきそうな気配があれば、直ちに報告しようと思っていたのですが…』

 

「そいつぁ、よろしくねえな。誰だか知らねえが、隙を付いてとっ捕まえてやる」

 

 そう宣言するワッカだったが、これからしばらく後に強大な敵と戦う事になろうとは、この時の彼には知る(よし)も無かった。




 「他人の恋愛事情には鋭いくせに、自分に向けられる恋心には全く気付かない」っていう望月冬夜の設定、無理ありすぎだろ!原作読んでて不自然なんだよなぁ…。

 というわけで、当作品におけるワッカは「自他共に恋愛事情に(うと)い」ということにしました。
 ワッカが恋愛事情に疎いキャラクターかどうかは、個人によって考え方が違ってくるでしょうが、ヒロインから向けられる恋愛感情に気付いている状態だと、アニメ一期までの「いせスマ」の話をなぞりずらくなってしまうんですよね。かと言って望月冬夜と同じ「他人の恋愛事情は気付くけど、自分に対しては疎い」という設定は書いてて寒気がするので却下しました。
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