異世界はブリッツボールとともに。 ~異世界ワッカ~   作:3S曹長

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 ファイナルファンタジーXが舞台化するらしいですね(困惑)。何でこのタイミングでなんだろうなぁ…??しかもXV(ナンバリング最新作)ではなくXだと?
 一部では「このワッカブーム自体が電通案件だったのでは無いか?」とウワサされていますが、一応言っておきます。この作品は電通案件ではございません。本当に電通案件ならそもそも「電通案件」なんてワード使わないですし、「異世界はスマートフォンとともに。」を巻き込んだりしないですよね。「異世界ワッカ」という名前で、ワッカ以外はオリジナル要素にすると思います。


ミスミド王都、そして対獣王戦。あとブリッツボール。

 その後は特に事件も無く、ワッカ一行は予定通り三日後にミスミドの王都であるベルジュに到着した。日干しレンガで作られた町並みの中で一際目立つ白い宮殿が国王のいる場所である。町並みはベルファスト王国の王都と比べると、やはり未発達な部分が見受けられるが、人々の活気では全く劣っていない。多種多様な人種が入り交じって発展を遂げているのが、この町の最大の特徴と言えるだろう。

 一行を乗せた馬車は高い建物が立ち並ぶ町並みを抜け、長い橋を渡り、都に巡らされた水路を抜けた。この先が宮殿の敷地である。

 

「オリガ大使、ガルン隊長、そしてリオン・ブリッツ殿、長旅ご苦労さまでした。お疲れの所申し訳ございませんが、直ちに国王に謁見(えっけん)願います」

 

敷地内で止まった馬車に、王の使いが声をかける。

 

「ふう、これで一段落だな~」

 

三人が馬車を降りたのを確認し、ワッカが息を吐く。

 しかしここで、彼の予想だにしなかった一言が使いから告げられる。

 

「それと、エルドの村にて黒竜を討伐した方々もご同行願います」

 

「はあ?ナンデダヨ!」

 

「それが…、国王様が竜を倒した者を一目見たいと…」

 

「どどど…どうすんだコレ?」

 

 ワッカは慌てふためく。元来、偉い人と会うことに慣れていない彼である。ベルファストの王族にも散々失礼な態度を取ってしまっているが、今までそれが許されてきたのは、彼らが皆穏やかな性格の持ち主かつ、どこか抜けている部分があったおかげである。しかしミスミドの国王がそうである保証はどこにも無い。

 

「大丈夫ですよ、ワッカさん」

 

動揺する彼に答えたのはユミナだった。

 

「ワッカさん達以外のメンバーは皆、国同士の交流のプロばかりです。ワッカさんは何も心配する必要はありません。もし何か言葉をかけられても『ははっ』『もったいないお言葉、深く感謝します』とその場に合わせて答えるだけで大丈夫ですから」

 

「そ、そうか…?」

 

「それに、私も一緒に行きますから」

 

「よ、よし。お前ら覚悟は良いか?オレは出来ている」

 

ユミナの言葉を受け、ワッカ達4人も重い腰を上げるのだった。

 使いに先導され、8人は王の待つ謁見の場へと到着した。謁見の間は、上は高い天井、下は長く広い真っ赤な絨毯といかにもな外見で、左右には様々な亜人の重臣達が並んでいた。

 豪勢な椅子に座る国王は、50代前半くらいの獣人だ。名前はジャムカ・ブラウ・ミスミド。白い髭に白い髪、力強さと威圧感のある眼差し、そして分厚い衣装の上からも分かる鍛え上げられた肉体が特徴のユキヒョウの獣人だった。

 獣王の前で一行は片膝をつき、頭を垂れた。

 

「国王陛下。オリガ・ストランド、ベルファスト王国より帰参してございます」

 

最初に口を開いたのはオリガ大使であった。

 

「うむ、大義であった。ガルン、そしてベルファストの騎士殿も、大使の護衛を無事果たしてくれたことに感謝しよう」

 

「「ははっ」」

 

獣王に声をかけられた二人も言葉を返す。

 そして獣王は、ワッカ達に目を向ける。

 

「大使の護衛中、エルドの村にて黒竜を討伐したというのは、そなた達か?」

 

「はい、その通りでございます。ここにいる私以外の四名で、村を襲った黒竜を討伐いたしました」

 

国王の質問に答えたのは、なんとユミナであった。

 

「い゛っ!ユ、ユミナ!?」

 

「ほう。して、そなたは?その歳にしては、随分と落ち着いているでは無いか」

 

驚くワッカを尻目に、獣王は質問を重ねる。本来ならユミナは呼ばれてないのだから、当然の質問である。

 

「申し遅れました。ベルファスト王国国王、トリストウィン・エルネス・ベルファストが娘、ユミナ・エルネア・ベルファストでございます」

 

ユミナが堂々と自らの素性を明かした。

 

「お、おい!」

 

言葉をつつしめよ、と続けようとしたワッカだったが、何とか我慢する。一度出した言葉を無かったことには出来ない以上、ここでその言葉を口走るのはただ無礼なだけでしか無い。

 ユミナの言葉を聞き、周囲からどよめきが起こる。ベルファスト王国の王女が一緒であることは(しら)されていないのだから当然だ。10日間行動を共にしたガルンも驚きを隠せないでいた。

 

「なんと…、ベルファスト王国の姫君が何故我が国に?」

 

「ミスミド王国との同盟は、我が国にとってそれだけ重大な事項ということですわ。これは父上から預かった書状でございます。どうか御一読を」

 

そう言ってユミナは(ふところ)から取り出した書状を、獣王の側近に手渡す。獣王は側近から書状を受け取り、その場で目を通し始めた。

 

「……なるほど、あいわかった。ここに書かれている内容については前向きに考え、近いうちに答えを出すとしよう。それまでは、姫様もそちらの方々もごゆるりと我が宮殿でお過ごし下され」

 

「ありがたきお申し出、感謝いたしますわ」

 

獣王からの言葉に、ユミナは頭を下げて返答した。

 一連のユミナの会話を聞いて、ワッカは舌を巻く。このやり取りは恐らく、出発前から決まっていた事なのだろう。リオンとオリガに驚いた様子が見られないのがその証拠だ。そもそもワッカがミスミドまで出向いたのは、「ゲート」を繋いで安全に国王をミスミドに来させるためであるが、彼が旅に出るのならばユミナも当然付いてくる。仲間である双子と八重も当然一緒になるだろう。彼らが同行すれば、オリガとユミナを安全にミスミドまで送っていける。

 表面上では単なる「オリガ大使の護送」だが、その裏では「ユミナ王女を向かわせるという国として最大限の敬意」「国王の安全な移動ルートの確保」といった重要事項が隠されている。中々、上手く考えられていた。

 ユミナの獣王との会話もカンペキであった。彼女が言っていた「交流のプロ」というのは彼女自身の事でもあったのだ。初対面のいざこざのせいか「困った娘」という印象を払拭出来ないでいたワッカであったが、さすがに考えを改めざるを得ない。ユミナという少女は意外と侮れない女性なのだ。

 

「さて、堅苦しい話題はここまでにして…」

 

 獣王がワッカに問いかける。

 

「君が連れているその白い虎は何だね?」

 

「はい。この子虎は、ここにいるワッカ殿の従者のようなものですね」

 

『がう』

 

ワッカの代わりにユミナが答え、ビャクティスが相づちを打つ

 

「なるほど、白虎を従えた勇者が竜を討ったか…。ふふふ、久しぶりに血が(たぎ)るのう。どうだ、ワッカとやら。一つ(わし)と立ち会わんか?」

 

「は?」

 

 獣王に突然誘いを受け、ワッカは困惑する。問われた相手がワッカなのだから、ユミナが代わりに答えるわけにもいかない。

 

「この宮殿にある闘技場で儂と模擬戦、というわけだ。面白いだろう?」

 

「面白いって…、おいユミナ、どうするべきなんだ?」

 

ワッカに助けを求められ、ユミナが答える。

 

「良いじゃないですか、ワッカさん。戦って下さい」

 

「は、え、その、同盟相手じゃなかったのか?」

 

「向こうからの誘いですから、無礼にはなりません。それに、ミスミドの国王様は勝負事において勝たないと気が済まない、という人では無いという話です」

 

「姫様の言うとおりだ。儂は強い者との勝負自体を楽しみにしていてな。勝ち負けには(こだわ)らん。全力で来ると良い!」

 

獣王はもうワッカと戦う気満々である。そんな彼の姿を見て、側にいる重臣達は頭を抱えていた。中にはため息をつく者までいる。

 

「ま、まあそういうことなら…、いっすよ?」

 

「おお、そうか!ではすぐ準備に取りかかろう!」

 

 こうしてワッカはミスミドの獣王と戦うことになってしまった。

 

 王宮の裏手にある闘技場の控え室で、ミスミド国の宰相であるグラーツという名の有翼人がワッカに謝罪する。

 

「申し訳ない、ワッカ殿。獣王陛下は強い者を見ると立ち会わずにはいられないお方なのだ。正直我らも困っている」

 

「いや、オレは困らないんすけど…。その、手加減とかしなくて良いんすか?『儂に勝つなんて何て無礼なヤツだ、死刑!』なんてことにはならないっすよね?」

 

「まさか、あのお方はそんなことは仰らない。ですからここは一つ、陛下を懲らしめる意味でもガツンと一発やって下され!」

 

「なんで、自分の王様にンなこと言ってんだよ…?教えはどうなってんだ教えは!!」

 

「それ程困っていると言うことなのだ!どうぞ遠慮無くぶちのめしてくれ!」

 

「は、はあ…」

 

ワッカは呆れてしまう。どうやらこの世界の王様はどいつもこいつも困ったちゃんらしい。だがまあ、エボンの四老師も困ったちゃんばかりだったので、偉い人というのは得てしてそういう人種なのかも知れない、と思い直した。

 木の剣と木の盾を貰い、ワッカは闘技場の中央に向かった。獣王も戦闘服に着替え、木の剣と木の盾を持ってやって来た。観客席では、ユミナやオリガ大使ら、謁見の間にいた人達が二人の試合を観戦するべく座っていた。

 

「勝負はどちらかが『真剣ならば致命傷になる打撃を受ける』か『自ら負けを認める』まで。魔法の使用も可。ただし、相手への直接的な攻撃魔法は禁止とする。双方よろしいか?」

 

「あの、一ついっすか?」

 

審判の有翼人からの説明を受け、ワッカが手を挙げる。

 

「オレ、剣はからっきしなんで、コイツで戦いたいんすけど…」

 

そう言って彼は愛用のブリッツボールを見せる。通常モードのブリッツボールは本当にただのボールにしか見えない。

 

「そ、そのボールで戦うと…?」

 

「ああ。剣のまま戦っても全力出せねえし…。そんなオレと戦いたい訳じゃ無いっしょ?獣王様は」

 

「良いとも、良いとも!」

 

獣王が(こころよ)く認可する。

 

「ただ、儂への配慮として剣を使わない気ならば認めん。遠慮は無用だ」

 

「いやホント、ブリッツボール(コイツ)で竜も倒したんで」

 

「何と!?ニワカには信じがたいが…良いだろう!実戦と思ってあらゆる手を使い、儂に勝ってみると良い!」

 

高らかに笑う獣王を目にし、ワッカの闘争心にも火が付いた。

 

「じゃあ、遠慮無く行くぜ!」

 

「そのいきだ!来るが良い!」

 

 戦闘態勢に入った二人を見て、審判が右手を挙げる。そして、勢いよく右手を振り下ろした。

 

「始め!」

 

 開始宣言早々、ワッカはブリッツボールを投げつける。獣王は避けようともせず、わざとボールに当たりに行った。

 ボンっと獣王に当たったボールは、ワッカの手元に戻ってくる。

 

「ハハハ!なんだこんなものか!」

 

獣王が高らかに笑う。

 

「痛くない、とまでは言わないが、こんな攻撃で本当に黒竜を…ぐぅ…」

 

 そう言って獣王は眠ってしまった。ボールを当てた相手を眠らせる特技、スリプルアタックが決まったのだ。

 闘技場の中央で眠りこける獣王に近づいたワッカは、相手が持っていた木の剣を奪い取り、バシバシ叩き始める。

 

「おーい、獣王様よ。まだ眠る時間には早いぜ?」

 

「ぐぅ、ぐ、い、痛、痛い痛い!誰だ儂を叩くの…は…」

 

目を覚ました獣王の目に飛び込んできたのは、木の剣を自分に向けているワッカの姿だった。

 

「あのなぁ。本当の剣だったら、今頃みじん切りだぜ?」

 

「勝者、ワッカ!!」

 

審判が大声でワッカの勝ちを宣言した。

 

「オレの勝ち。何で負けたか明日までに考えといてください」

 

「ちょ、ちょ、ちょっと待ったぁ!」

 

 獣王が待ったをかけた。

 

「なんださっきの技は!?これは無しだろう!?もう一回だ!もう一回!」




 ミスターチルドレンかな?

 いせスマのアニメの話なんですが、審判の説明の部分で「真剣ならば」というワードを省略してしまったせいで、ニコニコ動画等で「致命傷の意味知ってる?」とコメントされてしまう事態が発生しています。省略する言葉を選ぶのって大事だね。
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