異世界はブリッツボールとともに。 ~異世界ワッカ~   作:3S曹長

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 「異世界はスマートフォンとともに。」のアニメ第二期の詳細が発表されましたね。放送開始は2023年春予定だそうです。
 声優は変更無しなのですが、制作スタッフが大きく変更されています。以下に大きな変更点をまとめておきます(ウィキペディア調べ)。

 アニメーション制作の会社が「プロダクション リード」(昔は結構アニメ制作を行っていたみたいだが、「いせスマ」制作時期には話題作の制作は(ほとん)ど無し)から「J.C.STAFF」(代表作ゼロの使い魔、「とある」シリーズ、ダンまち、まちカドまぞく、他多数)へ変更。

 監督が柳瀬雄之氏(ウィキペディアに記事無し)から岩崎良昭氏(ゼロの使い魔、ツインエンジェルシリーズ、ぼくたちは勉強ができない、他多数)へ変更。
 
 シリーズ構成が高橋ナツコ女史から赤尾でこ女史へ変更(両名とも代表作多数なため、興味のある方は調べてみて下さい)。

 率直な感想を申しますと「アニメ制作スタッフ、パワーアップしすぎだろ!」って感じです。特にアニメーション制作会社の変更がヤバい!現在進行形で人気アニメ作っている会社じゃないか…。アニメ一期を見ていて特に辛かったのが作画の酷さなので、これは嬉しいです。監督も変わったので、あのクッソ寒いアイキャッチも無くなってくれるかしら?
 何にせよ、アニメニ期はかなり気合いが入っているみたいで期待が膨らみますね!


大人の対応、そして追跡。あとブリッツボール。

 翌朝、支度を済ませたワッカはビャクティスを連れて、宮殿の前門でリンゼとユミナの二人と合流した。

 

「おう、待たせたな。リンゼ、ユミナ」

 

「あっ、ワッカさ~ん!」

 

「おはようございます、ワッカさん。昨晩はぐっすり眠れましたか?」

 

「へ?い、いやぁ、それが上手く眠れなくてよぉ…。ハハ…」

 

ワッカは力なく笑った。

 昨晩のリーンは、ワッカから弟子入りを断られたことを残念そうにしていた。とは言っても彼女に無理強いする気は無かったらしく、あの後何事も無く部屋へと戻ることが出来たのだった。しかしワッカは、彼女に自身の特異性がバレてないかが心配で、眠れない夜を過ごしていたのだ。完全に自業自得なのだが、辛い夜だった。

 

「かわいそうなワッカさん…」

 

「大丈夫ですか?」

 

「まあ、平気よ平気!さ、行こうぜ」

 

嫌な考えを吹き飛ばしたい一心で、ワッカは出発を促した。

 今日はリンゼとユミナとの3人(と1匹)で、ミスミドの王都を観光する約束である。エルゼと八重はミスミド王国の戦士長達と、宮殿の闘技場で一日訓練をするらしい。ベルファストの王城で行われる訓練にも時々参加している二人だが、いつもとは違う相手と訓練出来る貴重な機会を逃したく無い、とのことだった。

 

「お、そうだ。出かける前に会わなきゃいけない相手がいんだ。すぐ終わるから付き合ってくれねえか?」

 

 出発早々、思い出したようにワッカが二人に尋ねる。

 

「私は大丈夫ですよ」

 

「私もです。それで、会わなきゃいけない相手って誰なんですか?」

 

「リオンだよ。アイツに『オーバードライブ・リール・カードゲーム』を渡す約束してんだ」

 

リオンとの待ち合わせ場所に向かいながら、ワッカはパーティー会場でのオルバとの会話について話をした。

 

「なるほど、それで…」

 

「ワッカさんも中々ニクイことをするじゃないですか」

 

「だろぉ?」

 

ユミナの言葉に、ワッカは上機嫌だ。

 

「オルバは交易商だかんな」

 

「え?」

 

「アイツが『オーバードライブ・リール・カードゲーム』を気に入ってくれりゃあ、あちこちで売ってくれるかもしれねえ。世界中でオレの考えたゲームが流行ったりしてな!ハッハッハ!」

 

「「ハァ…」」

 

 高笑いするワッカに対し、リンゼとユミナはため息をつく。ワッカのリオンとの約束が、「リオンがオリガに近づけるようにするための行動」ではなく「自分が考えた遊びを流行らせるための行動」だったからである。

 

「お、いたいた!」

 

 ワッカの視線の先には、待ち合わせ相手のリオンがいた。

 

「おはようございます、ワッカ殿。例のオーバー・ナンチャカ・カードゲームは…」

 

「『オーバードライブ・リール・カードゲーム』だっ!!しっかり名前覚えて、しっかり宣伝してくれよ?」

 

そう言ってワッカはカードゲーム一式をリオンに手渡す。受け取るリオンの右手が震えていた。

 

「なあんだ、まだ緊張しぃなのか?」

 

「え、ええ…。情けないですよね、ハハ…」

 

「全くだ!」

 

ワッカはバッサリと切り捨てる。そして

 

「騎士様なんだろ?これまでも幾度となく死線を(くぐ)り抜けてきたんじゃねえのか?でも今日の相手はお前を殺しに来るワケじゃねえ。死ぬワケじゃねえんなら、怖がる必要なんてねえじゃんか」

 

とサポートをする。彼の言葉を聞き、リオンの震えが収まっていった。

 

「な、なるほど。言われてみれば、そうです」

 

「大丈夫だ!お前なら出来る!自分を信じろよ!」

 

「はい!ありがとうございます、ワッカ殿!」

 

「おう!頑張れよ」

 

そう励ましてワッカは、オルバの家へと向かうリオンを見送った。

 

「ね、ねえワッカさん?」

 

 二人の一連の会話を聞いていたユミナがワッカに声をかける。

 

「ん、どした?」

 

「先程の励まし…、やはり気付いているのですか?」

 

「何にだよ?」

 

「何にって…その…、()()()()()()()()()()()()()()()()()()にです!」

 

「は?何ソレ?初耳だぞ!?」

 

すっとんきょうな声をあげるワッカを見て、リンゼとユミナはため息をつきながら首を横に振った。

 

「気付いて…無かったんですね…」

 

「気付いてなかったってか、え?あの二人デキてんのか?いつから?」

 

「デキてるかは分からないですけど、リオンさんがオリガさんに惚れていたのは、ミスミドへの旅が始まった時からです」

 

「マァジか!!全然気付かなかったわ」

 

「「………」」

 

ワッカのあまりのニブさに二人とも言葉を失ってしまい、冷たい視線を送ることしか出来ない。

 

「何だよ、ンな顔すんなよ。だってよ、ぶっちゃけ()()()()()()()()?」

 

「「どうでも…!?」」

 

 ワッカの唐突な発言に、二人は驚きの声をあげる。

 

「そうだろうよ。リオンもオリガ大使も、オレ達の家族じゃ無いだろ?この旅の中では仲間だったかもしれねえけど、普段からずっと一緒なワケでも無いだろ?」

 

「そ、それは確かにそうですけど…」

 

「なら、オレ達から二人の恋路にあーだこーだ言う必要は無えんだよ。気付いても何も言わねえで、そっとしといてやんのが大人ってモンだ」

 

「それは…、気付いてなかったことの言い訳では無く?」

 

「そういうモンなんだよ!ま、その内分かるさ、その内な」

 

 ワッカは両手を頭の後ろで組みながら、遠ざかっていくリオンの背中を見つめるのだった。

 

 その後、3人と1匹は本題であるミスミド王都での買い物に出発した。所変われば品変わる。ベルファストの王都では売られていない商品の数々に心が奪われる。様々な店を巡り、時間が経つのも忘れて買い物を楽しんだ。屋敷の使用人達にプレゼントするお土産を選ぶのも忘れない。

 気が付くと日が大分落ちてきており、夕刻になっていた。

 

「少し早いですが、夕食にしませんか?」

 

ユミナが提案する。

 

「なあんだ、ハラヘリかあ?」

 

「一生懸命見て回ってたら、何だかお腹がすいてきちゃいまして。エヘヘ」

 

「よし、メシ行くぞ!」

 

「この国では『カラエ』という名物料理があるそうです。それにしませんか?」

 

ミスミドについて事前調査をしていたリンゼが提案する。彼女の情報は買い物の際も非常に役に立っていた。

 

「どんな料理なんですか?」

 

「舌が痺れるような辛さが特徴なんだとか」

 

「辛いから『カラエ』ってか?何だか安直だが…、ま!物は試しだ。オレはソレで構わねえぜ?」

 

「私も『カラエ』に興味が出てきました」

 

「じゃあ決定ですね」

 

 こうして一行は近くにあったカラエ屋に足を向ける。店に入る直前、ユミナに抱かれていたビャクティスがキョロキョロと辺りを見回していた。

 店の中は、嗅いだだけで自然と唾液が出てくるような香辛料の香りが立ちこめていた。この香りを避けるべく、通りを眺められるテラスに席を決める。ユミナはビーフカラエ、リンゼはチキンカラエ、ワッカはカツカラエを注文し、店員がメニューを下げた。ビャクティスは何故だか食べるのを拒否した。

 注文が終わったところで、ビャクティスがワッカに念話(テレパシー)で話しかける。

 

『主、例のヤツらがずっと我々の後を付けてきています』

 

「またか…。うし、食前の運動ってヤツだ」

 

()()に向かわれるおつもりで?』

 

「モヤモヤにケリつけてやろうと思ってな」

 

『ヤツらでしたら、主の右後方に建つ一番高い建物の屋上にいます』

 

「分かった。リンゼとユミナを頼むぜ」

 

『お任せを』

 

ビャクティスとの念話(テレパシー)を終え、ワッカはリンゼとユミナに話しかける。

 

「わりい!さっきの店で見つけた商品がどうしても気になってよ。残り1つだったから今行かねえと売り切れちまうかもしれねえ!」

 

「え?今行くつもりですか?」

 

「わりいな、すぐ戻ってくっからよ!」

 

 そう言ってワッカは店を出た。ビャクティスの言っていた建物には直接向かわず、そこから4件隣の建物へと向かった。

 

「ブースト」

 

呟くように身体強化の無属性魔法を唱え、ジャンプする。屋根の上に着地し、目的地へは屋根を飛び移りながら向かう。目的の建物の隣からジャンプする際は、あえて屋上の(へり)に捕まる程度にジャンプした。

 ワッカの強靭な両手が屋上の縁を掴む。肘を曲げ、顔だけ(のぞ)かせて見てみると、黒いローブに身を包んだいかにも怪しい2人組が、ワッカ達の入ったカラエ屋を見ていた。

 ワッカは2人に気付かれないようコッソリと忍び寄る。ガード時代、雷平原の旅行公司で、ユウナの部屋の中でソワソワしていたティーダを見つけた時のことを思い出す。

 

「なーにしてんだ、こら!」

 

後ろから両腕で羽交い締めにしようとしたが、(かわ)されてしまった。2人組はワッカと距離を取る。両名ともフードで髪を、仮面で顔を隠しており、人物像が(うかが)えない。仮面の額には奇妙な紋様が描かれており、1人は六角形、もう1人は楕円形の紋様だった。

 

「お前ら、オレ達のことを監視してたよな?誰なんだ?目的は何だ?」

 

 仮面の2人にワッカは疑問を投げかけるが、返事は無かった。

 

「おい!言葉をつつしむなよ」

 

ワッカの怒号に応えるかのように、六角形の方が(ふところ)から試験管のような物を取り出した。

 

「っ!スロウガ!!」

 

 試験管を投げつけてくるのかと思っていたワッカだったが、相手が試験管を地面に叩きつけようとしたのを確認し、咄嗟(とっさ)速度低下(スロウガ)の呪文を唱える。2人組が逃げようとしていると判断したからだ。

 ワッカが魔法を唱えたのと同時に、地面に叩きつけられた試験管が割れ、強烈な閃光が辺りを襲った。

 

「くおうっ!」

 

 あまりの(まぶ)しさにワッカの目がくらむ。視力が回復した頃には2人組の姿はどこにもいなかった。

 

「逃がすかよ。ヘイスガ!アクセル!」

 

スピラと異世界の速度上昇魔法の重ねがけをしたワッカはあちこちの屋根に飛び移り、怪しい2人組の姿を探す。

 

「いたいた!」

 

 時間をかけること無く、北の路地を走り抜ける、黒いローブの2人組を目撃できた。ローブと仮面を脱ぎ捨てて人混みに紛れ込まれたらお手上げだったが、証拠を残すことを嫌ったらしい。

 一方、2人組は焦っていた。足の速さには自信があったのだが、思ったように走れない。否、体全体の動きが不自然に遅くなっていた。このままでは見つかってしまう。

 そんな2人の焦りなどお構いなしに、ワッカはブリッツボールの狙いを定める。

 

「かくれんぼは終わりだ!スリプルアタック!」

 

放たれたボールは六角形の仮面に命中。六角形はその場で倒れ込んで眠ってしまう。

 

「わっ!」

 

 楕円形の焦りが増す。六角形(なかま)を置いて逃げるか、背負って逃げるか、咄嗟に判断が出来なかった。しかし、その数秒が命取り。「プログラム」のかけられたブリッツボールは既にワッカの手中にあった。

 

「もういっちょ!」

 

 ワッカが放ったスリプルアタックは楕円形にも命中した。

 路地の真ん中で眠りこけた2人組の元にワッカが駆け寄る。

 

「さて、どうすっかね…」

 

眠らせたは良いものの、その後の対応を全く考えていなかった。「集団ストーカーに襲われてまぁす!」と警備兵に突きだそうかとも考えたが、しらばっくれられると面倒だ。とりあえず仮面を没収して、相手の顔を確認することにした。

 

「え…、えっ?」

 

 仮面を外したワッカは言葉を失う。怪しい2人組の正体が、今はベルファストの屋敷にいるはずの、ラピスとセシルのメイドコンビだったからだ。




 ハーメルンに連載されていた、今は無き「異世界はスマートフォンとともに。」の二次創作小説、「異世界黎斗」(望月冬夜を「仮面ライダーエグゼイド」の登場人物である壇黎斗(だんくろと)に置き換えた二次創作)での2人組の追い詰め方が、容赦なさ過ぎて最高でした。あの作品面白かったのに、何で消してしまったんや…。
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