異世界はブリッツボールとともに。 ~異世界ワッカ~ 作:3S曹長
セリーの声優、井澤詩織さんですか。思ってたよりも大物声優だった。
ってか何で、「異世界はスマートフォンとともに。」の二次創作の前書きで、「異世界迷宮でハーレムを」の話してんだよ(自問自答)?教えはどうなってんだ教えは!!
まあ以前、前書きにて「サイトのキャラ紹介ページにキャラが少ない」と書いてしまったので、その後の報告はしないとですよね。
翌日、ミスミド王国の国王からワッカ達に呼び出しがかかった。正確には「ユミナ王女とその一行」だが。
彼らは早速、謁見の間に向かう。最初に来た時とは、リオンとガルン、オリガ大使がいないこと以外は変わりが無い。
「獣王様。ベルファスト王国の王女、ユミナ・エルネア・ベルファスト、ただ今参りましたわ」
早速、ユミナが代表として獣王に挨拶する。
「うむ。良く来て下さった、姫様。今日、そなた達をお呼びしたのは他でも無い。我らミスミド王国は、ベルファスト王国と同盟を結ぶことに決定した。そのことをお伝えするためだ」
「賢明な判断、感謝いたしますわ。お父様もお喜びになることでしょう」
「ついては、この書状を国へと持ち帰って貰いたい。同盟の意思が記されておる」
獣王が書状を側近に渡し、側近が
「確かに受け取りました。責任を持って、お父様にお渡ししますわ」
「頼みましたぞ、姫様。出発はいつ頃なさるおつもりか?」
「折角、獣王様が同盟の意思をお持ち下さったのです。すぐにでも出発し、一刻も早くお父様にお届けしたい所存です」
獣王の質問にユミナが答えた。
「なるほど、あいわかった。それでは
「お待ち下さい!」
獣王が護衛兵の手配をしようとするのを、ユミナが制止した。
「お気持ちは大変嬉しく思います。しかし、私が帰国する際の人員は、ここにいる私を含めた5名で十分でございます」
「な、なんと…!」
ユミナの発言に、獣王が目を丸くして驚く。側に立つ重臣達も驚きを隠せない。
実際、ユミナの発言に間違いは無い。帰る際はワッカの「ゲート」でベルファストにすぐ戻れるのだから、正確にはワッカとユミナだけで王女の帰国は済むのである。
しかし「ゲート」の存在を知らない獣王は慌てて言葉を続ける。
「しかし、姫様にもしものことがあれば、我が国としても…」
「お気持ちは分かります。しかし、ここは私どもを信じてはくれませんか?」
「信じる…?」
「はい。勝手ながら、
ユミナはしっかりと獣王の目を見据え、言葉を返した。
「う、うぅむ…」
「それに、ここにいるワッカさんの実力は、他でも無い獣王様がご存じのハズです」
ユミナが両手でワッカを指し示す。
ワッカは内心、「注目を集めるのは止めてくれ」と思ったが、ミスミドの兵が付いてきてしまっては「ゲート」で帰国出来なくなってしまう。交渉術を持つユミナを信じるしか無かった。
「そうだな、分かった。姫様の要望に応えようではないか」
「へ、陛下!?よろしいのですか?」
宰相のグラーツが、獣王の判断に待ったをかける。
「グラーツよ。姫様の言うとおり、今度は
「は、はぁ…」
「感謝いたしますわ、獣王様」
グラーツの言葉で獣王の気持ちが変わらぬ内に、ユミナが話を終わらせた。
こうして、ワッカ達はベルファストへ帰国することになった。帰る前に、知り合いに挨拶をして回る。
リオンを始めとする護衛兵達は現地での作業が残っているらしく、ミスミドに駐留することになった。中にはユミナ王女の護衛を申し出る者もいたが、ユミナ自身が「自分の仕事に集中なさい」と言って断った。
オリガ大使からは、依頼完了の証明書を受け取った。これをギルドに提出すれば、大使の護衛依頼を達成したことになる。彼女の父オルバは「オーバードライブ・リール・カードゲーム」を大層気に入ったそうで、色々な場所に普及したいと意気込んでいるそうだ。
「あ~あ、もう帰国かぁ…。リンゼとユミナだけズルいわよ!」
「拙者もワッカ殿と買い物に行きたかったでござるぅ」
宮殿の中庭を歩きながら、エルゼと八重が文句を言う。しかし、2人の私情と2カ国の外交のどちらが重要事項かは、火を見るよりも明らかだ。諦める他無い。
「ま、いつか連れてってやるさ。我慢しろよな」
「「はぁい」」
2人を慰めたワッカは、ユミナを褒め始める。
「しっかし、ユミナは流石のモンだったぜ。王女に護衛を付けない、なんてムチャクチャを通しちまうんだからよ」
「えへへ、そうですか?」
ユミナが照れくさそうに、両手を頬に当てる。
「私のこと、好きになりましたか?」
「恋愛感情じゃねえ、って前置きした上で、お前の魅力を知ることが出来たぜ」
ワッカは正直に答えた。
「嬉しいです!前置きが無ければもっと嬉しかったですけどね」
「オレを惚れさせる道に『ゲート』はねえんだぞ。地道に頑張んだな。おっと!」
「どうしました?」
「いや、急に便意が…。お前らは先に帰る準備してろ!」
そう言ってワッカはビャクティスを連れ、ユミナ達から離れる。
「ビャクティス、
『あそこの塔から監視してます、主』
ビャクティスは宮殿の一角にそびえる塔を目線で示す。
「あそこか、ブースト」
ワッカは身体強化の魔法をかけ、
「うわ、お早い到着です~」
セシルが驚きの声をあげる。
「ボサッとしてる暇はねえぞ。その怪しいカッコウでユミナを迎えるつもりか?」
「そうですね。お願いします、旦那様」
ワッカは自分の屋敷へと「ゲート」を開いた。
「おや、旦那様。お帰りなさいませ」
家令のライムは、主人の突然の帰宅に少し驚いた様子を見せたが、すぐに冷静さを取り戻す。
「おうライム、お前に話があんだ」
そう言ってワッカはラピスとセシルを屋敷へ帰らせる。
「ただいまです~」
「すみません、旦那様に知られてしまいました…」
「でしょうな」
ライムは「ゲート」から現われた2人を見て、状況を把握した。
「お前らは着替えてこい。こっからは大人の時間だ」
ワッカがラピスとセシルに命令する。「大人の時間」などと言いつつ、ワッカはラピスとセシルとは年齢が近いことを追記しておく。
2人が着替えに向かったのを確認し、ワッカはライムに問い詰める。
「…知ってたのか?」
いつもの陽気な調子では無く、声を落としたシリアスな問い詰め方だった。
「はい」
「ナンデダマッテタァ?」
「申し訳ございません。あの2人に関しては国王陛下から秘密にするようにと命じられておりましたので…」
ライムが深々と頭を下げる。
「サイアクダゼ、
「お言葉ですが旦那様、彼女達がメイドギルドに所属しているのは本当でございます」
「何!?そうなのか?」
「はい。何でも潜入捜査に必要なスキルなのだとか…。旦那様はあの2人のメイドとしての働きぶりに、何かご不満がございましたか?」
「い、いや…。ねえな…」
屋敷のメイドとしての2人を思い出しつつ、ワッカが答えた。
「でしたらご迷惑とは思いますが、2人をこのまま屋敷で働くメイドとして雇い続けてはもらえませんでしょうか?もちろん、旦那様がご不満でしたらすぐにでも新しい人員を…」
「ああ、いやいや。雇い続けるって事で良いよ。新しいメイドが監視員じゃねえ保証もねえし、オレだけでユミナを守り切れる自信もねえしよ」
「ありがとうございます」
ライムが再び頭を下げた。
「でもよ、あんまし秘密が多いようだとオレは、オレの屋敷で熟睡出来なくなっちまうぜ?」
「申し訳ございません。もう、秘密はございませんので」
ワッカの愚痴にライムが丁寧に答える。最も、彼の発言が本当であるという確証を得る術はワッカに無いのだが。
「ま、良いよ。オレはもう怒ってねえから。これからミスミドに戻って、皆と一緒に屋敷に帰ってくるぜ、いいな?」
「かしこまりました。お出迎えの準備をいたします」
ライムの言葉を聞きつつ、ワッカは「ゲート」でミスミドへと戻っていった。
ワッカが宮殿に戻ると、皆が帰る支度をしていた。
「おーそーいー!」
「いやあ、わりいわりい。ゲリピーでよ」
「うわわ、女性の前でする話じゃないでござる!」
「ワッカさんも支度を済ませて下さいね?」
ユミナの言葉を受け、ワッカも急いで帰りの支度を済ませた。
帰りの支度さえ済んでしまえば後は
「「「「「ただいまー!」」」」」
と「ゲート」で即帰宅である。
「「「お帰りなさいませ」」」
ライム、ラピス、セシルの3人が、5人と1匹の帰宅を出迎えた。無論、メイド2人はメイド服に着替え終わっている。
「旦那様、皆様。長旅お疲れ様でした」
ライムが頭を下げながら、皆をねぎらう。
「おう。オレらの留守中、変わったことは無かったか?」
「いえ、特にございません」
「じゃあ良かった」
ワッカもライムに質問をすることで、違和感が生まれないよう努めた。
「皆さんにお土産がありますよ」
ユミナの言葉通り、女性陣は屋敷の使用人達へのお土産をそれぞれ手にしていた。
「はい、これはライムさんの分!」
エルゼがネクタイピンとカフスボタンが入った小さな箱をライムに手渡す。
「これはこれは、ありがとうございます。大事に使わせて頂きます」
「これは、ラピスさんとセシルさんの分ですね」
そう言ってリンゼが2人にマグカップの入った箱を渡そうとする。しかし2人は
「いえいえ!とんでもございません!」
「受け取れないですよ~」
と手を振って断った。その様子を見てワッカは困った顔をする。
「そう言わずに受け取っとけ、な?」
「しかし…」
「おう、お前ら!」
ワッカは女性陣の方を振り向く。
「フリオさん達にお土産渡してこい。庭とかキッチンにいるはずだ」
彼の言葉を聞き、4人はお土産を渡しに行った。
ワッカ、ライム、ラピス、セシル、ビャクティスの「事情知ってる組」だけが残った空間で、ワッカはため息をつく。
「あのなぁ…。何で受け取んねえんだよ…」
「旦那様には迷惑をおかけしましたし…」
「あんなことがあったのに、お土産を貰うのはちょっと~」
「そういう問題じゃねえ!あの場でお前らだけ受け取らねえってのは不自然だろうがよ!」
「た、確かに…」
「それに『迷惑をかけた』じゃなくて『これからも迷惑をかける』だろ?だったら、お土産貰うのはおかしくねえじゃんよ」
「な、なるほど~」
「感謝するがいい。オレはお前らの任務を守ってやるのだ」
こうしてワッカは2人を納得させた。やがて4人が戻ってくる。
「おう、お前ら。やっぱりお土産受け取るってよ」
「先程は失礼をいたしました、リンゼ様」
「大切に使わせて頂きます~」
お土産を渡し終わったら、次は国王への報告である。ワッカは王城へと「ゲート」を繋いだ。
「ただいま帰りました、お父様!」
「おおユミナ!それにワッカ殿と皆も。よくぞ無事戻って参った」
「ちゃんとミスミドまで行ってきたぜ、国王」
「これがミスミドの国王様からの書状です」
ユミナが国王に書状を手渡す。
「ふむ…、同盟を決意してくれたか。これは嬉しいことだ」
書状を読み終えた国王が安堵する。
「ワッカ殿、ミスミドに私を送るのは一ヶ月後だ。向こうに会談を行う旨の書状を届けねばな」
「その書状を届けんのもオレか?」
「いやいや、そこまでは言わないさ。書状は早馬で届ければ良い」
「『ゲート』がバレないようにするってのも大変っすね」
「全くだ」
バレないためには最善を尽くしたい。ギルドは国と繋がっているわけでは無いが、念のために報告を行うのは10日後ということになった。
10日後、ワッカ達は依頼完了の証明書を持って、王都のギルドへと向かった。
「お疲れ様でした。こちらが報酬の白金貨10枚です」
受付の女性が報酬金を手渡す。5人で等分なので、1人白金貨2枚だ。
「そして今回の依頼で全員ギルドランクが上がりました。おめでとうございます」
女性の言うとおり、ユミナのランクは緑、他4人のランクが青になっていた。
「つーことは、後は赤、銀、金ってワケか。最大ランクも遠くねえな」
「そんなに上手く行かないわよ!」
「まあ、モチベーションには繋がるじゃねえか!うし、帰るぜ!」
「あ、お待ち下さい!」
帰ろうとしたワッカ達を受付の女性が引き留めた。
「王宮の方から連絡があったのですが、あなた方が黒竜を討伐したということで間違いないでしょうか?」
「あん?まあそうだけど、証拠なんてねえぞ?」
「いえ、確認がしたかっただけでございます。竜討伐の方は王宮の方で保証されておりますので問題ございません。ついては竜討伐の証として、『ドラゴンスレイヤー』の称号をギルドから贈らせて頂きます」
受付の女性は、ユミナ以外のギルドカードに魔法のスタンプを押していく。丸い竜に剣が突き刺さったシンボルが、カードに浮き上がった。
「はあ、『ドラゴンスレイヤー』ねえ…」
後ろで喜ぶ双子と八重とは違って、ワッカの反応は薄い。ユウナのガード時代に竜を討伐した経験があるのだから、彼にとっては今更すぎる称号だった。
「それを提示していただければ、ギルド提携の武器屋、防具屋、道具屋、宿屋等で料金が四割引きになりますので御活用下さい」
「マジかよ!よっしゃあ!!」
ワッカが一転して喜びの声を上げる。現金なものである。
20日後、ミスミドの宮殿にて、ベルファスト王国とミスミド王国の国王同士の会談が行われ、両国の同盟が正式に決定した。
しかし、この同盟の立役者に1人の冒険者がいることを知る人間は、ごくわずかである。
本来なら今回で「ミスミド王国編」を終わっても良いのですが、あと1話だけサブキャラクターの登場回をやります。その方がキリが良いので。
原作だと屋敷に帰った後で、ヒロイン達の着替えを覗いてしまうラッキースケベイベントがあります。やろうか迷ったのですが、「ワッカでやる必要は全く無い」と思い至り、省略いたしました。