異世界はブリッツボールとともに。 ~異世界ワッカ~ 作:3S曹長
星4/光属性/獣戦士族/攻 0/守1800
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):手札から他の「武神」カード1枚を墓地へ送って発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
(2):以下の効果から1つを選択して発動できる。
●手札から「武神」モンスター1体を墓地へ送って発動できる。
そのモンスターとはカード名が異なる「武神」モンスター1体を自分の墓地から選んで手札に加える。
●自分の墓地から「武神」モンスター1体を除外して発動できる。
そのモンスターとはカード名が異なる「武神」モンスター1体をデッキから墓地へ送る。
「なあ、ワッカとか言ったな?俺達を助けて終わりじゃねえんだろ?」
ワッカに解放された山県政景がそう問いかける。
「ああ。これから山本完助をとっちめるつもりだ。そこで、お前らにお願いがあるんだなぁ~」
「力になれってんだろ?」
「お、話が早くて良いな!」
「頼まれなくても俺は戦いに参加するぜ?完助の野郎にゃ貸しがたんまりあるんだからよ!」
先程軽く説教をしたばかりなのにも関わらず、もう戦う気満々の山県に軽く呆れながらも、馬場信晴はワッカに問いかける。
「完助の周りは鬼面兵で固められ、あいつ自身も奇妙な魔法を使うぞ。あいつはもう人間じゃ無い。倒せるのか?」
「そこら辺は心配いらねえよ。オレにはこのブリッツボールがあるからな!」
ワッカは馬場にブリッツボールを見せつける。
「それは
「これがオレの武器なんだからインだよ!それより、アンタ達にも武器を用意しねえとな…」
そう言ってワッカは「ゲート」を開く。行き先は徳川軍の武器庫である。
「お~い、八重!いるんだろ!?」
「わ、ワッカ殿!?ビックリしたでござるよ…」
急に声をかけられた八重が驚きの声をあげる。
武器の調達が必要になることもあるだろう、と事前に予測していたワッカは、徳川の領主である家泰に頼み、武器庫の武器をレンタルする許可を事前に貰っていたのだ。陰で余分な武器を横流ししない、という証拠のために、武器庫の番は八重とその兄である重太郎に任されていた。
「四天王の解放には成功した。これから完助と戦うから、武器が欲しいんだ」
館には結界が張られたままなので、ワッカは「ゲート」から首だけ出しながら、四天王からリクエストされた武器を八重に伝える。馬場は槍、山県は大剣、そしてもう1人の四天王である内藤正豊は短剣が2振である。
「ワッカ殿…、助太刀は本当にいらんのでござるか…?」
八重は武器を渡しつつ、ワッカに問いかける。
「心配してくれてんのか?」
「と、当然でござるよ!!」
「そっか。ありがとよ、八重」
ワッカは八重に礼を言いつつ、彼女の申し出を断る。
「完助の護衛に当たってんのは、砦の戦いの時と同じく鬼面兵が大半だ。アイツらはブリッツボールで何とかなる。生身の人間は四天王が相手してくれっから、これ以上の戦力は余分だ。奇襲も兼ねてるから人数が増えすぎてもアレだしよ」
「分かったでござる…。無事に帰ってくるでござるよ?絶対でござるよ!?」
「おう、任せとけ!無事帰ってくる。約束だ!」
「約束でござる!」
八重と約束を交わし終え、ワッカは「ゲート」を閉じた。
リーン曰く、結界を生み出す護符は対象区域の四隅に配置されるものだ、とのことである。ワッカ達6人は彼女の光属性魔法で姿を隠しつつ、館の四隅の一角にある
「間違いないわね。この灯籠自体が護符の一つよ」
リーンが言った。「護符」というのはあくまでそういう呼称であるだけで、形にこれといった決まりは無い。
「完助は館の中央にいるんだったな?」
ワッカの問いかけに対し、武田の面々が頷く。場所は予め「リコール」で読み取ってあるので、「ゲート」で直行出来る。
「この灯籠ぶっ壊したらそこまですぐに向かうぜ。いいな?」
皆が頷いたのを確認し、ワッカは灯籠に向かってブリッツボールを投げつける。ボールは灯籠を破壊し、彼の手元に帰ってくる。
「ゲート!」
キャッチと同時に館中央への「ゲート」を開き、6人はそこになだれ込んだ。
一行が到着した先は、館の中央にある建物の前に広がる庭だった。5人ほどの鬼面兵が辺りを見張っている。
「ブースト!」
鬼面兵が気付くか気付かぬかの間に、ワッカは
バキッという音を立て、ボールは鬼の面を破壊する。勢いはそのままに、「プログラム」をかけられたボールは一番近くにいた別の兵の面を割りに向かう。バキッバキッバキッとボールは面を割り続け、警備の兵を全滅させた後は、他の面を割りに庭の外へと飛んでいった。
「な、何事だ!?」
異変を察知した生身の兵が、ワッカ達の元へ駆けつけて来た。
「ぐぉ!?」
しかし彼の元にはすぐさま馬場が近づき、一撃で倒してしまった。
「安心せい。峰打ちだ」
「ねえ、その言葉って気絶してる彼には届いて無いんじゃない?」
馬場の言葉に対し、リーンがツッコミを入れる。兎にも角にも、このように生身の兵の相手は四天王の役割だ。
「オー、一体何事でショウ…、ワーオ!アンビリーバボー!!」
建物から、テンションの高い男が姿を現した。
「出てきやがったな、山本完助!」
山県が怒号をあげる。このテンションの高い男こそ、武田を操る闇の軍師山本完助その人であった。色黒の肌と左目の眼帯からも間違いは無い。
「オー、元気そうデスね山県ボーイ。オ~ウ!馬場ボーイに内藤ボーイも…。結界が破られたので何事かと思ったのデスが、脱獄したユー達の仕業デスね?鬼面兵もこの有様…、これは驚きデース!」
そう言う完助の口調からは、焦りは微塵も感じられない。余裕
「山本完助…」
そんな軍師に対し、ワッカが口を開く。
「もう話す機会が無いかもしれないから…。お前の結界を破ったり、鬼面兵を討伐したのは……オレだ」
「オーウ、ユーは一体?」
「オレはワッカ。
「ナルホド、ユーの仕業だったのデスねワッカボーイ!正直四天王だけでこのスピードは無理があると思ってましたが、外部からの助っ人なら納得デース!」
想定外であろう
「ふざけた態度もそこまでだぜ!さっさとくたばりなぁ!!」
業を煮やした山県が、大剣を振り上げて完助に襲いかかる。しかしそんな彼の前に、真っ赤な
「なっ…」
「あ、あなたは…」
「
四天王が絶句する。彼らの言う通り、この甲冑の男こそ死んだハズの武田の領主、
「てめえ完助!御屋形様を盾にする気か!!」
「オ~ウ、アンマリな言い草デース、山県ボーイ。大切な軍師を守るのは主君の仕事デース。そして主君が楽に戦に
そう言い放った完助の足下に、巨大な魔法陣が現われる。
「闇よ来たれ、我が求むは骸骨の戦士、スケルトンウォーリアー」
魔法陣から右手に剣を、左手に盾を装備した骸骨が這い出してきた。
「ウォタラ!」
ワッカは骸骨兵に水属性魔法の刃をぶつける。水の刃は骸骨の背骨を切断した。
「何、今の!?水属性魔法?」
「そうだぜ?リーン…あっ!」
スピラの魔法に関する説明がリーンに対してまだであったことにワッカは気付く。そんな彼の様子に気付いているのか否か、リーンが言葉を返す。
「色々聞きたいことはあるけど…、今のじゃダメよ」
「え?」
ワッカはリーンの言葉の意味にすぐ気付く事になる。斬られたハズの骸骨兵がゆっくりと動き出し、斬られたハズの背骨を再生させて襲いかかってきたのだ。
「マジかっ!」
「光よ来たれ、輝く連弾、ライトアロー」
リーンが魔法を唱えて応戦し始める。現われた光の矢が突き刺さった骸骨兵は、そのままガラガラと音を立てて崩れ落ちた。
「アンデットが光属性に弱いのは知ってるでしょう?」
「お、おう…そう、だったな」
戸惑いながらワッカはリーンに言葉を返す。敵の弱点魔法を教える彼女の姿は、まるでルールーのようで懐かしくも思えた。
しかしそんな感傷に浸っている余裕は無い。その間にも完助の魔法陣から新たな骸骨兵が出陣してきているからだ。ワッカは急いで対策を考える。「ホーリー」が頭に浮かんだが、ザコ敵単体に使うにしては消費する魔力が大きすぎる。結局、リーンが使った魔法を猿マネすることにした。
「光よ来たれ、輝く連弾、ライトアロー」
猿マネとは言え、魔法を使った戦いに慣れているワッカの技だ。リーンの魔法と同じように骸骨兵を倒すことが出来た。四天王も骸骨兵に
「面倒ね。まとめて倒しちゃいましょう」
そう言ったリーンの足下に魔法陣が現われる。魔法陣はみるみる大きくなっていき、庭全体を包み込む程に広がった。
「光よ来たれ、輝きの追放、パニッシュ」
彼女の詠唱と共に、辺りにいた骸骨兵が一瞬にして塵と化した。
「すっげええへへええええ」
ワッカが感嘆の声をあげる。四天王も唖然としていた。
「ワオ、アンビリーバボー!光属性の浄化魔法デスねガール?流石デース!でも…」
完助は賞賛しつつも、真玄を自分を守るように操った。真玄は目の前の四天王を牽制するかのように刀を構えている。
「御屋形様!どいてくれ!」
「無駄デース、山県ボーイ。御屋形様はもう、ミーの思い通りデース!ユー達が御屋形様に刃を向けられ無いのは知ってマース。つまりミーには…」
「ブースト!」
一閃。
一瞬の出来事に、四天王も完助も驚きの目をワッカに向ける。
「小僧、お前……」
「いや、オレは
「そうでしょうけど…、私達の気持ちも考えて下さいよ…」
「バカヤロウ!!」
異議を唱える内藤に対し、ワッカは大声をぶつける。
「お前達はココに何しに来たんだよ!?完助に忠誠を誓いにか?違うだろ!?」
彼はユウナのガード時代を思い出しながら言葉を続けた。
「正直よ、お前達の気持ちは分からんワケじゃねえ。オレにも同じようなことがあった。でもよ、オレぁ気付いたんだ。
ワッカの怒号に対し、四天王は一瞬返す言葉を失う。しかしその言葉は、3人の胸に熱く響いていた。
「確かに、ワッカ殿の仰るとおりです…」
「ワッカの言うとおり、オレたちゃ完助をぶちのめしに来たんだったな…」
「この歳になって小僧に教わることがあろうとは…。人生何があるか分からんな!」
内藤も山県も馬場も、口を揃えてワッカの言葉に同意した。
「ハ~イ、説教タイムはそこまでデース!」
完助が拍手をしながら口を挟んでくる。
「なかなかやりますねワッカボーイ!しかし、ミーにはまだコレがありマース!」
そう言って彼は左目の眼帯を外す。その下には、赤く光る宝玉が埋め込まれていた。妖しく
「この義眼がある限り、ミーが死ぬことはありまセーン!」
「その宝玉で、鬼面兵を操っていたのね?」
「ザッツライト!」
「なるほど…つまりアレが『トゥンの黙示録』ってワケね」
「絶大な魔力と不死の力を与えてくれる素晴らしい宝玉デース!コレがある限りミーは…」
「アポーツ」
魔法を唱えたワッカの手元に、完助の左目にあったはずの「トゥンの黙示録」が握られていた。
「ワオ!?いつの間に…」
完助は慌てふためきながら、空洞になった左目を押さえる。
「手癖が悪いのね?」
「おい!言葉をつつしめよ」
「それ、貸してみて」
ワッカはリーンの要望に答え、「トゥンの黙示録」を手渡す。
「ダメねこれは。持ち主の心を操る呪いがかかっているわ」
「そんなことが分かるのか?」
「妖精族の眼をナメないでよね」
そう言いながら、リーンは黄金色の瞳でワッカを見つめる。
「アーティファクトはとても貴重な物だけど、これは破壊した方が良さそうね」
「うし来た!」
ワッカはリーンから受け取った「トゥンの黙示録」を地面に置いた。
「ノウ!ンノ~ウ!!ソレを返してくだサーイ!ワッカボーイ!!!」
「ブースト!」
完助の制止には耳も貸さず、ワッカは「トゥンの黙示録」を思い切り踏みつける。武田に災いを振り撒いたアーティファクトは、彼の手、否、足によって粉々に砕け散った。
「ノ~ウ!!アンビリーバボー!!アンビリーバボー!!」
完助は絶叫をあげながら地面に倒れ伏す。
「アンビリー…バボー………」
彼の体は徐々に干からびていき、やがて塵となって、風に吹かれて飛んでいった。
同時に真玄や他の倒れた鬼面兵の体も、同じように塵になって飛んでいく。
「こりゃあ、どういうことだ…?」
「元々、山本完助の身体はすでに死んでいたんでしょう。魔力を始めとした身体の力をあのアーティファクトに吸い取られていたのでしょうね」
山県の疑問にリーンが答える。
「とにかく、これで終わったんですよね?」
「マダだ!!」
安堵する内藤に対し、ワッカが大声を返す。他の皆も、まだ敵がいるのかと身構える。
そんな彼らの元に、ヒュウウゥゥゥと風を切って何かが向かってきていた。
「よっと!」
ワッカはジャンプしながら、何かもといブリッツボールをキャッチした。
「何だ…、驚かさないで下さいよ」
「わりいわりい、ドコから飛んでくるか分からなかったからよ。他の誰かがケガしねえためにも…」
「ありが…とう……」
謝るワッカの耳元に、何者かの礼を言う言葉が聞こえてきた。
「んあ?誰か何か言ったか?」
「今の声は、完助…だな……」
「はあ!?こっわ!!」
馬場の発言にワッカが戦慄する。
「いや、今のアイツは怖がらせるためで無く…」
「こえぇよこえぇ!サッサと引き上げるぞ!!リーン!」
ワッカは急いで「ゲート」を開き、逃げ帰ってしまった。
こうして、ツツジガサキの館の戦いはワッカが勝利を収めたのだった。
「この話の主人公ワッカじゃ無くて良くない?」って展開がこの所続いていたので、久しぶりにワッカにしか出来ない活躍が描けてホッとしました。
完助とリーンの攻防は原作にあった展開なのですが、アニメではカットされていました。ヒロインの数少ない活躍シーンを削っていくのか…。