異世界はブリッツボールとともに。 ~異世界ワッカ~ 作:3S曹長
あと何話続けられるのかは私自身よく分かっていませんが、最後までワッカの「異世界はスマートフォンとともに。」世界での活躍を見ていただけると幸いです。
空中庭園、そして適合者。あとブリッツボール。
激闘を制したワッカは早速、仲間にした《
「つーわけで、その遺跡はこの海の底に沈んでて探索が出来ねえ状態なんだ。ビャクティスから、お前達なら何とかしてくれるって紹介されたんで呼んだわけなんだよ」
『海に入っても呼吸が出来るようにすればよろしいのですね?』
玄帝の亀の方、「コネ」が言葉を返す。先程とは打って変わって丁寧な口調である。
「そんなことが出来るのか?」
『楽勝よぅ、守りに関しては私達の右に出る者はいないんだから!』
玄帝の蛇の方、「クト」が胸を張る。こちらは相も変わらぬオカマ口調のままだった。
「うし!じゃあ、チョックラ行ってくるぜ。ビャクティス、
『お待ち下さい、主』
ビャクティスがワッカを引き留める。
『玄帝…いやコネクトか。我らは主の魔力で常に顕現することが出来る。だがそのままの姿では主に迷惑がかかるのだ。姿を変えろ』
『そうなのか?』
『
クトの一声と共に、コネクトは体長30センチほどの大きさに姿を変えた。ビャクティス同様、ルールーが抱いていても違和感の無い、可愛らしい姿である。
『お引き留めして申し訳ございませんでした、主よ。彼女たちのことは私にお任せを』
「ありがとよ、ビャクティス!」
「ワッカも、何かあったら『ゲート』で戻ってくるのよ!」
「気をつけて下さいね?」
「おう!」
エルゼ達の心配を受けながら、肩にコネクトを乗せたワッカが海へと入っていく。
「お、濡れねえな!」
ワッカの周囲1センチほどに魔力で造られた障壁が出来ている。コネクトの
ワッカはそのままズンズンと潜水していく。泳ぐというより、海の底を歩いていると行った方が正しいだろう。コネクトの言ったとおり、水中でも呼吸が出来るようにはなっているのだが、この状態は泳ぐことにはあまり適していないようだ。
「なあコネクト。この魔法障壁ってどのくらい頑丈なんだ?」
『そうねぇ。物理攻撃ならドラゴンの一撃でも大丈夫よ!魔法攻撃だと、相手にもよるけどねぇ』
『流石の我らでも障壁の限界を超えた一撃や、障壁自体を消滅させる魔法を使われるとどうしようも無いですからね』
コネクトが口々に説明する。何でもかんでも上手く行くわけでは無いようだが、遺跡までの道のりにはそこまで厄介な相手はいないだろうと考え、どんどんと進んでいく。
巨石群の場所まで到達し、探索を断念した階段のある建物が目前となった。ワッカは旧王都の遺跡でリンゼが使っていた光属性魔法「ライト」を使用し、地下への階段を下りていく。
階段を下りた先には大きな広間が待ち受けていた。中央には魔法陣が描かれた段があり、その周りを6つの台が囲んでいる。台にはそれぞれ赤、青、茶、緑、黄、紫の魔石が埋め込まれていた。それ以外には特に何も無い空間である。
「これは、旧王都の遺跡にあったのと同じギミックだな」
各色の魔石に対応した属性の魔力を流すことで作動するギミックである。
「やっぱり、無理に探索を続けなくて正解だったな」
そう言ってワッカはうんうんと頷く。彼は全属性の魔法を使えるものの、土属性と風属性は苦手としている。そのため、ギミックを作動させるのに時間がかかってしまうのだ。階段の直前で潜水時間ギリギリだった彼には、無理をしてこの広間までたどり着けたとしてもギミックを作動させ終えることが出来なかっただろう。
しかし今はコネクトのお陰で水中でも呼吸が出来る状態だ。ワッカは一つ一つ、魔石に対応した魔力を流し込んでいく。6つ目の台に対応する魔力を流し終えた所、中央の魔法陣が光を帯び始めた。何かが起こると思ったワッカはその場で待ってみるものの、以降の進展は全く無い。
「ん?全属性流し終えたよな?火、水、土、風、光、闇…、あ!」
ワッカは最後のギミックを解く方法を思いつく。無の力だ、ファファファ。彼が中央の魔法陣に立って無属性の魔力を流し込むと、魔法陣から急に激しい光が発せられた。
気が付くと、ワッカは綺麗な庭園の中にいた。色とりどりの花が花壇に咲き誇っており、小鳥が飛び交っている。彼の足下には魔法陣が広がっていたものの、それに無属性の魔力を流し込んでも何も起きない。
「転送…されたってのか?一方通行みてえだが…」
『ご主人様ぁ…、ココはドコかしら?』
「知らん、そんなことはオレの管轄外だ」
クトの質問にワッカが答えられないでいると、通路の向こうから誰かが近づいてきているのが彼の眼に入った。
「初めましテ。私はこの『バビロンの空中庭園』を管理する端末のフランシェスカと申しまス」
「お、おう…、お前…」
ワッカは自己紹介を忘れて少女の顔をまじまじと見てしまう。
「なンでしょウ?」
「なんで、パンツ丸出しなんだよ…?」
ワッカの言葉通り、フランシェスカと名乗る少女はスカートを穿いておらず、白いパンツが丸出しの状態だったのである。あえてツッコまない方が良いのかとも考えたが、無視したまま話を続けることが彼には出来なかったので、ダイレクトに尋ねることにした。
「なンでと言われましても…、義務?」
「と、とりあえず何か穿いてきてから話しかけて来てくれよ…。目のやり場に困るだろうが!」
「ぱんつは穿いてまスが?」
「そう言う問題じゃねえ!教えはどうなってんだ教えは!!」
ワッカは思わず大声を上げてしまう。ここまで話の通じない相手はベルファスト王国の国王以来である。なるべくならば少女相手に怒鳴り散らしたくは無かったが、この様子では難しかった。
「どーでも良いから何か穿いてくれっつってんだろぉがよ!」
「まア、そこまで言うのなら穿きますガ」
そう言ってフランシェスカは
「……何もしないんでスか?」
「しねえよ!さっさと穿きやがれ!」
「ちょっとダケなら触ってもいいでスよ?」
「大人をからかうモンじゃねえ!!」
ついにワッカは怒鳴り散らしてしまった。
ようやくスカートを穿き始めたフランシェスカを見ながら、ワッカは頭を抱える。彼女は国王とは違って、ワッカの怒鳴り声に一切ひるむ様子を見せない。反省している様子も見受けられないので、あと何回怒鳴り声を上げなければならないのかと考えると、頭が痛くなってきた。
「穿いたな…。なあ、ココってドコなんだよ?」
スカートを穿いたフランシェスカにワッカが尋ねる。まともな答えを返してくるか怪しい所だったが、
「バビロンの『空中庭園』でス。『ニライカナイ』と言う人もいまス」
としっかりとした答えが返ってきた。
「ニライカナイ…、八重の父ちゃんがそんな風に言ってたっけ?…て、今『空中』って言ったか?」
「こちらへどウぞ」
花壇の間の道に沿って歩くフランシェスカについて行くと、ガラス張りの壁が現われた。ここが庭園の終わりなのだが、壁の向こうは果てしなく雲が続いていた。
「マジかよぉ!浮いてんのかコイツは!!」
ワッカが驚きの声をあげる。リュックの父親であるシドが所有する
上を見上げてみると、ガラスで出来た天井の向こうに青空が広がっている。ガラス張りの庭そのものが空中に浮かんでいる状態なのだとワッカは理解する。こんな大がかりな施設を作り上げる意味が彼には理解できなかった。
「おい、ココは何のための施設なんだ?」
「ここは博士が趣味で造られた『庭園』でス」
「博士?」
「レジーナ・バビロン博士でス。私達の創造主でス」
「創造主?」
フランシェスカの言葉に対してオウム返ししか出来ないでいると、先程から黙って話を聞いていたコネが入ってきた。
『ご主人様。この者は人間ではありませぬ。命の流れが感じられません』
「は?ソレってひょっとして…」
ワッカは驚きの目をフランシェスカに向ける。
「お前、機械かよぉ!!?」
「全てが機械というわけではありませン。魔法で造られた生命部品や魔力炉も使われてイルので、魔法生命体と機械の融合体…とでも申しましょウか」
「う、う~ん?」
いきなり難しい話をされたので、ワッカは言葉を返せなくなってしまう。
「子供はできませンが、行為そのものは出来まスよ?」
「んなこと聞いてねえわ!!」
バカみたいな話に逆戻りし、ワッカもツッコミモードに入ってしまった。
「新品デスのに…」
「大人をからかうんじゃねえっつったろうがよ!!」
「先程もそう仰っておりましたガ、私がこの『空中庭園』の管理端末として造られたのは、今から5092年前のことデスよ?」
「ごっ…!!?」
途方も無い年数を口に出され、ワッカは再び返す言葉を失ってしまう。
「あなたは5070年ぶりのお客様デス。そう言えバお名前は?」
「あ、オレはワッカだ」
「ワッカ様。あなたは適合者としテ相応しいと認められまシた。これヨり機体ナンバー23、個体名『フランシェスカ』は、あなたに譲渡されまス。末長クよろしくお願いいタしまス」
「は?適合者?譲渡?待て待て!まるで意味が分からんぞ!」
フランシェスカは困惑するワッカを最初の魔法陣の所まで連れて行き、説明を始めた。
「あの魔法陣は普通の人では起動できませン。複数人での魔力を受け付けない仕組みになっていまス。あの転送陣を起動することのデきる者は、博士と同じ全属性の魔力を持つ者だけなのでス」
自分以外にも全属性の魔力を持つ者がいたのかとワッカは少し驚いた。
「博士は亡くなる前に、残される私達をこの転送陣を使ってやって来た者に譲渡することを決めましタ。それが5070年前のコトでス」
「なるほど、全属性の魔力を使えるオレは適合者ってワケか…」
「違いまスよ?」
「違うのかよ?」
「ワッカ様は私のぱんつを見ても、逆に隠すよウに言われまシたかラ、適合者でス」
「なんだそりゃ!?」
「大事なことでスよ?モしワッカ様が欲情に任せ、私に襲いかかってキタとしたら地上に放り投げていまシた。また何もせず、ぱんつ姿のまま放置されてイたとしてモ、ソレも不適合者として丁重に地上にお帰り願っていたでしょウ」
「アブねえ、危うく放置したままにするところだった…って絶対ウソだろソレ!どう考えても『全属性の魔力持ち』の方が話の流れとして合ってんだろうがよ!」
「他人を思いやる優しさ、それがなけレば私達やバビロンを任せられナイと、博士はこのよウな方法を考えついたのでス」
「いや、お前みてえなの造る技術力があるならもっと色々方法があんだろうがよ…」
「最終的には各自の判断に任せる、と言ってマシた。女に慣れた妙に優しすぎるフェミニストよりも…」
「ああ、もういい。お前とタイマンで話していても疲れるだけだわ」
話を打ち切り、ワッカは「ゲート」を開く。人間が自分1人の状況を終わらせたかったのだ。
ワッカは元の砂浜へと戻ってきた。
「お帰りなさい、ワッカさん」
「無事だったのね?」
「ああ、まあな…」
「それで、遺跡はどうだったの?」
リーンに尋ねられたものの、ワッカには説明が難しかった。あの妙な施設の説明はフランシェスカに任せることにして、早く皆を連れて行こうと考えた。
「バビロンの空中庭園ってトコに続いてたんだが、オレには上手く説明出来ねえ。つーわけで、そこまで今から連れて行くから付いてきてくれ」
そう言ってワッカが開いた「ゲート」に一行は飛び込んでいった。
その様子を遠くから、ビャクティスが察知出来ないほど遠くから1人の男が見つめていた。
「なるほど…。やはり
黄色いアロハシャツを着た男は、口元に笑みを浮かべる。
「《
そう言って男は、ワッカ達のいた方角に背を向け、どこかへと去って行った。
「また会う機会を楽しみにするとしよう…。では、さらばだ…」
書いてて頭が痛かった…。内容もさることながら、フランシェスカのセリフに一々カタカナが入っているので打ち込みが大変でした。