異世界はブリッツボールとともに。 ~異世界ワッカ~   作:3S曹長

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 前回の話で、コネクト(玄帝(げんてい))がビャクティスと同じようにマスコット大の大きさに姿を変えた旨の描写を忘れていました。申し訳ございませんでした。このままじゃアダマンタイマイくらいの大亀と一緒に遺跡に行った事になってしまう…。
 ちなみに玄帝の大きさを「アダマンタイマイくらいの大亀」と描写しましたが、これはFFXのアダマンタイマイを基準としています。間違ってもFFXVのアダマンタイマイだと思ったらダメだよ。


バビロン、そして口論。あとブリッツボール。

 ワッカによってバビロンの空中庭園へと連れて来られた一行は今、庭園を見て回っている。この空中庭園には植物園のようなエリアもあれば、噴水や花壇、池などもあり、かなりの広さのある施設だった。好きな人間にとっては心が落ち着く場所と言えるだろう。

 遺跡に行きたいと言っていた張本人であるリーンはと言うと、ワッカとフランシェスカの2人と共に辺りを一通り見て回った後、池のほとりにある東屋(あずまや)で休憩を取っていた。

 

「空中庭園…。古代文明パルテノの遺産とも言えるわね」

 

 リーンが辺りを見渡しながら感慨に浸っている。

 彼女の言う「古代文明パルテノ」とは、この世界において遙か昔に栄えた超文明のことである。様々な魔法、そしてそれによる魔法道具アーティファクトを生み出した文明なのだ。

 

「そんで、リーンのお目当てのモンは見つかったのか?」

 

 ワッカは改めてリーンに尋ねてみる。

 

「さあ。私は古代魔法をいくつか発見できたら良いなと思っていたのだけれど、それ以上のものが見つかっちゃったからね…」

 

「相変わらずマイペースなヤツだな…」

 

呆れたように言うワッカだったが、正直リーンの気持ちも分からないわけでは無かった。5000年以上に渡ってこの綺麗な庭園を維持できているということは、並大抵の技術で造られた庭園では無いということだ。リーンは元より、この世界の魔法に精通している学者も知らないようなオーバーテクノロジーがふんだんに使われているのだろう。そんなオーバーテクノロジーの結晶とも言えるこの施設を目にしてしまったのならば、本来の目的がどうでも良くなってしまうのは無理の無いことである。

 

「そう言や、ここは庭園以外の役割ってあんのか?」

 

 今度はフランシェスカに質問を投げかけるワッカ。

 

「いえ、何も。()()()()()()単なる空に漂う個人庭園でございまス。財宝も無ければ、これと言った兵器もございませン」

 

「そうなのか。ま、こんなに立派な庭が空を飛んでるってだけでも大したモンだがな」

 

「ありがとうございまス。しかし、このバビロンの空中庭園はすでにマスターのモノでございまス」

 

「マスターって…、オレのことだよな?」

 

ワッカは自分を指差しながら確認する。

 

「そうでございまス。この空中庭園(バビロン)を管理しているのは私にございまス。そして私はマスターのモノ、私のバビロンもマスターのモノ。つまり嫁入り道具でございまス。私のことは『シェスカ』とお呼びくだサい」

 

「そう呼んでやるのは良いけど、オレはお前を嫁にする気はねえからな」

 

 ワッカはズバッと断りを入れる。ユウナのガードとしての旅を経て機械嫌いを克服した彼ではあったが、機械に恋慕の情を抱くほどになったワケでは無い。それ以前に、フランシェスカのような意味不明な言動を連発する娘を嫁にしたのでは、恥ずかしくて周りに紹介することすら出来ない。ユミナとは違い、最初から嫁候補としては有り得ない相手だった。

 

「ねえ、シェスカ?」

 

 そんなことを考えていたワッカよりも先に、リーンが「シェスカ」呼びの第一人者となる。

 

「貴女さっき、『他のと違って』って言ってたわよね?つまり、この空中庭園の他にも同じようなバビロンの遺跡があるってこと?」

 

彼女はフランシェスカに鋭い眼差しを向けながら質問をぶつける。

 

「私の創造主であるレジーナ・バビロン博士が造った、空を飛ぶ島の名称が『バビロン』でス。現在はいくつかのエリアに分散されて世界中の空を漂っていまス。私の管理する『庭園』の他にも様々な施設があるのでス」

 

 フランシェスカが説明をしている最中に、庭園を見て回っていた他のメンバーも集まって来ていた。

 

「当時は『庭園』の他に『図書館』『研究所』『格納庫』『塔』『城壁』『工房』『錬金棟』『蔵』の9つがありましタが、現在いくつ残っているかは分かりませン」

 

「用途の分かる物と分からない物が入り混じってるでござるなあ…」

 

「私としては『図書館』に惹かれるわねぇ。古代文明の様々な知識が詰まってそうだし…」

 

「ていうか、そんな物が空に浮かんでいたら騒ぎになるんじゃない?」

 

 妄想を膨らませるリーンの横で、エルゼが至極まっとうな質問を投げかける。

 

「バビロンには外部から視認出来ないように魔法障壁が張られテいます。ですカラ、地上カラその姿を確認することは不可能でス」

 

「あの…、他の浮島とは連絡とか、取れないんですか?」

 

次に質問を投げかけたのはリンゼだ。

 

「残念ながラ他の姉妹とは現在リンクが絶たれていまス。障壁のレベルが高く設定されていルので、いかなる通信魔法も受け付けませン。マスターが許可しない限り下げられるコトは無いでしょウ」

 

「リンク…?それにマスターって何です?」

 

ユミナが首をかしげる。

 

「リンクとは『繋がり、連結』という意味でス。マスターとは『愛しの旦那様』という意味でス」

 

「おい!虚言をつつしめよ」

 

 ワッカがすかさずツッコミを入れる。

 

「マスターってのは『主人』って意味だろうがよ!教えはどうなってんだ教えは!!」

 

「…主人ってどういうこと、です?」

 

 リンゼが再びフランシェスカに質問をぶつけたが、先程とは彼女の様子が違う。眉間にしわを寄せ、詰問するかのような口調だった。

 

「ワッカ様にぱんつを見られ、身も心も捧げるコトになりまシた。故に、私のご主人様、マスターです」

 

「何だその説明は!ふざけんのも大概にしろぉ!!」

 

 怒りの余り、ワッカが椅子から立ち上がる。しかし彼は気付けないでいた。エルゼ、リンゼ、八重、ユミナの4人もまた、彼に怒りの目を向けていることに。

 その中からリンゼがワッカの前に進み出た。

 

「……ワッカさん」

 

「何だよ?」

 

「正座」

 

「ナンデダヨ!」

 

「いいですから!」

 

「ふざけんな!コイツの言うことを真に受けてんのか!?」

 

 普段大人しい人間の怒っている姿というのは、普通の人には持てない迫力を備えているモノだが、怒れるリンゼに対してワッカは一歩も退かない。ちなみにルールーに関しては「ワッカの幼なじみ」という関係上、例外である。

 

「いいか!?元はと言えばシェスカ(コイツ)がいきなりパンツ丸出しで俺の前に現われたんだよ!パンツ丸出しの自分をどう扱うかでオレが空中庭園のマスターに相応しいか決める、とか言う意味分かんねえ理由でな!」

 

「でも、見たのは事実じゃないですか!!」

 

「じゃあ教えてくれ!なあ、パンツ丸出しでいきなり現われる相手に対して、どうすればパンツを見ずにやり過ごせるってんだ!?言ってみろよ、実践してやるからよ!」

 

「それは…」

 

リンゼは言葉に詰まってしまった。「これから現われる相手はパンツ丸出しです」という第六感が働きでもしない限り、ワッカの疑問に答えることは不可能なのだから当然である。

 

「そこら辺にしときなさいな」

 

 言い争う2人の仲裁に入ったのは、先程から面白そうに成り行きを見ていたリーンだった。

 

「ねえワッカ。貴方のその態度、年下の少女に向けるには余りにも大人げないと思わない?」

 

「うっ…、むむむ…」

 

 ワッカは一旦冷静になる。そしてすぐに「確かに大人げなかったかもしれない」という気持ちになった。

 

貴女(リンゼ)はそもそも、何で怒る必要があるのかしら?」

 

「それは…その……」

 

「もしそれ以上怒るなら、貴女はきちんと彼との立場をハッキリしないといけないんじゃなくて?」

 

「……はい」

 

リーンの言葉を受け、リンゼは引き下がった。ワッカには彼女の言葉が理解出来ないでいたが、大人しく引き下がった様子を見ると何かしらの効果があったようである。

 エルゼが苦笑いしながらリンゼの肩を叩く中、ワッカはフランシェスカとコネクト以外の全員に顔を向ける。

 

「言い忘れてたオレも悪かったんだがよ…。シェスカ(コイツ)は初めて会ったときから意味不明な言動が多すぎるんだ。それも色欲絡みのモンばっかだからタチがわりい。てか、悪いのはシェスカじゃなくてシェスカを造った博士なワケなんだが…。ともかく、コイツの言動に対して一喜一憂するのは止めてくれ。オレも頭がいてえんだよ…」

 

彼の説明に対し、フランシェスカは涼しい顔をしたまま何も意見を言おうとしなかった。仮にも自分と、自分の創造主を悪く言われているのだが、流石は機械と言うところだろうか。

 

「ともかく、通信を阻害している障壁のレベルを下げるには、マスターであるワッカの承認が必要。でも彼は『空中庭園』のマスターでしかないから、他の施設に干渉することは出来ないってことね?」

 

「おっしゃる通りデ」

 

 話を戻すようにしてリーンが投げかけた質問に、フランシェスカはしっかりと答えた。

 

「5000年も漂流していて、他の方達に遭遇したことは無かったのですか?」

 

「二度ありまス。3028年前に『図書館』と、985年前に『蔵』と遭遇しまシた」

 

 ユミナの指摘は間違いとは行かなかったものの、確率は恐ろしく低いようだ。よほど幸運でも無い限り、ワッカ達が生きている間に遭遇することは出来ないだろう。

 

「結局、他の『バビロン』を見つけるにはそれぞれの転送陣を探すしかないのね…」

 

 他のメンバーよりも大分長寿なハズのリーンですら、ため息をつきながら呟くほどだった。

 

「他の『バビロン』の転送陣の場所は分かる?」

 

「分かりませン。そもそもマスター達がどこカラ来たのかも知りませんのデ。ちなみにこノ『庭園』の転送陣はドコに?」

 

「イーシェンの南海の底だ」

 

「イーシェン…?記憶にない土地の名でス」

 

 5000年前にはイーシェンという国は存在していなかったようである。

 

「そもそも何でこんな形に分散したのでござろうな…。世界中に散らばっている以上、一つに集めるなど不可能なのでは?」

 

「なぜ博士が『バビロン』を分割したのかは分かりませン。聞いたことも無かったのデ」

 

 八重の質問については「分からない」で返されてしまった。

 結局、今の状態では他の「バビロン」を見つけることは不可能なようである。リーンは一段と深いため息をつくのだった。




 茶色いソフトクリームの頭をしていそう。毛刈り隊Cブロック基地にいそう。ソフトクリーム屋でバイトしてそう。
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