異世界はブリッツボールとともに。 ~異世界ワッカ~   作:3S曹長

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 2ヶ月に渡って連載してきた「異世界はブリッツボールとともに。 ~異世界ワッカ~」、いよいよ最終回です。
 前書きにて多くは語りません。まずは、ワッカの最後の活躍をお楽しみください。


説明不足、そしてワッカの告白。あとブリッツボール。

「こ…ここは…?」

 

 エルゼが目を覚ますと、そこは王国の第三訓練場に併設された医務室のベッドの上だった。訓練場では日々激しい戦闘訓練が行われるため、怪我をした兵士を治療するための回復術士が常駐しているのだ。彼女のダメージも、既に魔法によって完治していた。

 

「お姉ちゃん!」

 

「大丈夫ですか?まだ痛みとかはありますか?」

 

 リンゼとユミナが心配そうな顔で声をかけてきた。

 

「大丈夫よ。もう平気。心配かけてゴメンネ」

 

「やられてしまった、でござるな…」

 

 隣のベッドから八重の声が聞こえた。彼女の方がエルゼよりも先に目を覚ましていたのだ。

 

「そうね…、相手にもならなかった、全然…」

 

「だから止めときなさいって言ったのに」

 

 そんな言葉を投げかけたのはリーンである。

 

玄帝(げんてい)に降参を言わせるワッカに、貴女達が敵うわけ無いじゃない。()()()()()()があるのなら、素直に伝えれば良かったんじゃなくて?彼なら困惑はしても、嫌な態度は示さないハズよ?」

 

「それは…、そう…だったわね…」

 

「確かに…、素直に言うべきだったでござるな…」

 

 リーンの言葉に反省を促されるエルゼと八重。そこで2人は重要なことに気付く。

 

「あれ?ワッカは!?」

 

「ワッカさんなら、1人にして欲しいと言って何処かに行ってしまいました…」

 

「……悪いコトしちゃった」

 

「後で謝らねば、でござるな…」

 

 その時、医務室にビャクティスとコネクトが走り込んできた。

 

『皆様、主を知りませんか!?』

 

『我らが屋敷の庭で昼寝をしている間に、位置が把握出来なくなってしまったのです!』

 

念話(テレパシー)も通じないのよぉ!どうなってんのぉ!?』

 

「何ですって!?」

 

 一行の中で唯一召喚魔法を使えるユミナが驚きの声をあげる。召喚獣は主と距離が離れていても念話(テレパシー)で会話が出来る。通常、どれだけ離れていても意思疎通が出来なくなることはあり得ない。

 

念話(テレパシー)が通じない距離というと、イーシェンですか?」

 

『いえ、イーシェンも王都(ココ)から大分離れておりますが、神獣(われら)が見失うような距離ではございません』

 

「どうしよう…」

 

「拙者達のせい…、でござる…」

 

 エルゼと八重に激しい後悔の念が襲いかかってくる。もし自分達のせいでワッカがいなくなってしまったならば、死んでも死にきれない。

 

「…とりあえず、手分けをして探しましょう!国王(おとう)様や公爵家にも通達をし、全力でワッカさんを探すのです!!」

 

 声を張り上げたのはユミナだった。他の誰にも負けないほど強く不安を感じていた彼女だったが、この場面でいち早く行動に移すことが出来るのは流石王女と言った所か。

 エルゼ達も後悔を押し殺して、ユミナの提案に従うことにした。行方不明のワッカ大捜索が幕を開けるのだった。

 

 

 

 

 

 時は少し(さかのぼ)る。「ゲート」をくぐったワッカが足を踏み入れたのは、懐かしきあの場所である。雲の上に浮かぶ和室という、何とも奇妙な空間だ。

 ワッカの目の前にいる人、否、神が煎餅(せんべい)を手にしたままポカンと口を開けている。

 

「うす、神様。わりいな、突然来ちまってよ」

 

「な、何だ、ワッカ(きみ)かね。来るなら来ると連絡してくれよ。と言うか、来れるとも思わなかったが…」

 

そう驚きの言葉を口にする神だが、そこは神様。驚きのあまり腰を抜かす、などと言ったマヌケな反応は見せなかった。

 

「オレもビックリしたぜ。(あんた)がくれたブリッツボールの力を借りれば『ゲート』でココまで行けるんじゃないか、なんて馬鹿げた発想を試してみたんだが…。まさか成功するだなんてな」

 

「ナルホドのう…」

 

「つーか、アンタに連絡するなんて不可能だろうがよ」

 

「そこはホレ、スマートフォンとか使って…」

 

「禁じられた機械を平気で使ってんじゃねえか!」

 

「まあそうじゃの。メタな話はここまでにしとくとするか」

 

 そう言って神はワッカに茶を勧める。ここでワッカはようやく、神が出した茶の種類が緑茶であることに気が付いた。イーシェンの滞在期間中、その名前を知ったのだ。

 

「それで、ここまで来たということは、何か事情でもあるのかな?」

 

「さすが神様、鋭いな。ちょっと相談があってな。他に話せる相手もいなくてよ」

 

「ふむ、まあ話してみなさい」

 

 ワッカは神に、これまでの出来事、そして年下の少女との付き合い方に関する悩み等を打ち明けた。

 

「リュックとはこんなことにならなかったんだけどな…。あ、リュックは知ってるよな?」

 

「当然知ってるとも。あの娘は良い子じゃったからのう…。確かに、今のお主の仲間達の方が少々おてんばに感じるかもしれんが…。でも、年頃の娘というのは往々にしてそういうモンじゃぞ?」

 

「そうなのか…。オレは悪いコトしちまってんのかな?」

 

「いやいや、その決闘とやらは向こうから仕掛けてきたことで、『手加減するな』とも言われたのじゃろう?なら悪いことをしたとは思わんがな。ただまあ、結婚の話については少し…」

 

 ここまで言って神は口をつぐむ。

 

「な、何だよ?」

 

「いや、恋愛のことなら専門家の話を聞くのが一番じゃろう。少し待ってなさい」

 

 そう言って神は、(かたわ)らにあった黒電話に手を伸ばす。ダイヤルを回し、誰かと会話する神の様子を、ワッカは興味深く眺めていた。スピラにも異世界にも黒電話は存在しないからだ。

 しばらくすると、和室を囲む雲海の中から桃色の髪をした1人の女性が姿を現した。外見年齢は20代前半といった所だが、この場にいるということは、やはり神なのだろう。

 

「お待たせなのよ」

 

 女性が、ワッカと神が囲むちゃぶ台の輪に入ってきた。

 

「えと、誰スか?」

 

「恋愛神じゃよ」

 

「初めましてなのよ。貴方のことは前々から気になって、時々覗いていたのよ」

 

 挨拶早々、恋愛神の口から衝撃の言葉が発せられた。

 

「えぇっ!?覗きぃ!?」

 

「このオジサマから話を聞いたのよ」

 

「あ、ああ、なるほど…。で、恋愛神って具体的には何をするんだ?まさか、無理矢理人間の結婚相手を決めてるんじゃないだろうな?」

 

「別に人の気持ちを操ったりはしてないのよ?ちょっと気持ちを盛り上げたり、恋愛におキマリのお約束事をしたり、そんなものなのよ」

 

「お約束事?」

 

「パンを咥えて『遅刻、遅刻~!』って叫びながら走っていると、曲がり角で見知らぬ同年代の異性とごっつんこ!学校でその人が転校生だと知ってそこから恋が…」

 

「全然分からん」

 

「確かに、貴方ならそうなのよ。貴方でも分かるものって言ったら、気になる異性の着替えを目撃してしまったり、または気になる異性に着替えを目撃されてしまったり…」

 

「単なるトラブルの種じゃねえか!教えはどうなってんだ教えは!!」

 

「まあ、貴方ならそう言うと思ったのよ。実際、この演出は貴方にもプレゼントしようと思ってたんだけど、フツーのガチ喧嘩に発展しそうだから止めておいたのよ」

 

「勘弁してくれ…」

 

「後はそうね…。『オレ、この戦いが終わったら結婚するんだ』とか言う奴は結婚できなくするのよ」

 

「何だと!?」

 

 恋愛神の言葉を聞き、ワッカの脳内に弟のチャップの顔が浮かび上がる。

 気付いたときには、彼はちゃぶ台から立ち上がって恋愛神に殴りかかろうとしていた。

 

「これこれ、落ち着きなさい!ミヘン・セッションの二の舞ではないか」

 

神がワッカを羽交い締めする。

 

「離してくれ!コイツがチャップの死を決めたってんなら、オレは一発ぶち当てねえと気が済まねえ!!」

 

「ちょ、ちょっと、チャップって誰なのよ?」

 

 恋愛神が困惑する。

 

「とぼけんな!オレの弟だ!アイツはシンとの戦いで死んだ!お前がそう決めたんだろ!?」

 

「知らないのよ。あ、もしかして、さっきのお約束のコトなのよ?言っておくけど、私がお約束を適用するのは、私の目に付いた人間だけなのよ。全ての人間に適応されるわけじゃ無いのよ」

 

「何?そうなのか!?」

 

「当然じゃろう。神とて全ての世界の、全ての人間の一挙手一投足を把握しているワケでは無い。手を下す相手は、目に映った人間だけじゃ」

 

2柱の神の説明を聞き、ワッカはようやく落ち着きを取り戻す。

 

「何だよ…、そういうコトだったのか」

 

「まあ、確かに彼女の説明不足ではカッとなっても無理は無いかもしれんがの」

 

「ちょっと、どっちの味方なのよ?」

 

 恋愛神が神に鋭い視線を向ける。

 

「いや、スマンスマン。ほれ、お主の好きな『魔法のパウダー付き煎餅』じゃ」

 

そう言って神は恋愛神に親指サイズの煎餅を差し出す。

 

「わあい『魔法のパウダー付き煎餅』、わたし『魔法のパウダー付き煎餅』大好き」

 

 よっぽど美味しい煎餅らしく、恋愛神は一瞬で機嫌を取り戻した。ワッカも気になり1つ口にしてみたが、ビックリするほど美味しかった。甘さとしょっぱさがウソのように絡み合って煎餅とマッチしている。魔法の粉についての詳細を知りたいところだったが、神曰くトップシークレットとの事である。

 

「それで、私を呼んだ相談事って何なのよ?」

 

 煎餅をほおばる恋愛神に対し、ワッカは自分の置かれている状況を説明する。

 

「別に、貴方は間違ったことは言ってないのよ」

 

 相談を聞いた恋愛神がワッカに自身の考えを伝える。

 

「そうか?」

 

「貴方が彼女達をまだ恋愛対象として見ることが出来てないのなら、ソレを伝えるのは決して悪いことじゃないのよ。むしろ、告白されたから好きなワケじゃないけど付き合う、なんて考える方が告白してくれた女の子達に失礼なコトなのよ?片方だけの幸せなんて恋愛じゃ無いのよ。両方が幸せにならないと意味が無いのよ」

 

「でもよ、昨晩のユミナとリンゼの表情…、とても納得してるようには見えなかったぞ?あれで本当にアイツらのためになったのか不安でよ…」

 

「2人が浮かない表情だったのは、貴方が説明不足なせいなのよ」

 

 恋愛神はそう指摘した。

 

「オレが説明不足?どういうことだ?オレはちゃんと自分の考えを…」

 

「説明不足なのはソコじゃないのよ。そもそも、貴方が結婚相手を軽々に決められなかったり、キスを拒んだりしているのは、ユウナとシーモアの件があったからなのよ?」

 

「知ってるのか?」

 

「まあ、スピラの世界では結構な大事だったからの」

 

 神が横から補足した。

 

「当然、私も知ってるのよ。ソレを踏まえて、貴方に言えることは、あの一件が自分の恋愛観に(かせ)を付けているならば、その事についてしっかり説明するべきなのよ」

 

 恋愛神の指摘を受け、ワッカに衝撃が走った。

 

「彼女達はシーモアのシの字も知らないはずなのよ。それなのに『恋人を軽々しく決めちゃいけないと知った出来事があった』って説明だけじゃ、納得しようとしてもしきれないのは当然なのよ」

 

「そ、そうか…。確かにそうだ!オレはシーモアの件についてアイツらに何の説明もしていなかった…。ソレがダメだったのか!」

 

心の暗雲が晴れ、ワッカは清々(すがすが)しい気持ちになった。

 しかし、それだけでは当然ダメである。彼は地上に戻り、ユミナ達に説明をしなければならない。

 

「答えは出たかね?」

 

「ああ、バッチリだぜ!ありがとよ!神様、恋愛神!」

 

「そうかね。それは何より」

 

「私の説明に納得して貰えて良かったのよ」

 

「それじゃ、早いとこ戻ってアイツらに伝えなくちゃな」

 

 ワッカは王都へ戻るために「ゲート」を開く。そんな彼に恋愛神が声をかけた。

 

「ちょっと待つのよ。私からもう一つアドバイスがあるのよ」

 

「アドバイス?」

 

ワッカが恋愛神に顔を向ける。

 

「決闘を申し込んだ女の子達、貴方に言いたいことがあって決闘に踏み切ったのよ?」

 

「らしいな」

 

「貴方が決闘に勝ったのは事実かも知れないけど、彼女達の言いたいことはしっかりと聞いてあげるべきなのよ」

 

「そりゃあ別に構わねえが…、え?恋愛神(アンタ)がそんなアドバイスするってことは、まさか…」

 

 流石のワッカも何かに気付いた様子である。その事を確かめるためにも急いで地上へ戻ることにした。

 

 

 

 

 

 王都に戻ったワッカは腰を抜かしそうになった。国の兵士達が馬車に乗って王都中を駆け回っていたからだ。

 

「以上がワッカさんの特徴である!何か知っているという者は至急、王国軍に一報を!」

 

ワッカは即座に、国王が自分を探していることに気付いた。国王が動くということは、ユミナが原因なのだろう。仲間達が自分を探しているのだ。

 

「おーい!!ワッカはオレだ!!」

 

 近くにいた兵士にワッカは急いで駆け寄る。

 

「わ、ワッカ殿!?無事でしたか!」

 

「オレはだぁいじょうぶだ!!」

 

「ユミナ王女が心配しておいでです。急いで王城へ!」

 

 ワッカは急いで王城への「ゲート」を開く。

 扉をくぐった先には、エルゼ、リンゼ、八重、ユミナ、リーン、ビャクティス、コネクトが待ち構えていた。

 

「ワッカ!」

 

「ワッカさん!」

 

「ワッカ殿!」

 

「ワッカさん!」

 

「ワッカ…」

 

『『『主!』』』

 

「お前らぅぶっ!」

 

ワッカの声が途切れる。エルゼ、リンゼ、八重、ユミナの4人が泣きながら抱きついてきたのだ。

 

「ごめん!ごめんね!!ワッカ!」

 

「無事で良かったです!ワッカさん!!」

 

「ゴメンでござるよぉ!ワッカ殿ぉ!!」

 

「心配しました…、本当に!!」

 

 4人の尋常じゃ無い様子を見て、ワッカは困惑する。

 

「おいおい、そんなに心配することじゃねえだろ…。ちょっくら別の所行っただけで…」

 

「だって、ビャクティスさん達が…、ワッカさんの位置を把握出来ないって言うものですから…!」

 

「あっ!!」

 

 ワッカは唖然とする。そんなことになるとは夢にも思わなかったのだ。

 

『突然居場所が分からなくなり心配しました、主よ』

 

『ビックリしたんだからぁ!』

 

『主よ、今までどこに?』

 

ビャクティスとコネクトが口々にワッカに声をかけた。

 

「あー、いや、ちょっくら知り合いの所にな!まさかお前らが見失うほど遠くとは思わなかったぜ、ハッハッハ…」

 

 戻って早々、誤魔化しを行うことになるワッカ。しかし、シーモアの件については誤魔化さず伝えようと心に決めていた。

 その前に、大騒ぎになっている王都をどうにかしなければならない。ワッカは至急、国王や公爵、屋敷の使用人達に謝罪をして回った。皆、ワッカの無事を安堵するだけで彼を責める者は1人もいなかった。自分の周りは心の温かい人物ばかりなのだと、ワッカは改めて気付かされた。

 朝からのドタバタによって、ワッカは疲れ果ててしまった。そんなわけで、皆への説明は明日に回すことにした。

 

 

 

 

 

 翌日、朝の支度を済ませたワッカは、エルゼ、リンゼ、八重、ユミナの4人だけを自室へと呼び出した。

 

「集まって貰ってわりいな。今日はオレから、お前達に説明しようと思っていることがあってよ」

 

「説明?」

 

ユミナが首をかしげる。

 

「モヤモヤにケリ付けてやろうと思ってな。と、その前に…」

 

 ワッカはエルゼと八重に顔を向ける。

 

「エルゼ、八重。お前ら、オレに言いたいことがあるんだろ?」

 

「「ええ!!?」」

 

指名を受けた2人が大声を上げる。

 

「ほれ、言ってみ?」

 

「「うう…」」

 

 少し戸惑いを見せた2人だったが、勇気を振り絞って告白する。

 

「わ、私もワッカのことが好きだったのよ!だ、だから私も…、リンゼやユミナと同じ立場に置いて…、置きなさい!」

 

「拙者も同じく!ワッカ殿を好きになったのでござる!!拙者も、リンゼ殿やユミナ殿と同じ立場に置いていただきたく!」

 

「そっか、なるほどな」

 

 ワッカは腕を組んで頷いた。リンゼとユミナは2人の告白を黙って聞いている。彼女達から口を出す気は一切無い。

 

「ありがとよ。まあ、オレの答えはユミナとリンゼと一緒だ。お前らのことを恋愛対象として見たことは無かった。だから、2人と同じ立場で良いってんなら、時間をかけてオレがお前らに惚れるよう頑張ってくれ」

 

「ワッカ…」

 

「ワッカ殿…」

 

エルゼと八重の目から涙がこぼれる。泣きながら喜ぶ彼女達の様子を、リンゼとユミナは嬉しそうに眺めていた。

 

「じゃ、次はオレの番だな!」

 

 ワッカは己の顔をパシンと叩く。

 

「オレもちゃんと、お前らに告白しなくちゃならねえ」

 

「「「「告白!!!!????」」」」

 

 4人が一斉に大声を上げる。

 

「ああいや、告白って愛の告白じゃねえぞ!?オレが結婚に慎重だったり、キスを拒む理由をしっかり話さにゃならんと思ってな」

 

 ワッカの説明を受け、4人はホッと胸をなで下ろす。

 

「じゃあ話すか。少し長くなるぞ」

 

 こうしてワッカは、4人に告白を始める。まずは「ガード」と「召喚士」について簡単に話し、自分が以前旅をしていた目的を説明した。その上で、召喚士ユウナとエボンの老師シーモアとの間に起こった一件の一部始終について、詳しく説明を行った。

 

「そんなことが…」

 

 ワッカの話を聞き終えたユミナが呟いた。

 

「そんなわけで、オレはお前らの告白に対して簡単に応じちゃいけねえと思ってるんだ。お前達の期待に添えねえみたいだけど…わりいな」

 

「そんなこと無いわよ!!」

 

 申し訳なそうなワッカに対し、エルゼが声を張り上げる。

 

「ワッカがお願いを聞いてくれただけで、私は十分幸せよ!」

 

「私もです!それに、話を聞いて納得出来ました!」

 

「拙者もでござる!」

 

「もっと早く話して欲しかった、と言いたいところですが、私もワッカさんの説明を聞けて良かったです!」

 

「お前ら…」

 

 ワッカは4人の顔を見つめる。

 そんな彼らに向かって、声がかけられた。

 

『それは辛かったでしょう…』

 

『ちゃんと言えたじゃない』

 

『聞けて良かったです、主』

 

声のする方向に目を向けると、ビャクティスとコネクトがリーンと供に立っていた。彼女の光属性魔法で姿を見えなくしていたのだ。

 

「まあた盗聴かよ…」

 

「良いじゃない。この子達も仲間なんでしょ?仲間はずれは可哀想じゃない」

 

 リーンが平然と答える。

 

「じゃあ何でリーンまでいるんだよ?」

 

「だって、元はと言えば『ニルヤの遺跡に行きたい』って私が言ったせいで起こった事でしょ?貴方達がしっかり和解したって所を見ないと、私が安心して王城に帰れないじゃない」

 

「そうか、お前なりに心配してくれてたんだな。ありがとよ、リーン」

 

「別に。お礼なんて良いわ」

 

 リーンはワッカ達に背を向ける。

 

「それじゃ、私は帰るわよ。後は仲間達だけで楽しくやって下さいな」

 

「リーン!!」

 

立ち去ろうとしたリーンにワッカは声をかける。

 

「もう一度、お礼を言わせてくれ。お前のおかげで楽しい冒険が出来た。また一緒にどこかに行こうぜ!」

 

「それじゃあ、私も仲間、ということね?」

 

「んあ?あぁ、さっきの言い方じゃお前が仲間じゃないみたいな感じだったな!すまん!お前も立派な仲間だぜ!」

 

 サムズアップするワッカの方をリーンが振り向いた。

 

「そう。じゃあ、また一緒にバビロンを探しましょう。貴方の『スリプルアタック』とか()()()()()()についても詳しく知りたいところだし」

 

「うぐっ!!」

 

 青ざめた顔をするワッカに、リーンはイタズラっぽい笑みを返した。

 

「それじゃ、またね」

 

 リーンが帰ったのを確認し、ワッカはため息を吐く。

 そして今一度、自分達の仲間に向き直った。

 

「つーわけでまあ、何か照れくさいけどよ!改めて、これからもよろしく頼むぜ!皆!!」

 

『はい、主よ!』

 

『がんばっちゃうわよぅ!』

 

『お任せを!』

 

「はい、ワッカさん!」

 

「よろしくお願いいたす!ワッカ殿!」

 

「私もがんばります、ワッカさん!」

 

「こちらこそよろしくね、ワッカ!」

 

「ありがとよ~!お前ら大好きだぜ!!」

 

 ワッカは顔いっぱいに笑みを浮かべた。

 

 こうして、ワッカの異世界での冒険は続いていくのであった。そう…

異世界はブリッツボールとともに。

 

「異世界はブリッツボールとともに。 ~異世界ワッカ~」 完




 ここまで読んで下さり、誠にありがとうございました。「異世界はブリッツボールとともに。 ~異世界ワッカ~」これにて終了でございます。

 2カ月間に渡って連載を続けてきた当作品ですが、皆様の支えもあって、こうして完結を迎えることが出来ました。
 思えば、連載開始時はまだワッカブームの最中でしたが、今ではもうスッカリ熱が冷めてしまった様子です。ニコニコ動画のワッカ動画も再生数の伸びが乏しくなりました。
 「異世界はスマートフォンとともに。」のワッカMADがあったら面白いのに、という考えから始めた当作品ですが、そんなMAD動画は(つい)ぞ出ませんでしたね(笑)小説化に踏み切って正解でした。

 最後になりますが、改めまして、当作品に評価をして下さった皆様、感想欄に感想を書いて下さった皆様、ここすき(仮)して下さった皆様
そして何より、当作品を愛読して下さった皆様
本当に、本当にありがとうございました。
 ブームが下火になってもなお、当作品を書き続けることが出来たのは、ひとえに皆様のおかげでございます。感謝してもしきれません。この2カ月間は私にとっても大きな財産になることでしょう。
 そしてこの作品が、読んで下さった皆様の心の片隅に少しでも残ってくれれば、これほど嬉しい事はございません。
 
2022年8月24日 3S曹長より
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