異世界はブリッツボールとともに。 ~異世界ワッカ~   作:3S曹長

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 感想欄にコメントして下さる方々、本当にありがとうございます。皆さんのコメントを拝見し、返信をする。この一連の流れが当作品を作るモチベーションに繋がっております。
 先程感想欄を見直していたところ、縦読みに気付かずマジレスで返している箇所がございました(笑)ただ、私自身上手な縦読みで返信出来る才能が無いので、これからも縦読みコメントには普通に返信していくことになると思います。
 それと、感想欄に関してもう一点。私自身は感想欄のGOOD及びBAD評価には一切手を付けておりません。私が感想を見て感じたことは直接返信で返すようにしているからです。ですから感想コメントについている評価は、感想欄を見た第三者からの評価ということになりますのでよろしくお願いします。


オーバードライブ技、そして治療。あとブリッツボール。

「そういえば、ワッカ殿。一つ聞きたいことがあるのでござるが?」

 

 リンゼにリボンを付けなおして貰った八重が言った。

 

「何だ?」

 

「以前ワッカ殿が言ってた、ビサイ(なにがし)とは一体何なのでござるか?」

 

八重の質問を聞いたエルゼが、それ見たことかと言いたげにワッカにジト目の視線を向ける。当のワッカはそんなことは意にも介さず正直に答える。

 

「ビサイド・オーラカな。オレの故郷ではブリッツボールって球技が流行っていてな、ビサイド・オーラカはそのチーム名だ。オレはそこで選手兼コーチを…、やってたんだな、うん」

 

やってた、と過去形で説明しなければならないのは彼にとって寂しいことだった。しかしこの異世界にブリッツボールが存在しない以上、仕方がない。

 

「それだけじゃ無いわよ」

 

エルゼが横槍を入れる。

 

「ワッカは戦いにもブリッツボールを使ってるんだから!」

 

(いくさ)(たま)を!?」

 

「ああ、コイツだぜ」

 

 ワッカは八重にブリッツボールを見せつける。

 

「ああ、そう言えば拙者を助けてくれたときも、その球を使っていたでござるな。しかして、荒くれ者との戦いならいざ知らず、魔獣との戦いでもその球で戦うのでござるか?」

 

「そう思うのも無理ないわよねぇ。私も最初はそう思ったし。でも一度ワッカの戦いを見たらビックリするわよ」

 

「そうなのでござるか?それは是非とも拝見したく」

 

「私も早くこのグリーブの使い心地を試してみたいわ」

 

エルゼは自身の荷物に入っている()()を取り出しながら言った。グリーブとは足に装着する鎧のことである。魔獣討伐依頼で得た金を貯めて購入していたのだ。これによって今までのガントレットによる手での格闘に加え、足を武器とした戦闘も可能になったのだ。

 

「へえ、そんなモン買ってたのか」

 

「そうよ。あ~あ、魔獣の群れとかでも飛び出してこないかしら」

 

 そんなエルゼの期待に背くかのように、王都への道中は平和そのものであった。どこまでも続く青い空、緑の草木、小鳥のさえずり、風に乗ってやってくる鉄のような血の臭い、誰かの悲鳴…。

 なんで平和な道中に、血の臭いや悲鳴があんだよ。

 だって、この先で戦闘が発生してるし。

 

「おい!今悲鳴が聞こえなかったか!?」

 

 真っ先に異変に気付いたのはワッカだった。

 

「本当だわ!」

 

「血の臭いもしませんか?誰かが戦ってます!」

 

「確かめるぞ!八重、とばしてくれ!」

 

「合点承知!」

 

四人を乗せた馬車は戦いが起きている場所へと急いだ。

 

 現場では熾烈な争いが繰り広げられていた。十匹を優に超える武器を持ったリザードマンに対し、三人の兵士が戦っている。兵士達は豪華な馬車を守っているようで、その様子はまさに防戦一方であった。

 

「見えたぜ!リンゼ、攻撃魔法だ!」

 

ワッカはリンゼに指示を出し、手にしたブリッツボールを必殺モードに変化させる。

 

「球が変わったでござる!?」

 

八重が驚きの声をあげるのと、リンゼの攻撃魔法の詠唱はほぼ同時だった。

 

「炎よ来たれ、渦巻く螺旋、ファイアストーム」

 

リザードマンの群れの中心から炎の竜巻が巻き起こる。

 

(うな)れ!ブリッツボール!!」

 

炎にひるんだリザードマンに対してワッカがブリッツボールを投擲(とうてき)する。緊急事態であることを察し、あえて「ライブラ」は使わない。

 近接戦闘員のエルゼと八重もリザードマンの群れへと駆け出す。ブリッツボールがリザードマンに当たり、ワッカの方へと戻っていく。二人はボールの軌道を邪魔しないよう考慮しつつ、敵へと肉薄した。ワッカも駆けだした。ボールの帰りをただ待つのでは無く、自ら近づくことで早く次の攻撃に移るためだ。

 八重の刀の一閃により、2体のリザードマンから血が噴き出す。エルゼのガントレットの一撃でリザードマンが吹き飛ぶ。二人の攻撃の届かない位置にいた相手にはワッカのブリッツボールが命中し、石化後砕け散った。リンゼも後方から氷の魔法で援護する。

 

「数が多いわ!」

 

「うし、攻撃を変えるか!エルゼ!八重!左の方にいる敵を頼む!」

 

 ワッカの支持を受け、二人が左に移動する。必然的に右側の敵が空くことになるのだが、そちらの敵に向けてワッカはブリッツボールを()()()()()()()()()()()

 

「そおら!!」

 

刃物(エッジ)の付いたブリッツボールは回転ノコギリのようにリザードマンの腹を次々と切り裂いていく。ボールは敵を斬りつけたことで軌道を変え、意志を持っているかのようにワッカの元へと戻っていった。エルゼと八重も攻撃を続けているが、その間にも新手のリザードマンが次々湧いてきた。

 

「もう、どんだけ出てくれば気が済むのよ!」

 

エルゼがリザードマンを蹴り飛ばしながら文句を言う。その時、誰かの声が群れの奥から聞こえた。

 

「闇よ来たれ、我が求むは蜥蜴の戦士、リザードマン」

 

「なんか聞こえなかったか!?」

 

「召喚魔法だわ!」

 

エルゼがワッカに答える。

 

「奥にいる人間が、召喚魔法でリザードマンを呼び出してる!」

 

「数が多いのはそのためでござるか!」

 

敵勢力の(かなめ)は分かった。しかしそこまで辿り着くには大量のリザードマンをどうにかしなければならない。

 

「よし、()()の出番だな!エルゼ!八重!少しの間時間稼ぎしてくれ!」

 

「分かったわ!」

 

「承知!」

 

 リザードマンの群れを少女達に任せ、ワッカはブリッツボールを手にしたまま膝を曲げ、背中を丸める。力を溜めだしたワッカの側に()()()()()()()()()()()()()。三つ並んだリールが回り出し、左のリールが最初に止まる。

 

2HIT

 

続いて真ん中のリールが止まる。

 

2HIT

 

そして最後に右のリールが止まった。

 

MISS

 

全てのリールが止まるやいなや、ワッカは体を(ひね)り、その場でコマのように回転し始めた。

 

「アタックリール!!」

 

ドッ ドッ ドッ ドッ

 

エルゼと八重が音のした方向に目を向けると、四つのブリッツボールがそれぞれ敵に命中していた。

 

「え?ワッカってそんなにたくさんボール持ってたの?」

 

そう言ってエルゼがワッカの方を振り向くが、彼の持つブリッツボールの数は変わっていなかった。

 

「悪い!久しぶりだからミスっちまった!もう一回時間稼ぎ頼めるか!?」

 

「え、ええ!」

 

 ワッカの頼みを聞き、敵との戦闘に向き直るエルゼ。ワッカも力を溜めなおす。

 

「次は失敗しねえ!」

 

再びリールが現われ回転し始める。

 

2HIT

 

左のリールが止まり、次は真ん中のリール。

 

2HIT

 

最後に右のリールが止まる。

 

2HIT

 

「2HIT」が三つ(そろ)った。

 

「うし、成功だ!!エルゼ、八重!オレの後ろに下がれ!」

 

 ワッカの声を聞き、エルゼは前方の敵を蹴りつけながら後ろに跳ぶ。八重も前方の敵を切り倒しつつ後退した。ワッカは再びコマのように回転する。

 

「もう勘弁しねえぞぉ!?アタックリール!!」

 

ワッカの後ろまで後退した二人は、「アタックリール」の全容を目にした。

 高速回転するワッカから次々とブリッツボールが発射され、リザードマンを蹴散らしていく。しかしよく見るとワッカの持っているボールは一つだけだ。ボールを投げ、敵に当たり、返ってきたボールをキャッチし、また投げる。この一連の流れを回転の勢いそのままに高速で繰り返すことで、ワッカからたくさんのボールが発射されているかのように見えたのだ。

 これぞワッカのオーバードライブ技「アタックリール」。リールで止めた「HIT」の分だけ攻撃を行える特技で、リールが揃えばさらに攻撃回数が増加する。彼を最強たらしめる奥の手だ。

 ワッカのアタックリールにより、リザードマンの群れは瞬く間に全滅。奥に隠れていた召喚士が丸見えになる。

 

「なっ…」

 

身を守っていた盾を失い、召喚士は動揺する。

 

「や、闇よ来たれ、我が…」

 

「させねえ!スリプルアタック!」

 

「ぐおっ」

 

召喚士は再びリザードマンを召喚しようとしたが、一瞬の隙が勝負の分かれ目。ワッカの投げたブリッツボールが詠唱途中に命中し、敗北を喫することとなった。

 眠りについた召喚士に八重が近づく。

 

「お覚悟」

 

「え、ちょ待…」

 

ワッカが静止する前に、彼女は召喚士の首を刀で()ねてしまった。赤い血を地面に残しながら首がゴロゴロ転がっていく。

 

「悪は即刻滅ぶべし」

 

「あ、あ~あ」

 

「どうしたでござるか、ワッカ殿?」

 

「いや、そのままとっ捕まえてりゃあ、目的とか色々聞き出せたのによ…」

 

「な、しまった!面目ない!!」

 

「いや、済んじまったからしょうがねぇんだけどな」

 

そんな会話をしていた二人の元にエルゼとリンゼ、そして先程までリザードマンと戦っていた兵士達が集まってきた。

 

「すまん、助かった…」

 

「良いってことよ!それより、そっちは大丈夫だったのか?」

 

「護衛兵10人中7人がやられた…。くそっ!もっと早く気付いていれば…」

 

改めて辺りを見渡してみると、リザードマンの死骸に混じって倒れた兵の姿もあった。

 

「だれか、だれか来てくれ!!(じい)が!爺が!!」

 

 少女の悲鳴が聞こえた。声の主は兵士達が守っていた豪華な馬車の中にいるようだ。ワッカ達が馬車の扉を開けると執事服を着た老人が胸から血を流しながら仰向けに倒れている。傍らには10歳くらいの金髪の少女が泣いている。

 

「誰か爺を助けてやってくれ!胸に…矢が刺さって…」

 

「おし!待ってな、今助けてやる」

 

ワッカが馬車に乗り込み、回復魔法をかけようとした。しかし近くにいたリンゼがそれを止める。

 

「ダメですワッカさん!このまま回復魔法をかけても、体内に入った矢が残ってしまいます!」

 

「何だと!?」

 

ワッカは頭を抱える。矢を残したまま回復魔法をかけるわけにはいかない。だが無理に取り出そうとすれば傷が開き、この老人は死んでしまうだろう。少女は泣きながら震える手で老人の手を握る。

 

「爺、爺!!」

 

「お…お嬢様…。お別れでございます……。このレイム、お嬢様と共に過ごした日々を…ゴホッゴホッ」

 

「死ぬなっ!死んではならぬ!爺!!」

 

「くそっ」

 

ワッカが拳を握る。老人の体内にある矢を取り出せればどうとでもなるのに。何か手は無いものか。

 

「あ、そうか!」

 

「ワッカさん?」

 

「矢を取り出せばいいんだろ?だったらあの魔法だ!」

 

ワッカは老人の胸の傷から少しだけ見える矢の一部を凝視する。

 

「アポーツ」

 

ワッカが魔法を唱えると、彼の手に先程まで老人の体内にあった矢が血まみれの状態でワープしてきた。成功を確認し、ワッカはすぐさま回復魔法をかける。

 

「ケアルガ!!」

 

ワッカの世界における最上級回復魔法だ。みるみるうちに胸の傷が塞がっていく。

 

「……おや、痛みが引いて…?痛くない?胸の傷が、治っておりますな…」

 

「爺!良かった…無事で良かった…!!」

 

「お嬢様…!ご心配をおかけしました」

 

 抱き合う二人を見て、ワッカ達はほっと胸をなで下ろすのだった。




 原作ではエルゼは最初の依頼の時にグリーブを購入していたのですが、当作品では忘れていたのでこのタイミングで出しました。

 ワッカがFFXで最高火力持ちと言われるのは、今回登場した「アタックリール」があるからです。どんな技なのか気になる人はYouTubeでご確認ください。
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