英雄王セイハク   作:ディヴァ子

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勇気ある英雄諸君に、最新の情報をお届けしよう!

溶岩洞に現れる、ドス古龍が1体、炎王龍「テオ・テスカトル」。童貞を拗らせ、自棄っぱちに溶岩洞の生態系を踏みにじる。武器しか担げない男、セイハクに勝利の女神(コミツちゃん)は微笑むのか!?

《英雄王セイハク》

「爆鎮完了!レスキューファイアー」

FINAL STAGE 承認!

『「操竜」:これが勝利の鍵だ!』


爆鎮完了!レスキューファイアー

 よぉ、俺だ。ハンター見習いのセイハクだ。

 ……とは言うけど、俺って結構やれると思うんだよね。少なくとも、プロハン様(笑)よりは。その辺の大型モンスターなら無傷で勝てるし、何なら今まで武器以外は装備した事無いし。

 そう、俺は何時も私服の着物姿だ。防具は一切付けていない。無くても勝てるし、戦いの空気を肌で感じられるからな。意外と大事な事よ、これ。

 ――――――さて、そんな俺だが、現在「溶岩洞」へ狩猟に訪れている。

 俺の生まれ育ったカムラの里からは少し離れているが、砂原や寒冷群島よりは近いし、何よりレアメタルの名産地なので、ハンター御用達の場所でもある。もちろん、俺もよく来ている。鉱石系の武器に使うからね。

 だが、俺は大体の武器を作ってしまっているので、正直そっちには用がない(金策としては重宝しているが)。今回の獲物は何と、かの有名な炎王龍「テオ・テスカトル」である。どうやら最近ここらを根城にしている個体が居るらしく、容赦無く生態系を破壊しているので、お前ちょっと行ってぶっ殺して来い、との事。

 ……流石にそこまでド直球には言わなかったけど、大体そんなニュアンスでクエストを張り出してましたよ、ミノトさん。あの人、表向きはクールビューティーで通ってるけど、意外と感情豊かだよなぁ。何かに付けて「お姉様 」って感じだし、表情に出ないだけで割と怒りっぽいし。あと、絵が下手くそ過ぎる。俺はそんなに嫌いじゃないけどね、あのゆるキャラ。

 まぁ、それはさておき、兎にも角にも炎王龍だ。

 テオ・テスカトルは俗称として「ドス古龍」に分類される種族であり、赤いライオンとドラゴンを組み合わせたような姿をしている。生態もそれに準じており、気紛れで凶暴だが、平時は毛繕いをしながら欠伸をするなど、アイルーと大して変わらない、馬鹿デカい猫って感じである。

 だが、戦闘になると一変し、口から爆炎を吐きながら、猛烈な勢いで突進や猫パンチを繰り出して来る。それに乗じて体温も急上昇し、「龍炎」という焔を纏う程の高温になる為、近付く事さえ困難な強敵だ。

 最大の特徴は、老廃物を利用した「塵粉」という物質をばら撒き、四方八方に粉塵爆発を引き起こす事で、最大出力の物は「スーパーノヴァ」と別称され、自身を中心とした周囲の物を1つ残らず吹っ飛ばす、とんでもないハジケ野郎である。

 ちなみに、この“野郎”というのは比喩でも罵倒でもなく、テオ・テスカトルが雄しか居ない事を意味している。雌の方は「ナナ・テスカトリ」と呼ばれていて、こちらは青いライオン(顔はジャガー)とドラゴンという組み合わせで、「炎妃龍」と呼称される。こいつもまた凶暴で我儘な、猫まっしぐらな奴だ。

 しかし、何かと番いにされがちな猫龍たちであるが、溶岩洞に棲み付いている個体は独り身である。モテないんだろうか。夫婦が揃うとリア充が爆発するから、独身でOKなんだけど。

 つーか、俺がまだコミツに告白出来て無いんだから、お前も自重しろよ(暴論)。

 

『キュァアアアッ!』

 

 おっと、アホな事を考えていたら、「エリア5」で別の鴛鴦夫婦の片割れに出遭ってしまった。雌火竜「リオレイア」だ。飛竜の癖に地上戦が得意なおかげで「陸の女王」とか呼ばれているが、俺にとっては相手にもならない雑魚でしかない。

 だが、俺の敵としては役不足だが、乗り物としては便利だから、今すぐ尻に敷いてやろう!

 

(セイ)()(クウ)ぅ!」

『キュアアアン!?』

 

 とりあえず、練気を赤まで持って行き、さっさと操竜したった。太刀という武器は練気(※敵の返り血を刃が吸い取る事で溜まるゲージのような物。武器の威力を増す効果がある)ありきなので、操竜する前にしっかりと溜めておこう。

 さぁ、陸の女王を乗り熟して、「エリア12」で呑気に昼寝してるっぽいテオ・テスカトルに人竜一体の攻撃を食らわしてやる。

 

『キュァアアアッ!』『ガヴォッ!?』

 

 寝起きの1発は火炎弾。先ずは炎やられにする事でスリップダメージを与え、良い感じの所でサマーソルトに切り替えて、大ダメージを叩き込みつつ毒状態にしてやるのである。

 おーら、ドンドン行くぞ!

 

『ガルヴォッ!』『キュァッ!?』

 

 あっ、しまった、避け損ねた。クソーッ、反撃を食らい過ぎると操竜が解かれちまうから、気を付けねぇとな。

 おら、カウンターからのサマーソルトを、食らいやがれッ!

 

『キュルァアアアッ!』『ガヴォルァッ!?』

 

 さらに、敵が隙を晒した所で、リオレイアの大技を決めてやる。2連続のサマーソルトはきつかろう!

 

「えい」『グヴォッ!?』

 

 そして、リオレイアが戦略的撤退を為し、テオ・テスカトルが引っくり返ったタイミングを見計らって、拾っておいた「クグツチグモ」をけし掛ける。クグツチグモは“糸玉を当てた相手を強制的に操竜待機状態にする”という能力を持った環境生物で、糸玉の命中率は銀河系レベルでクソエイムだけど、こうして当てる事さえ出来れば、絶大なアドバンテージを生み出してくれる、まさに一発逆転の切り札だ。

 さーて、待機状態が解けない内に大タル爆弾Gを2つ置いて、

 

「スラッシュ!」『グボォッ!?』

 

 切り抜け様に大爆砕し、そのまま操竜してやったぜ!

 しかし、こいつは狩猟対象なので、操る旨味はあまりない。という事で、「エリア8」でノソノソ歩いている火竜「リオレウス」に突撃しよう。先に壁ドンして、ダメージを稼いでおく事も忘れない。

 

「突撃、となりのテオにゃん!」

『ガヴォァッ!?』『ギュァッ!?』

 

 さぁさぁ、火竜操作のお時間だぁ!

 リオレウスはリオレイアの対となる雄個体であり、「空の王者」の異名を取る程に飛行能力が高い事で有名である。火力も彼の方が数段上で、遥か高みから一方的に火を吐くチキン戦法を得意としている。こう書くと何か卑怯な雑魚みたいだな……。

 しかし、その強さは本物だ。とりあえず強力な火炎ブレスを出しているだけで、炎やられを上書き出来る程の、圧倒的な火力を誇る。

 

『ガヴォルァッ!』『ギヴェェッ!?』

 

 まぁ、その分隙がデカいのが難点だがな!

 空の王者が、猫パンチで落とされるんじゃないよ!

 だが、まだ慌てるような時間じゃない。翔蟲たちはまだまだ元気だから、攻撃出来るチャンスはタップリとある。

 抵抗など、無駄無駄無駄ァッ!

 

『グヴォォッ!?』

 

 よしよし、ようやく倒れたか。大技も決めちゃうよー。

 

『ギュヴァアアアッ!』『ゴボァッ!?』

 

 うんうん、漲ってるね、リオレウス。

 たぶん、さっきのリオレイアと彼は番いで、2竜は溶岩洞の先住民だったんだろうな。そこに暴れん坊なテオ・テスカトルが来て、ほとほと困っていたと。

 そんな時に俺がやって来たんだ、渡りに船だったろうな。両者共、最初は嫌がってたけど、すぐに身を任せてくれたし。

 安心しろ、お前たち。このおニャン子野郎は、派手にぶち殺してやるからよぉ!

 

「はぁあああああっ!」

『グヴァアアアアッ!?』

 

 操竜が終わり、リオレウスが退却し、テオ・テスカトルがダウンから復帰するタイミングで、兜割りを叩き込んでやった。

 

「フンッ!」『グヴッ……!』

 

 さらに、疾替えで桜花鉄蟲気刃斬を発動。怒りの粉塵爆発の中を華麗に斬り抜け、奴の後ろを取る。

 

「……滅鬼刃、禄ノ型「上弦」、弐肆ノ型「下弦」!」

 

 そして、俺独自の太刀筋(・・・・・・・)である「滅鬼刃」を繰り出し、練気を素早く溜めていく。これは“独特の呼吸”を交える事で、双剣の「鬼人化」が如く身体能力を高め、練気の上昇率を上げるスタイルである。ある種の呼吸法と言い換えても良い。

 今の所俺にしか使えないので、師匠であるウツシ教官からも太鼓判を押されている妙技だ。

 まぁ、それでも「弓には及ばないようだけどね」とか言われちゃってるけどな!

 俺の適正武器って、本来は弓みたいなんだよね。カッコ良いからこっちを使ってるけど。一応、現場には必ず持ち込んではいるので、ノーカン、ノーカン。オトモアイルーの「ギャレオン」には苦労を掛けます。何時も『いい加減に弓は自分で背負えニャ』と言われてるけど、どうしても太刀が使いたいんです、ハイ。

 

『グヴォォォオオオオオオ!』

「おっと……」

 

 とか何とか言ってたら、テオ・テスカトルがスーパーノヴァを発動して来た。見た目は派手でカッコ良いけど、翔蟲で素早く逃げられるカムラのハンターにとっては、大した脅威じゃないのよね。当たったら即死だが。

 ……さてはて、ここらで本来のスタイルに戻りましょうか。

 

「ギャレオン!」

『持ってけドロボーニャ!』

 

 テオ・テスカトルが必殺技を放って疲れている間に、ギャレオンから弓を受け取る。そろそろ止めを刺して進ぜよう。

 

「アリーヴェデルチ!」

『ドウテェエエイッ!』

 

 という事で、後はチクチクと矢を放てば、テオ・テスカトルは殆ど見せ場が無いまま、その命を終えた。モテない男の最期は、何とも言えない哀愁を漂わせている。童貞だったんか、お前。来世では、ちゃんと結婚しとけよ。

 

「さてと……」

 

 どうにも物足りないけど、素材を集めて、さっさと帰ろう。

 

『ガォガォ』『ゲロォン!』『ケロロ~♪』

 

 ちなみに、ここでのペット枠はフロギィ三兄弟。こいつらもまた“はぐれ”であり、俺の倒したモンスターのお零れを期待している、姑息な連中である。有事の際には多少の協力はしてくれるから、別に良いんだけどね。

 

「それじゃあな、お前ら。勝手に死ぬなよー」

『『『ハヴォオオン!』』』

 

 こうして、古龍を通常モンスター並みの手軽さで倒した俺は、溶岩洞に別れを告げてカムラの里に帰還するのだった。

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

「あ、セイハクくんだぁ~。りんごアメ、たべる~?」

「お、おう! 腹が減っては戦も出来ぬって言うしな!」

「ハンターでもないのに、なにいってんの~?」

「うぐっ……!」

 

 ……俺、頑張るよ、テオ・テスカトル!

 未だにコミツにはハンター修行しているのは内緒だし、何なら全然想いを伝える勇気が湧かないけど、それでも俺は頑張るぞ!

 そして、何時かは必ずテオ・テスカトル(おまえ)が羨むような、リア充になってやるんだぁ!

 

『……本当に戦う才能しかない男だニャ~』

「黙れ猫」




◆テオ・テスカトル

 古龍目炎龍亜目テスカト科に属するドス古龍種。別名は「炎王龍」、「炎帝」。
 赤いライオン+ドラゴンというカッコ良さてんこ盛りの姿で、その見た目通り、火炎を吐き散らかし、猫パンチで攻撃してくる他、触れるだけで火傷を負わされるという厨二心を擽る能力も持ち併せている。雌個体はナナ・テスカトリ(別名「炎妃龍」)と呼ばれる。
 古くなった組織片(つまり垢やフケ)である「塵粉」を利用して粉塵爆発を引き起こす事ができ、最大の必殺技である「スーパーノヴァ」は周囲一帯を文字通り灰燼に帰す威力を持つ。老廃物を再利用しているだけなので、ほぼ無尽蔵に増産出来る為、ガス欠に陥らせるのは不可能であり、テオ・テスカトルと戦う際は、常に周囲が大爆発すると考えておく位の慎重さが求められる。
 ちなみに、ネコ科がモチーフなので、毛繕いをしたり、欠伸をしてからお昼寝するなど、平時の姿はまんまデカい猫である。
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