英雄王セイハク   作:ディヴァ子

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勇気ある英雄諸君に、最新の情報をお届けしよう!

氷属性の癖に砂漠に舞い降りるという、不思議な事を仕出かすドス古龍、「クシャルダオラ」。報酬の「コミツチケット」とは(マジで)一体何なのか。大空を割って、赫しき閃光が煌めく!

《英雄王セイハク》

「Vagabond〜風とさすらいの日々〜」

FINAL STAGE 承認!

『「ドクガスガエル」:これが勝利の鍵だ!』


Vagabond〜風とさすらいの日々〜

 よぉ、俺だ。ハンター見習い(笑)のセイハクだ。

 いやさぁ、そろそろ“見習い”を取り消しても良いと思うのよ。古龍も倒したし。なのに、どうしてハンターにしてくれないんですかね、ウツシ教官!

 

「君が童貞だからだ!」

 

 ふざけるなよ貴様。アンタも童貞だろうが。最近アヤメさんが帰って来たからって、舞い上がりやがって。死ねリア充……と言いたい所だが、喜ばれるだけなので黙っておく。沈黙は美徳なのだよ。

 それじゃあミノトさん、前回の功績に免じて、ハンターの資格をくれませんかね!?

 

「手続きを踏んでないので駄目です」

 

 大人の事情を持ち込むなよ。ヒノエさんの頬張りショット写真、もうあげないぞコラ。

 

「……そうですね、ちょっとゴコク様に相談してみましょうか」

 

 現金過ぎるだろアンタ。どういう頭の作りをしてやがるんだ。人間と竜人族とか、そういうレベルじゃないよね、これ。シスコン、ここに極まれり。

 まぁいいや。それよりクエスト頂戴よ。こうなったら、功績を立てるだけ立てて、有無を言わさないようにしてやんよ!

 そして、コミツに胸を張って「俺、ハンターになったんだ」って言って、そのまま告白に持ち込むんだ。漢を見せてやる、奴ね。

 

『ただのヘタレだニャ』

「死ね、このクソ猫!」

「全く以てその通りで「……写真」男の子にそういう事を言うものではありませんよ、ギャレオンさん」

『「お前にプライドは無いのか」』

「恥も外聞も有りません」

 

 スゲェ、ここまで開き直る奴、ウツシ教官以外で初めて見たわ。

 ……じゃなくて、クエストくれよクエスト!

 

「そうですね……それでは、こちらなどどうでしょう?」

「どれどれ?」

 

 そうして受け取った依頼書の内容はと言うと、

 

●クエスト名:【砂塵に揺らめく嵐の支配者】

●クエスト内容:クシャルダオラ1体の討伐

●クエスト報酬:コミツちゃんのりんご飴屋のフリーパスチケット

 

「これはやるしかないですねぇ!」

『男の性が……』

 

 何か明らかに報酬がクエスト内容に見合って無いけど、俺にとっては値千金だぜ!

 という訳で、行ってきま~す♪

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

 「砂原」。

 砂漠のど真ん中にある、地盤が隆起した謎の高台。乾燥地帯である事に変わりは無いが、水場も有れば遺跡もある、摩訶不思議な場所である。環境に関しては溶岩洞が一番だけど。

 ちなみに、砂“原”と言いつつ平地は殆ど無く、高低差が激しく穴だらけな岩場が大半を占める、割と面倒臭いフィールドでもある。その入り組み具合は、まるで天然の迷宮だ。

 主な棲息生物は乾燥地帯に適応した種が多く、ディアブロスを筆頭に硬くて屈強なモンスターが犇めいている。

 そんな砂塵煌めく過酷な大地に、1体の古龍が舞い降りた。

 龍属性の暴風と氷を操る、風翔龍「クシャルダオラ」である。

 見た目はオーソドックスなドラゴンであり、全身を鋼の甲殻で覆い尽くしている事から、「鋼龍」とも呼ばれる。氷属性を持っているのは、おそらく寒暖差による気流の急激な変化を生み出す為だろう。幾ら龍属性が不思議パワーを持っているからと言って、何でもかんでも出来る訳ではない。

 さて、そんなクシャルダオラだが、フクズク(名前は「ポッター」)の情報によると、エリア6の広場で鎮座しているらしい。お前も寝てるんかーい。

 つーか、よく考えると氷属性のモンスターなのに、何で真逆の環境に居るんだよ。普通は寒冷群島を選ぶだろ。

 ……ああ、でもあそこは“ゾラ・マグダラオスの再来か!?”とも揶揄される、クソデカいモンスターが棲んでるって噂だからな。単純に力負けしたのだろう。本当にそんなモンスターが居れば、の話だけど。

 ともかく、本来とは違う生息地に降り立っているというだけあって、例のクシャルダオラはかなり凶暴化しているらしい。普段は寝ているが、少しでも侵入者を察知すると悪鬼羅刹が如く攻めて来るんだとか。お前も八つ当たりするんかーい。

 さて、無駄話はこれくらいにして、さっさとクシャルダオラを片付けに行こうか。

 

「頼むぞ、ガロ!」『ヴァオン!』

 

 余談だが、今回はガルクも連れて来ている。黄金の毛並みが特徴的な、神々しくも雄々しい犬っころだ。入り組んでいる上に高低差の激しい砂原を駆け抜けるのには、彼の力が必要となるだろう。

 あとはあれだね、環境生物。カムラの里の狩りは、環境生物(と操竜)ありきと言っていい。特に玉コロガシ系統は属性やられを誘発してくれるので、優先的に確保したいところ。

 

「走る奔る、俺たち~♪」『ワンワンワン!』『呑気な奴らだニャー』

 

 うるへー。俺は今、疾風になっているんだよ!

 

『グヴェ~』『ボルフゥ……』

 

 途中でディアブロスとボルボロスを見掛けたけど無視しておく。あのディアブロス、ボルボロスを取り巻きにしている癖に滅茶苦茶臆病だし、砂掛けや目晦ましと言った姑息な手を使って来るから、相手にしたくないんだよね。「砂漠の暴君」の異名は何処に行ったんだよ。

 

『クシャルォオオオオオッ!』

 

 おっと、何時の間にかエリア6に来ていたか。俺たちの存在を感知したクシャルダオラが、金切り声を轟かせる。

 

『カァォオオオッ!』

 

 さらに、少し溜めてから、空気弾を発射して来た。氷を纏っている上に吹っ飛ばし効果もある、面倒な技である。

 

「フン!」『クォッ!?』

 

 まぁ、見切れるんですけどね。その後のお手付きや突進も纏めて回避し、カウンターを決めてやった。君は動きが素直過ぎるのよ。オオナズチの意味不明さを見習い給え。

 

『コァアアアアッ!』「おっと!」

 

 危ない危ない。その下から掬い上げる直線ブレスは、大きく舞い上げられる事に加えて追撃まであるから、絶対に食らう訳にはいかんのだよ。

 さて、ここらで攻めてみようか。

 

「それ」『クァアアッ!?』

 

 クシャルダオラが飛翔したので、一先ず閃光玉で叩き落す。飛び上がった後は大抵の場合、龍属性を纏った爪で攻撃してくるからな。龍属性やられは武器の属性を無力化しちまうから、絶対に阻止しないと。

 

「そい、えいや!」『クゥゥゥ……!』

 

 そして、今回担いで来た「王牙刀【伏雷】」とオトモパワーで雷やられ状態に持ち込み、スタンを取ってからドクガスガエルを設置、毒状態に陥らせる。クシャルダオラは状態異常になると龍風圧を纏えなくなるので、安全性を確保する意味でも、かなり有効な手段だ。そこは“毒属性の武器持てよ”と言いたくなるだろうが、案外と毒の利き自体は大した事ないから、現地調達する方が楽である。

 

「「円月」!」

 

 さらに、鉄蟲糸技の「円月」を発動、フラフラのクシャルダオラを滅鬼斬で痛め付ける。常に高いポテンシャルで連撃を叩き込める為、相性は結構良い。色々と制約が多くて、敵の動きが鈍ってる時にしか使えないけど。

 

『ギィグルヴァアアアアアアッ!』

 

 おっ、怒り状態になったか。毒のせいで龍風圧は纏えていないが、攻撃はより苛烈になるので、油断せずに行こう。

 

『ギャルォァッ!』

「危ねぇっ!?」『うわ、こっち来んなニャー!』『ガロォ!?』

 

 唐突に竜巻を6つも召喚するの止めろ。正直、下手な大技より、これが一番キツイ。逃げ道が限られてるからね。

 

『カァアッ!』

「チッ……!」

 

 解毒したか。ならば、ここからは龍風圧にも注意しなければいけないな。

 

『クシャオルァアアアアッ!』

「DA★KA☆RA~!」『完全にとばっちりニャー!?』『アォン……』

 

 と、今度は飛翔と同時に大きめの竜巻を3つ召喚し、本体も高速で突っ込んで来た。俺は素直に緊急回避で躱したが、戦線を離れて呑気に採集しようとしていたギャレオンは避ける間もなく直撃した。馬鹿なのかな君は。ガロも呆れてるよ。

 

『クォオオオオオオ……ゴアァアアアアアアアッ!』

「ダイソンーッ!」『ひぃー!』『ギンガァーッ!』

 

 そして、クシャルダオラは自分を中心に強力な上昇気流を発生させたかと思うと、白銀の雹が煌めく漆黒の大竜巻を生み出し、周囲一帯を吹き飛ばした。これぞクシャルダオラの必殺技だ。

 ま、大竜巻が発動するギリギリで翔蟲を使えば、割と簡単に避けれるんですけどねぇ!

 ……さぁ、氷のように怒り状態も解けた事だし、今度はこっちのターンだなぁ!

 

「滅鬼刃、壱ノ型「繊月」、弐漆ノ型「有明月」!」

『グルゥゥ……クァアアッ!』

「拾漆ノ型「立待月」!」

『クォオオッ!?』

「拾伍ノ型「満月」!」

『クシャルァ……ッ!』

 

 鋭い袈裟斬りと返しの逆袈裟斬り、カウンターの居合切り、全力全開の大円斬によって、クシャルダオラの頭部を完全に破壊し、再度ダウンを取った。

 

「桜花! そして、止めの兜割りィ!」

『ギャヴォオオオオオオォォ……ッ!』

 

 さらに、桜花気刃斬からの疾替え兜割りで、止めを刺した。さらば、クシャルダオラ。我が王牙刀の錆となる事を誇り、りんご飴の糧となるが良い。

 あ、それはそれとして、素材は剥ぎ取らせて貰うねー。

 

 

 ――――――キィイイン……ガシィッ!

 

 

「……あれ?」

 

 な、何が起きた?

 突然、空から赫い彗星が降って来たと思ったら、クシャルダオラの死体が消えたんだが。

 つーかさ、

 

「俺のコミツチケット返せェエエエッ!」……エェ!」……エェ!」……ェ」

『誤解を招くような事を言うなニャァ!』……アァ!」……ァァ!」……ァ」

『くぁ~あ……』

 

 俺とギャレオンの虚しい叫びが砂原に木霊し、ガロに欠伸された……チクショウメェエエエッ!




◆クシャルダオラ

 古龍目鋼龍亜目クシャナ科に属するドス古龍が1体。「鋼龍」とも「風翔龍」とも呼ばれる。
 見た目はオーソドックスな4つ足ドラゴンと言った感じで、全身を覆う黒ずんだ銀色の甲殻は鉄壁の強度を誇る。古龍故に食性は不明だが、甲殻を形成する為に鉱物を摂食する姿が度々目撃されている。一定周期で脱皮し、その際は美しい白銀の姿を晒すが、直ぐに酸化して何時もの黒銀となる。
 龍属性の風と氷属性のブレスを武器としており、強風や竜巻を生み出して攻撃して来る。
 また、自身の周囲に風圧を発生させる事で「龍風圧」という風の鎧を纏う事ができ、近付くハンターを薙ぎ払い、飛んで来た弾矢を跳ね返してしまう。
 ただし、この風を操る能力は繊細な物らしく、力の源である角が折れたり、状態異常に罹患すると無力となる弱点がある。
 ちなみに、今回の個体は元々寒冷群島に棲んでいたが、とある巨大な緑色のモンスターに棲み処を追われて砂原に舞い降りた為、かなり凶暴化している。
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