英雄王セイハク   作:ディヴァ子

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勇気ある英雄諸君に、最新の情報をお届けしよう!

遂に手に入れたコミツとのデート機会! しかし、それは大人たちの仕掛けた甘い罠(笑)だった! コミツにウツシ教官とハンター:アヤメを加えた4人チームで、知らぬ間に寒冷群島へ駆り出されるセイハク! そして、北の大地に冰瀑の古龍が舞い降りる!

《英雄王セイハク》

「嘆きのロザリオ」

FINAL STAGE 承認!

『「古龍」:これが勝利の鍵だ!』


嘆きのロザリオ

 よぉ、俺だ。カムラの里が誇れない無免許ハンター、セイハクだ。マジでいい加減に狩猟資格下さいよ、ミノトさん。

 だが、今日は狩りはしない。本日はコミツとのお出掛け。即ち、例のデートチケットを使う時が来たのである。

 いやー、長かったね、この日を迎えるまで。テオを狩り、クシャルを狩り、ナズチを狩り……って、何でデート1回するのに古龍を3体も倒さなきゃいけないんだよ。俺だけ人生のハードル高過ぎるだろ。

 まぁ良いさ。何せコミツとの、ちゃんとした初のデートだからな。大抵の事は許そう。これで“実はデートじゃありませんでしたー”とか“2人切りで出掛けられるとでも思っていたの?”とか言ったら、全身全霊全力全開でブチ殺してやるがな。

 

「おっと……」

『うぁ~う?』

 

 上の空で歩いていたら、通行人と当たってしまった。金色ノ帯と袴を穿いた、上半身裸で白髪金眼の少年だ。何この変態と言いたい所だが、一応は里の住人である。

 ただし、里の生まれではない。アヤメさんが寒冷群島で拾って来た孤児だ。名前は「ユウタ」。言葉足らずで蜂蜜を欲しがる、可愛らしい男の子である。

 まぁ、大剣を双剣のように扱う化け物らしいけどね。一緒に狩りをしてみたくもあり、見たら色々と後悔しそうな気もする。どうしましょう?

 ……いや、今日はコミツとのデートだ。何時もは遊んでやるが、本日は誘われても丁重にお断り申し上げよう。残念だったな。

 

「とりあえず、タイガとタイシが暇してるだろうから、あいつらと遊んで来な」

『あ~い』

 

 仕草が一々可愛いんだよなぁ、幼気で。男の子なのにね。これはアヤメさんも堕とされますわ。同性かつ同い年くらいの俺でさえ偶にドキっとするもん。こいつには何時も笑顔でいて欲しいなぁ。

 さてと、それはそれとして、コミツの待つリンゴ飴屋に行こうか。

 

「おーい、コミツー!」

「あ、セイハクくんだ」

 

 居た居た。今日も溌剌とした笑顔が眩しいぜ。写真に撮りたいくらいだが、俺にそんな度胸は無いので無理でーす。

 それはともかく、さぁさぁさぁ、お出掛けと行こうじゃないか!

 

「ごめん、ちょっとまってね~」

 

 うん?

 

「まだほかのひときてないから~」

 

 ううん?

 

「あ、きた~♪」

「やぁ、コミツちゃんに愛弟子(セイハク)! 早速ながら、狩猟デートと洒落込もうじゃないか!」

 

 ……ミノトさんの嘘吐きぃいいいいいっ!

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

「おいおい、これはどういう事なのかな、下郎?」

「ハッハッハッハッ! 褒めても何も出ないぞ!?」

「アヤメさん、げろうってなに~?」

「世の中、知らない方が良い事は沢山あるのよ、コミツちゃん」

「………………」

 

 どうしてこうなった。思い描いてたのと全然違う。

 俺が想像していたのは、コミツと2人で、ドキドキワクワクしながらキャッキャウフフな展開に至る、普通のデートだ。

 なのに、どういう訳か、ウツシ教官、コミツ、アヤメさん、そして俺という合計4人で寒冷群島へ赴く破目になった。本当に、何がどうしてこうなった。

 ちなみに、ミノトさんに文句を垂れたら、

 

「狩場に未成年を1人で行かせる訳がないし、そもそも2人切りじゃあ、舞い上がるだけで何も出来ないでしょう、このヘタレが」

 

 と返された。それはもう、バッサリと。

 

 ――――――裏切ったな! 俺の純真な気持ちを裏切ったな! 確かにそうなるような気はするけども!

 

 まぁ、なってしまった物は仕方ない。ここからでも、コミツとチームを組んで、デートしてやるぞ。状況が状況だけに、ダブルデートになってしまう気がしないでも無いが、そんなの知らんなぁ。

 余談だが、今回のターゲットは雪鬼獣ゴシャハギ。アシラ骨格の大型モンスターで、氷を武器として扱う事で有名な牙獣種だ。

 ミノトさんによれば、最近になって縄張りの変化が起きたようで、下位個体(しんざんもの)の同種が版図を拡げようと躍起になっているらしい。放置して経験を積まれても面倒なので、さっさと倒してしまいたいのだろう。出る杭が打たれるのは、何時の世も同じってか。

 しかし、ある程度の分別がある前任者と違って、今度の個体は本当に見境が無く、成長を許すと本気で生態系を乱しかねないので、仕方なくはある。あの大人しくて妙に人懐こい奴は、何処行っちゃったんだろうね?

 ……って、そろそろ頭を切り替えろセイハク。今はコミツとデート中なんだから。

 

「コミツは相変わらずエッグハンマーなんだな」

「そうだよ~。クスネさんにもらったんだよ~」

「そうなのか。今まで出所が分からなかったけど、そういう事か。あの(ヒト)、ガーグァのお化けみたいなモンスターをオトモンにしてるからな」

「そ~そ~。どんなにたたいてもわれないし、なんならどんどんげんきになるから、いつうまれるのかたのしみだねぇ~♪」

「……そう、だな? 良いのか、それで?」

 

 よし、先ずはさり気無い会話からだ。内容は物騒極まるが、俺たちカムラ人だからしゃーない。

 

「アンタねぇ、こんな子供を狩場に連れて来るなよ!」

「大丈夫だ、彼女は既に一人前だし、何ならセイハクくんやタイシくんも良く連れ出してるから問題ない!」

「問題しかねぇよ!」

「……だが、カムラの里は逼迫している。今はまだ散発的な百竜夜行しか無いが、その内に大規模かつ尋常では無い勢いになるだろう。怨虎竜の目撃例や、謎の暗雲も立ち込めていると聞く。大人として間違っているのは重々承知だが、人手は多い方が良い。愛弟子たちにばかり負担は強いれないからね」

「急にスンってなるの止めろ」

 

 何か前方ではウツシ教官とアヤメさんが小難しい会話をしているし、何ならアヤメさんは俺を居ない物として話を進めているが、2人とも気を遣ってくれているのだろうか?

 いや、アヤメさんならまだしも、ウツシ教官は無いな。だって、4人組で出掛ける理由が「これも修行だ!」だもん。絶対に脳味噌が筋肉で出来てるよ、この人。だからモンスターの攻撃にも耐えられるのか、そうかそうか。もう、どうにでもな~れ♪

 

「……ん?」

 

 と、その時。俺の目に、あまり宜しくない物が映る。遥か遠くの空に羽ばたく、4本脚のドラゴン。

 

 ――――――間違いない、古龍種だ。

 

 骨格はドス古龍。体色は青白く、細身な体格をしている。見た目的にクシャルダオラの親戚に思えるが……?

 ともかく、見付けちまった物は仕方あるまい。ついでに言えば、何か龍識船みたいなのが襲撃されてるみたいだし、何時こっちに飛び火するか分かったモンじゃないから、見過ごす訳にもいかないだろう。ここにはウツシ教官だけでなく、まだまだリハビリ中のアヤメさんや、絶対に守りたいコミツが居るからな。

 自分の驚異的な視力を恨みたくなるが、ここは危険を事前に察知出来たと思っておく。そうじゃないとやってやれないから。

 

「ウツシ教官、ちょっと良いか?」

「うん? どうしたんだい、セイハク?」

「実は――――――」

 

 という事で、かくかくしかじか、ケルビの角。

 

「――――――分かった。2人は上手く誤魔化しておくよ」

「悪いな」

「いや、こちらこそ距離を縮めるチャンスをふいにして申し訳ないな」

 

 おう、アンタそんな気遣い出来たのか。初めて知ったわ。

 つーか、アンタの中ではそういう認識だったのかよ、このクエスト。アヤメさんが常々ボヤいてるけど、カムラの住人って何処か変だよね。俺も他人の事は言えないが。ボヤいてるアヤメさんも大概変だし、そこはお互い様って事で。

 

「いいさ、別に。生きてりゃ、またチャンスは巡って来る」

「そういう所だけは大人だな、君は」

「喧しいわ。早く行ってくれ」

 

 さーて、一狩り行きますか。




◆ゴシャハギ

 寒冷群島などの寒冷地に住まう、ナマハゲのような青白い鬼面を持つ牙獣種の大型モンスター。骨格はアシラ系統で、白っぽく分厚いダブルコートの毛皮に覆われている為、後ろ姿だけなら白熊に見えなくもない。その見た目通り肉食の強い雑食性で、厳しい寒さに耐える為に獲物を探して凍て地を彷徨う。
 氷属性のモンスターらしく氷ブレスを吐けるのだが、ゴシャハギの真骨頂は“武器を作れる”事であり、冷たい息を腕に吐き掛ける事で「氷の出刃包丁」や「氷塊のハンマーグローブ」を生成し、襲い掛かってくる。
 また、アシラ骨格の持ち主である事からも察せられるだろうが、アオアシラよりも一回りデカい巨躯にも関わらず跳躍力が高く、突如ハンターを飛び越えて背後から奇襲を仕掛ける事もある。
 生態的にも体格的にも寒冷群島の主と言える存在だが、流石に古龍には勝てないし、何よりこの世界の寒冷群島にはとんでもない化け物が棲んでいるので、割と肩身が狭かったりする。
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