警告:製造ポットより解放されます
通知:試験起動を開始します。
それが俺が私になった時の最初のメッセージ。
世界がコーラップスなんていう汚染物質によって切断され早10年は経過していた。
どっかのクソバカ学生が派手な肝試しをしてくれやがったお陰で世界は大混乱。
海は汚染され気化したコーラップスはじわじわと陸に登り汚染を広げた。
かつてG7等と呼ばれていた国々は機能不全に陥り無政府状態に陥ったりもした。
特に酷いのは日本、島国だったのもあってその汚染は酷い。
好きだったんだけどな、日本……
俺がそうやって記憶していたのは2040年、世界が混乱に陥って各地で不満の火種が爆発しつつある時だ。
それまで人間は順調に繁栄していっていてついには頭脳の電子化にまで成功した。
これにより人々のスキルアップとかっていうのはあっという間。
まぁ初期投資がかなり必要だしそこでケチると後々泣きを見るんだがな。
そんな技術が出来て……富裕層は挙って自身の頭脳の電子化に勤しんだ。
かくいう俺、ウルリッヒ・ガンツもその一人だった。
ドイツ国民として栄誉あるエンジンビルドマイスターであったが不況の折に解雇され無職となった。
職につこうにも解雇祭り、今からどうするか……と絶望的にもなっていた。
やけ酒をして寝てしまったのがよろしくなかったか。
次に目が醒めた時は全く知らない場所だった。
「チェック」
「……は?」
製造職らしき男に囲まれていた。
身体はえらくスースーとしていて困惑するばかり。
チェックとロシア語で言った後ベタベタとあちこち触られてゾワゾワとする。
さらに俺の口から出た声に困惑が加速する。
女の声だ、自分の低く唸るような声ではない。甘ったるい幼子の女児の声。
それでいて透き通るような将来性を感じさせる物。
「待て待て待て、待てや」
「……?パーソナルがもう入っている?」
ぐいーっと作業員の身体を押しのけて状況整理にはいる。
まず日付のタイムスタンプはどうだ?あ?ネットワークエラー?
そんなバカな、5G回線はほぼどこでも繋がるはずだろうが。
いや、それよりも何だこのデータパッケージの数。
セクサドール?はぁ?自律人形のデータアセット?
製造番号?おいおいおい、俺は人間なんだぞ?人形ってなんだよ。
「オイ!!テメッ!!こりゃどういうこった!!説明しろ!!」
「ッ!緊急事態!!緊急停止!!」
「停止処理信号!!早く!!」
ふざけんな、てめぇ等全員そこになお――――
-緊急停止シグナル受信、緊急停止処理。-
-システムメッセージ:再起動承認-
目が醒める……あ?私ぁ……あーだめだ、何か頭がぼやっとする。
身体は、寝かされていたのか?あーうー……
……思い出したぞ、俺はどう言う訳だが人形だかの身体に押し込められてるんだな。
あぁうん、しかもよりにもよってセクサドールとかいう性行為専用の人形って悪夢だ。
バカじゃねぇのか?バカだろ、狂ってやがる。
すっと起き上がってみようとして異様な重さに顔を顰める。
見下ろしてみればその重みに納得、いやデケェ。
「は?は?」
わなわな震える俺に対してぽよぽよ揺れながら応えるその物体。
胸だ、乳房だ、おっぱいだ。ただしとんでもなくデカい胸。
89の巨乳とかが霞んで見えるほどのデカさ……
「あー……良いですか」
「良くねぇよ、こりゃ一体」
「落ち着いて、聞いてください。Mrウルリッヒ」
スーツ姿のオッサンが立っていて起きた俺に対して宥めてきた。
事情を知っている様子だから一応聞いてやろう。
とてもじゃないが落ち着けやしない、自分の身体じゃないんだ。
「貴方は2007年産まれのドイツ国民でしたね?」
「あぁ、間違いない」
「残念ながら貴方は死亡扱いされています、薄々お分かりでしょうけれども」
「……ぉう」
国的にはココはロシアか、俺の経歴もしっかりと調べられていて……
死んだ扱いか、くそったれ最高だな?
あーもしや……いや、まさかな。
「貴方は電脳窃盗に遭われたようです、弊社で取り扱っているロストテック在庫の中に貴方の頭脳がありました」
「ロストテック?俺の電脳は2040年で出たばかりの最新最高級モデルだったとおもうが?」
「今は2050年代ですよ、Mr」
言葉を失った。その後、歴史的な授業を執り行い……
どうやら、私は知らぬ間に十数年の時を過ごしていたようだ。
家族も何もかも……遠い何処かに行ってしまった。
いや、俺の家族はそもそも……ぁー……
基本的人権は無く人形として生産されてしまったからには電脳も紐づけされてしまっている。
盗難防止の為だが今となっては不必要に俺を身体に縛り付ける枷だ。
これは基本的に製造元であっても解除することが出来ない。
セクサドールとして生きて行くのは当然無理な事、パーソナルは男だ。
男が男に抱かれるなんて悪夢でしかない、同性愛ならバンザイだろうけどな。
途方に暮れていた私はまだ運があったらしい。
ASST、烙印システムと呼ばれる特殊な物の適正があったらしい。
戦術人形、戦闘を主とする自律人形の中でも特に性能が向上した物に付与される物だ。
元々が最高級品質の人形で頭脳も第三次世界大戦以前の最高品質だからかもしれない。
戦術人形に必要なコアを埋め込まれ、各種オプションをインストール。
そうして誕生したのがI.O.Pの第2世代戦術人形のシーナだ。
シーナとは私の現在の名前でシェーナとも読める。ありふれた女性名だ。
流石に男そのままでは生きづらいからと行動の所作は矯正された。
男だった頃の行動は意図的にしなければ出来ないな。
ともかく、私は強制的にこうして人形に生まれ変わらされて……職にはありつけた。
I.O.Pの戦術人形の性能PR、広告塔として動き各方面にアピールする。
また性能のフィードバックをするためG&Kとの契約も結んだ。
シーナという名前は伏せられ417、ASSTによって紐づけされた銃の名前がつけられた。
元々の製造目的には使われることは絶対にないと思うがな。
金持ちが自分の理想とする妻を形作ったのがこの身体だって言うんだからな。
ワンオフっていうのがオーダーだから同じデザインは作られないはず。
納期が大幅遅延したが無事に別な個体が作られて送りつけられたらしいから……大丈夫だろう。
「ともかくこの身体に慣れろ、か。簡単に言ってくれる」
主に女の身体になった弊害に慣れろって事だろうな。
短時間で何度か胸をぶつけているしパンツが見えているのを指摘されたり……女って面倒くさいな。
そう思いつつ始まったのが私の戦術人形として生。
もう何年前の事かな?
そんなだから女の身体には慣れてしまっているし今更女の身体を意識することもない。
色々中途半端な女になったもんだよ。ははっ……
足元まで伸ばされた銀髪、丸く幼い緑の瞳、色白な肌。
ドンッとでた胸と尻にくびれた腰回り……これだけ見てると背がちっこいだけのとんでも美人。
髪型がツーサイドアップなのと顔立ちが幼いからロリっ子に見えるわな。
身を包むのは紺色のジャケット、白色のブラウス、紺色のミニスカート。
装飾にネクタイ、見せブラ、ゴツゴツのベルト、ニーソックス……これが生産時の暫定設定衣装。
アメスク風の着こなしも相余ってギャル風にも見えなくない。
今はさらにグローブと首輪、ガーターベルトを加えられた。
首輪?コイツが色んな接続のドングルになるの。
私の電脳とコアに無線接続されている唯一の存在でポートもコイツ経由でしかつながらない。
ま、見た目は露出の激しい少女になったな。……はぁ。
仕様諸元
人形個体名:シーナ
G&Kコールサイン:417
身長:143cm
B:118 アンダー66 Rカップ
W:57
H:92
身体構成素材99%オーガニック素材の生体部品
注:骨格及び機械人形基礎構成部品は除く。
I.O.P生産時OP
・最上級電子頭脳(ロストテック)
・拡張記憶メモリ
・最上級処理プロセッサ
・高効率食物エネルギー変換機構
最高級オーガニックセックスドール適応OP
・愛妻パッケージ(統合家事プログラム・男好みな家庭料理レシピセット)
・育児パッケージ(子育てデータアセット・教育プログラム)
・乳母パッケージ(栄養満点の母乳が出る)
・爆乳パッケージ(バスト95cm以上より設定)
・ハイパフォーマンスフレーム(一定重量以上より必須設定)
・自己成長育乳パッケージ
・性感高感度パック(触覚センサ類の高性能化)
・人工子宮パック(人工卵子と子宮のパッケージ)
戦術人形オプション
・ASST/HK417-20inc
・執行機関ベーシックパック(各法的機関の銃の取り扱いについてのアセット)
・高性能アイカメラ
・高精度狙撃パッケージ(☆4↑RF人形の標準パック)
・セミオートマチックスペシャリストFCS
・高精度音響偵察システム
・耐コーラップスパッケージ
狩猟人形オプション
・獣狩ベーシックパック(血抜き、解体情報アセット)
・大型獣狩猟パック
・バードショットパック
and more