雇われ掃除人形417   作:ムメイ

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その9

状況を確認しよう、今現在の状況を。

ショッピングセンターの中のテナント、割りと高級な衣料品店で強盗が発生。

店員は女一人、客は私だけでそれぞれ人質として捕らえられた。

手首にはケーブルタイ、簡素な拘束だね。

犯人グループは仮面を付けた6人組、2人が外で見張りをして残りが物色する感じだ。

ただ強盗の1人が私を気に入ったのか拘束したのにベタベタとくっついてくる。

そして私のTシャツとブラジャーで防御している胸をむにむにと揉みしだいてくる。

ひじょーうに不愉快、すぐにでも張り倒したい。

手持ちの武器はMk23がある、しかしそれは肩掛けバッグの中。

見せびらかして歩いていたら待ったをかけられるしね。

 

「へ、へへ……なんだ、怖くて声もでないか?」

「ぅぉ、でっか……おいソイツ連れ帰ってマワさね?」

「いいねぇ!それも良いじゃねぇか」

 

私と揉みしだくヤツに触発されたか女店員の胸も揉み始めた。

向こうはガチで怖がってカタカタ震えている。

……私もあっちも首元にナイフ当てられてるんだよね。

他2人はレジスターをぶっ壊した上で……奥の金庫を開けに行ったな。

この店舗の規模だとこじ開けるのに時間はそうかからない。

警備員は買収したとか言っていたから恐らくは警備員は来ない。

ただオートメーション化された通報システムが今PMC本隊に通報していることだろう。

ここの担当PMCはまだ人間が殆どで機械化はされていない。

展開しても人死にが出ない様に慎重になるだろうし到着までは時間がかかるだろう。

 

「へへっへへっ……柔けぇな」

「こっちのは手頃な感じで……ヒヒッ怯える声がたまんねぇな」

 

……それぞれ胸に夢中だな。

よし、ヤるか。CQCプログラム起動。

 

「ぅお!?」

 

まずは私の胸を揉みしだき続けた不届き物から。

躯体のパワーに物を言わせてその場でバク転気味に飛ぶ。

ジーンズだからショーツを見られる心配もない。

上下反転した視界、ドアップで映る男の股間……うぇ。

ムッチムチの太ももで顔を挟んでやる、驚愕の声が上がるがまぁ手遅れよ。

 

「フンッ」

「うぉぉぉおお!?」

「なっ、テメェ!調子に乗るなよ!」

 

上体を大きく揺らしてそのまま勢いで投げ飛ばす。

よし、狙い通りにイスのカドに頭ぶつけたな……気絶してる。

手の拘束はそのまま、油断を誘うためのブラフ。

ストンと立つとこっちにナイフ持って突っ込んでくる男に向き直す。

騒ぎを聞きつけた強盗が来るな、ちゃちゃっと潰すか。

 

「フッ!」

「うぉ!?んぎぃぃっ……ぉ、ぁ……ぁぁ……!!」

「フンッ、店員さん隠れておいて」

「ふぇ?は、はい!」

 

真っ直ぐ突っ込んでくる物だからナイフの機動も分かりやすい。

そもそも本気で刺突する気配ではなかった、怯えた所を取り押さえる挙動っぽかったな。

屈んで水面蹴り、ひっくり返った所を男の急所を一発ストンプ。

ぶちゅっとイヤな感触がしたが無視、女の敵はそれくらいで良いだろ。

ひーしかし蹴りで戦うと胸が暴れて暴れて……ん?やけに締め付けが緩いな。

あ、これブラがぶっ壊れたな……無理もないか、なんkgもある塊がバルンバルンうごけばそうなるか。

店員には隠れてもらってっと……楽しい第2ラウンド開始だな。

 

「なにが……おい、何ヤッてんだ!」

「女一匹になに……動くなよ、死にたくないだろ」

「……チッ」

 

相手の武装はおーぅ、これはこれはチンケなピストルだな。

強盗するならSMGくらいは持ち込めよ、へなちょこが。まぁ助かるね。

突き付けて来た銃は如何にもハンドメイドなパイプピストル。

こりゃ驚異でもなんでも無いな。確認しに来たのは入り口を見張っていた2人と金庫を見に行っていた1人。

残り1人がせっせと金庫をこじ開けてる最中だな。

まずはピストルに降参したフリをしてっと……

 

「妙な動きをするなよ」

「取り押さえろ!」

 

掛かったな、アホが。

前後から取り押さえようと飛びかかってくる男。

もう一人が銃で警戒してるからってそりゃ悪手ってもんだよ。

体格がちっこい私の大半を隠しながら迫っちゃ意味ないぜ。

 

「ぅぶごぁ!?」

「なっ……げふぁぁっ!?」

「うぉぉぉぉ!?」

 

飛び上がり前の男を蹴り上げながらバク転。

頭上を取ったもう一匹、背後から抱きつこうとしていた男の頭にそのまま流れるように蹴りを入れる。

ついでにケーブルタイを引きちぎって着地。ふらついた男二人まとめて蹴り飛ばして銃の男を巻き込む。

これでよし、気絶してなくてもこれで何も出来まい。

バッグの中からMk-23を引っ張り出して……っと。

 

「お……うぉ」

「動くんじゃないよ、何処狙ってるか分かってるでしょ?」

 

レーザーモジュールをオンにしてしっかり心臓を狙う。

両手を上げて武器も落したのを見て投降したか……ふぅ、制圧完了。

CQCプログラム良いね、格闘時のインパクトタイミングとかもパーフェクト。

 

「伏せて、はい両手は後ろに……縛られる気分はどうかなー?」

「クソがっ……」

「店員さーん、出てきてもいいよー制圧終わったー」

 

店員さんはまぁ強盗被害に遭うのはこれが始めてとのこと。

近場で発生していたけれども自分が遭遇するとは思わなかったと涙ながらに話した。

担当PMCが到着するまで6人の強盗の身体を並べて縛って適当に転がしたりした。

ちなみに取引金額は割引してもらった、それはラッキーだったね。

 

 

 

買収された警備員の顔面にドロップキックを食らわせてから買い物の続き……とは行かなかった。

解決した人形だって言うのにメチャクチャ文句を言われてねー。

 

『困るねぇ、人間の仕事を奪ってもらっちゃ』

 

知らんがな、在中してないお前らが悪いんだし買収されるような警備員雇うのが悪いんだろ。

引っ叩きたかったがまぁそれは流して……近くの詰め所まで同行することになった。

買ったものをバイクに詰めてトコトコと男が詰めるPMCのむさ苦しい詰め所へGO……

 

「納得いかねぇ~……」

 

楽しいハズの休日がバカ共にぶっ壊された挙げ句無駄足まで……

I.O.P所属の戦術人形って事になってるから表向きではPMC間の小競り合いは起きないだろうけど・ …

これPMCの詰め所に着いたらネチネチ言われるパターンだよ。

感謝の言葉もなくさぁー……まったく。

私の乗るバイクの前を行くのはバカ6人衆を載せた護送車両。

後ろはPMCが乗ったパトロールカー、どっちもガソリン車だな。

ついでに警備員もクビになるのは確定事項、アホだよねぇ端金で職を失うとか。

 

「うわーこれまた金ケチった詰め所だこと」

 

G&Kではこんな詰め所作らねーぞって感じのボロい詰め所についた。

なんてこった、見るからにフェンスが老朽化していてタックルしたら壊れるぞ。

有刺鉄線でもないし電流?流れてねーよコレ。

この様子だと牢屋もろくな事なってねーよ……治安悪くなる一方だろこれー。

駐輪場もねぇし、駐車場の片隅に適当に停めて取調室へ。

 

戦闘能力についてツッコまれたけどI.O.Pとの契約上話せないのを説明。

電子証明もあるから端末に転送してやって証明。

これを機に人形導入しないか?とセールスしてみたけど……

まぁ案の定というべきか予算がつかねーってことで却下された。

一応仕事中だったからか胸を揉まれるような事はなかった。

……これが普通であってほしいんだけどねぇ。


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