雇われ掃除人形417   作:ムメイ

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その11

初日で4頭潰せたのは望外の僥倖ってやつかな。

ただその後がよろしく無くてノルマの20頭に到達できるか怪しい所になりつつあった。

一週間の期限で契約を交わしたお仕事だけど現在の狩猟数は15頭。

残り5頭を今日狩らなければお仕事失敗。

報酬が減額されるだけじゃなくて失敗をコレ幸いにと突っついてくるやつが居る。

一応私はI.O.Pの人形で性能もトップクラスとなっている。

それが失敗したとなったらその分野に入り込もうとするのが居る訳。

I.O.Pのライバル企業、鉄血工造だよ。そこで狩猟用のモデルを作るって話になるかもしれない。

そうなれば私の表向きの仕事は壊滅するし……職にあぶれるわけ。

I.O.Pも失望して何やらかすかわかんないしね。

 

「探し回りながら潰すか、釣り野伏せは無理だ」

 

私が振り回す7.62ミリ弾だとマズルエネルギーと貫通力の兼ね合いで頭か心臓を貫かないと狩猟は難しい。

ミリタリーグレードだし貫通力が高すぎて過貫通を起こしたり……

侵入角度によってはエネルギーを完全に吸われて致命傷を与えられなかったり。

だから本来は貫通後体内で潰れてグッチャグチャにするような弾をぶっ放す猟銃が良いワケ。

仕方ないから今日ばかりは狩猟用の小屋も使って一日中駆けずり回る事になるな。

その間の水浴び?はは、無理に決まってるじゃん。

終わった後には汗だく汚れまみれの私が出来上がってるよ。

臭いはしないだろうけどビジュアルが死んでる女の子ですよ、ハハハハ……

 

「クソがッ!」

 

当然その後の肉の解体処理とかもあるからほぼ徹夜!

このお仕事の後に狙撃任務吹っかけられたらブチギレ不可避だよ。

弾もメチャクチャ持ち込んでる。もう後先考えてられないしグレネードランチャーも持っていこう。

40ミリ程度のチンケな爆薬でぶっ飛ばせるのは限られてるけどさ。

どの角度からでも頭にぶち当てりゃ絶対に殺せる。

鹿狩りにはオーバーパワーだけど贅沢言ってられる場合じゃない。

あーもうこうなりゃ持てる武器は全部積載して持っていくか?

化け物狩り用に拵えてるRPG7で纏めてドッカンと……ぶっ飛ばしてもいい。

 

「広域探査ドローンも購入しておくべきだった!」

 

後悔先に立たず!有り余る金でこういう時の保険を買っておくべきだったよ!!

後がなくなると人間判断力が鈍るとは言うけど、もうやれることはヤるしかねぇ!!

血眼になってる事を自覚しながらもありったけの火力を持っていくことにした。

携行するのはHK417フル装備、替えのマグは3つ。グレネード弾をたんまり10発、RPG7の弾頭は3!

これでクソ害獣の鹿共をぶっ飛ばす!情けなぞ捨てたわ!

 

 

 

狩猟者用の小屋に到着してまずは小屋内部の掃除。

もう隠れてコソコソっていうのはしないのでギリーマントは置いてきた。

替わりに持ってきたのは武器を背負って移動する為のアタッチメント。

RPG7なんていうクソデカなブツを背負って移動する。

まぁバックパックのボトムと私の腰の2点で支えるっていうヤツだけどさ。

ニオイ消しと誘引用の小道具……そして暗視装置。

群れを発見したらそこに爆発物をブチ込む、一匹でも面倒だったらもうぶっ飛ばす。

探し回って狩れるだけ狩り尽くす。

なんか邪魔してきたらそいつも狩ってやる。

 

「サーチ・アンド・デストロイだよ」

 

この森林地帯で壮大におっ始めてやろうじゃない。

野盗が出ても知るもんか、纏めてぶっ潰してやる。今の私は殺戮人形だよ!

埃被ってる小屋の扉を蹴り開けて……ほーら抵抗が少ない。

また野盗がコソコソと利用してやがったな。

 

「なんだァ!?」

「げェ、このデカパイ女は……」

「なんてこった、逃げろ!!」

「逃がすと思うなよォ!!クソ雑魚共がァ!!」

 

大体この小屋を忌避するようになったのもコイツらが原因なんだ。

今ココでぶっ殺して……やってもいいけど肉食獣が来ても困るな。

適当に無力化して縛り上げておくか。

 

「動くなよ、クソども」

「「「ヒュッ……」」」

「私は生きる自信あるけど、コイツの爆風食らって生きてられるかなぁ?」

「た、助けてくれ、まだ死にたくねぇよォ!!」

「よし、オメーら全員縛り上げのお時間だよ」

 

本来は仕留めたヤツを縛り上げるためのヤツだけど……ここに荒縄がある訳ですよ。

コイツでぐるぐるの簀巻きにしてやって地元のPMCに突き出してやるって寸法です。

まぁ数年後には出所してくると思うけど……

 

「次この小屋使ったら地の果てまで追っかけてぶち殺してやるからな」

 

おやおやニッコリ笑ってるのにどうしてそんなにビビり散らかすんだよ。

見るも可憐な美少女の笑顔だぞ、喜べよ。

お、コイツら生活用品持ち込んでるし……へぇ、こりゃ良い。

 

「コイツ、貰っていくよ」

 

恐らくは人間相手にって所だろうけど罠を持ち込んでる。

罠猟の専用アセットは無いけど使い方ぐらいは分かる。

あとは生息域とかから算出して設置したら良かろうなの。

よぉ~しガクガクと首を縦に振ってるしヨシヨシ、大手を振って使ってやろう。

 

 

 

 

数が多い鹿だけどその生態はかなり臆病でちょっとでも異変を感じるとすーぐ逃げていく。

肉食獣に狙われやすいっていうのもあるから尚更に臆病。

私みたいな小柄な女が出す音でも敏感に聞き取って逃げていく。

だから普段は待ち伏せして狩りとっていたりするわけなんですよ。

種としてはポコじゃか増えていくこの鹿だけど年2度ある繁殖期に一気にズドンと増える。

繁殖が終わると複数の群れに分かれて分散し各方面の草花を食い荒らしていくクソ害獣になるわけ。

一気に数が減るとその地域での異常さを察知して暫く寄り付かなくなる。

だーからこうやって私が必死になって狩り殺しているワケですよ。

この狩猟地域に隣接しているのが農地だからね、ココから離れてくれれば農作物への被害は無くなる。

移動していけば肉食獣だってソイツら追いかけて出ていく。

まぁ一部は人里に降りてくる可能性があるけどさ。

 

「ん、足跡発見……新しいな」

 

足跡の付き方からも早足だ……こっちの足音を聞きつけたか?

いや、違うな……こっちの足跡は肉食獣のだ。

うぇー遭遇したくないのが見事に出てきたな……血も出ている。

こりゃ荒らされるてるなぁ……めんどくさい事になったなぁ。

群れを1つ見つけてって言うのがプランニング丸潰れだよ。クソが。

 

「もっと面倒なのは腹が膨れた肉食獣に捕捉されることだなぁ」

 

この地域の肉食獣の生態は他の種族の雌を襲って孕ませるんだ。

発情期ってワケじゃないけど……大体人間の女はそっちの意味で襲われる。

食われる時はよっぽど腹が減ってる時くらいなもの。

一発でぶっ飛ばしたいし……グレネードは装填しておこう。

あーくそぉ、今日は本当に良くないことばかり起こりやがる。

 

(うわー……くっちゃくっちゃしてるよ)

 

双眼鏡で覗きながら慎重に進んでいると見つけちゃった。

一匹の鹿を仕留めたグリズリーがめちゃくちゃ食い散らかしているんだ。

他にも一匹死んでる……よっぽど腹が減っていると見える。

うーん……都合あと3匹屠れば良いことになるけど……この近場ではやめておこう。

これがまだグリズリー1匹だから良かった、狼だったら間違いなくバレてたし。

とにかく離れよう……一応RPGは持ち出して、417を逆に腰にマウントして。

 

「あっ」

 

バッチリ目が合った、やっべ。

 

壮大に一発でっかい爆発音が森に響き渡った。




なおその後ちゃんと鹿を探し出してきっちり仕事は終わらせた模様。

次はちゃんと雇われ狙撃手するから……
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