ハプニングがあったりしたし私のスペックを一端とはいえ人形に見られた。
人形は後でラボ呼び出しでメモリー改竄が行われるそうだ。
メンタルマップに負荷がかからない様にするのは難しいらしいけどね。
ペルシカからもうちょっと秘匿しろってお叱りが飛んできた。
……いや搭載したのはテメーらだからテメーらがケツモチしろよ。
「リカーショップ、リカーショップ……あったあった」
ぴょこぴょこと追加された狐耳を動かしながら歩く事数十分。
この街でほそぼそと展開しているリカーショップにたどり着いた。
リカーショップ・ジャンキー……まぁこのご時世でアルコールを嗜むヤツなんてこっ酷い過去を忘れるヤツだ。
私もこっ酷い……私が置かれている環境のことをぶっ飛ばしたくてアルコールに頼ろうとしている。
ある意味ジャンキーになりそうだな。
この一回の逃避がクセになるのはよろしくない、それは私も十分にわかっているつもりだ。
だから、この一回の購入で断ち切るつもりだ。
燻る私も、腐りそうになる私も……アルコールできれいに消毒してしまおう。
「ごめんください」
「……帰んな、ガキの来る所じゃない」
まぁ見た目からして私はちんまいロリっ子、開幕第一声はそんなものだろう。
狐耳に九尾を生やしているから思いっきり人形だとは分かるだろうけど。
こんな人間は核放射線で変異したとしても出てこねーよ。
あり得てもコスプレを白昼堂々やってる奇人だっていうね。
……今自分で思ってスゴくグサッと来た。
デカパイ美少女だけど露出狂でコスプレする奇人って判定か?
「人形なので年齢は関係ないですよ」
「そうか、帰りな」
「……酒を売るのか売らないのかどっちなんですか」
うーん店主はかなり頑固そうな親父だな。
強面で筋肉盛々マッチョマン、ひげもたっぷり蓄えられていて威風抜群だ。
コイツから強奪っていうのは流石に考えられないな。
そもそもI.O.Pのお膝元でそんな犯罪したら即座にバラバラにされるわ。
人間だったらムショ行きか銃殺刑だね、怖い怖い。
「1つ聞こう、酒を飲む理由を言え」
「……やってらんねー世の中の不条理さを忘れるためだよ」
「ほう?」
「似たようなヤツが栄光の中を突き進むのに俺は泥被りなんだよ、良いからビール1缶寄越しな」
こういう手合はまぁアルコール依存するかどうかで見てるんだろう。
それか既にアルコール中毒者でアルコール無しだとマトモに思考できないヤツには売らないってヤツだろ。
……あとは転売屋とか対策に聞いてるんだろうな。
「1缶だな?」
すこし雰囲気を柔らかくすると500mlの缶ビールを1つカウンターに置いた。
お眼鏡には適ったか、まぁ私も割りと分かりやすくキレ気味だったしね。
「会計、はよ」
「電子決済だな?」
人形の買い物といったらだいたいは電子決済だ。
手の甲を翳してそれでおしまい。
認証を通して新ソ連の中央バンクとデータをやり取りして金銭をやり取りする。
それが大体の場合、あとはPMCの独自通貨とか物品でやり取りをするね。
結局それもPMCが新ソ連とのクッションになってるだけなんだけど。
「はいよ、二度と来るなよ」
「それは店主としてどうなんだ?健全な範囲でまた来るから」
久しぶりのビールだ、ツマミにソーセージがほしいな……
おつまみも露店で適当に肉料理を購入した。
ブリトーみたいな何かだが……使用しているのは勿論の事安価な合成肉ばかりだ。
風味というか匂いは良いのだが……見た目があんまりだな。
本当にチープ、安っぽいんだ。本物の肉のツヤとかがない。
一応食糧危機があったりはしたがWW3勃発前……俺がまだ男だった頃は食えていたのに。
家畜に食わせる麦も無いんだろうな……人類追い詰められてるなぁ。
肉食わないと狂っちまうのにさぁ……肉を接種しないと得られない幸せっていうものがあるんだぞ?
まぁこれは私の個人的な感想だけどさ。
「んまぁ、旨いか。食え無くない」
私自身が狩ってる鹿肉に比べると微妙だけどまぁ食えなくはない。
ジャンクなものとして見れば旨い部類だ。これが現代のファストフードか。
あのジビエ肉は割りと上等な肉だったりするんだろうか?
あれ、私割りと恵まれてる環境で生きてたのか?
「んぐ……ふぅ」
通りの脇に設置されているベンチでファストフード食いながら酒を煽っている。
さてこれは傍から見たらどうなることか……まぁそんなの知ったこっちゃないよ。
喉を焼くアルコールの感覚、鼻に抜けていく独特の匂い。
明らかに合成と思われるホップの香り……低品質だなぁと思うと同時に……
これが大戦の爪痕かぁ……と憎いくらいに青い空を見上げた。
まだまだ太陽は高い位置にあるがもう少ししたら夕暮れだ。
人によっては居酒屋に行って飲んだくれ始める時間だな。
1缶ごときじゃ酔っぱらえない……ほら、顔が赤くなってきているのは分かる。
けれども足取りはまだまだ確りしている、自分を忘れられるほどじゃない。
まだまだ飲まなきゃな、こういうハメを外す時はうんと外すしかねぇんだよ。
近くの酒場はどこだろうか?性能テストも兼ねてるんだからまだまだ行くぞ。
「ひくっ……」
「何だあの……人形、だよな?」
「人形だろ、あのデカパイに狐耳」
カメラを向けられていると思うけれども……まぁそれは良い。
酒酒……もっとアルコールが欲しいんだよぉ。
酒場っていうのは上品な所と粗暴な所の2種類がある。
シーナが迷い込んでしまったのは後者の方だ。
「ん~……」
「嬢ちゃんもっと飲んでみろよ」
「もういっぱぁーい……んぃひひひ」
シーナのアルコール耐性は非常に低かった。
その身体の組織上の問題もあるが416と同じくアルコール分解機能に欠陥があった。
完全無欠に思えた戦術人形にあった唯一の弱点とも言える。
酷い悪酔いをしたシーナはぐでんぐでんになりながらさらにアルコールをかっ食らう。
元々の開放的な衣服だから排熱は間に合っているが……酒精が回って体温はどんどん上昇していっている。
「おう~おにーさんももっとのめよぉーぅ……えへ、えひ」
「お嬢ちゃんのおごりなら飲むけど」
「おごるおごる~わらひお金持ちだからさぁ~」
粗暴な連中が屯する中に酒乱と化した美少女、それもそれなりの金持ち。
集りに集ってその後美味しく頂こうとする下心満々の男が集中していた。
飲んでいるシーナの大いに揺れる胸元や潤んだ瞳に情欲を滾らせる一方だった。
そんな男達に対してヘラヘラ笑いながら酒癖である笑い上戸をみせていく。
無防備にも男達と肩を組み胸を押し付けたりして更に危なっかしく情欲を煽っていく。
酔っ払い正常な思考できていない人形、シーナ……
「へへ……美味そうな乳してるぜ、コイツ」
「ぺろーん、うぉでっけぇ!」
「ん~ふふふふ♪」
無防備に開けられていた胸元からブラが剥ぎ取られる。
118cmにもなるバストが解き放たれ男達が色めき立つ。
シーナは赤ら顔で気持ちよさそうに微笑むばかり。
少し小さめでピンク色の先端が露出していても全く気にかけた様子がない。
貞淑で未だに汚れ知らずのシーナの身体が美味しく頂かれるか?
「そこらで止めとけ、な?」
「げっ……前線帰り」
「チッ……もう少し早く持ち帰ってりゃな」
カウンター席から立って乱痴気騒ぎになっていた所に近づいてポンと肩を叩いたのは傷が多く刻まれた男。
G&K指揮官の赤いコートを身にまとっているソイツは……正規軍上がりの前線帰り。
荒くれ者達を腕力で束ねているこの地域の統治者だった。
「コイツはどう見てもI.O.Pの人形だぞ?手を出したらタダじゃ済まない、分かってるだろ」
「でもなぁ」
「人間以上に魅力的だぜ?」
「シャラップ、少なくとも俺が見てる間はそんなの許さないからな?」
シーナを抱きかかえると指揮官は酒場を後にした。
自身に割り当てられているホテルに持ち帰る……ではなくI.O.Pに叩き込む為に。
前線帰り
SKILL ACTIVATION:鋼の意思
ここで2つのR18ルートifが出来上がるワケですよ。
酒乱は416系譜というか417の現状唯一の明確な弱点ですネ。