PMCアーク本社、休憩室Bに潜入し身を潜めながら……耳を立てて音を聞き取る。
各種センサー類から入力される情報とカメラフィードから来る情報。
それらを統合してから処理し近辺数十メートルの範囲の人員をホログラム表示する。
社内を巡回している人員は居ない、監視カメラを見ている1人が面倒なだけ。
ただ半自動化されたシステムが組まれていて定期的にレスポンスしないと異常発生とみなして警報が鳴る。
E.L.I.D化した何かしらが侵入していて襲われているって可能性を懸念しての事だが……
まぁ実際の所は暗殺を恐れての事だと思うね。
幸いなのは非番の連中はそのシステムに組み込まれていない。
なので……ここから一番近いシャワールームに向かっているヤロウをまずは無力化する。
「んぁーシャワー浴びて寝るかなぁ~……難民シバキはもう飽きたし次は何かいい遊びねぇかなぁ」
バリボリを頭を掻きながら休憩室前を通り過ぎていく男。
身長推定180cm、戦闘員らしく身体はガッチリとしている。
装備品は無し、着替え一式を持っているだけ……カモだな。
基地の設備はたしかに一級品が揃っているみたいだけど……中身はたしかに良くないね。
雑兵にもならないと思う、弱い者いじめしているだけ。
『こりゃまぁなんて……ふーむ、武器庫にたどり着くまでは隠密にな』
「アイ・コピー」
戦術ネットワークによる情報アップデートは逐次行っている。
アップデートされた情報をみて指揮官がまず驚きの声をあげているが……
まぁ打倒な線の指示を出す。勿論極力導線上で敵を見つけた場合は無力化することを念頭に置き……
「殺るか」
この社屋を血の海に変えてやる。
セレクターは一度も使ったことがなかったセミの奥、オートにしてある。
潜伏姿勢から起き上がり真っ直ぐにシャワールームに突撃。
呑気に入り込んで脱いでいる最中の男が1人。完全に無防備だ。
脱衣所の扉をゆっくりと開け中を目視、背を向けているのを確認。
こういう時にハンドガンがあればと思うがまぁそれはしょうが無い……
ドアを開けながら素早く417を構える、流石にこの音でバレるか。
振り返ろうとしている所を頭に一発、倒れたところにもう一発。
レーザーサイトがついているから照準が狂う事はまずまずない。
頭と心臓に一発ずつ、悲鳴を上げる間もなく絶命したか。
足で蹴って死亡確認……反応なし、こりゃ即死してくれたね。
「ワンダウン」
次だ次、異変に気づくのはいつかな……?
道中に1人トイレに引きずり込み無力化する等しつつ武器庫にたどり着いた。
無力化?勿論の事力任せに首をへし折った。胸がひしゃげる事にはなったし押し付けにもなったけど……
それはそれ、死ぬ間際に一瞬感じれた?って感じだろうし。
『おうおうこりゃまたずいぶんと……ん?これは正規軍の火炎放射器じゃねぇか』
「……ふーん、タグには鎮圧用って書いてあるけど?」
『キナ臭いな……使えそうなものはあるか?』
「もちろん、コレ……燃料は装填済み、他のタンクも転がってる」
『派手にやりな、敵が来るぞ』
正規軍用の火炎放射器……横流し品だと思われる。
軍の内部でも汚職とかはあるだろうが……なるほどね、高値で買い取ってるのか。
鎮圧っていうのはE.L.I.D……ってわけでも無さそうだしね。
シャワールームで冷たくなってるヤツの言っていた言葉とかから察するにね……
最初に武器庫を目指した理由?勿論予備人員の武装を防ぐのもあるけど……
「処刑開始のゴングだよ、くそったれども」
適当に手榴弾を放り込んでダッシュで退避。時限信管は大凡3秒。
過激な動きで胸がぽろりしているが気にしてはいられん。
大爆発音と共に基地が揺れる。やかましいアラートと共に基地内にアナウンスが流れる。
そりゃE.L.I.Dを焼き殺す為の火炎放射器とその燃料が一気に爆破したんだこうもなる。
「スノー、アクション」
『A-3』
「コピー」
A、前方から敵接近。数は3……視界に入るのは4秒後って所か。
カメラは衝撃で全部お陀仏、もうカメラからあれこれ見るのは無理だ。
ケモ耳のセンサーも……ちょっと爆音が過ぎたな、一時的にダウンしている。
復旧までに残り10秒。狐耳型フードを倒しててもコレだからなぁ……要改善だ。
「なんだなんだ!」
「消化器到着ゥ!」
襲撃とは思ってないな、何かの爆破事故と思ってるのか?
普通のヒト耳は生きてるから音の情報は入ってくると言えば入ってくる。
頭がそろそろ出てくるな。CQB戦用に拵えたホロサイトを覗き込み……
ちょっと上を向けて左手に添えたM320を握り込む。
ポンッと間抜けた音と共に射出されるI.O.P特製の殺傷榴弾。
このストレートが30メートルほど、そこを飛来し対角線から飛び出たPMCの男の顔に直撃する。
超高速で飛来した鉄の塊が頭蓋骨を粉砕し弾頭をめり込ませていく。
何が起きたか理解できないまま激痛が走っていくのは壮絶だな。
そして弾頭がひしゃげて……信管が作動っと。
「おーおー、キレイに3人無力化」
「ごほっ……え、ダニー?グレッグ……?」
「任務ご苦労さま、さようなら♪」
まさか自分が殺されるとは夢にも思ってなかったみたいだ。
眼の前で同僚が肉の花となったのを受け入れきれていないな。
私に目もくれず物言わぬ肉人形となった同僚を抱きかかえていたから……横合いから頭に7.62ミリの特効薬をねじ込む。
カランカランと薬莢が通路に落っこちると同時に身体から力が抜け倒れ伏す。
M320から空薬莢を排出して再装填、チェンバーを閉めて……
「さーぁ、どれだけ来るかなー?」
武器庫でまだ続く誘爆音を背に残りのPMCを掃除しにかかる。
『ここからはオレの出番だな、大凡の行動予測を立てている。受信できたか?』
「……ナイス、シコルスキー」
指揮官は指揮官で想定される遭遇パターンなどの割り出しをしていた。
さっきの遭遇予測もそれか……実際に聴覚で判断はしたけど精度は中々と思われる。
『B1』
「よっ」
逐次私の入力データは送信しつつ指示に従って動いていこう。
右に1、距離は近い。流石に警戒して近づいている……足払いしてからがいいか。
「ぅっ!?」
「しーゆー♪」
スライディングから足払いしてすっ転ばせてから……頭の落下地点に銃口をセット。
……この辺出来るのはASSTの補助ありきなんだけどね?
構えが出来ねーから抱えてぶっ放すって荒業になるけど。命中命中。
クリーンアップはかなり時間を要した。
予想時間は30分だったけれども実際は中々逃げ回られて殲滅には結局50分も取られた。
私がぶち開けておいたバックドアから指揮官が基地掌握をしていたし……スタンドアロンなPCは無理だったけども各種データ類も抑えている。
後は取引先の洗い出しや……この地域の解体が始まることだろう。
「いやすげーな、417」
「後半戦は指揮のおかげ、感謝してる」
仕事を終えた私達はもう帰りの途についている。
指揮官が運転するAMD.35に揺られながら……いままでの孤独な任務に比べ安心感があった。
誰かの指揮下に居る幸せというのを噛み締めていた……
戦術人形に植え付けられている幸せの一端……まぁ悪くない。
「……なに?」
「よくやった」
「……ふん、子ども扱いはやめて」
ワシャワシャと頭を撫でられた……
もう血とか土煙で酷いことになってるけど……女の髪を気安く触らないでほしいな。
……まったく。
マガジンも引き抜いてセーフティもかけた417を抱きしめて……しばらく眠る。
今日はちょっと良い夢が見れるかも。
気分がいいのもあるし……後はG&Kの実働部隊がしっかりと面倒を見てくれる。
そういうのもあるからね……安心して眠れるってワケだよ。
今回のHK417のアクセ
アンダーバレルM320 レーザーポインタ ホログラフィックサイト
一応CQBに即したアセンです。