雇われ掃除人形417   作:ムメイ

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その20

実働データとしてCQB戦……というか屋内戦も出来なくはないことが分かった。

相手がそこまでなPMCだったのもあるけれどもね?

私はノーダメ、向こうは全滅。施設も掌握してるから廃棄して責任逃れなんてのも許さん。

……いや、ちょっとダメージはあるな。

いつの間にか回復していたカメラに私の痴態ってのが残ってる。

逃げられたりしてないけどデジタルタトゥーとしてばら撒かれた可能性もある。

 

「ネット送信は流石に掌握してなかったしなー」

「まぁ気にする事はないよ、送信量はちょっとだし……キミのそのおっぱいが晒されるだけ」

「それが良くないって言ってんだ!ふざけんな……」

「……ふぅん?」

 

ペルシカもちょっとは気の毒に思ってくれたのか調べる手間を割いてくれた。

と言ってもペルシカは本当にちょっと見たくらいだけどな。

それで全体的なデータの流れを把握しちまうあたりは天才って感じだな。

漏れたとしても私の胸の無修正映像が漏れる。それは許しがたい事だ。

普通に自分の裸体映像が流れたら怒るってものだろ?

 

「見られて恥ずかしがるようなだらしない身体じゃないと思うけどね?」

「じゃあお前をひん剥いてネットに晒し上げてやろうか?」

「おぉ怖い、そんな事をしたらキミの身も危ないけど」

 

確かに私の身体はある意味完成したボディしているさ。

身長はちんまいがソレ以外は男の目を惹きに惹きまくる魅力満点のボディだよ。

だが、だがだよ?見ず知らずのヤツに見られて欲情されるのはイヤだ。

知っているヤツでも嫌な感じはするけどよ……

ケタケタと他人事だからと無責任にいうペルシカの白衣に手をかけて脅すけれども……まぁヤツは飄々としている。

ボディはすごくイイと思うんだけどな、コイツ。

 

「で、私は後何日セーフハウスに戻れないんだ?」

「逆に聞くよ、なんで戻りたいんだい?」

「装備、検査としか聞いてなかったから417しか持ってきてないの、Mk23くらいは持っておきたい」

「そういう事なら回収するよ、キミの性能テストはまだ終わってないからね」

 

まだまだ試すことがあるのか……もう十分にやったと思うけどな?

私が使用したことが無いだけの機能がまだまだあるのだろうか。

まぁこちらに決定権はない、従うだけだ。

それに物を回収してもらえるならば文句は少なくなる。

 

「というわけで今日は早速試験運用してもらうよ」

「そういうスケジュールは早めに言ってほしいんだが?」

 

散歩とかショッピングの予定が丸つぶれなんだが……

眉間を揉みながらペルシカに指示された試験ブースに向かう。

そういや要望とかも出せたよな……胸元の装備も考えてもらわないと。

CQB戦は想定外だって言われているが激しい挙動をしたらポロリを連発なんてのは御免被る。

 

 

 

機能チェックは戦術人形としてのコアと言ってもいいダミーリンクについてだった。

私は躯体が躯体な為にダミーすら製造されない。

製造しようにも設計データ等を契約上消去しているから。

購入者が世界に一体だけの人形をという無理難題を押し付けたが為の害だ。

 

「ダミーリンクには416型とMDR型をリンクさせます」

「……げ、コイツ」

 

何の因果かそんな私に割り当てられるダミーリンクはエリート様とこの前助けた元アイドル?

は、嫌がらせか?それとも相性がいいからと考えたか?

まぁ前者は操作方法とかほぼ同じだからな。

 

「……なるほど、そりゃ私も気が付かないワケだ」

「アクティベート確認、リンクを開始しろ」

「へーへー」

 

ソロの狙撃屋として仕上げられた私にダミーリンクは必要ない。

それなのにアクティブにしていたらCPUリソースを割かれてパフォーマンス低下につながる。

だからとディアクティブというか封印がされていたんだな。

リンク待機状態のダミー人形を確認、本来は同一モデルでしか取れないが……

特例処置で他のダミーリンクも接続出来るようになってるみたいだ。

ペルシカのヤツ私が寝てる間にイジりやがったな?

テストリンク開始……制御が私に委任されはじめる。

 

「ふぅん、へぇ」

「リンク成功だな」

「面白い感覚、リンクの具合はコッチで制御できるのよね?」

「あぁ、五感はほぼリンク可能だ」

 

自分の身体を動かしながら他の身体を制御している。

すごく不思議な感覚だ、それでいて感覚のフィードバックもあるから……

戦術幅というのはたしかに広がるな、革新的と言える。

単純なスペックだけでなく戦術単位で寸分の狂い無く連携されたら堪ったもんじゃないな。

 

「で、なんでこの二体そろって爆乳にされてるの?」

「お前の姿勢制御に合わせるためだ」

「……あっそ」

 

他にも機能的には私と遜色ないレベルに仕上げている。

本格的に軍に売り込む場合は数も生産できないといけないから……

その走りとしてこのダミー人形も軍事規格で製造しているらしい。

制御系統を似通わせて遜色なく制御できるようにする必要があるのか?

まぁ補正に余計なリソース割かれなくて済むといえば済むが……

それ含めての高性能なプロセッサーなんじゃないのか?

 

「ちなみに性器もあるぞ」

「なぜに!?」

 

これまた私に合わせてとのこと……バカなんじゃねーの?

軍での慰安任務にも従事できるからって理由が?

人形だからって完全にモノ扱いをし続けてると反乱されるぞ。

 

 

 

私の性能試験は大方終わり、一新されてアホみたいに性能が上がったけれども……

実際それを活かし切る仕事は工場制圧後にあるんだろうか?

軍へのプロモーションはまだまだ続く、依頼もそれ相応に来るだろう。

ASST抜きの武装でどれだけ動けるかを見た後私は一度セーフハウスに戻る権利を獲る。

Mk23やWA2000等が回収されるまではヒマだ。ぶらぶらと工場内部を歩き回る。

 

「……」

 

工場内部に設置された戦術人形の総合性能評価フィールドに通りかかる。

件の作戦で動く人形たちが性能評価を受けている。

やっているのはCQB戦を想定したキルハウスタイムアタック。

AIの最適化が行われ期待値に近ければ良い、そうでないならば……少々問題。

性能試験自体はコンピュータ制御されていて稼働データからも評価できる。

モニターで見学出来るのはその動き、即応戦術などを取り込み択を増やす為。

言ってしまえば戦闘経験をここで擬似的に増やせるわけだ。

 

「M16……ふん……」

 

室内戦では優位に立てるだろうARの構成。

コイツはだいぶフレーム等も良いらしく設計からして会心の出来だと言っている。

元のAIもかなり出来が良い、ペルシカ謹製なのかもしれないな。

動きもたしかに良い、並大抵の人形は太刀打ちできなさそうだ。

これが現在民生レベルでギリギリ……というかグレーゾーンいっぱいいっぱい使っての人形か。

躯体性能は以前の私とは比べ物にならないな。

仮に撃ち合いになったら射程に入る前に無力化しないと詰みだったかも。

 

「期待値に対しての98%か……ほぼ理論値」

 

凄まじいな、正直私要らないんじゃない?

あの416だってとんでもなく良い性能してるんだろうし……ケツモチの私達は要らないんじゃない?

……まぁフェールセーフだろうな。

 

『どこに……ちょうどいい、キミもキルハウスタイムアタックするといい』

「ペルシカ……武器は?まさかと思うけどあのガンラックから選べって?」

『ASST抜きでどこまで出来るかの性能評価だ、好きなの選びなよ』

 

ガンラックに並ぶのはARばかり……まぁ見事に傑作銃ばかりだ。

あえてゲテモノでチャレンジしてみたくもあるけど……うん。

 

「コイツにしよう……」

 

引き抜いたのはアサルトライフルの中でも大型な部類。

G3だ、骨董品中でも古い部類で基礎設計もかなり古い。

それで性能叩き出せたら……さぞ驚くだろ?

精度もいい、狙撃屋の私には丁度いいARだと思う。




次回、キルハウス


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