狙撃屋としての依頼が舞い込んできた……クライアントは私がよく知るPMCのお得意様。
以前おっぱいを触らせて契約をもぎ取った所だ。
正直嫌な感情が胸の中で渦巻くが……まぁそれは噛み殺して依頼を遂行する。
今回の依頼内容は違法組織に献金しつづけている富豪の排除。
狙撃で処分しても良いし潜入した上で排除しても良い……準備、手段それらは私に一任されている。
大事な仕事が控えているのに今日になったのは……その富豪がパーティーに出席するからだ。
愛煙家な事もあってテラス等に出てくるだろうと予測される。
久しぶりにIMX330に乗るのは非常に心地いい。
ただ以前とくらべて……その、スカートのめくれ具合を気にするようになった。
走っている最中に見られるのは一瞬だからと気にしてなかったんだけど。
スパッツでも履いてみようかな……まぁそれは今度考えてみよう。
今回の任務で持ち込むのはWA2000、重量はかさむけど携行性に優れたコイツに決めた。
サイドアームのMk23も忘れずに……現場の警備担当は個人契約の物らしく裏取引とかには応じてくれない。
まぁその辺含めてどうにかするのが私の仕事だろうな。
「ここか……」
着いたのは戦災を生き延びた古風な街並みにそびえ立つホテル。
その中で件のパーティーが行われている……富豪が不定期に開催する物だ。
開催時間もゴールデンタイム、まぁ人通りが多いこと多いこと。
私もそれに紛れることが出来たらと思うけどね。
残念ながら私の外見的特徴が特徴だから紛れることは難しいな。
「ドローンの使用許可が降りなかったのは辛いなー」
ダミー人形の使用も許諾されてないし……ま、何時もの私の任務に戻ったって感じだな
こういう時こそドローンで上空から視察できたら楽なんだけど……
その許可は降りなかったので地道に自分の目で確認するしか無い。
監視カメラの回路等は当然ながら内部を張っているので外からアクセスは出来ないな。
いや、やろうと思えばできるけど現実的じゃないっていうのが正しいか。
下水に潜って地下配線からハッキングする。
下水に潜る段階で私はイヤだし潜っていくのを見られたらアウト。
ハッキングする回線もわからないし変なのにハッキングしたらそれもマズイ。
コンテナに突っ込むなんて事したら速攻で怪しまれるしWA2000とMk23が入っているのはギターケース。
勿論の事偽装のための物品でクソデカい胸に邪魔されながらなんとか背負った物だ。
「宿泊予定のシェーナです」
「シェーナ・タンク様ですね?……はい、確認しました」
人形も経済を回す為にあちこちにいるから思い切り普通じゃない私も闊歩出来るのは嬉しいことだ。
偽名のシェーナを名乗りチェックイン、代金は勿論の事私持ちだ。クソが。
堂々とホテル内を歩けるのでじっくり視察しよう……パーティーは夜通し行われ翌日もやるとのこと。
むしろ今日は前夜祭といった所か。
ホテルのパーティーホールを貸し切って大々的にやってるな。
ひとまず私は荷物を置きに部屋へ行こう……
怪しまれないように警備の配置とかも把握しないといけないしな。
「ん?」
「私個人からです」
電話番号……ナンパかよ、ホテルマンを見上げるとウィンクなんてしやがって。
うぇ、気色悪い……愛想笑いを浮かべてそそくさと行こう。
武器の持ち込みは成功、だけど中から狙撃できそうな場所は……うん、限られてるな。
パーティーホール自体はガラスが多く貫通キルを狙いやすい。
ただ対角線になる部分で射撃できそうな場所が絶望的なまでに無い。
人が見ていない間に射殺するか……それともまた別な方法で釣り出すなりしないとダメだな。
内部にさえ侵入できればあとはなんとかなると思うけどね。
パーティーは招待状がないと入れない。それにボディチェックも入る。
当然ながら武器の持ち込みなんぞしようものなら捕まるな。
遠目から視察しながら情報を集めて……まぁこんなところ。
宿泊部屋もこれまた警備が敷かれている。
入り込めるのはルームサービスくらいだな。
ただ……警備の人数はそうでもないのか?見てる限りではそれぞれ2人程度。
パーティーホール内部を見れる範囲で見ても警備の姿が見えない。
武装をしていて肩がほんの数ミリ盛り上がってる訳でもない。
まぁ狙い目は……パーティーから戻ってくる数分の間だな。
ちょうど隠れられそうなボックスやロッカー等はある……私の場合はギリギリだけどさ。
ハンドガンでの狙撃っていうのもまぁ出来なくはないか、試してみ価値はある。
潜伏しながら狙撃が可能なポイントとなると……ん?
ふむ、ターゲットが出てきた。何をしに?視察程度だからMk23しか持ってきてないが……
ん?誰かと接触……あ、あの爺はこの前のE.L.I.D地域で救出した爺だ。
ちょっと使えるかも?潜伏を止めてっと……
「あれ?そちらにいらっしゃるのは……」
「ん?おぉ、いつぞやは世話になったおっぱいではないか」
「んぐぁ……その覚え方は止めてください……」
私の顔をみるなりそんな事を言ってきた会長サマ。
やめんか、その手をワキワキとさせるのは止めてくれ、思い出すだけでブルリと来る。
「この、狐と胸が特徴のご令嬢は?」
「ん、おぉチョット前に話していたとんでもなく抱き心地が良さそうなヤツじゃよ」
「ほほぅ、チップはいくら払えば試せるか?」
「……ナチュラルに売女扱いはやめてくれませんか?」
任務で使えそうだからって接触したのは間違いだったかー……キレそう。
まぁ良いかちょっと乗ってやろう。
「試すなら良いですよ……ただ二人っきりでお願いします」
「おぉ、ぐふふふ……パーティの後の余興が出来たわい、ほれコレはワシの部屋のカギじゃ」
「……ありがたく拝借します」
侵入権を色でもぎ取った感じだなぁ……さて、どう排除しようか。
即殺したら流石に怪しまれるしなぁ、遅効性の毒とかでも仕込むか?
ただそんな毒物を持ち込んでは居ないし……警備もまとめて気絶させて処分が良いか。
狙撃屋のハズなんだけどやってること完全に暗殺屋だよね……
平然と人を殺せるようになっておきながら今更か?それもそうだな。
「お早い帰りをお待ちしてますね、ミスタ」
営業スマイルにちょっと色気をつけてウィンクしてみせる。
するとまぁ分かりやすくニヤァと笑ってパーティ会場に戻っていった。
会長サマも連れて……なるほど、お迎えだったのね。
「というわけです、後でお部屋に向かいます」
「危険物の持ち込みはなさらないようにお願いします」
「はーい」
私自身が危険物なんだけどね。
Mk23を丁重にギターケースに戻すべく部屋に戻って……それからターゲットの部屋へGO。
部屋内部の警備は無いと来た、ラッキー。
草木も眠るウシミツアワー、警備の人数も減って部屋の外の2人だけになった。
無線傍受モードで奴らの無線を盗み聞きしているから間違いない。
外に耳を向ければ……まぁ時折愚痴が聞こえてくる。
違法組織への献金、まぁ表向きは宗教団体への寄付になってるけれども……
実際は傀儡同然、金蔓にされている始末でそんな雇用主を罵倒する内容もあった。
人望は恐ろしく無いと思われる……私を待機させているのにも言及していてよく思ってないな。
「ん、来たか」
お仕事タイムだ、ターゲットが千鳥足で戻ってきた……
おやおや警備は何処かへ行ってしまったしこりゃイロイロと楽だね。
「おまたせぇ~おっぱいちゃ~ん」
「お待ちしていました……私の触り心地を試す前に幾つか質問いいでしょうか?」
「んん~なぁ~んでも言ってくれたまぇ~」
改心する余地はあるだろうか……ちょっと揺さぶろう。
「今貴方が信仰している宗教ですが……」
「おぉ~君も協賛してくれるかね!?それは良い、聖女もお喜びになる事だ」
「あの……協賛ではなく、詳しくお聞きしたいだけ」
「世界に蔓延る怪異を救いになる人類の救世主があの寺院にはいらっしゃるのだよ、さぁ君も洗礼を受けにいこうではないか」
目が血走っている、こりゃダメだ。
狂信者と言っていいな、詳しい宗教名は聞き出せないが……改心の余地なし。
宗教団体から違法組織に金は流れているし金の供給元であるコイツは……ダメだ。
「んむ?」
「……ふんっ」
「ごぺっ……がか……ッ……!」
「私、そういうのは信じないんだ。あばよ、金蔓」
手っ取り早く首を折って始末完了……コイツの情報端末を漁って宗教団体の場所を探るか。
末端には流れていない場所があるはず、金蔓専用の直通ルートが……
とりあえず終了……やることヤッた後みたいな感じでバスローブ姿で出ていこう。
監視カメラ情報もちょっとイジらないとな……ヤることはヤッてから離脱だな。
狙撃させたいと思ったらこうなっちゃった。
これじゃ色仕掛けで暗殺するハニートラップ要員じゃねーか。