雇われ掃除人形417   作:ムメイ

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捏造とか盛々よ


その23

件の作戦決行日だ、侵入先は鉄血工造本社工場。

念には念を入れてということで先行して侵入する人形の後追いだ。

スグにでもバックアップ可能な距離に居ながらもしもの時のカウンタースナイプ等を担当する。

 

「まさかフル装備でとはね、ごちゃごちゃして堪ったもんじゃないわ」

『よっぽど回収したい相手なんだろ、我慢しろ』

「へーへー」

 

私がロールアウト後に受領した417用の戦術アクセサリ郡は勿論の事。

つい最近追加された指向性聴覚パックに電子戦OPの尻尾、戦術ドローンまで一緒とはね。

背中に合体したら一時的な飛行能力の付与、急速強襲等の戦術的な選択肢が増える。

おい、私はマークスマンじゃないのか?何やらせるつもりだ。

 

『装備品の確認はいいか?』

「……ん、大丈夫。ハミングバードのコンディションも良い」

 

装備品というか携行品か。スカートのベルト左右に括っている弾薬ポーチに417のマグ2個ずつ。

Mk-23のマグが2個ずつ入っているのを確認、右太ももにはMk-23入のホルスター。

左ももにはグレネード弾3発をいれたポーチ。

まぁ室内戦でグレネードなんて使うハメにはなりたくないが。

手持ちは勿論の事HK417、アセンはマルチプルに対応するためアクセ全載せ。

ライト、レーザーサイト、赤外線ライト、高倍率スコープにハイオフセットホロサイト……そしてレーザー測距儀。

俗に言うクリスマスツリー状態、アンダーバレルグレネードもあるから重量は酷い。

人間だったらふざけるなと数分で投げ出す代物だ。

各部のメカ的な整備も怠っていない、万全の状態。ジャムる確率はかなり低い。

あぁあとコイツだ……要人確保って事だから万が一に備えての救急医療セットだ。

止血するための物や破片などを摘出するためのピンセットもある。

 

『相手側は俺たちがバックについているのは知らない、極力隠密にな』

「はいはい、その辺も分かってますー」

 

あくまで別口の保険だからな、本筋の部隊がそのまま確保しちゃえばソレでいいし。

なにか問題があればその時にちゃちゃっと解決すりゃいい。

要人が負傷したらバレるのとか形振り構わず救護に入れば良い。

通信でやり取りしながら突入部隊の後方についた……

 

『まぁ向こうの指揮を取ってるのとはある程度情報を交わしてるがな』

「ふーん……けっ、中々イイ動きする。私の出番ないんじゃない?」

 

鉄血工場はまぁほぼ無血開城状態。相手はセキュリティを叩き落としているみたい?

いや、電子戦の人形が無力化しているんだ。

ザル警備にレベルを落としているだけ……なのかな?

で、そんな電子戦人形を取り囲むようにAR持ちがずらりと……

全員自信と誇りに満ちた顔しちゃってさ……あーあ妬けるね。

 

『おい』

「分かってる、ちょっと思う所があっただけ」

 

仕事に私情を混ぜちゃいけない……エンジンマイスターだった頃からそうだ。

公私は分けてこそだ……今の私は冷徹な狙撃手なんだ。

まぁ気持ちを切り替えよう……胸元に手を当てて一息……

 

「侵入経路に予定変更は?」

『今の所ない、順調だ』

「あいよ……じゃ、お仕事の時間だな」

 

コッキングハンドルを引いて……送迎の装甲車から飛び出る。

無線でやり取りしていたの?あぁまぁシコルスキー指揮官が乗ってる運転席と乗員席が隔絶されてるからね。

必然的に無線でってなるんだよ。

ドローンが悪いんだよドローンが……翼を畳めるとは言えちっこい戦闘機と同等なワケだし。

尻尾は全部下に垂らさなきゃいけないし……余計に嵩張るんだよなぁ。

 

 

 

AR小隊の内訳はまぁ見事にM16のバリアントで埋め尽くされている。

リーダー格がM16

分隊員にHK416……なんの因果か顔立ちも似てなくもない。姉がいたらああだろうなと思わなくもない。

LWRC M6 AR18 M16LSW……扱う銃器が見事にファミリーとなっている。

利点としては使用弾種、パーツ、武器の使用手順の共通化。

いい事ずくめだが咄嗟に自分の武器を間違えかねないな。

カメラフィードでちらっと見たりもしたが……スコープ越しに見る小隊の動きは見事。

3フォワード、2バック。何処から襲撃されるかわからないシチュエーションで効果を発揮するフォーメーション。

しっかりとクリアリングも行うし下手に抵抗しようものなら秒で頭に穴を開けられるな。

 

「ケツモチ可能な距離を保ちながらって辛いなぁ」

 

鉄血工場の廊下は広く長い。直ぐ様バックアップ出来るように体勢を整えてはいるが……

残念ながらちょっとのタイムラグとかが発生しかねない。

自動ドアの開閉、曲がり角の有無……まぁ要因はイロイロある。

あと人形同士、視界距離は長い。マークスマン、スナイパーとしての調整を受けている私の方が長い距離を視認できるけれども……

工場内でそのアドバンテージを取れるわけがない。普通に向こうも視認するわボケ。

そもそもだが人員が居ない……発見されて取り押さえるなんてことも考えたんだけどね?

 

『ふーむ……あの人形、生産リストにあったか?』

「ん?何か気になる事でも?」

 

私から送信されるデータを見ながら戦況分析を行っている指揮官が怪訝そうな声を挙げた。

ピックアップしたのは電子戦人形の2人……バックアップ部隊として登録がされている。

UMP40とUMP45……たしかに、見学をちょくちょくしていたがあのタイプが生産されて……るな。

データとしては残っている。だけどコレ、フレームの稼働からしてなーんか怪しい。

 

『ペルシカに問い合わせてみる、スノーはそのまま監視を継続』

「アイコピー」

 

……胸がザワつくな。

ん、別行動し始めたな。回収部隊であるARの方についていけばいいか。

 

 

私の胸のザワつきはそのまま現実の物となった。

回収対象が視認範囲に入った所だ。向こうが両手を挙げて近づいてきていた。

しかし突如としてAR人形達が錯乱し始めた。何が起こってるのかと目を丸くした。

416が突如として乱射し始めた。耳を立てて伺えば要領を得ない言葉を叫びながら。

リーダーのM16が取り押さえてなんとか被害は無かったが……遠隔操作で416は機能停止。

残りで作戦行動を続行……イヤ、これはマズイ。

 

『くそ、罠だ!ソイツらを全員無力化しろ!!』

「チッ……!」

 

既に錯乱が波及していっている。このままだと回収対象にも流れ弾が!

生死はこの際問わないよな、どうせ後で修理するんだし。

抵抗しているのはM16か、後は撃ち殺す!

M16は正気を保って1人射殺していたが……まぁダメージをけっこうもらってる。

錯乱乱射が早かったが為に跳弾した弾が回収対象の人物にヒット。コレがマズイ。

さらにマズイのは各種セキュリティが一気に作動した!

隔壁は降りてしまったし回収対象にたどり着くには迂回しなきゃならん。

 

『戦術ネットワークが汚染されてる、お前は繋ぐな!』

「はいよ」

『セキュリティも作動している、強行突破するぞ。あれは処置を早くしなけりゃ間に合わん』

「全部使って良いんだよね?」

『許可する』

 

フルスペックを発揮する時が来たとはね……!

軍事産業も担う鉄血工造のセキュリティは強固強固、物理的に排除するのは一苦労。

特に小火器でしかない銃でってなると骨が折れるんだけども……

 

「ハミングバード、羽ばたいて!」

 

そこそこ広い工場の回廊、軍事ドローンの推力でかっ飛んでいく。

あぁ、勿論の事ポロリと行っているけどそんなのは無視だ。

セキュリティのタレットを回避しながらダッシュで駆けていく。

 

「えぇい、邪魔だ!!」

 

ぞろぞろと出てくるガード人形達、今は構っているヒマはない。

最低限ヘッドショットをしながら途中蹴っ飛ばして突き進む。

通信で入ってくるマップデータとナビゲーションデータを頼りに……

 

 

 

 

 

結果から言うと回収ターゲットは死亡した。

私が応急処置をしたけれども出血量が多くてその生命を生きながらえさせる事しかできなかった。

だが、意識がしっかりしている間に研究していたデータの在り処、パスワード……

そして……感謝を述べられた。

 

まぁつまるところ私の任務は失敗。

回収したデータはペルシカが見ている。

更迭はされないが……どうもキナ臭い動きがあるから軍のプロモーションは取りやめだとか。




本当はここでリコ生かしたかったんです……

でもね、やっぱリコには死んで貰います、悲しいね。
生きてたらイロイロ辻褄合わせるの大変なの……死んでる扱いにしてもエリザちゃんの暴走とかの整合性が取れへんし。

蝶事件後はさぁお待ちかね鉄血掃除にE.L.I.Dとかとの勝負ですわ。
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