雇われ掃除人形417   作:ムメイ

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その29

狙撃でギャング50人はかるーく始末した。

途中哀れな事故死もあったりしたけど……まぁスラム住人からしてみれば最近調子に乗ってた連中だ。

潰されて清々しているんじゃないかなー……爆発物の仕入れルートを今割り出してるってさ。

流石にナパームはヤベーからどっから仕入れたかを探ってそこも潰す予定だって。

 

「うひょー、即金……でもこれスラム内で使えるんだっけ?」

「そこは問題ないよ、ボク達が荒稼ぎしている金も使えなきゃ意味ないしね」

「……堂々と電子マネークラック発言すんなよ」

「シーナちゃんの電子マネーは推定……」

「やめろ、言わんで良い。最後の出金だって全部からっけつにしたのバレてるんでしょ?」

 

幸いにして通貨は新ソ連の通貨そのままだ。

私の手元にそのままどっさりと入ってくるお金はこのスラムでの生活を助けてくれるだろう。

使用しているお金がチャージ式っていうのもあって困ることは多分無い。

それだけのお金を稼いできているんだ……消費する先があんまり無かったんだけど。

ここで消費してしまってもイイかもね。

そうそう仕事の受付、後処理とかはナードくん経由ですることになりそう。

私個人の端末を持つまではそうなる感じ。

セキュリティとかもなんとかしないと他のハッカーに割られるし……

スラムで端末持つのはハードルが結構高いんだよねー……

ハッカーに報酬支払って組み上げてもらうのがイイんだけど……

 

「……組むならセックス」

「金で済むハッカー探す」

「ん"……そ、それならパイズリをもう一回……」

「はいはい……それとお金も支払うね、パーツ代もタダじゃないんだから」

 

セックスは論外だけどパイズリくらいなら許しちゃうかな。

あ、でもその前に……このナードくんにしてもらうコトがあるかな。

 

「すんすん……うん、ナードくん」

「ひゅぃ?」

「お風呂、入り行こうか♪」

 

この臭うハッカーオタクを風呂にブチこむ事だな。

私と性接触しようとするならまずは清潔感を出してもらわねーと。

 

「えぇ?でもでも、まだやってないハッキング作業が……」

「じゃあ時間作って、パソコンを組む時間があるんだから出来るでしょ?」

「……わかったよぅ……臭うかなぁ?」

「臭ってるから文句言うんですー」

 

ナードくんに手を振ってからスラム街に出ていってみる。

スラムとは言ってるけど……商品は普通に表と変わらないと思う。

 

 

 

スラムの街並みは汚いながらに一定の広さ、活気、商品の品揃えを見せている。

多くは露天商、住居にドンと店を構えるのは少ない。

大体は……流れ着いたジャンクを修復して商品化しているものだ。

中には素材はジャンクだけど正規品真っ青な精度のブツを出しているのも居る。

表では到底手に入らない違法パーツもあったりして……玉石混交っていった所。

行き交う人々を見てみれば……屈強でいかにもなアウトローが多い。

だがナードくんみたいなオタクっぽい人も居るし……私みたいな人形も見る。

女性の大半は人形だな、たまに生身の女を見るけど顔に火傷があったり傷が入っている。

あとはやたらとガタイが良い女だったり……死臭が臭う女ばかりだ。

 

「おぉ?何だこりゃ……女用のアクセサリー?」

 

スラムの雰囲気には似合いそうにない可愛らしい女用のアクセサリー類だ。

髪留めとかに使えそうなリボンにコサージュ……

コサージュの方は……このなりでソーラーバッテリーか。

人形用のアクセサリーだな、人間が付けてもあんまり意味ないし。

 

「ヒヒッ……そいつが良いかい?」

「……定格出力とかイロイロ教えて」

「まぁその胸で大体分かってたけど人形だな、アンタ……見かけない顔だ」

「まぁうん、それで?」

「軍の廃棄品からくすねたバッテリーだ、小型だがパンチがあるぜ……9万でどうだ?」

 

高いな、これでポンと買ったら後々カモられるだけだな。

かわいいけど正直微妙……バッテリーにも困っていないしな。

 

「そっちのリボンは?」

「こっちはレーザー警報だ、人形でもレーザー測距するヤツがいるからな」

「いくら?」

「こっちは人気でな、18万だ」

「試着は?」

「持ち逃げする気か?ダメだダメだ」

「ふぅん……機能も確かめずに売りつける気か、ジャンクとかってオチじゃないよね」

 

向こうはふっかけるつもりだし何かとつけてコッチを釣り上げようとしてるな。

銃で脅してもいいけどそれじゃ後々良くないしな……

お互い警戒していちゃアレだしなぁ……どうしたものかなぁ。

 

「まぁ買ってやる、ただし2つで10万」

「いやいや、無いな……新入りは額面払いな」

 

おや、値切り交渉は応じないと。

しかも新入りは虐げられるもんだときたか……

 

「あっそ……ふーん……」

「冷やかしか?なら帰って男のブツでもしゃぶってな」

「……頭、気をつけておいた方が良いよ」

「……なんだ、買うのかカモがよぉ」

 

ふーん……バッテリーの方は違法規格だな。

ミリタリーグレードのバッテリーで出力もそのまま。

シビリアングレードのが使ったら過剰電力でショートするヤツだ……悪質。

レーザー警報は作動するけどこっちは値段がぼっただな。

ボッタクリ店はどうしたら良いかなー……事故って事にして痛い目見てもらおうかな。

 

「ギャングの二の舞いにならないと良いね、オジサン♥」

「……あぁ?」

「じゃね♪」

 

楽だからって髪留めはゴムにしていたけど……コッチにしようか。

……私自身、女になりつつあるのを受け入れている。

これが私の生き方でいつかは好きな男とかも出来るんだろう……

過去との決別も込めて、より女の子らしいアクセサリーに変えよう。

カモと思ってるだろうけど後々デカいしっぺ返しをしてやろーっと。

私、吹聴するつもりは無いけどボスからの仕事を受けている女になるわけだよ。

ボスから直で仕事を受ける人間、人形は少ない。

細部は伏せるけどヤッた人間と殺られた人間はしっかり報告するタイプなボスだからなー……

さーてあの店主のオッサン……後々見たら良い表情見せてくれそう♥

商業区画での暴力はご法度に近いけど……他はどうでもいい。

ギャング壊滅させた女に喧嘩売った事、後悔するかなー?ふふーん。

 

「まぁ後悔してようがしてなかろうが……ナメたら理解らせるだけだから♥」

 

今日の予定はあとは……水着になりそうな物を買って混浴着の確保だ。

 

「お?おぉー良いタイミング♪ナイスだよボス」

 

スラムの電光掲示板にニュースが配信された。

しぶとくのさばっていたギャングが壊滅した、仕事人はって……うわぁ私の顔ドアップ。

単騎で潰した新人だから舐めるなよって忠告つきー……

あっはっは、いい気分で混浴に入れそうだぜ。

 

 

他にスラムのショッピングを続けてみるとカオスなことカオスなこと……

いくつか銃の整備パーツを購入して湯浴み着にしようと思ってTシャツ等を購入。

この辺が普通に転がっているのがスゴイと思う。

まぁTシャツは引き裂いて巻いて簡素なビキニにするつもりだけど。

 

「スラム住人はこんなの主食にしてるんだね……不味くないからなんとも言えないけど」

 

露店で売っていたのはネズミの丸焼きだった。

でっぷりと太らせたネズミを丸焼きにして調味料ぶっかけたファストフード。

もちろん内蔵とか頭は落としているけどね?

不味くはない、けど美味しいとも言えない……

この辺は適正価格で買えた、さっきのニュースが効いてる感じかなー

あと私の事甘く見て物理的な喧嘩を吹っ掛けてきた筋肉ダルマを軽く捻ったのもおっきいか。

物資も予定通り入ってくる様になってスラム維持は滞りなくなったし……

一部にあった締め付けも緩くなったみたいなんだよね。

 

……ま、今回はスラム側についたけどね。

どっちの味方でもないよ、私は利があるほうにつく……

 

当面の湯浴み着も確保できたし……混浴風呂、行ってみるかぁ

多少のセクハラはもう黙認しちゃえ。美少女なのが悪いんですもーん。


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