スラムに堕ちてからもうかれこれ2週間が流れた。
私の部屋には備え付けのシャワーが出来上がり毎日キレる事はなくなった。
混浴風呂に入れば必ずと言っていいほどセクハラされて相手を殴り倒す事が発生していた。
その際に危うく強姦されかける事もあってこのスラムの治安の悪さを身をもって体感していた。
それに常に気を張っていないと私の胸は狙われるようになった。
見た目通りのセクサドールで胸やら尻やら弱点で鳴かせてしまえばコロッと落とせる。
そんな根も葉もない……とは言い切れない噂が流れている。
だからかしょっちゅうソッチの誘いが飛んでくる……まぁ咥えられなくは無いけど。
ペルシカの方もなんとか落ち着きが出来てこっちの相談に乗ってくれるようにはなった。
まぁ目下私が危惧していることといえば……セクサドールの機能が土台にある。
セクサドールは起動時にオーナーをインプットするか本番セックスをした相手がオーナー登録される。
現行モデルはどうかしらない、私はそうなんだ。
ヤるつもりは無いけど……うっかりスラムのごろつきに強姦されでもしたら……
立場は全然低く私に逆立ちしても力が及ばないゴロツキの雌奴隷になってしまう。
オーナーとなった人間には逆らえずちょっとでも触られるとスグにでもイケるような状態になってしまうの。
今でも抑え込んで抑え込んでようやくちょっと敏感じゃない?って程度なのに。
オーナー登録をどうしようってなったんだけど……そこはペルシカ、結構苦心してオーナー登録に介入してくれた。
私が心から信頼を寄せれる相手をオーナー登録出来るようにと改良してくれた。
プログラムパックで送ってくれたからちょちょいとインストールして事なきを得た。
まぁ挿入されたらソレがスイッチでセクサドールとして本格始動してしまうのは変わらないけど。
「よっと……今日の仕事は何かあるかな?」
ぼちぼちと裏社会でシェーナの名前は売れ始めていた。
狙撃・暗殺からちょっとエッチなサービスまでヤッてくれるロリで爆乳な狙撃手ってね。
一応狙撃がウリなんだけど……クライアントはそんなの知ったこっちゃねぇ。
端末をポチポチとしながら仕事のメールを眺めていく。
毎日は無いが一気にドバっと来たりする……今日は幸い一個あった。
他は大体が身体を求める男からのメール、無視無視。
「暗殺か、ターゲットは汚い政治家……下半身が非常に緩いから楽と来たか」
まぁ軽い誘惑でホイホイと釣られてくれたら非常に楽だね。
こういう暗殺をやってくれる人員はそう多くはない……リスクが高いしね。
強襲して暴れて生きて帰るだけの生存力があるか狙撃できる腕前があるか……
それとも私みたいに色気で誘ってさっくり殺すか。
先天的なモノか尖った戦闘能力が無いと無理なものだよ。
仕事を受託、向こうも私がスラムの女っての知っているからスムーズ。
企業間のやり取りじゃない、個人間でのやり取りって体だ。
報酬の受け取りだって私が直接出向く、サービスもして次のお仕事につなげていく。
女として生きていく覚悟を決めた私は強かだよ。
IMXを転がしてやってきたのはなんとまぁ連邦のお膝元。
まぁ無法者の勝手口なんてのは相場が決まっていて……下水道だ。
都市区画の下水システムから入り込んでメンテナンス回廊からアプローチする。
だからバイクは都市区画の外、万が一にも盗まれたら?
その時は街のどっかから車を盗み出すだけだよ。
問題があるとしたら……私の胸で通過可能な地上への出口があるかどうかだね。
上がったらまずは内通者が居るホテルに行ってシャワー。
その後は宿泊予定のターゲットにコンパニオンガールとして接近。
勿論下の方の担当としてね?
まぁ衣服は完全に売女とか淫売って言われておかしくない露出度だからね。
人間の方は根回ししているから障害らしい障害はない。
「……うげぇ」
まぁ下水だからやるとは思ったよ、虫を踏んづけた。
ブーツ越しとは言え踏み潰す感覚は非常に精神衛生上よろしくない。
というか意識しないようにしていた虫どもに意識が向いちゃって私のSAN値を削ってくる。
人より虫が怖いよ、私は……
まぁ問題もなく下水から地上へ。
違法人形ではあるけど指名手配されているワケではない。
カメラに残るリスクは避けたいけど絶対に回避しなければならないって訳でもない。
ただ検問では絶対に引っかかるので裏ルートを取らなきゃならない。
そこは違法人形の悲しい所だね。
検問でも色仕掛けでなんとか突破できればいいけど……
検問を司っているのが人形、識別も完全に機械任せだったら無理無理。
せめてバックドアがあるようなG&Kならなぁ……と思わなくもない。
ま、そんなのを嘆いてもしょうが無い。メインストリートから離れた路地に出たか。
好都合、巡回の人形とかに怪しまれる事もない。
「すんすん……うぇ、くっさ……」
自分の臭いに思わず顔を顰めてしまう。
まぁ下水を辿ってきたからね、仕方ないんだけど……精神的なダメージがっ……!
自他共認める求められる女がこんな臭いのは耐え難い。
さっさとホテルへ行こう……ルートは即時演算できる。
「そういえばこの街、テロ予告されてなかったっけか……物々しい雰囲気に巻き込まれなければいいけど」
とばっちりで違法人形発覚からの逃走劇とかになったら嫌だなー。
違法人形なんて探しゃ何処にでも潜んでるんだけどね?
指名手配ってほどにはならないと思う。シリアルナンバーが照合不能でトラック不可だからって理由だけで手配してたらキリがない。
そんなのジャンクヤードにいくらでも転がっているしソコから這い上がってくるヤツも多い。
スラムにもそんなのは居た。
だから……大丈夫だと思いたいけどねぇ。最短ルートでトラブル無ければいいなー……
トラブルも無く手筈通りにホテルに到着、身綺麗にした後ターゲットに接触……
かるーくすっぽり抜いてあげて口でもしっかりしてやって……それからコっきりと首を折ってやったんだけど。
外がなーんだか騒がしい、持ち込んだ武器は護身用として筋がギリギリ通るMk-23しか持ってきていない。
本当に身軽に来たんだけど……ホテルの窓の外を見てみるとまぁなんてこと。
「あっちゃー……どっかのカルト教徒がマジでテロったか」
派手に上がるのは緑色の爆炎、え?まてまて、まさかと思うけど。
ローカルニュースWebに接続して確認しているけれども……うっわ爆心地でコーラップス反応。
間違いない、このテロで持ち込まれたのはコーラップス液を使用した環境汚染爆弾だ!!
耐コーラップス処理されてる人形とかでも無い限りは汚染されて……十中八九殺処分だ。
うっわマジかよ……人間のウチに脳みそぶっ飛ばしてやれば良いんだけど。
多分爆心地の連中は被爆量が多くてもう半分ゾンビ化してると思う。
原液そのままドバーっとだったら溶けてなくなるけど、爆弾で拡散したモノだったら違うと思う。
「……一応、ゾンビ化しないようにっと」
どうせ殺したヤツだし……と首をポッキリ折った遺体の頭を引きちぎる。
これで生命活動は終わらせているからコーラップス汚染されたとしてもゾンビ化はしない……はず!
マジかー……これMk-23でゾンビパニックになりつつある街から脱出しろって話だろ?
正規軍はおそらく来ても大体殺処分してくるだろうから接触は避けたい。
E.L.I.D発症してゾンビのままなら別に良いんだけど……変異を繰り返してとんでもない化け物になるから処分は残当だけどさ。
まぁとりあえず……目的はこの街からの脱出になるかな。
武器もハンドガン一丁だけだし、無理は出来ないよね。