雇われ掃除人形417   作:ムメイ

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その37

最近流入してくるスラム住人は増える一方。

その傍らで良からぬ企みをする人間も少なくない。

怪しい人間が最近娼館付近に出没するようになってきた。

まぁ証拠はそれとなく消されているけど情婦に手を出されて娼館を運営している連中がキレている。

そこで娼婦でありながら腕っぷしやら暗殺術に長けた人材を欲していた。

そこに私がぽっと入ってきたから渡りに船ってことで仕事が割り振られた。

 

「ま、何だって良いけどね……結局は殺せってことでしょ?」

 

金を貰って抱かれて……変なコトされそうになったらぶち殺せばいい。

現状被害は人形が大半で人形のマスター権限を無理矢理剥奪するらしい。

そうなるといろんな記憶とかが書き換えられてソイツ抜きに生活できないレベル……にはならないけど。

ソイツの顔を見て、肌に触れないとストレスを抱えるようになる。

あと献金されて金の流れがな……まぁスラムの終わってる連中の中でもキレるわな。

一応私、セキュリティばっちばちのテスト人形だし。

人間はどうしたって?人間相手だとなーんにも手出ししてこないし決定的な証拠が不足気味。

怪しきは罰せよだけど……あんまり早まって後ろでなんか手を引いているのに逃げられたらマズいよね。

ま、そこで私が実際にヤって背後になんか居るならソイツのトコまで潜入。

そうじゃないならサクッと殺して報告。

 

「マッチングはしている、待ち合わせもここ……」

 

相手はこのスラムでは余り見ることが無いカソックを着ている男……

カソックの男が情婦を買うってのも馬鹿げた話だけどね。

まぁ一種の変装だと思う、ハッカー共も追っかけようとしたら忽然とシグナルロストするって。

ハッキング対策もしているし変装までされてるんじゃ追っかけるのも大変だわな。

 

「あは、おにーさんが私を買ったのかなー?」

「……」

「あーはいはい、黙ってついてこいって?」

 

携帯端末の文字で応答してくる、いやー何だこいつ。

動きもどっか人間じゃなくて機械くせぇな……何もんだ?

人形特有のシグナルは検出されないし人間なのは間違いないだろうけど。

連れ込む先は……へぇ、こんな路地裏?

 

「連れてきたぞ」

「……ふむぅ、ふひ、これはこれは」

「ちょっと、ナニこいつ」

 

ギョッとする、コイツぬっと出てきたのは下水溝だ。

ツルッパゲのカサカサと動く蜘蛛みてぇなおっさん!!

人がギリッギリ入るか入らないかのサイズのソコから出てくるかよ!?

下水道から入ってくる連中は居るけど一度入ったらマズ使わないし……浸水とか……

というかコイツ、見るからに正気じゃない。目がラリってやがる。

手元物もヤバい、これ第2世代人形にぶっ刺さるアクセス機器……!!

なるほど、こりゃぁマスター権限とか奪われるかもな。

汎用セキュリティならハックされかねないし……うーむ。

まぁ、ハックされたフリしてやるか。

あーうん、ワイヤーレスで接続してって感じだな、逆ハックしてっと……

 

「ふほ、ふほほほ」

「約束のブツを早く渡せ」

「ふひ……ほれ、さぁこの人形は我らの贄とするか」

 

ダウンしたフリをすると身体弄られてズルズル引きずられる……

うっげぇ鼻に突き抜ける腐臭!!んぉー……やばい、鼻が死ぬ!!

渡していたブツはなにかしらの薬物か、首に迷いなくぶっ刺していた。

アンプル状だったし……ふむ、危険薬物ってワケでもなさそうだな。

まぁいいや、このキモいおっさんのアジトで判明するだろ。

 

……やけにハッキングがスムーズだったな。

私のハッキングプログラムそこまで強力だったっけか?

 

 

 

 

運び込まれた先では他に行方不明になっていた人形なんかが転がっていた。

それぞれ共通しているのは……生体部品を多く使っている。

というか身体の組成の9割近くを生体部品が占める。

ガチガチの超高級セクサドール達ばっかりだ、こんなの集めてどうするんだ?

……あー返されてたのは膣とかだけが生体部品だったりするタイプだったっけか。

マスター権限返さないで放逐している辺りがクソだけど。

 

「ふひ……この人形はずいぶんと生体部品満載だぁ、まるで人間みたいだ」

 

私の身体を触ってニチャニチャ笑っている……生体部品なのがミソか。

いやしかし触り方が非常にきしょい、生理的に受け付けないタイプ。

痴漢とかでももうちょっとキショくないと思う。

というか痴漢なら私を気持ちよくさせてその恥辱だったりを愉しむでしょ。

 

「これならばあの御方の望むものもできるかもしれないなぁ……ふひ、溶けてくれるなよぉ」

 

感知できる範囲でコイツが使っていると思われる端末は複数ある。

それぞれにデータが分散していると思われるからコイツを殺した後はちょっとハッキングに時間かかるかなぁ。

溶ける、ふむ……何を示唆しているのやら。

 

「まずは……傘プログラム……おや?入力拒否……?」

「悪いな、そりゃできねぇモンだ」

「ぐぺっ……な、に……?」

「お前さんは捕まえてたーっぷり、吐いてもらうぞ♥」

 

殺すのは拷問してあらかた吐かせてからだな。

ハッキングされて無力化されているハズの人形が動いてきたらそりゃビビるわな。

まぁ……窒息のさせかたは幸せそうだけどな。

私のバカでかい胸に埋めさせて窒息したんだ、幸せだろ?

さて、サクサクとハッキングしてデータぶち抜くか。

あぁうん、文章データは重要部分は暗号化されてるな、かなりデカい組織が絡んでるな。

……ぉぉぅ?

 

「下記施工をした人形に低濃度のコーラップスを塗布し……変異しないものを見つけろ」

 

……コーラップス系の技術の発展の為?

いや、違うな……それならもっと高濃度のに耐えれるようにってなるはずだ。

それとは別に高性能な人形が居たらそれを別途輸送……私はそれに該当するか。

受け渡しポイントは記されている……ここでそれに偽装したら潜入できそうだな。

吐かせるモノは少ないだろうけど……拷問は別なやつにまかせて私は潜入するか。

 

 

 

 

まぁこれが、私にとっての最悪の出会いのきっかけでもあった。

コーラップスに絶望した民の心の拠り所でもある宗教団体、パラデウスと呼ばれるクソカルトとの、接触につながってしまった。

正直に言ってかなりウカツだったと思う。

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