そろそろかな……っと。
合流予測時間はもうそろそろ、一応殆どの敵人形を殺してきたから後はまぁ……なんとかなるでしょ。
付近のあぶれたG&Kの正規部隊に任せるでもなんでも良い。
仕事に使ったM82はもう私の車、コンカラーに格納済み。
周辺警戒しつつコンカラーの上で待つ……誰をって?
そりゃ勿論、これからおもてなしをする4人ですとも。
「ん、見えた……スピリット1聞こえるー?」
『聞こえてるわよ、どっち?』
「左24.6度……そうそう、そこからまっすぐ約1800メートル、ピックに向かってもいいよ」
『じゃあ、来てもらえる?』
「了解、フォックスアウト」
無線通信でやり取り……まぁ404の連中ですよ。
向こうの今のコールサインはスピリット、亡霊だって。
ま、コッチも超直球にキツネだけどさ。
向こうはもう歩き詰めで疲弊しているだろうし……こっちからピックに向かう。
一応……バレる事は無いだろう距離だけどね。
「迷彩ネット格納……よし、行こっか」
私が組み上げた誇りのエンジンがうなりを上げる。
始動も一発でポン……かなり大きい43インチのタイヤが不整地を蹴り上げ動き出す。
まぁ車で動けば1.8キロとかそんなでもないんだけどね……
撤退支援しつつだったしまぁまぁ……はは、遠目で見える4人の驚いた顔イイねぇ。
まぁそりゃそうだ、結構大きめの改造トラックが来るんだし……
隣につけて……後部ランプを下ろして……っと。
「よ、さっさと乗らないと置いてっちゃうよ?」
「ほら、お迎えが来たわよ」
「……チッ」
「まぁまぁ416抑えて抑えてー」
「なんでも良いよぉ、帰れるならぁ……わぁ、お布団がある!!」
後部キャビン監視カメラをオンにしてっと……ふふ、載せるのはあんたらが初めてだぞ?
G11は大はしゃぎ……他の面々もまぁ悪くない反応、416は相変わらず舌打ちしてるけど……
元々の目的は私の装備整備のガレージ兼護送要員の為のキャビンだったりするから、座席もしっかり完備してるし通信設備もある。
お気に召したかな……ま、全員載ったしベルトも着けた様子だから発進と。
テールゲート閉鎖、よーそろーってね。
「あー……G11ちゃんも座席に座ったほうが良いよー?」
『ぅぇ、な、なんで?』
『見てるの?悪趣味ね、ヤリマン女』
『逆にこっちからも向こうの様子見れるみたいよ、よくこんな胸で運転出来るわね』
『わぁ見てみてこれ、アイスクリームが入ってる!!よんごー姉、食べちゃおうよ!』
んー……まぁ各々楽しんでいたらイイけど……
ほんっと416のツンケン具合がすごいなぁ……はは、まぁ良いけど。
「そのベッド急患用で拘束アームが出るよ」
『え、うわぁぁぁぁあ!?スゴいとこ掴むぅ!?』
「……ディアクティブするからさっさと席に座ってね」
さ……お荷物はしっかりと依頼主に届けないとね……
道中は特に危険も無く、スタックなどもなく……予定時刻ぴったりにペルシカ指定の……404のセーフハウスにたどり着いた。
秘匿性の高い通信にしないといけないからってセーフハウスに敷かれてる直通ネットワークで送信するんだとさ。
「それで、どういう風の吹き回し?」
敵対心むき出しの416が私をガン見して監視してるのはいかがなものかなぁ。
どういうも何も……私は私のやりたいことをしただけなんだけどね?
「それはどれを指した言葉かな」
「態度から今回の回収……そしてアンタのその目……」
「……んー、ま話してもいいかな、信じられないような話かもしれないけどね」
ちょうどいい機会だ、416だけでも話すべき事は話しておこう。
態度が変わった理由はメンタル面の補修を受けたから……かな。
回収は結局の所私のお仕事だし、受けたのも結局は416に向けるこの私の一方的な愛情にもよる事。
「私ね、製造されたの……かなり前でね、貴女よりも稼働年数は多いの」
「オンボロのアバズレが改造されて戦術人形に?ハッ……」
「ん、まぁ当たらずも遠からず……躯体はそう、でも電脳の製造年月日は……2039年、西ドイツの当時先端技術を扱っていたC社」
朗々と語る私のコアな部分、何を……って怪訝な顔をしている416も情報を整理していって……
私の正体についてアタリが出たんだろう、明らかに目が揺れる。
「……C社、その主力製品は当時ようやく認可が降りて富裕層や中流階級の人間が挙って導入していた……人間用の電子頭脳」
「ちょっと待ちなさい……」
「察してるかもだけど、私のパーソナルはWW3前の人間……それもね、男だったの……今はこんな人格に矯正されちゃったけど」
私の元々の躯体がどういう経緯で製造されたかはもう知られてるだろう。
この辺はデータとして残ってたら権利団体がうるさいから破壊されてることだろう。
まぁ人間のパーソナルが叩き込まれてる人形なんてあったら大問題だからね。
「……最初貴女を見たのは製造されてI.O.Pでの検査を終えた後の姿、エリートとしての街道を往く事が約束されていた姿」
「皮肉な結果になったけど」
「まぁまぁ……その時は歯ぎしりしたよ、同じ様な銃……姉妹銃にあたるものがマッチングしていて更に僻んだよ」
「でも貴女も私と同じ闇に堕ちてきた、ここで気がついたんだ……ひがんだりしたけど光を歩み続けて欲しいって思ってたの」
ぎゅっと……416の手を握り見上げて……
向こうはまだ動揺しているみたいだけど……さらに語っていった。
私が歪んだ思いを懐きながら416に固執しどうにか間接的に干渉できないか……
不慮のことがあれば直ぐ様駆けつけるつもりでいた。
最初こそドロドロとしていて……なんならブチ犯す衝動もあったりもした。
でも今は違う……姪っ子を見る叔母の様な気分で見ている、見守るつもり……
「……キモいと言われたらグハッとなるけど……悪いことはしてないつもりだよ?」
「これは……」
「貴女や45、9……そしてG11のプロダクトを買い取ったの、軍部から所持者は私……否、G&KないしI.O.Pに還った」
「……まぁだからって言って何をするわけでもないよ、ダミーリンクや修理パーツのアテが出来たって思ったら良いよ」
さて……言うものは言ったし、45あたりにメールでもして狙撃手が必要な場合は私を呼んでって旨を伝えれば良い。
416に見せた情報も添付して送りつければまぁ……私が結構なパトロンみたいに思われるだろ。
握っていた手を解きここまで輸送してきた車、コンカラーに乗り込む。
……うーん、結構重かったかなぁ。
エンジン始動させて尚固まっている様子の416に苦笑いしつつ……私のセーフハウスへと向かう。
報酬として私のセーフハウスも本格的に始動できる資材が届いているハズだ。
これから、表も裏も……仕事で大忙しだなぁ。
417→416に向かうクソデカ感情が伝えられた一話であった。
まぁ417はこれから404と直接アレコレする事は多分無いんですけどね……