雇われ掃除人形417   作:ムメイ

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番外

G&K S09自治エリア……G&Kの基地があり、その周辺には人が住む居住区が点在する。

生活インフラも最低限ながらに整い、道路なども比較的整備された方である。

少なくとも主要道路は舗装されている上で小道も泥濘に足を取られる事もない。

整った方のS09でも無いモノはあった……人手である。

特に機械整備を行える人材が不足していて機械に強い人形、G&K内部コード、PPShが担当していたが……

 

「あ゙ぁぁぁぁ、もう!!ヘリの整備の次はハンヴィー、ジープ!!やってられません!!!」

 

完全にキャパオーバーに陥った……無理も無い、鉄血の暴走人形の対処にあちこちへと部隊を派遣……

エリアの防衛、正規軍が討ち漏らしたELID体達への対応……旧世代の軍用品の寿命を大いに削る事になる。

日常的な整備を欠かさなくとも……過酷になっていく自然環境には逆らえないのだ。

そこで、S09の指揮官は新たに人形を雇えないかと本部に打診した。

ヘリのスペシャリストか自動車のスペシャリスト……特に軍用車、ディーゼル機関の整備に精通した人形を要求した。

その結果派遣されてきたのがG&Kにも登録されていてコードも振り分けられているI.O.Pお抱えの人形……

 

「コードネーム417……ま、他の呼び方でも良いよ。自動車の整備及び警備任務の契約で貴方の指揮下に入ります」

 

本当に整備、戦闘ができるのか?と思いたくなるような見た目の人形が送られてきた。

身長は143cm マッチングしている武器はHK社の開発したバトルライフル、417。

傑作銃コルトM4カービンの改修モデル416の口径アップモデル。

その総長と比べても頼りなさが目立つ……それだけならば先駆者が居なくは無い。

M99、同じく小柄な体躯でバカみたいに巨大な対物ライフルを振り回す人形だ。

それよりはマシとは言える……だが、ある一点が戦闘も整備も難しくさせるとはっきりさせる物がある。

 

ゆさっ♥ゆさゆさ……♥

 

417の胸元は前述のM99と比べるのも烏滸がましいレベルに巨大だったのだ。

類似するサイズ感はそう無く大きいと評されるDSR-50やVSK-94をして見劣りさせるレベル。

常軌を逸したサイズ感なのは民生人形としても異色も異色。

そもそも何故戦闘用に改造されているのかが不思議なレベルの出自だからだ。

 

「経歴を見せて貰ったが……元……あー……」

「セクサドールってのは本当だよ、UASのReシリーズがベース」

 

数多の人形を受入れてきた指揮官だがコレには顔を手で覆い、天を仰ぐ。

しかし突っ返すワケにも行かない、実際に動かして見ないことには評価は出来ない。

何より後ろ盾として推薦してきたのが指揮官にとっても腐れ縁になりつつある人物……

 

「ペルシカ女史……どうして……」

「あっはっは、一枚喰わされちゃったね」

 

I.O.Pの頭脳と言っても良い博士、ペルシカリアである。

30歳程度でありながら大企業I.O.Pの人形技術の核心を握る人物だ。

指揮官が配下としている人形達……第二世代戦術人形の産みの親でもある、絶対に逆らえないとも言える。

人形に全てを捧げているとも言うペルシカ博士に度々こうした”プレゼント”を貰う程になった指揮官……

指揮能力は言わずもがなだが……その真価は人形を懐かせるとんでもない人形特効とも言うコミュニケーション能力。

人形達が指揮官を巡ってキャットファイトを繰り広げるまである……

そんな中にセクサドール……間違い無く火種になる。

 

「あぁそれと……これも一緒に渡せって」

「今度は何を……軽いな?」

「出来るだけ一人のところで開けろってさ……さて、指揮官さん。私は早速ジープとかの整備に向かえば良い?」

「ん、あぁ。詳しいことは今まで整備を頑張ってくれていたPPShに聞いてくれ」

「はーい」

 

新たに配属されたこの小さくも巨大な爆弾娘……受入れたのが本当にデカい爆発を起こすのであった。

 

 

 

 

さて、私のS09に赴任した真のお仕事の始まりだ。ペルシカからの1年契約で持ち込まれてる仕事。

クルーガー社長が一押しする指揮官の補佐、監視……護衛などの複合任務。

ペルシカ当人も気に入っていてお手製人形を預けるまでしてる人物らしい。

……蓋を開けてみりゃとんでも超人っつーか……下手な人形より機械染みてるよ。

同時に4部隊くらいのダミー含む人形のコントロール……自分がとっ捕まっても生き残ってくるし……

何なんだよコイツってレベルでドン引きの経歴、指揮官以前は何してたんだよ……ってくらいには気になるね。

射撃の腕前もすっげー良いし……

 

「ふぅ……でも、仕事でこうしてクルマ関係のに戻れるなんてね……」

 

ペルシカの采配かもしれねーけど……エンジン整備も出来て自動車に詳しい人形って言ったら私くらいなモンだ。

何せ、今の主流はBEV……電気自動車ばかりだからね。

時代遅れで枯れた技術の内燃機関の方が軍事には向いている……整備もしやすく、頑丈。

代用品も転がってるには転がってるしね……

最初、指揮官が整備出来るのか?って目をしてたのが懐かしいな……

 

「終わったかい?」

「ん、あぁ指揮官さん。ばっちり直したよ、次はパトロール?」

「あぁ……それが何だけど……」

 

私が配属されてから3ヶ月程度……この間にもいくつかの事件があったし……

入ってくる人形もうなぎ登りに増えて行っている。

新規人形が発表されるとほぼ次の日には着任してるってのは多い。

新人教育……及びエリアパトロールが私の仕事になってる。

……けど、今日はちょっと違うみたいだ。

 

「掃除を頼みたい、シーナ」

 

以外と、早かったな……ふぅん?

 

「んー?シーナなんて名前はG&Kのコードにないけどー?」

「惚けなくて良い、掃除屋……キミに頼む事がある」

「…………へぇ?」

 

どんなヘマをやらかしたのか……それともこの指揮官をして金を積んで消したい相手が居るのか……

裏の顔を知った上で何を要求するつもりだ……?

 

「緊急を要する、S03に赴き鉄血の巨大砲台を一緒に無力化して欲しい」

「はいはい、ソイツを掃除……なんて?一緒に?」

「そうだ、今からオレ達の部隊も急行する……417……いや、掃除屋と呼んだ方が良いか?」

「どう呼んでも良いよ、ソロで潜らせると思ったら……ま、なんであれ……ヤることはヤるよ」

 

少し拍子抜けというか……肩透かしを食らったな。

作戦に必要なピースってことで私を派遣するのか……

 

「ちなみに、何処で私の素性を知った?」

「ペルシカ」

「……あんのクソマッド」

 

指揮官に告げ口したのは何を隠そうペルシカと来た。

つまりは……アイツは信頼して良いって後押ししてる。

 

「興味はさほど無いが……なんで巨大砲台なんてのを掃除しろって? 人形救出?」

「そうだ、AR小隊が輸送機ごと落とされた、その救助に絶対に邪魔になる」

「……他の伝手がもう行ってるんじゃないの、私に依頼する程のリスク?」

「確実性は高めたいからね」

 

この状況下で真っ先に動くのは404……多少の切り捨ては発生しかねない。

……なるほどね……人形は換えが効くが見捨てるワケにも行かない……なんてきれい事を宣ったと思ってたけど。

 

「……指揮官」

「なんだ?」

「キミってバカだねぇ、ふふ」

 

筋金入りの人形バカと来た、はは。

ならまぁ……ちょっとばっかりサービス気味でも良いか。




「んじゃ、改めてよろしく。G&K内部では417で通すから……他のが居る間はしっかりそっちで呼びなよ? 私は別に良いけど、社内規則違反で減給なんてのはイヤでしょ」



4/17ということで番外、プレイヤーである指揮官の下に着任するお話でした。
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