明確に襲撃したって痕跡は残したし副ターゲットも潰せたのはラッキーラッキー。
追加報酬が入って貯金が潤うね、うん。食品に金を掛けることが出来るよ。
休みが無いのは本当にキレそうだけど。
人形だからそういう休息が必要ないのは理解しているよ、理解しているさ。
精神的にはキツいんだからな。今度G&Kの担当官と会うことがあれば眉間にブチ込む。
「セーフハウスに到着っと……ガレージオープン」
私のセーフハウスは小ぢんまりとしているけれども必要な設備は揃っている。
足に使っているIMX330のガレージ、銃器のメンテナンス用のワークベンチ。
生活用の水を溜め込む貯水槽、汚染物質を取り除くフィルターも完備。
電線とネットワーク線は繋がっていてパワー確保は出来ている。
一応ながらに一人の生活程度であれば十分に賄えるソーラーパネルに風力、水力発電システムも構築されてる。
これで電線がブチッと切れても暫くは大丈夫ってヤツ。
あとは猟師としてのお仕事スペース……解体、食肉加工する部屋と剥製作り、鞣し革作りの部屋。
そして生活用のキッチン、お風呂と情報端末。
あぁあとアレだ。人形の簡易メンテナンスベッド。
簡易的なモノだったら修理と保守点検が出来る優れもの。
オートメーション化されていて必要箇所の点検とパーツ交換程度ならしてくれる。
まぁ私は有機素材で構成されている部分が多くて根幹部品……
骨格フレームだったり各種センサー類のアセンブリ、機関部の交換とかがそう。
この部品がかなり高くつくから給料の半分以上はメンテナンス部品の補充に充てていたりする。
生体部品に関してはよっぽど傷が入ってしまわない限りは自動修復される。
ナノマシン技術が導入されているからね。
大欠損したら流石に修理出来ないので交換処分になるかな。
「ふぅ、次の依頼もう来てるんだろうなぁ~」
ウェポンコンテナを降ろして、背負っていたバックパックも降ろして生活エリアに上がる。
キッチンの冷蔵庫から飲水を取り出してから情報端末前のイスに腰掛けてっと……
簡易認証を行って端末にアクセスする。するとまぁ依頼のメールが早速。
嫌だなぁ~と眉間を揉みながら開いてみる。
うん、ですよねー……お仕事内容はE.L.I.D感染が拡大しつつある地域での掃討作戦。
クライアントは当該地区担当のPMC……手に負えないし人形を持ってないからとお鉢が回ってきたな。
可及的速やかに行動に移れとの命令だからのんびりはできないねぇ。
E.L.I.D感染症の発症から完全変異までは時間的猶予はそこまでない。
一晩経てばそこはゾンビの山と化す……助ける者は富裕層の患者。
処すのは大した金も無い貧民か……まぁ延命しようと思ったらかなり金がかかる。
貧民は化け物になる前に処してしまえか……嫌な仕事だよ。
分解整備はしたばっかりだしボディ洗浄は……したいけどその余裕は無い。
女子になった我が身ではちと精神的に辛い、シャワーくらい浴びたい。
まぁ文句を言っていてもしょうがない事。
弾薬の補充要請を出して……あといい加減に休みをくれって要望を叩きつけてっと……
任務に使うのは417でいいかな……あとは変異が進んで化け物になってるヤツ相手にするなら……
もっとマズルエネルギーがあるラプアマグナムぶっ放せるのが良いかな。
チョイスするのはDRD Tactical-Kivaari世にも珍しい.338ラプアマグナムをぶっ放すセミオートライフル。
ASSTが無いから通常のFCSを用いての射撃になる。
ASSTだとまず外すこと無いくらいには超高性能なFCSが使えるんだけどね。
文字通り417専用になるから他に流用が効かないのが難点。
アクセサリーはグリポッドとレーザーサイト、ホロサイトにマグニファイア。
市街地戦になるのは間違いないし逃げ惑うヤツ相手にぶっ放すんだからね。
「作戦成功時には富裕層との面会も予定か……あーあ、やな感じ」
富裕層って言うとぶくぶく肥えているのがほとんど。
人間性だってゴミみたいなものが多いし……個人的には嫌い。
ミドルネームでフォンとか付いていたらちょっとは違うかもだけど。
セクハラとかは上等って感じになるだろうなぁ……
メールが暗に言っているのは客を取ってこいって事だろうね。
護衛用の人形の受注を取ってこいってかなぁ?
まぁ戦術人形のシェアは鉄血工造が強くて主流のレーザー兵器も使われている。
時代遅れのKE武器を振り回している私達の性能と言うのは軽んじられている傾向がある。
だからこその私、性能PRの人形って事だろうね。
特にイレギュラーで偶発的にもバカみたいなソフト性能を誇っている私をPRに立てればね。
金を積めば抱き心地は抜群で近辺警護もばっちりこなせる人形が手に入る。
欲しがらない金持ちは居ないだろうさ。
絶対に裏切らない自分だけの嫁とかが居たらそりゃ欲しくなるよ。
自分が仮に大金持ちでボディが男のままだったら欲しがる。
武装の選定は終わった、弾薬と替えのマガジンもたんまりコンテナに入れた。
後は封鎖がされて唯一の出入り口になっているポイント付近に潜伏して脱出しようとする人間を選んで……
生かすか殺すかを篩いにかければ良い。
よく分かるゴージャスなチョーカーを着けているらしいから見間違えさえしなけりゃ良い。
自分でも死んだ目してるなー……と思いつつバイクにコンテナを積載してからセーフハウスから飛び出る。
件の汚染拡大地域に到着してみれば地元警察とPMCが連携して封じ込めを行っていた。
街全体は分厚い隔壁に覆われて出入り口も一箇所だけ、その出入り口も頑丈なバリケードが構築されている。
身元確認が出来ている富裕層は出されているけれども貧民は出口でぎゅうぎゅう詰め。
勿論の事出す気はサラサラ無いみたいで威嚇射撃を繰り返している。
「ねぇそこのお兄さん、質問いい?」
「ん?ぉでっか……ぁー質問?何だいお嬢ちゃん」
「緊張感ないですね……この近辺で高台とかあります?Webニュースライターなんですけど」
「んー……残念ながら許可できそうな高台は無いな櫓もない」
「そうですか」
バイクを適当に停めてから降り、PMCの人に話しかける。
ニュースライター何ていうのは当然真っ赤なウソ。
マスコミもチラホラ居るから説得力はある嘘だよ、運よけりゃそれで櫓の1個でも借りれたらと思ったけど……
残念ながら見る限りでは櫓も一切構築されていない……どうしたものかなぁ。
「中に入るって事は?」
「冗談で言ってるのかい?」
「……無し、今のは無かったことにして」
ゾンビの山になりかけている所に入るのはまぁ無謀だよね。
しょうがないや……高台がなけりゃよじ登るしかないか。
幸いいい具合の木々ならあるからね。木登りしてそこから狙撃するしかねぇや。
「自分でいい場所探すよ、お仕事頑張ってね、お兄さん」
「おう、お嬢ちゃんも頑張れよー、後で会ったらイイ事しようぜー」
どうしてこう、セクハラを挟もうとするかねぇ。
バイクでちょっと離れた所に行ってからコンテナ担いだままえっちらおっちら木登り。
胸が相当邪魔だけど登れなくは無いんだよね。ハイパフォーマンスフレームの恩恵。
アホみたいな握力発揮出来るからね、あははは。
いい具合に太くてゆっくりと座れそうな枝に腰掛けるとちょうど壁の向こうが覗ける。
高さにして3.5mといった所人力ハシゴしたら脱出は出来なくもないだろうけど……
自分が足場になるなんてのは許容出来ないんだろうなぁ。
パニックになってるし……まぁそれはしょうがないと思う。
汚染が広がっているのは前々から周知されていたしそれを承知で住んでいたんだろう?
「ま、恨むなら恨んでくれても良いよ……」
脳天に一発、それが一番安価で確実な治療だよ。
コーラップスに曝露してしまった人間は現状どうあがいても助からない。
出来るのは延命に延命を重ねる処理だけ。その処理をする価値があるのか?
ソレに対しての担当PMCからの回答は……足元への着弾だった。
明確なその威嚇の音にも関心を示さず尚も出入り口に殺到する民衆……一人の頭が爆ぜた。
伝播する恐怖からさらに出入り口に殺到するが一人、また一人と頭をザクロに変えていく。
詳細を知らされていないPMCが慌てふためいているのが見える。
いい人達だねぇ締め出ししてる最中も苦い顔してたし、私とは大違いだよ。
そういう良心の呵責って言うのはもう捨て去ったよ。
立ち昇る硝煙と人々の悲鳴を耳にしながら私の目はどんよりと濁ってきていた。
時代的にいつらへん?って質問が飛んできそうなので……
一応第2世代戦術人形が出てきてますので2057年以降であるのは間違いないです。
鉄血もまだ人類に反旗を翻してはいませんので2061年以前になります。
ただこの狙撃屋に従事してそこそこ経っていますので大体2058年後半とぼんやり考えてます。
そろそろエロハプニング書きたい(ぉ