【ライトニング・サムライ】~転生者はダンジョンで英雄になりたい~ 作:独身冒険者
目を覚ました俺が最初に目にしたのは、知らない天井だった。
鼻につくのは病院を思い出させる独特な消毒液の臭い。
そして、ベッドに寝かされているだろう感触。
「起きたかや。ヒロ」
覗き込んできたのは、スセリ様だった。
ホッとした表情をしているが、どこかやつれたように見える……。
「……スセリ様? ……ここ、は?」
「ここはバベルにある治療施設じゃよ」
「治療、施設……? なん、で……?」
俺……何かしたっけ?
えっと……確か……いつも通りダンジョン…に……。
俺は全てを思い出して、目を限界まで見開いて飛び起きる。
「っ!!」
「落ち着くのじゃ、ヒロ。もう全て終わっておる。言うたであろう。ここはバベルじゃとな」
「でも……! テルリアさんが……! テルリアさん……!!」
「テルリアも帰って来ておるよ。すでにミアハ達が連れて帰ったわい」
「っ!! ……そう……ですか……。……そういえば、俺……どうやってここに?」
助けなんていなかったはずなのに……。
「【ガネーシャ・ファミリア】と【ロキ・ファミリア】の者達じゃ。ここには【勇者】達が連れて来てくれたようだの。【九魔姫】がある程度その場で治療してくれたようでな。今回ばかりはロキの奴に借りが出来てしもうたわい」
フィンさん達が……。
また……助けられちゃったのか……。
「ちなみに、お前は3日寝ておった。傷に関しては後遺症の心配はない。治療費もお前が大暴れして荒稼ぎした魔石で十分賄えたわい」
「3日も……!?」
「お前のぉ……あれだけ無茶すればそのくらい当然じゃわい。理性が飛ぶほどに無意識の域で戦い続ければ、心身共に疲弊して当然であろうが」
「……すいません」
「……はぁ。今回ばかりは説教は出来ぬか……。むしろ良くぞ生き残ったと褒めてやらねばならん。……じゃが、お前はそれが嫌であろう?」
「っ……!」
俺は下唇を噛んで、布団を握り締める。
スセリ様の言いたいことも分かるけど……。やっぱりテルリアさんを死なせておいて、俺だけ生き残ったのは心が締め付けられる。
他の人達も助ける余裕すらなかった。
もしかしたら、1人くらい逃がすことが出来たかもしれないのに……。
もちろん、これはエゴだ。無意味な後悔だ。
でも……そう考えずにはいられない。
「今はゆっくりとするが良い。ここならば、闇派閥の連中もそう簡単には手を出せまい」
スセリ様は俺の頭を撫でて、立ち上がる。
「ステイタスの更新はお前が落ち着いてからにしようかの」
「……はい」
スセリ様は背を向けて、扉に手を掛ける。
「……今この周りには誰もおらん。好きなだけ思いを叫ぶがよい。機を逃せば泣けぬらしいぞ?
そう言って、スセリ様は今度こそ部屋を後にした。
……本当に全部見透かされてるなぁ。
俺はボフッとベッドに倒れる。
生き残ったのは……俺だけ。
助けることもせず、ただ衝動のまま暴れただけ。
生きている人よりも、死んだテルリアさんを優先した。
冒険者は基本的に生死は自己責任だ。
しかも、闇派閥が原因とは言え、制御不能な怪物進呈。
モンスター相手に殺されるのは、冒険者の常。
競争している冒険者同士の蹴落とし合いも、冒険者の常。
けど、だからと言って、命を見捨てるのはどうなんだ?
俺が見捨てた人達だって……大事な人達がいるはずなんだ。
「……ごめんなさい……ごめんなさいぃ……!」
俺は無意識に謝罪を口にし、涙を流していた。
それに気づいたら、逆にもう止められなくなった。
「うぅ! ううう! うぅあああああ……!!」
俺は両腕で目を覆って、声も抑えず泣いた。
ここを出たら、『冒険者』に戻れるように。
強がりでも、前に進めるように。
見捨てた人達の分まで、『冒険』出来るように。
だから今は……一杯謝らせてください。
…………
………
……
スセリはフロルの病室の扉の横で、腕を組んで壁にもたれていた。
「ほんに、男という奴は面倒というか意地っ張りというか……女の胸で泣けば、意地も何もなかろうに。こういうところは、神も子供も変わらんのぅ」
小さくため息を吐いて、そして小さく笑みを浮かべる。
「じゃが、だからこそ……愛おしい。転んだ
そう呟いたスセリは、外を目指して歩き出す。
「……予想が正しければ、ヒロの
スセリは今も病室で泣いているであろう我が子を思い浮かべて、小さく笑みを浮かべる。
「
だから、彼は今も堅実に英雄へと歩んでいる。
「あぁ……下界に来たのは正解じゃったなぁ」
満足そうに呟いた女神は……今日もバイト先の酒場へと向かうのだった。
…………
………
……
翌日。
俺は退院を許された。
退院する直前にギルド職員がやってきて事件の詳細を訊かれたので、覚えている限りのことを話した。
やはりゲーゼス達は捕まっていないらしい。
つまり、また狙われる可能性があるってことだ。
……もっと強くならないとな。
バベルを出た時、外は小雨が降っていた。
俺はそのまま雨に打たれながら街を歩き、都市南東部にある第一墓地へと足を向けた。
ここは通称『冒険者墓場』と言われており、多くの冒険者がここで眠っている。
その中で新しい墓石が並んでいる列に近づき、目的の墓石を見つける。
『テルリア・リリッシュ』。
「……すいません。花……買えませんでした」
お金はスセリ様が全て持って帰っていたのを、花屋の前に立ったところで思い出した。
一度帰って出直すべきだったのだろうけど、何故かそのままここに来てしまった。
しばらく雨に打たれながら、墓石の前でただ佇む。
言葉が出ない……。
その時、俺の上に傘が差し出される。
「会いに来てくれたのは嬉しく思うが……風邪を引いてしまうぞ。お前は病み上がりであろうに」
「……ミアハ様」
「見舞いに行ったら、すでに退院したと聞いてな。なんとなくだが、ここではないかと思ったのだ」
優しい笑みを浮かべて、ここに来た理由を語るミアハ様。
それに俺は逆に胸が苦しくなり、思わず顔を俯かせてしまう。
「……申し訳ありませんでした」
「……それは何への謝罪かな?」
「あなた様の眷属を巻き込んでしまった挙句、死なせてしまいました……」
「おかしなことを言うでないぞ、フロル。闇派閥の者共はお前を狙ったわけではあるまい。それで私に謝れば、お前は他の犠牲者全てのファミリアに謝りに行かねばならなくなるぞ?」
「……」
「私はもちろん、テルリアも……ダンジョンへと赴く以上、死んでしまうことは覚悟しておった。それに、忘れてはおらんか? テルリアは本来もっと前にダンジョンで死んでいたかもしれんのだ」
そうだ。重傷のテルリアさんを助けたのは俺だ。
そして……死なせたのも俺なんだ……。
「お前と共にダンジョンに潜ると決めたのは、テルリア自身だ。一度死にかけたことで、もうダンジョンに潜るのは止めろと私は言った。だがな、フロル。それでもテルリアはお前に恩返ししたいと言って、再びダンジョンに戻る覚悟を決めたのだ。私は……止められなかった」
「……」
「テルリアは全てを覚悟していたのだ。お前は……その覚悟を見なかったか?」
「……見ました……助けられました」
命が消えるというのに、俺のために魔法を使ってくれた。
そのおかげで俺は今ここにいる。
「ならば、私がテルリアにかけた言葉は正解だったようだ。『お前のおかげでフロルは無事生き延びた』。そして……『良く頑張った』というのは」
「……」
「フロルよ。これは私の我儘なのだが……出来る限り長生きしておくれ。あの子の分までな」
「……すいませんが……それは約束出来ません」
「……何故だ?」
「テルリアさんが守ってくれたのは、『冒険者フロル』だからです。だから……俺は冒険者として、テルリアさんの分まで強くならなければいけません」
「……そうか」
「そして、その強さで……今度こそ助けられるはずの命を助けてみせます……! テルリアさんが救うはずだった命の分まで」
それが助けられた俺が出来る贖罪だ。
テルリアさんだけじゃない。今回見捨てた人達の分も、これから零れ落ちてしまうかもしれない人達の分まで。
強くなって、誰かを救い続けよう。
正義感とかじゃなく、してもらった行為に対し、ただ恩返しをしたい。
「俺は、もっと強くなりたいです」
そう呟いた俺は、墓石とミアハ様に頭を下げてその場を後にする。
ミアハ様は、俺を追ってくることはなかった。
久しぶりに感じる本拠の玄関を開ける。
「ただいま戻りました」
「うむ。おかえりってびしょ濡れではないか。全く……先に風呂に入って着替えて参れ」
「はい」
スセリ様はいつも通りに出迎えてくれた。
それがどこか心地よくて、ありがたかった。
手早く風呂に入って着替えを済ませた俺は、スセリ様に促されてステイタスを更新することになった。
正直、どれくらい暴れたのか憶えてないからなぁ。どれだけ伸びているんだろうか?
「……全く。お前がどれだけ無茶をしたのか如実に表しておるなぁ」
スセリ様の呆れたような言葉に、碌でもない結果が出たのは間違いないようだ。
スセリ様は大きくため息をついて、俺の背中に用紙を当てて写し取る。
「終わったぞい」
「ありがとうございます」
「ほれ。確と焼き付けるが良い」
スセリ様から紙を受け取って、一度深呼吸をしてから目を通す。
フロル・ベルム
Lv.1
力 :A 891 → S 941
耐久:B 785 → A 877
器用:A 858 → S 918
敏捷:S 942 → SS 1062
魔力:I 0
《魔法》
【パナギア・ケルヴノス】
・付与魔法
・雷属性
・詠唱式【鳴神を此処に】
【】
《スキル》
【輪廻巡礼】
・アビリティ上限を一段階上げる。
(・経験値高補正)
【
・『麻痺』に対する高耐性。
・雷属性に対する耐久力強化。
・被雷時に『力』と『敏捷』のアビリティ高補正。
「っ……!!」
「あの娘は天に還れるというに、傍でお前を支えてくれるらしいのぉ。ほんに、良い女子に巡り合えたもんじゃて」
アビリティなんてどうでもよくなる程に、俺はスキルの項目に意識が集中する。
スセリ様の言う通り、テルリアさんは弱い俺を本当に支えてくれるようだ。
「ぐすっ……これじゃあ……悲しんでる場合じゃ……ないですね」
俺は溢れそうになる涙を腕で拭う。
「そうじゃの。さて、そんなお前にもう1つ。伝えることがある」
「……もう1つ、ですか?」
「【ランクアップ】じゃ」
「!!」
「妾に拾われるまでの境遇、そして此度を含め、これまでの事件。それらが『偉業』と認められたのじゃろう。お前としては全く嬉しくない『偉業』であろうが、な」
「……」
「まぁ、此度の事件でお前が仕留めたモンスターは約100体。その内インファント・ドラゴンのものと思われる魔石が3つ。十分『偉業』と言えるじゃろうて」
口にすれば、客観的にはそうなのだろう。
けど……主観的にはテルリアさんの魔法のおかげで戦えたわけで、インファイト・ドラゴンを倒した記憶もあまりないので『偉業』と言われても違和感しかない。
「【ランクアップ】は明日にして、その後ギルドに報告に行くとしよう」
「……はい」
「納得出来ぬのならば、次こそは納得できる『偉業』を為すことじゃな」
「……はい!」
その通りだ。
次こそは……やり切ってみせる。
そう心に誓って、俺は早めに休むことにしたのだった。
…………
………
……
翌日。
俺は朝一番に【ランクアップ】を行い、Lv.2となった。
発展アビリティは『狩人』と『耐異常』の2つ。
『狩人』はLv.2の時しか発現しないため、俺は『狩人』を選択した。
これでアビリティはオール0。また一からだ。
俺はその後、スセリ様と共にギルド本部へと赴いた。
刀は折れてしまったので、懐かしの脇差を装備している。
そして、スセリ様は謎の冊子を抱えている。何なのかは訊いても答えてくれなかった。
俺達がギルドに入ると、すぐにスーナさんがやってきた。
「神スセリヒメ、フロル・ベルム氏。本日はどうされましたか?」
基本的にこの世界において、人間達の神々の呼び方は二通り。
最初に『神』と付けるか、最後に『様』と付けるか。中には呼び捨てを許してるところもあるらしいけど。
前者の場合、極東の神は略式で呼ばれる。
後者はフルネームでだ。
まぁ、本来ならば『神スセリ』なのだが、以前スセリ様がブチギレたらしく、以降スセリ様に関しては『ヒメ』を付けるという暗黙の了解が生まれたらしい。
流石に神相手には怒らなかったけど。スセリ様なりのこだわりがあるのだろうと俺は諦めることにした。
「うむ。我が子がLv.2へと昇格したのでな。その報告に参った」
「……え? Lv.2?」
「うむ」
スーナさんは唖然とし、スセリ様は大仰に頷いた。
周囲の人達も聞こえたのか、目を丸くして俺を見る。
「た、確か……フロル・ベルム氏が冒険者登録されたのは1年前……ですよね?」
「そうじゃがな。その時点で恩恵を与えて1年が経っておったから、実質2年じゃの。そこまで早いというわけでもあるまい」
「そ、それは……」
まぁ、オラリオ以外の国ではLv.2でも主戦力とされるほど。いくらオラリオにはダンジョンがあるからとはいえ、そもそも【ランクアップ】するまでのステイタスを上げるのが難しいんだ。
それを冒険者になって1年で【ランクアップ】されちゃあ堪らないよな。
しかも、7歳児が。
この場合、どう評価されるんだろうな?
2年で【ランクアップ】と見るのか、1年で【ランクアップ】と見るのか。
後者だと俺はアイズ・ヴァレンシュタインと並ぶ記録を打ち出したことになる。
「で、では、これまでの活動記録を面談室の方でお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「あぁ、それならばこれに纏めといてやったぞ」
スセリ様はずっと抱えていた冊子を手渡す。
「え? いつの間に纏めてたんですか?」
「お前がダンジョンに行った時は必ずの。じゃから細かく訊いておったじゃろ?」
「……なるほど」
スーナさんは素早く冊子に目を通していく。
途中から頬を引きつかせていたように見えるが、俺は気づかなかったことにした。
多分……あまり参考にならない気がする。
俺のスキルとテルリアさんの魔法、そしてゲーゼス達の事件に巻き込まれたのが大きな要因だろうから。特に『偉業』と見なされたであろう最後の事件に関しては、絶対に他人にお勧めできない。
「……これはお預かりさせて頂いても?」
「構わぬぞ。公表出来るのならば、な」
スセリ様は腕を組んでニヤリと笑う。
俺は苦笑いを浮かべて、2人から顔を背ける。
その後、俺達はギルドを後にして、スセリ様はそのまま仕事に向かった。
俺は武器と防具を買いに、バベルに行こうとしたが、
「おい」
声をかけられて後ろを振り返ると、冒険者と思われる男達が俺を睨みつけていた。
「……なんでしょうか?」
「お前みたいなガキが1年で【ランクアップ】だと!? 嘘つけよ!! 証拠を見せろよ! 証拠を!!」
1人の男が言いがかりをつけてきた。
その後ろにいる仲間と思われる男達も同意するように頷いていた。
まぁ、そうだよな。普通は信じられないよな。
けどなぁ、それを言うとスセリ様がギルドに嘘をついたことになるんだけど……。
まぁ、他のファミリアの人達だし、そこまで他の神に敬意を払うわけじゃないか。
「そう言われましても……ステイタスを見せるわけにもいきませんし」
「はっ!! んなもん簡単だぜ! お前をブッ飛ばせば分かるだろうよおお!!」
言いがかりをつけてきた男がいきなり殴りかかってきた。
俺は後ろに跳んで、拳を躱す。
……遅いな。Lv.1か……いや、俺の『敏捷』はSSランクだったんだ。Lv.2でも昇華時のステイタス次第で、俺の方が速い可能性があるか。
それにしても、ギルドの真ん前で殴りかかってくるなんて……。
治安が悪くなってきた証拠だな。
「舐めんなよガキがぁ!!」
後ろにいた男達も殴りかかってきたが、俺はそれを全て躱していく。
……反撃し辛いな。
けど、ギルド職員も見てるし。
俺が怒られることはもうないか?
「こっ……この野郎……!」
最初に殴りかかってきた男が、顔を真っ赤にして歯を食いしばる。
なんか嫌な予感がするなぁって、やっぱり。
男が背中の大斧を抜いて、振り被る。
流石にそれはもう喧嘩じゃ済まないぞ?
俺は大きく後ろに跳び下がって、大斧を躱す。
「もう手加減しねぇぞ……!」
……なら、俺も良いかな?
「【――鳴神を此処に】」
俺は目を瞑って、身体の中から溢れてくる力に意識を向けて超短文詠唱を呟く。
バヂイィン!!
直後、俺の身体から雷が弾けて全身を覆い、髪が逆立つ。
「「「「なぁっ!?」」」」
俺の変化に男達、そして周囲の人達は目を見開く。
【パナギア・ケルヴノス】。
テルリアさんから受け継いだ魔法。
これを使った俺は、負けるわけにはいかないんだよ。
俺は軽く前のめる。
直後、俺は一瞬で大斧の男の足元に潜り込み、右ストレートを男の腹に叩き込んだ。
「ぶごぉ!?」
「ツァ!!」
男はくの字に身体を曲げ、俺は最後に右拳から雷を放出した。
「ぎゃばばぁ!?」
男は電撃を浴びながら吹き飛び、8Mほど地面を転がっていった。
仰向けに止まった男は身体から黒い煙を上げて、白目を剥いてピクピクと痙攣して気絶していた。
俺はバヂン!と雷を弾けさせ、紫電の尾を引きながら高速で動き回り、残りの男達の顔面を殴り飛ばした。
「「「ぶげぇ!!」」」
男達は壁に叩きつけられたり、出店の横に置かれていた樽に突っ込んだり、地面を転がって倒れた。
そのまま起き上がることはなく、ピクピクと体を痙攣させていた。
「ふぅ……」
俺は魔法を解除して、身体の調子を確認する。
ふむ……今くらいならば全く問題ないな。
「おいおい……今の、
「全然動きが見えなかったぞ……」
「全員一撃か……。【ランクアップ】も偽りではない、ということか」
「あの歳でLv.2っていたことあるの?」
「俺は知らん。少なくとも、ここ十年はいないんじゃないか?」
周囲の喧騒が聞こえてくる。
ギルド職員は特に何も言ってこないので、お咎めはないのだろう。
じゃ、バベルに行くか。
俺は喧騒を背に歩き出し、バベルへと向かうのだった。
その夜にはオラリオ中に俺のことが広まり、冒険者登録1年ということで世界最速【ランクアップ】最年少と噂されるようになった。
「いや、だから恩恵もらってから2年だって」
というツッコミは、オラリオの喧騒を前に空しくも掻き消されたのだった。
本当に世界最年少なのか?(-_-;)私も不安です