【ライトニング・サムライ】~転生者はダンジョンで英雄になりたい~ 作:独身冒険者
一旦仲間ラッシュストップ(数話だけ)
アワランが入団して、数週間。
連携も慣れてきて、俺達は中層上部をメインに探索をしていた。
フロル・ベルム
Lv.2
力 :H 162 → G 218
耐久:H 125 → H 169
器用:H 130 → H 151
敏捷:H 193 → G 237
魔力:H 151 → H 185
狩人:I
《魔法》
【パナギア・ケルヴノス】
・付与魔法
・雷属性
・詠唱式【鳴神を此処に】
《スキル》
(【輪廻巡礼】)
(・アビリティ上限を一段階上げる。)
(・経験値高補正)
【
・『麻痺』に対する高耐性。
・雷属性に対する耐久力強化。
・被雷時に『力』と『敏捷』のアビリティ高補正。
クスノ・正重・村正
Lv.1
力 :C 659 → C 673
耐久:C 642 → C 669
器用:B 711 → B 734
敏捷:D 512 → D 527
魔力:I 0
《魔法》
【】
《スキル》
【
・周囲アビリティ値一定以下の対象を威圧。
・『力』と『耐久』の高補正。
・一定範囲内の対象の獣人族の全アビリティ高補正。
・威圧・補正効果はLv.に依存。
ハルハ・ザール
Lv.2
力 :I 41 → H 102
耐久:I 22 → I 63
器用:I 24 → I 52
敏捷:I 39 → I 99
魔力:I 18 → I 42
拳打:I
《魔法》
【スリエル・ファルチェ】
・攻撃魔法
・風属性
・詠唱式【今宵も鎌が死を喰らう。舞え、血潮の
《スキル》
【】
ディムル・オディナ
Lv.1
力 :I 32 → I 79
耐久:I 21 → I 48
器用:I 53 → H 102
敏捷:I 49 → I 99
魔力:I 66 → H 187
《魔法》
【ガ・ボウ】
・呪詛付与魔法
・Lv.および『器用』『魔力』アビリティ数値を魔法威力に換算。潜在値含む。
・発動に槍必須
・詠唱式【其が傷は汝の常。我が忠義は永遠の矛】
【ガ・ジャルグ】
・対魔力投槍魔法
・発動回数は一行使のみ
・詠唱式【穿て、紅薔薇。茨を以って敵の誇りを討て】
【】
《スキル》
【
・槍装備時、発展アビリティ『槍士』の一時発現。
・『魔力』の高補正。
・補正効果はLv.に依存。
アワラン・バタル
Lv.1
力 :B 749 → B 756
耐久:A 811 → A 823
器用:E 408 → E 417
敏捷:C 635 → C 651
魔力:E 422 → E 439
《魔法》
【マース・カブダ】
・硬化魔法
・Lv.および全アビリティ数値を魔法効果に加算。潜在値を含む。
・詠唱式【闘志は折れず、拳は折れず、膝は折れず。我が
【】
《スキル》
【
・体温上昇と共に『耐久』が上昇する。
まぁ、俺の成長の速さは相変わらずだが、悪い事ではないのでもう諦める。
中層に潜り、人数も増えたので稼ぎも大幅アップ。
おかげで正重に新しい素材を買うことも出来、装備の質も向上する。
間違いなく、今【スセリ・ファミリア】は波に乗っていた。
だから、他のファミリアに目を付けられるのも当然のことだろう。
…………
………
……
その日も14階層で探索をしていた。
ルームにいたモンスターを全滅させて一休みしていると、俺達が入ってきた別のルートから冒険者の団体が現れる。
「あ? ちっ、先客かよ」
先頭にいた目つきの悪い茶髪の猫人の男が、俺達を見て舌打ちをしていた。
その後ろにはどちらかと言えばゴロツキにしか見えない男達がおり、よく見ると装備はやや損傷している。
……初めて進出してきたのか。下から帰還している途中なのか。
いや、でもここは上に戻るルートじゃない。
まぁ、戻る途中で探索ってこともあるだろうけど……普通は帰還時に探索はしない。
だから、恐らく俺達と同じく下りてきた連中だと思うんだけど……。
「おい、ここらは俺らの縄張りだ。とっとと出てけ」
いきなり喧嘩売ってきたよ……。
俺とハルハが呆れた表情を浮かべ、案の定アワランが喧嘩を買う。
「はぁ? ダンジョンに縄張りなんかあるかよ。別にテメェらが最初に開拓したわけでもねぇだろうが」
「んだとテメェ!!」
キレるの速っ。
「俺達は【ネイコス・ファミリア】だぞ!? テメェら、どこのファミリアだ!!」
ネイコス……?
聞いたことないなぁ。前世も合わせて。
まぁ、前世の俺は神話にそこまで興味あったわけじゃないからな。ギリシャ神話とかローマ神話とか、子供とかも合わせるととんでもない数になるから名前なんて覚えられるわけがない。日本神話も同じだけど。
「俺らは【スセリ・ファミリア】だ」
「っ!? 【スセリ・ファミリア】だと? 最年少記録を出したとか言うガキがいるところか」
「そこにいるぜ。最年少記録保持者にして、俺らの団長の【迅雷童子】はよ」
アワランが親指で後ろにいる俺を指し、連中の視線が俺に集中する。
もちろん、その視線に宿る感情は嫉妬、敵意、殺意の類ばかりだけど。
「はっ! テメェみたいなガキが1年で【ランクアップ】だと? どんなイカサマしやがったんだ?」
「……イカサマは別にしてないが……。正しておくけど、俺の最年少記録は『2年』だ。まぁ、冒険者登録してから【ランクアップ】までは1年だけどな。恩恵を貰ってからは2年経っている。それでもオラリオ最年少らしいけど」
ちなみにこれはちゃんとギルドから公表されている事実だ。
まぁ、それでも信じない奴は難癖付けるんだろうけど。
「ふん! んなもん、ギルドに裏金払えばどうとでも出来るだろうが」
ほらな。
俺はため息を吐いて、
「……あのなぁ……俺が【ランクアップ】した時、ファミリアは俺1人しかいない派閥でも何でもない弱小ファミリアだったんだぞ? そんなファミリアからの裏金なんてギルドが受け取るわけないだろうに。そんな金もなかったしな」
これもまた調べればすぐに分かる事実である。
ある意味、俺の挑発的な言い方に猫人は苛立ちを隠すことなく、顔を歪めた。
「……いい気になってんじゃねぇぞ、クソガキィ。俺が【
「知らないな。ハルハ、知ってるか?」
「いやぁ、アタシも聞いたことないねぇ。ここ半年で【ランクアップ】した大抵のLv.2には喧嘩売ったと思うんだけど……」
ハルハが顎に手を当てながら言う。
だが、その顔が少し意地悪いものになってることを俺は見逃さなかった。
……知ってるな? それも一回倒したな?
俺の予想通り、【影爪】は顔を真っ赤にしてハルハを睨みつける。
「ふざけんな!! テメェ、ダンジョンでいきなり襲い掛かってきただろうが!!」
「悪いねぇ。弱かった奴まで全員覚えてられないからさ」
「っ……!! もう我慢出来ねぇ……ぶっ殺してやる!! 辺境の糞女神の眷属が、いい気になってんじゃねぇぞぉ!!」
……あ?
「テメェ……!! 俺の女神を愚弄しやがっ――」
「【――鳴神を此処に】」
バヂィン!!
「げぶぅ!?!?」
俺は魔法を発動し、次の瞬間には【影爪】の顔面に拳を叩き込んで地面に叩きつけた。
「「「「「 は? 」」」」」
その場にいる全員が唖然と声を出す。
「今、なんて言った……?」
俺は魔法を解除して、【影爪】の鳩尾に右足を突き立てる。
「ごげぇ!?」
「お、おい、団長?」
「やめな、アワラン。ありゃあ完璧にキレちまってる」
「……動きがほとんど見えませんでした」
「フロル、雷、捉える、無理」
俺はグリグリと右足を捻じる。
「俺が気に食わないなら、俺だけを貶せばいい。何故、俺の主神まで侮辱した? お前如きが、何を以って俺の主神を貶した?」
「ぐっ……がっ……!」
「身の程を知れ、クソ猫」
俺は【影爪】の身体を全力で蹴り飛ばす。
【影爪】は数人の仲間を巻き込んで吹き飛んだ。
俺は怒り収まらぬまま、ハルハ達へと振り返る。
「今日は引き上げよう」
「お、おう」
「やれやれ……帰ったら組手してもらうよ、フロル」
「ああ」
「……フロル殿は怒らせないようにしましょう」
「フロル、怒る、他人の事、ばかり」
「確かに自分のことで怒るところは見たことないねぇ」
「はっはっはっ! 流石は我が愛しの女神の最初の眷属だな!」
俺達は連中を放置して、帰還することを決めた。
流石にモンスター、闇派閥、あいつらを警戒しながら中層を探索するのは危険だろう。
キレてしまったけど、流石に仲間を必要以上に危険に晒すのは嫌だ。
俺達は出来る限り早足で上層を目指す。
「……ごめん。手を出してしまった」
「何言ってんだよ、団長! お前があそこで行かなきゃ、俺が殴ってたぜ!」
「まぁ、あれはしょうがないさ。主神を貶したってことは、戦争を仕掛けたも同然だよ。普通は」
「正直なところ、少々心がスカッとしました」
「うむ。スセリヒメ様、馬鹿にする、駄目」
「……ありがとう」
いい仲間を持ったな。
「けど、これからは帰っても油断できないよ。間違いなく、うちらは抗争を始めちまった。スセリヒメ様と連中の主神の動き次第じゃ、神同士の代理戦争だ」
ハルハの言葉に全員が顔を鋭くする。
「あいつらが団員全員ならいいけど、まだ上級冒険者がいたらちょっと厳しくなるよ」
「やるっきゃねぇだろ。どっちにしろ眷属である俺らが暴れるんだろ?」
「まぁね。ただ、主神同士が認めた場合、
「「戦争遊戯?」」
アワランとディムルが繰り返して、首を傾げる。正重も小さく首を傾げていた。
「ギルドに申請して、日時、場所、対戦方式を決めるんだ。つまり、オラリオの娯楽にされる」
「けど、負けたらアタシらはもちろん、主神の生殺与奪の権利すらも握られる。まぁ、流石に神を殺すことはないと思うけど、ファミリア解散の上、追放されるくらいの可能性はあるね」
俺とハルハの説明にディムル達は納得したように頷くも、僅かに眉を顰める。
「……なるほど。まさしく戦争の遊戯」
「胸糞悪ぃなぁ」
「ここ最近は都市が荒れてるからやってなかったんだけどね。正直、今はギルドも認めるか怪しい。だから、街中で問答無用で仕掛けてくると思っておいた方がいいよ」
だよなぁ。
あの連中が堂々と挑んでくるとは思えない。
【影爪】って痛い二つ名付けられてるし。
襲われることなく地上に戻った俺達は、足早に本拠へと戻る。
ハルハは1人、ギルドへと向かった。
「一応報告をしとこうと思ってね。その方が街中で暴れても罰金は少なくて済むかもしれない」
なるほど。向こうから喧嘩を売ってきたことを先に伝えておくと。
ついでに【ネイコス・ファミリア】の情報も聞き出してくるとのこと。ありがたい。
本拠に戻った俺は、さっそくスセリ様に報告する。
正重は武具の手入れと補充、アワランとディムルは身体を休めながら警戒をお願いした。
「……ネイコスか。あ奴は妾も話したことはないんじゃよなぁ」
「どのような神なのですか?」
「『諍い』を司る神でな。性質的には邪神に近いのじゃが……まぁ、要は悪戯好きな神じゃよ。恐らく眷属を止めることはあるまい。戦争遊戯を仕掛ければ、己にも被害が出かねんからの。抗争に負けても、子供らが勝手に暴れたとでも言う気じゃろうて」
なんて傍迷惑というか、ずる賢い……。
まぁ、神にとっては娯楽だからなぁ。ファミリアだって、一度潰れても時間をかけて眷属を増やせばいいだけだし。
神は不老の存在。
時間は無限にある。
「まぁ、良い。どうせ、どこかで抗争は起きたじゃろう。名が知られておるファミリアでないんじゃ。これも経験値稼ぎと思うて、勝ってこい。ネイコスの方は妾が動いてやるわい」
「いいんですか?」
「妾に喧嘩を売ったのは、あ奴の眷属じゃろ? なら、その責任を主神に取ってもらわねばな」
スセリ様はにっこりと、寒気がする輝かん笑みを浮かべる。
……これは負けられん。
負けたら酷い目に遭う。俺が。
とりあえず、落ち着くまでスセリ様には本拠にいてもらうようにした俺は武具を身に着けた状態で軽食を食べる。
腹が減っては戦は出来ぬ。
これを食べたらディムルと交代しよう。
そこにハルハが戻ってきた。
「どうだった?」
「まぁ、良い反応はなかったよ。闇派閥のことだけでも面倒なのにって感じだね」
「やっぱりそうか……」
「でも、ディムルをうちに厄介払いしたことを突っついてやったから、うちらに過剰なペナルティは来ないと思うよ」
「あははは……」
スセリ様も言ってたけど、ギルドはエルフにとって起爆剤となりうるディムルをうちに押し付けたらしい。
今のギルドの長もエルフだからってのもあり、【ロキ・ファミリア】にいるリヴェリアさんにバレても、責められにくい場所を選んだそうな。
そう、派閥の大きさなど気にしないスセリ様を。
まぁ、今はそれはどうでもいいことだ。
「で、【ネイコス・ファミリア】の情報は?」
「もちろん、ディムルを盾に吐かせてやったよ。他の連中も一度集めるよ」
「ああ」
俺は正重とアワランを呼びに行き、ハルハはディムルとスセリ様を呼んで、食堂に集まった。
とりあえず、おにぎりを食べながら、ハルハの話を聞く。
「【ネイコス・ファミリア】の等級はF。最高ランクはLv.2で、ダンジョンで会った【影爪】を含めて2人。もう1人は団長のヒューマンで、二つ名は【
「本当に冒険者なのか? そいつら」
「微妙なところだねぇ。探索をしているのは事実だけど、獲物の横取り、魔石や装備の強奪、怪物進呈とかが時々報告されてるらしい。証拠がないから、ギルドも警告で終わっちまってるらしいけどね」
「なるほど……。つまり、正々堂々とは無縁な連中ってわけだ」
「そういうことだね。問題は団員数は圧倒的に向こうが上ってことさ。受けに回ったら、厳しいだろうね」
「けど、俺らが攻めたところで、連中がここを襲わないとは思えないんだよな……」
「そうじゃの」
「……ハルハ、アワラン、ディムル」
俺は3人の名前を呼ぶ。
全員の視線が俺に集まったところで、
「お前達3人で攻め込んでほしい。俺と正重が、ここを……スセリ様を守る」
スセリ様とハルハは口角を上げ、アワラン達は目を丸くする。
「おいおい、お前が一番強いんだぜ? むしろ、俺が残るべきじゃねぇか?」
「恐らく、ここに攻め込んでくるのはLv.1の雑魚だ。雑魚が群れたくらいなら、正重の威圧と俺の雷で一掃出来る。その後、俺も速攻で駆けつけて参戦する。だから、囮役になるつもりだろうLv.2達を、それまで押さえ込んでほしい」
「なるほどねぇ。面白いじゃないか」
ハルハは不敵な笑みを浮かべて、酒瓶を煽る。
そして、ドン!とテーブルに叩きつけて、
「けどさ、フロル。倒しちまってもいいんだろ?」
俺も笑みを浮かべて、
「――もちろん」
その言葉にアワランも笑みを浮かべる。
「なら、アタシは文句ないよ」
「よっっしゃあ!! 燃えてきたぜぇ!!」
「足手纏いにならぬよう、死力を尽くしましょう」
ディムルは胸に手を当てて、誓うように言う。
ディムルはこの中で一番弱いのは事実だからな。
勝つことよりも生き残ることを最優先にしてほしい。
「正重、出し惜しみはしなくていい。試したい武器、全部出せ」
「承知。村正、武器、轟かす」
「頼りにしてる」
「うむ!! 良きかな、その闘志!!」
スセリ様が腕を組んで立ち上がり、声を張り上げる。
「暴れてくるがいい我が愛し子達!! 己が武を知らしめて来い!! 全ては荒神にして英雄神の娘である妾が肯定しよう!!」
我らが主神の神託に、俺達は魂を震わせる。
「勝ってこい!! そして、生きて戻れよ!! 死して名を馳せるなど、妾は認めぬ!! 栄誉は勝って生き残ってこそ、得る価値がある!! 己が勝利は、己が自身に捧げよ!!」
俺達の勝利は俺達の物。
スセリ様は自分に捧げる必要はないと言ってくれるのだ。
「さぁ、行くがいい!! 己が戦場に!!」
「「「「「 応!! 」」」」」
戦争が、始まった。
ファミリア名って語呂が中々に難しい(ーー;)
アステカ方面の神があんま出ないのって、それが理由だと思う。【ケツァルコアトル・ファミリア】とかなんか舌噛みそう。