【ライトニング・サムライ】~転生者はダンジョンで英雄になりたい~   作:独身冒険者

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もうすぐスタック尽きるぜぇ
でも、今日も連投しとくんだぜぇ
そして、お気に入りが急激に増えすぎてて怖くなってるだゼェ……((((;゚Д゚)))))))

連投その1


小人の魔導士

 あれから数日経つも、サポーターは未だに見つからず。

 

 ちなみにこの前、神会が開催され、ハルハの二つ名が【闘豹(パンシス)】と正式に決まった。

 

「代わり映えしないねぇ」

 

「いいじゃねぇか。俺もなんか着かねぇかなぁ」

 

「やめときな。【ランクアップ】前に着く渾名なんて、大抵悪目立ちしたからさ。碌なものが着かないよ。アタシが珍しいのさ」

 

「アワランの場合、【脳筋】って呼ばれかねないぞ」

 

「なんでだよ!?」

 

「アンタの場合、目立つとしたらそこだからだよ」

 

「ぐっ……!」

 

 という一幕もあったりしたが。

 

 でも、ダンジョン探索は15階層まで進み、早いわけでもないが順調と言えば順調に進んでいる。

 闇派閥が街で暴れるのも変わらないが。

 

 【ネイコス・ファミリア】との抗争もすでに広まっており、ほぼ完勝という事実は俺達の実力を知らしめるものとなった。

 

 特にアワランの下剋上は【ガネーシャ・ファミリア】筆頭に語り草らしく、正直渾名が着いてもおかしくはなかった。

 

 だが、やはり【ネイコス・ファミリア】が闇派閥と通じていたという事実の方が大きく、更にファミリア同士での連携を阻害する形になってしまった。

 特に主神が把握していなかったという情報が、更なる疑心暗鬼を呼んだ。

 

 つまり、神は信用出来ても、その眷属は信用できるか分からない。

 

 これは非常に解消し難い疑惑だ。

 

 もちろん、神の前では嘘をつけないので調べれば分かることなのだが、そんなことをすれば神と眷属の信頼関係も壊れかねない。

 だが、他の神に調べてもらうわけにもいかない。神の嘘を見抜く術はないのだから。

 

 どこか雁字搦め、という空気がオラリオに蔓延しつつある。

 

「ネイコスめ……。これを狙いおったな」

 

「この互いに疑い合う状況を、ですか?」

 

「うむ。お互いに連携し辛くしておけば、戦力も落ちるし、情報も出にくい。闇派閥が更に動きやすくなるの」

 

「そのために眷属を見捨てたってことかよ……」

 

「下手したら他にも眷属がおるやもしれん。それこそ本隊と言える闇派閥の者達がな」

 

「なるほどねぇ。眷属を眷属で隠れ蓑にする、か。ありえない話じゃないねぇ」

 

「しかし、追放されてしまっては合流も難しいのでは?」

 

「陰気臭い奴らのことじゃ。どうせどこかに隠し通路でもあるのじゃろうて」

 

「……ダイダロス通りとかありえそうですよね」

 

「じゃな。市壁には商会の倉庫とかも多くある。地下通路やら何やら造ることも可能じゃろうて」

 

「厄介だねぇ」

 

「まぁ、何百年も潜んでおった連中じゃ。色々と仕込む時間はあった、ということじゃな」

 

「けど、これまでは【ゼウス・ファミリア】と【ヘラ・ファミリア】がいたから堂々と使えなかった……」

 

「そういうことじゃな」

 

 ……やっぱりダンジョンにも隠し通路みたいなのあるんじゃないか?

 ダンジョンは崩壊しても再生するが、何も仕掛けられないとは断言できない。

 

 それこそ何百年と試行錯誤すれば何かしら造れるだろう。

 

 でも、それが誰にも見つからないというのもおかしな話だ。そりゃ何かしらの方法で隠蔽してるんだろうけど、これまでの冒険者相手に誰にもバレないなんてありえるのか?

 

 ……ありえないなんて、ありえない。

 

 そうなんだけど……どうにも手段が想像できない。

 

 とりあえず、俺達は一歩一歩着実に進んでいくしかないか。

 

 ということで、今日も探索に行こうとしたのだが……

 

 

 なんか門の前にデッカイ木箱が3つ、ドン!と置かれていた。

 

 

 ピラミッドのように重ねられており、頂点は正重よりも高い。

 そして、その天辺に三角帽を被り、ローブを羽織ったTHE・魔法少女が、木箱の上に本を広げて座っていた。

 

 ……なんぞ?

 

 俺達は茫然と木箱と少女を見上げていた。

 

「お~い、何してんだ? お前」

 

 アワランが声をかけると、魔法少女は本から顔を上げる。

 

 俺達に向けられた藤色の瞳が浮かぶ目は物凄く眠たげだった。

 何か前世のアニメとかでよくいる無表情マイペース不思議ちゃんキャラみたいだな。本を読んでるのもそれっぽい。

 

「……ここ、【スセリ・ファミリア】本拠?」

 

「ああ。んで、俺達が【スセリ・ファミリア】だ」

 

 アワランの言葉に、魔法少女は本を閉じて横に置き、木箱から飛び降りてきた。

 

 俺の目の前に下り立った彼女の身長は、俺よりも小さかった。

 

「あんた、小人族かい?」

 

「ん。リリッシュ・ヘイズ」

 

「入団希望ってことか?」

 

「ん」

 

 リリッシュさんはコクリと頷いた。

 

「じゃあ、団長。面談よろしく頼むよ。アタシらはダンジョンに行くから」

 

「え」

 

「13階層くらいでやるし、無理はしないよ」

 

 ズ、ズルい……!

 

「それも団長の仕事だよ。じゃあね」

 

 ハルハ達は俺を置いて、ダンジョンへと向かう。

 正重はこっちに残ろうとしてくれたが、正重が行かないと前衛が厳しいので、俺は心の中で涙を流しながらも笑みを浮かべてダンジョンへと行かせた。

 

 そんな俺をリリッシュさんは眠たそうな目つきで見ており、

 

「……あなたが団長?」

 

「ああ。フロル・ベルムだ」

 

「……フロル……【迅雷童子】? 小人族?」

 

「いや、ヒューマン。歳は7歳だ」

 

「……」

 

「一応言っとくけど、これでもLv.2だからな」

 

「それは知ってる」

 

「とりあえず、うちの主神に会ってもらう」

 

「妾がどうした?」

 

 リリッシュを案内しようとしたら、スセリ様が姿を現した。

 

「入団希望者だそうです」

 

「ほぅ、なるほどの。それにしても、また大量の荷物じゃのぅ」

 

「そうですね……。とりあえず敷地内に運ぶので、スセリ様は彼女をお願いします」

 

「うむ」

 

 スセリ様にリリッシュを任せ、俺はデッカイ木箱を敷地内に運び入れることにした。

 

 とりあえず武具を外し、俺と同じくらいの高さの木箱へと歩み寄る。

 ……何が入ってるんだろうな?

 

 上に置かれている1つへと手を伸ばし、ゆっくりと持ち上げる。

 

 重っ!?

 

 ステイタスで強化されてる力でも、かなり重く感じる。

 しまった……。せめて、これだけでも正重達に手伝ってもらうべきだった……!

 

 俺は背負う形で木箱を背中に乗せ、摺足ぎみに移動して門の中に運び入れる。

 

 それをひぃこら言いながら3回繰り返し、何とか敷地内へと運び終えた。

 俺は気だるげに屋敷に戻り、応接間に向かう。

 

 2人は対面で座っており、俺はもちろんスセリ様の隣に座る。

 

「どこまでお話に?」

 

「こ奴の来歴までじゃ。【学区】の出身で、魔導士志望らしいぞ。というか、すでにステイタスは持っておるようじゃ」

 

「へ? どこかのファミリアに入っていたってことですか?」

 

「いや、【学区】にも神がおってな。魔導士志望で気に入った者には恩恵を与える奴がおると聞いたことがある」

 

「ん。恩恵を得て魔法を学び、魔法を発現することを最初の目標とする。卒業時には『改宗』可能にしてもらって、国系ファミリアに就職したり、オラリオにやってくる」

 

「なるほど……」

 

 【学区】とは移動教育機関で、世界中から生徒が集まってくる。

 ギルド職員の受付嬢なども【学区】卒業者が多く、武術、魔法、座学など様々な分野を学ぶことが出来る。

 

 中には【学区】在学中に【ランクアップ】する者も現れるらしい。

 

「しかし、小人族でとは珍しいのぅ」

  

 スセリ様の言う通り、小人族はヒューマンよりも冒険者に向かない種族と言われるほどステイタスを伸ばすのが難しい。

 エルフのように魔法に素養があるわけでもなく、ドワーフのように力があるわけでもなく、獣人のように特殊な能力を持っているわけでもなく、アマゾネスのように繁殖力が高いわけでもない。

 

 少し手先が器用で、暗い所でも動き回れるくらい。

 

 昔は勢力ある種族だったそうだが、千年前、神が地上へと降臨したことをきっかけに一気に衰えたのだ。

 

 理由は『女神フィアナ』だ。

 かつて小人族を率いて世界に名を轟かせた『フィアナ騎士団』の女神。それは古代の小人族にとって最も信仰していた女神だったのだが、千年前神々が降臨したことで『架空の存在』であることが判明してしまったのだ。

 

 【ロキ・ファミリア】団長【勇者】フィンさんは、フィアナに変わる『本物の象徴』となろうと冒険者になったんだよな。

 

 実際、フィンさんの名は世界に轟き、現在世界で最も有名な小人族と言われている。

 だが、それ以外に有名な小人族はと訊かれれば、驚くほどに名前が出ない。

 

 次にと言えば【フレイヤ・ファミリア】の四つ子。それでも、それくらいだ。

 それだけ小人族は種族として衰退していると言える。

 

「小人族ならば【ロキ・ファミリア】の方が良かったのではないか? あそこの団長ならば、同胞を喜んで歓迎すると思うぞ?」

 

 スセリ様もフィンさんの名前を出して訊ねた。

 

 しかし、リリッシュさんは首を横に振り、

 

「あそこは堅苦しい。別に私は一族の再興とかどうでもいい。私はただ知識を得て、世界の不思議を知りたいだけ」

 

「世界の不思議?」

 

「ダンジョン、神の恩恵、冒険者、モンスター、この世界を形作る全て」

 

「なら、尚更【ロキ・ファミリア】や【フレイヤ・ファミリア】とかの方が……」

 

「さっきも言った。あそこまで大きいと自由に動きづらい」

 

「まぁ、あ奴らは定期的に遠征に行かねばならんからのぅ」

 

「ここはまだ出来たばかりの派閥と聞いた。けど、今一番勢いもある。だから、大してしがらみもなく、いい感じでダンジョンに潜れると思った。私、まだLv.1だし」

 

「なるほどの。今ならば、今後大きくなってもそこそこ発言力が得られると」

 

「ん」

 

 はっきり言ったなオイ。

 まぁ、事実ではあるけどさ。

 

「もちろん、ダンジョン探索は私も望むところ。毎回拒否するつもりはない」

 

「……まぁ、俺達も後衛が欲しかったし、ありがたいのは事実なんですよね」

 

「そうじゃの」

 

 とりあえず、ハルハ達が戻ってきてから最終判断しよう。

 俺としては問題ないし、多分ハルハ達も問題ないって言うんだろうけどさ。

 

 ということで、リリッシュさんはしばらく待機してもらうことになった。

 俺は今更合流するのも面倒なので、スセリ様と鍛錬したり、買い出しを手伝うことにした。

 

 そう言えば……主神に料理してもらってるってどうなんだろう?

 

 まぁ、ありえないと言われてもスセリ様以外に料理できるのって正重くらいなんだよな。

 その正重もスセリ様と比べたら申し訳ないけど、やはり劣る。

 

 ディムルは紅茶が得意だけど、料理はやらなかったらしい。修行に力を入れていたから。

 

 もちろん俺も出来ない。

 スセリ様に教わろうとしたけど、

 

「妾の楽しみを奪うでない」

 

 と、言われてしまった。

 スセリ様的には俺の食事を作るのは自分の特権とのことだ。

 

 ハルハとアワラン? 語ることはない。

 

 そんなこんなでのんびりしていると、ハルハ達が帰ってきた。

 

「おかえり」

 

「おう!」

 

「あの箱があるってことは、アイツはまだいるんだね?」

 

「ああ。皆に話してから正式に決定しようと思って」

 

「だから、スセリヒメ様とアンタで決めてくれていいって言ってるだろ? 別にアンタ達の目を疑っちゃいないよ」

 

 メンドクサそうに言うハルハに、ディムル達も頷く。

 

「こっちが良くても、向こうがハルハ達が嫌だって言うかもしれないだろ? だから、顔合わせはしとくべきだよ」

 

「ったく……物は言いようだねぇ」

 

「人数が増えたら、そうも言ってられないけどさ。今は少人数だし、新入りって言っても数カ月しか変わらないしな。どう考えたって、今いる面子は幹部的な立場になると思う」

 

「ま、そりゃそうだな」

 

 ということで、リリッシュも呼んで、それぞれに自己紹介させる。

 

「【学区】出身の魔導士か……。しかも、もう恩恵持ちなら断る理由はないねぇ」

 

「そうですね。【学区】の知識は貴重です。魔導士でなくとも、仲間にいて頂けるのは心強いかと」

 

「うむ。俺、学、ない」

 

「俺もだな。情報収集とか苦手だしよ。参謀みてぇなのがいるのは助かるぜ」

 

「ということだけど、リリッシュさんはどうだ?」

 

「私も問題ない。それぞれの国の話とか聴きたい」

 

「なら、決まりだな。これからよろしく。リリッシュ」

 

「よろしく、団長」

 

 ということで、ようやく【スセリ・ファミリア】に魔導士が入った。

 

 その後、リリッシュの部屋を決めたのだが、木箱の中はほぼ本と杖らしい。

 

 杖はともかく、本は部屋に入りきらないので一応作ってあった書庫に運び込んだ。

 書庫にはスセリ様、正重、ディムルが買った本が並べられているが、それでもほとんど空だったので、余裕で本棚に収まった。

 

 まぁ、これからはリリッシュの書庫になるんだろうなぁ。

 俺はスセリ様や正重が買ってきた本を読んでいたので、自分の本はない。

 

 

 

リリッシュ・ヘイズ

Lv.1

 

力 :H 112

耐久:H 101

器用:C 671

敏捷:D 568

魔力:A 875

 

《魔法》

【デゼルト・ビブリョテカ】

・広域攻撃魔法

・地属性

・詠唱式【知識の砂漠を彷徨い続ける。砂粒全てが求める叡智、この砂漠こそが偉大な書庫。我が知欲の餓えは、砂漠の渇きと変わらない。戻ることも出来ず、立ち止まることも出来ず、進むことも出来ず。終わらぬ旅路を私は呪い、狂喜する。この砂漠は私の力になるのだから。私もいずれこの砂の一粒になることを希う】

 

【グノスィ・アイアス】

・反射魔法

・反射対象の『魔法名』『効果』『威力』『範囲』『時間』『詠唱式』の見識が深いほど反射時の威力が増大する。

・詠唱式【対処せよ。すでにそれは見知っている知識なり】

 

【】

 

《スキル》

小人賢者(パルゥム・メイジ)

・魔法効果増幅

・魔法効果を理解しているほど強化補正増大。

・一見したことがある魔法による自身への被効果、被ダメージを減退する。

 

 

 

 ……うん。

 

「これ、ヤバくないか?」

 

「下手したら【九魔姫】を完封出来るかもねぇ」

 

「本当に魔法関係のみに特化してんな。なんつってたっけか、スセリヒメ様。こういうの……」

 

「紙装甲じゃな」

 

「確かに殴られれば紙のように吹き飛びそうですね……」

 

「それが魔導士で小人族。それにモンスター相手には効果を発揮しにくいかもしれない」

 

「……確かにな」

 

 でも、十分ヤベェよ。

 こりゃリリッシュの守りもしっかり考えないと色々危ないな。それに戦い方も。

 

 そして、絶対敵に出来ねぇ……!

 

 それにしても【学区】って凄いんだな。

 ダンジョンも無いのにここまでステイタスを上げられるなんて。まぁ、国家系ファミリアでもLv.2とかいるらしいから、無理ではないんだろうけど。

 

 まぁ、でも凄い頼りになるのも事実だ。

 頼りにさせて頂こう。

 

 




魔女っ子参上!

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