【ライトニング・サムライ】~転生者はダンジョンで英雄になりたい~   作:独身冒険者

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連投その2


片腕の老ドワーフ

 リリッシュを仲間に加え。

 

 俺達は早速ダンジョン14階層へと潜っていた。

 

 潜って早々、通路の中で俺達はモンスターの群れと戦っていた。

 

「しぃ!!」

 

 俺がヘルハウンドの首を刎ね、

 

「ふっ!!」

 

 ハルハがアルミラージを蹴り飛ばし、

 

「おらぁ!!」

 

 アワランがヘルハウンドの頭を殴り潰し、

 

「はっ!!」

 

 ディムルが長槍を薙いでアルミラージの胴体を寸断し、

 

「オオ!!」

 

 正重が《砕牙》を振り下ろしてヘルハウンドの群れを薙ぎ払い、

 

 

 そして、その正重が背負う葛籠の背後にいたリリッシュは、

 

 

「がんばれー」

 

 

 と、無気力な声で応援していた。

 

 魔法は!?

 

「狭すぎて使ったらダンジョンが崩壊しそう。皆も巻き込む」

 

「頼もしいと思ったのによぉ!! 全っっ然っ使い時ねぇじゃねぇか!!」

 

「狭いところで戦うのが悪い。広域なんだから、広いところで戦わないと駄目」

 

「正論どうも!! だったら、とっとと通路を抜けるよ!!」

 

 ハルハが大鎌でアルミラージ数体を纏めて両断しながら叫ぶ。

 

 俺もヘルハウンドを数体一息に切り裂いて、文字通り道を切り開く。

 

「アワラン!! 行け!! 正重はリリッシュを運べ! 俺はその後ろ! ディムルとハルハが両サイド!! リリッシュは詠唱準備!!」

 

「おうよ!!」

 

「うむ」

 

「はい!」

 

「あいよ!」

 

「イエッサー」

 

 正重がリリッシュを持ち上げて、背中の葛籠の上に乗せて駆け出す。

 その正重の前をアワランが走り、モンスター達を両サイドに弾き、それをハルハとディムルが出来る限り仕留める。

 

 俺は背後から飛び掛かってくるモンスター達を魔法を使って、倒していく。

 

「【知識の砂漠を彷徨い続ける。砂粒全てが求める叡智、この砂漠こそが偉大な書庫。我が知欲の餓えは、砂漠の渇きと変わらない】 

 

 リリッシュが短い杖を取り出して詠唱を始める。

 

 俺達は全速力でルームへと駆け込み、モンスター達を誘い込む。

 

「【戻ることも出来ず、立ち止まることも出来ず、進むことも出来ず。終わらぬ旅路を私は呪い、狂喜する。この砂漠は私の力になるのだから。私もいずれこの砂の一粒になることを希う】」

 

 詠唱が終わるのと同時に巨大な魔法陣が目の前に出現する。

 

「【デゼルト・ビブリョテカ】」

 

 魔法陣から巨大な砂嵐が放出され、一瞬でモンスター達を呑み込んで砂で削り殺し、圧殺する。

 数十匹のモンスターがあっという間に掃討される。

 

 ……とんでもない威力だな。

 まぁ、だからこそ使いどころが限られる、か。

 

 砂嵐が収まるとモンスターの姿は1つもなかった。

 

 ……その代わり、魔石も砂の下に埋まってるけど。

 

「はぁ……凄いんだかメンドクサイんだか……」

 

 ハルハは大鎌を肩に担ぎ、左手をくびれた腰に当ててため息を吐く。

 

 俺も小さくため息を吐いて、

 

「さっさと回収できるだけ魔石を回収しよう。ディムルとハルハはリリッシュの護衛を頼む。正重、アワラン、行くぞ」

 

「へいへい……」

 

「うむ」

 

「ディムル、壁を数か所壊しときな」

 

「はい」

 

 男3人で砂を掻き分けて魔石を探す。

 

 子供の俺だが、ステイタスは上なのでこういう作業は俺も率先して参加している。

 この惨状を作り上げた本人はのほほんとこっちを見ている。

 

 まぁ、流石に俺より小さいし、非力だから参加させるわけにはいかないけど。

 ……なんか納得できないな!

 

 10分ほどかけて、回収できるだけ魔石を回収した俺達は一休みした後、すぐに次のルームへと移動を再開した。

 

「本当に戦力って上がったのかぁ?」

 

「魔法は本来切り札。ポンポン使うものじゃない」

 

「わぁってるよ」

 

 いじけたように答えるアワラン。

 まぁ、俺達の魔法は殲滅出来るような奴じゃなかったり、使い勝手が悪い奴だからな。

 

 正直、リリッシュの魔法のことも文句言えないと思う。

 

「まぁ、上層から中層は広い場所が少ないからねぇ。広域魔法なんて使いどころがないのはしょうがないさ」

 

「それに数さえいなければ魔法を使わずとも勝てていますからね」

 

「けど、ここから先はそうはいかないよ」

 

「そうだな。15階層からはミノタウロスやライガーファングが出る」

 

「んで、17階層には階層主、か……」

 

 ここまではLv.1の上位であれば、問題なく倒せるモンスターばかりだ。

 もちろん数の暴力をどうにかすれば、であるが。

 

 しかし、15階層以下から出現するミノタウロスとライガーファングは全ての個体がLv.2相当で、Lv.1の冒険者では上位であってもまず勝てない。

 もちろんパーティー戦であれば話は別だが、ミノタウロス達とて群れで現れることがある。そうなればほぼ絶望的だ。

 

 俺やハルハなら1対1でも勝てるだろうが、アワラン達では厳しいと言わざるを得ない。

 それを乗り越えた先にはダンジョン初の階層主〝ゴライアス〟が待ち構えている。

 

 【嘆きの大壁】と呼ばれる広間に現れる巨人のモンスター。

 

 パーティー連合で挑むのが常識とされる階層主。

 俺達のパーティーではどうやっても厳しいとしか言えない。

 

「まぁ、流石に階層主戦はだいぶ先だな。もっと団員を増やすか、どこかのファミリアと共闘でもしないと」

 

 と言っても、仲が良い探索系ファミリアなんていないんだけどさ。

 個人的な付き合いはあっても、流石に連合までは組めるほどじゃない。

 

「けど、どこが階層主を倒したとかあんま聞かねぇな」

 

「うむ。噂、出ない」

 

「あぁ、それはねぇ――」

 

「モンスターです!!」

 

 ハルハが疑問に答えようとした時、前方からヘルハウンドの群れが迫って来ていた。

 

 ここはまだ通路の途中だ。

 

「全く……またリリッシュは観戦だな」

 

「なんか近接武器使えねぇのか? リリッシュ」

 

「無理」

 

 ですよね。

 

 俺は刀を抜いて、魔法を発動する。

 

「【鳴神を此処に】」

 

 雷を纏って、高速で駆け出す。

 先陣を切ってヘルハウンドの群れに飛び込み、ヘルハウンドを数体斬り倒す。

 

 続いてハルハも飛び込んできて大鎌を薙いで斬り飛ばす。

 

 ディムルとアワランは正重達の護衛しながら参戦する。

 今回は後続はおらず、すぐに終えられた。

 

 一度刀を納めるも、すぐに居合を放てる状態で周囲を警戒しながら、正重達の魔石回収を見守る。

 

「……ん?」

 

 その時、俺の耳にある音が聞こえてきた。

 

「ハルハ」

 

「ああ、どうやら先のルームで戦ってる奴らがいるみたいだね」

 

「どうする?」

 

「素通りするしかないだろ? 通路で待つなんてモンスターがいつ生まれるか分からないしね」

 

「だよな。……常識的な人達だといいけど」

 

「口にすると逃げちまうよ。アンタ、厄介事を引き寄せる体質みたいだしね」

 

 ……言うなよ。

 

 俺はため息を吐いて、魔石回収を終えたのを確認して進むことにした。

 引き返すのも面倒だしって言うか、これから行くルームが地上へ戻る近道なんだよな。今日はちょっと遠回りで下りてきたし。

 

 俺達は警戒しながらルームへと足を踏み入れる。

 

 そして、そこにいたのは……。

 

 『道化師』のエンブレムを掲げた冒険者達だった。

 

「……【ロキ・ファミリア】」

 

「これまた大物だねぇ。常識的ではありそうだけどね」

 

「大物過ぎるのも困りものなんだけどな……」

 

 俺は小さくため息を吐いて、素早く【ロキ・ファミリア】の面々を見渡す。

 

「……遠征帰り、か」

 

「だろうね。ルート確保の先遣隊ってところか」

 

「こりゃあ、俺達も今日はここまでだな」

 

「ですね……」 

 

 下層へのルートはこれから【ロキ・ファミリア】の後続隊が来るだろうしな。

 そこに怪物進呈でも起こしてしまえば、抗争になりかねない。

 

 その時、【ロキ・ファミリア】の指揮を執っていた金髪の小人族、フィンさんがこっちに顔を向けた。

 

「おや……フロル・ベルム……【スセリ・ファミリア】じゃないか」

 

 フィンさんの言葉に、傍にいたリヴェリアさんを含め多くの団員達がこっちに視線を向ける。

 別に敵意も殺気も込められたわけでもないのに、彼らの雰囲気に一瞬呑まれた。

 

 ……これが第一級冒険者達の圧、か。

 

 俺は高い壁を感じながら、一礼する。

 

「お久しぶりです、【勇者(ブレイバー)】。以前は助けて頂き、ありがとうございました」

 

「気にしなくていい。生き残ったのは君の……君と彼女の力だ。僕達は君と彼女を連れ帰っただけだよ」

 

 本来なら礼を言いに行かなければいけなかったんだけど。

 やっぱりファミリアとしては、そう簡単に頭を下げに行くのは褒められたことではないとのことで、スセリ様に止められてた。

 一応、スセリ様が神ロキに謝意を伝えてくれたようだけどね。

 

「遠征の帰りですか?」

 

「ああ。と言っても……今回は階層は伸ばせなかったけどね」

 

「……【ロキ・ファミリア】でも厳しかったんですか?」

 

「残念ながらね。全く……ゼウスとヘラの背中はまだまだ遠いようだ」

 

 フィンさんは苦笑しながら言うも、やはりどこか悔しそうだ。

 しかし、すぐにそれを隠して、ハルハやアワラン達に目を向ける。

 

「……ふむ。噂には聞いてたけど、随分と個性的な団員を集めたね」

 

「ええ、まぁ……頼もしい連中ですよ」

 

「そうか……。おや、同胞が入ったのかい?」

 

 フィンさんはリリッシュを見つけて、嬉しそうな笑みを浮かべる。

 

「はい。リリッシュ・ヘイズです。【学区】出身の魔導士ですね」

 

「へぇ……それはまた珍しい」

 

「どうも」

 

 リリッシュは眠たそうな目つきのまま、軽く礼をする。

 ディムルに目を向けると、リヴェリアさんに声をかけられていた。

 

「エルフの槍使いか」

 

「ディムルと申します。私情により顔を見せぬ無礼をお許しください、リヴェリア姫」

 

「気にするな。今の我々は冒険者だ。遜る必要はない」

 

「感謝致します」

 

 ディムルは片膝をついて一礼し、リヴェリアさんは少しメンドそうな表情を一瞬浮かべた。

 まぁ、王族として扱われるのは苦手らしいからな。

 

「実は【ネイコス・ファミリア】の抗争を観戦させてもらったんだ」

 

「え?」

 

「外からだったから、ハーフドワーフの彼とエルフの彼女の戦いだけだけどね」

 

 もしかしてアーディ達の近くにいたのか。

 まぁ、他にも見てた連中もいただろうし、気にするだけ無駄か。

 

「フィン! そろそろ行くぞ!」

 

「おっと……。すまない、そろそろ」

 

「はい。お気を付けて」

 

 言う必要はないだろうけど。

 

「ありがとう」

 

 フィンさんとリヴェリアさんは笑みを浮かべて言い、団員達の元へと戻っていく。

 声をかけたのは着流しを着た老人の男性だった。

 

 どうやら幹部格のベテラン冒険者のようだ。

 多分俺達で言うハルハみたいな立ち位置なんだろう。

 

 移動を再開するフィンさん達を見送った俺達は、一斉に息を吐いて体の力を抜く。

 

「はぁ~……あれが現最強派閥の一角、【ロキ・ファミリア】か……。全然勝てるイメージ湧かなかったぜ……」

 

「そりゃねぇ……。遠征に参加する連中のほとんどは第二級以上の冒険者ばかり。あそこにいた連中は全員アタシらより格上さね」

 

 まぁ、深層にまで行くとなるとLv.2以下は厳しくて連れていけないよな。

 つまり、俺達では足を踏み入れられない領域だということ。

 

 そこから生還してきたフィンさん達に俺達が敵う道理はないだろう。

 

「けど、いずれは俺達もあそこに辿り着かないといけないんだ」

 

 俺の言葉にアワラン達は俺を見る。

 

「……ふっ。そうだね。最強を名乗るにゃ【ロキ・ファミリア】を越えなきゃいけない」

 

「だな……。俺らだってあそこまで強くなれるってことだもんな」

 

「鍛錬、頑張る」

 

「ですね」

 

「成長あるのみ」

 

 そういうことだ。

 今の俺達じゃ届かないだけ。でも、いずれは届く。……届かせる。

 

 ただ、それだけのこと。

 

 焦る必要はない。彼らの存在こそが俺達が強くなれる証明なんだから。

 

「今日は引き返そう。このルートは【ロキ・ファミリア】に挟まれるし、ここまで上級冒険者が移動していればモンスターも近寄らないと思う。逆に言えば、ここから離れた場所にモンスターが集まる。流石に俺達じゃきつくなるし、怪物進呈されたら最悪だ」

 

「そうだね。場合によっては下の階層からモンスターが逃げてくるかもしれない。さっさと上層まで引き上げた方がいい」 

 

 俺とハルハの言葉に否は出ず、俺達は足早に来た道を引き返す。

 

 基本的に無鉄砲なアワランだが、ダンジョンでは俺とハルハが揃った意見に関しては抵抗しない。

 まぁ、アワランは馬鹿ってわけじゃないからな。

 

 さっさと地上に帰還した俺達はバベルで換金して本拠へと戻る。

 

「おぉ、早かったの」

 

「【ロキ・ファミリア】の遠征帰りに出くわしまして」

 

「なるほど。まぁ、それならば明日からはしばらく【ロキ・ファミリア】も大人しくしておるじゃろうて」

 

「はい」

 

「おっと、そうじゃった。明日、客が来るでな。ダンジョン探索は客が帰ってからにしておくれ」

 

「客ぅ?」

 

「うむ。例のサポーターじゃ」

 

「え!? 見つかったんですか!?」

 

「しても良いという者が見つかっての。他のファミリアの者でな、明日顔合わせじゃ」

 

「物好きもいたもんだねぇ」

 

「しかし、ありがたい話ではありますね」

 

「問題は報酬。金か、戦力か」

 

「む? 意味、分からず」

 

「ただ金を払えばいいのか、そのファミリアの遠征時に着いて行くのかってことさね。前者なら楽だけど、後者ならちょっと面倒だね」

 

「でも、遠征に行くほどのファミリアが俺達なんて呼ぶか? スセリ様が会うことにしたってことは、信頼できる相手なんだろうし」

 

 俺はリリッシュとハルハの言葉に首を傾げる。

 

 遠征に行くほどのファミリアならば、中層以下に行くことになるはずだ。

 俺達程度の力なんて足手纏いにしかならないだろう。

 

「別に今すぐってわけじゃないだろうさ。アタシらが遠征に行けるようになったらって話さ」

 

「いやいや、一体何年後の話さ」

 

「まぁね。けど、先に唾を付けておこうって考える奴はいるかもしれないからね。警戒しておいて損はないよ」

 

 まぁ、そう言われれば反論のしようもないけど。

 とりあえず、会うだけ会ってみるとしよう。

 

 

 

 

 翌朝。

 

 朝食を食べ終えて、思い思いに過ごしていると、玄関から声がしたので俺が出迎えに向かう。

 

 そして、そこにいたのは、

 

「……シャクティさん? それにアーディ?」

 

「おっはよー!」

 

「……朝早くから失礼する。【迅雷童子】」

 

 元気よく挨拶するアーディに、それに小さくため息を吐いて挨拶するシャクティさん。 

 

 そして、アーディの隣にいるもう1人。

 

「オメェさんが【迅雷童子】か。儂はドットム・グレンロックだ。二つ名は【岩砕重士(カブラカン)】」

 

 ニカッと愛嬌のいい笑みを浮かべる()()()()()()()()片腕のドワーフ。

 

 ドットムさんは全く悲壮感を感じさせずに自己紹介をしてくれた。

 

「……もしかしてドットム殿が?」

 

「ああ。諸君らのサポーターを担ってもいいと言ってくれた者だ」

 

 【ガネーシャ・ファミリア】が一番可能性が高いとは思ってたけど……本当に来るとは。 

 

 とりあえず、俺は3人を応接間に案内する。

 すでにスセリ様は応接間にやってきていた。

 

「ハルハ達もすぐに来るであろう」

 

「はい」

 

「よぉ来てくれたの」

 

「いや、我々としても、流石に堂々と出来る話ではないのでな。こちらの方がありがたい」

 

「ところで、アーディはどうして?」

 

「ん? ただの付き添いだよ!」 

 

「……」

 

 胸を張って堂々と言い放つアーディに、俺とシャクティさんは何とも言えない表情を浮かべる。

 

「でも、【ガネーシャ・ファミリア】で一番フロルと仲良いの私だし。ドットムおじさんのことも良く知ってるしさ」

 

「いや、まぁ、そうだけどさ……」

 

「ほぅ、こ奴がフロルと逢引したという娘か」

 

 スセリ様が目を細めてアーディを見る。

 

 そこにハルハ達もやってきたので、俺はこれ幸いと話題を変える。というか、本題に入る。

 

「で、では、団員も揃ったので、早速本題に入りましょうか」

 

「ああ」

 

 シャクティさんも妹の暴走が気が気ではなかったようで、すぐに頷いてくれた。

 スセリ様は俺の横でくつくつと笑い、アーディは気付いていないのかニコニコとしていた。

 

 ドットムさんもニマニマと笑いながら髭を撫でていた。

 

「神スセリヒメより、ガネーシャにサポーターについて話があった。それで団員の何人かに声をかけて、引き受けてくれたのがドットムだ」

 

「選定基準を訊いてもいいですか?」

 

「見ての通り、身体が不自由な者達を主に選ばせてもらった」

 

「それは何故?」

 

「今【ガネーシャ・ファミリア】はオラリオの警邏を担っているため、遠征を一時免除してもらっている。闇派閥の蛮行が蔓延る現在、戦える上級冒険者の団員達はほとんど出払ってしまう状況でな。アーディ達新人冒険者の探索の付き添いでサポーターを兼任すると言っても、そんなに人数がいるわけでもない。ドットムのような団員が暇を持て余している」

 

 なるほど……。

 いくら上級冒険者といっても、やはり片腕だと舐められたりするのだろう。

 

 だから、普段はバックアップや新人の教育を担当しているそうだが、それでも暇な団員が多いらしい。

 

 それは逆に言えば、【ガネーシャ・ファミリア】は例え十全に戦えなくなったとしても見捨てず、出来ることをやらせているということだ。

 

「ガネーシャも我々も、今後とも【スセリ・ファミリア】とは良好な関係でいたいと思っている。故に【スセリ・ファミリア】の戦力が向上することは我々にとってもありがたい」

 

「なるほどのぅ」

 

「ドットムはLv.3の第二級冒険者だ。腕を失う2年前までは前衛を担い、ファミリアの遠征では下層まで到達している。中層と下層の階層主討伐経験もある猛者だ。アドバイザーとしては最適だと思っている」

 

「なるほど……。ドットムさんは何故うちに?」

 

「1つはさっき団長が言ってたが、新人教育にも人手が足りてる状況でな。儂はずっと新入り共やヒヨッコ共の面倒を見てたんだが、最近じゃダンジョン探索に行く奴も少ねぇし、警邏するのもあんま性に合わねぇんだよ。そしたら、噂の【迅雷童子】と【闘豹】がいる【スセリ・ファミリア】がサポーター探してるって聞かされてよ。儂としちゃあ、そっちの方が面白そうだったってだけだ」

 

 なるほど。行動派というか、現場気質なんだな。

 

 確かにうちには最適の人材かもしれない。

 

「俺としては、ぜひドットムさんにお願いしたいですね」

 

「妾はフロルや子供達が文句ないなら構わんぞ」

 

「アタシらはいつも通りだねぇ。主神と団長がいいなら構わないよ」

 

「うむ」

 

「だな」

 

「はい」

 

「いいよ」

 

「……団長とは言え、よくガキにそこまで委任出来るな。お前ら」

 

 ドットムさんとシャクティさんが呆れた表情を浮かべる。

 ハルハはそれにニヤリと笑い、

 

「コイツは普通のガキじゃないからねぇ」

 

「普通に頼りになるかんなぁ」

 

「ダンジョンでも的確に指示を出してくれます」

 

「フロル、団長、相応しい」

 

「以下同文」

 

 全面的信頼なのか、揶揄われてるだけなのか判断できません。

 

「ふぅん。まぁ、そこは実際に見て判断するか」

 

「そうだな。さて、では報酬と待遇についてだが」

 

「はい」

 

「基本的に報酬はいらない。もちろん、ドットムが倒したモンスターの魔石はドットムに権利があるものとしたい」

 

「問題ないです」

 

「そうか。では、待遇に関してだが、探索に関する装備、食料、薬などはそちら持ち。もちろん、命に関してはダンジョンである以上、死んでも責める気はないが……ドットム1人だけ死んだ場合はやはり疑いの目を向けざるを得ないのは理解してほしい」

 

「もちろんです。安全には最大限努力します。装備に関しては、うちは正重に一任してますが?」

 

「お前らの装備に合わせるつもりだ」

 

「では、後程正重と打ち合わせしてください」

 

「おう。まだ『鍛冶』スキルはないんだよな?」

 

「うむ」

 

「まぁ、それはしゃあねぇな。こればっかりは【ランクアップ】しねぇとどうしようもねぇしな」

 

「探索終了後はどうしますか?」

 

「基本的にファミリアの本拠に戻る予定だぜ。まぁ、飯食わせてくれるってんなら馳走になるが」

 

「うちの飯はスセリ様お手製ですがいいですか?」

 

「食えるなら文句ねぇよ。むしろ、女神の飯ってありがてぇしな。もちろん、酒は出るよな?」

 

「スセリ様とハルハ、アワランは飲みますよ」

 

「まぁ、オメェは飲めねぇもんな」

 

「流石にスセリ様からも許可が出てません」

 

「当然じゃ馬鹿モン」

 

 なんか話がズレた気もするが、なんとなくうちに馴染めそうだな。

 

「いいなぁ~。楽しそうだなぁ~。ねぇ、お姉ちゃん。あたしも時々フロル達に着いて行っていい?」

 

「馬鹿を言うな。足手纏いのお前を連れていかせるわけないだろう。お前のためにフロル殿達もドットムも余計な気を使って動き辛くなる」

 

「せめて中層に来れるようになってからいいやがれ」

 

「ぶぅ~」

 

 まぁ、流石にアーディが加わったら無理出来ないな。

 ドットムさんとの連携もまだ分かってないんだし。

 

 とりあえず、今は話を纏めよう。

 

「では、正重の鍛冶が終わり次第、ダンジョンへと潜りましょう。現在俺達は15階層まで潜ってて、近い内にダンジョン内で泊まり込みの探索を行いたいと思ってます」

 

「おう。構わねぇよ」

 

「あ。ステイタスに関しては、お互い話してもいい範囲でということで」 

 

「もちろんだ。流石に他派閥のステイタスを根掘り葉掘り聞く気はねぇよ」

 

 まぁ、そこらへんは俺達より精通してるよね。

 

 これでサポーターも確保できた。

 

 ダンジョン探索が楽しみだな。

 

 




師匠参上
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