【ライトニング・サムライ】~転生者はダンジョンで英雄になりたい~ 作:独身冒険者
そう言えば、『アストレアレコード』が10月辺りに文庫化されるらしいですね! もちろんワテは買うー
巴とツァオを迎えた翌日。
この数カ月であっという間に賑やかになった屋敷では、今日も組手が行われていた。
「らぁ!!」
「ぬぅ!!」
アワランと正重が気合と共に拳と斧剣を振るう。
しかし、その剛撃はツァオの両腕の盾で受け止められ、受け流されてしまった。
その隙にディムルがツァオの横に滑り込み、攻撃を捌いて動きが固まっている隙を突いて長槍で攻撃を仕掛けようとした。
だが、巴が大刀をディムルとツァオの間に叩きつけて、機先を潰す。
「ぐっ……!?」
「ふっ!」
怯んだディムルに巴が右肩を突き出してショルダータックルを仕掛け、ディムルは短槍を滑り込ませて盾にするが後ろに吹き飛ばされる。
巴はそのまま流れるように大刀を振り回して、正重に斬りかかり、正重も斧剣で受け止めるも力負けしてこれまた吹き飛ばされる。
アワランにはツァオが詰め寄り、左腕の盾を剣のように振り上げる。
アワランはギリギリで後ろに仰け反りながら躱したが、直後ツァオの長くしなやかな右脚が伸びて、アワランの鳩尾に突き刺さる。
「ぐえっ!?」
左手で鳩尾を押さえながら後ろにたたらを踏むアワラン。
ツァオと巴はそれ以上は無理に攻めかからず、後ろに下がって態勢を整える。
というわけで、今行われている組手はアワラン・正重・ディムルチーム対ツァオ・巴チーム。
Lv.1チームでの模擬戦だ。
これは新入りの2人の歓迎会的な意味もあるし、実力確認でもある。
スセリ様に俺やハルハ、ドットムさんは縁側に座って観戦していた。
リリッシュ? 書庫で読書に耽っています。あいつは魔法やダンジョンに興味はあっても、戦いそのものに興味はないんだよな。
「やはり、この組み合わせでは巴達が優勢じゃの」
「だねぇ」
「技もステイタスも巴達の方が上ですからね」
ディムルは技術なら互角だが、ステイタスで大きく負けているから決定打に欠ける。まぁ、その技術だけで2人に無視させないだけでも十分と言える。
アワランはステイタスと技術も互角ではあるが、連携力と総合力で一歩攻めきれない。
正重は技術で他の面々に負けていて、ステイタスも2人に一歩及ばない。スキルも2人に通じず、ツァオも高身長だから体格差はあまりなく、純粋な力でもドワーフである巴と差はない。だから、普段なら状況を大きく動かせる正重が現在一番足を引っ張ってるな。
まぁ、正重は本来鍛冶師だから、戦闘技術を求める必要性はないんだけどな。
でも、うちのファミリアでは戦闘技術をある程度理解出来ていないと俺達の武具が造りにくいかもしれないし、ランクアップが難しい。
ヘファイストス様の話では、やはりダンジョンに潜る方がランクアップもスキルも段違いらしい。まぁ、それは椿さんを見れば納得だけどな。椿さんは頻繁に武器の試し切りでダンジョンに潜ってるらしいからな。
『至高の武器を創り上げるには、武器の特性や振るい方を身を以って理解することも時には必要よ。椿はまさしくそれが一番性に合ってるし、あの子も
そうヘファイストス様は言っていた。俺も正重はそのタイプだと思う。
て言うか、うちの連中ってリリッシュも含めて現場主義派なんだよな。
「けどまぁ……これならアイツらだけでもミノタウロスは挑めそうだな」
ドットムさんが顎を擦りながら言う。
「そうだねぇ。ツァオと巴が加われば、確かにミノタウロスの力にも太刀打ち出来そうだね」
「正重のスキルも使ったら、ツァオはLv.2にも匹敵するからなぁ。アワランと巴も耐久力は一級品だし。この3人がいれば、正重とディムルがいても大丈夫だとは思うけど……」
「相手が一体であれば、の話じゃの」
スセリ様の言葉に俺達も頷く。
「まぁ、最悪群れだったら、儂らとリリッシュ嬢ちゃんで引き受けるか。それはそれでリリッシュ嬢ちゃんの経験値にゃなるだろうよ」
「……確かに」
「とりあえず、一度あのメンバーでインファント・ドラゴンとでも戦わせてみたらどうだい?」
「いや、流石にインファント・ドラゴンは危険だろ。まずツァオと巴にはダンジョンに慣れて貰わないといけないし。結構人も増えたから、これからは時々正重達だけでダンジョンの上層に挑んでもらうのはアリだと思うけど」
「そうじゃな。フロルやハルハがおらんダンジョンというのも経験するにはちょうど良い面子じゃろうて。ドットムをサポーターで付ければ、そう無茶も出来まい」
「おう。ぶん殴って止めてやるぜ」
片腕とは言えLv.3。
アワランでもドットムさんの拳骨には勝てない。
俺は身長が縮みそうだから勘弁願いたいので、素直に従ってます。まぁ、そもそもそのために来てもらってるしな。
「とりあえず、ギルドに出しておった団員募集要望は取り下げるかの。流石にこれ以上は面倒を見るのも難しかろうて」
「ですね。俺らだってまだまだランクアップ目指さないといけないですし」
俺とハルハだってLv.2になったばかりだしな。
俺達だってまだまだ成長しないといけない。
さて、俺もこの後参加するとするか!
と、意気揚々と参加することにした俺なのだが……。
「だから、なんで俺対他全員なんだよ!?」
ハルハまで向こうじゃん!
巴にツァオまでとか厳しいにも程があるだろ!?
ディムルは短剣2本、俺を含めた残りの面々は無手だけど。それもあんまりハンデじゃないぞ!
「これくらいの方が経験値になるだろ? 団長が女々しい事言うんじゃないよ」
かもしれんが……巴なんて甲冑着たままじゃん!
「某はこの方が鍛錬になるので、お許し頂きたい」
くそぅ……その通りだから何も言えん。
とりあえず、全力で凌ぎ続けてやる!
――もう勘弁してくれませんかねぇ!?
「このっ!」
「ふっ!」
「はっ!」
「でぇあ!!」
ハルハとツァオの蹴りを屈んで躱し、その2人の脚を潜り込む様に巴が身を低くして突っ込んできて、それを横に跳んで逃げるとアワランが両手を組んで叩きつけてくる。
俺は地面に両手を着いてブレイクダンスが如く身体を回して、アワランの腕に横から右足を叩きつけながら引っかけ、右脚と腹筋背筋に力を籠めて無理矢理身体を持ち上げて攻撃を躱す。
「大道芸かよ!」
「相変わらずすばしっこいねぇ!!」
こっちだってギリギリだよ!?
反撃する余裕なんて全っっ然ない! 逃げ続けるだけで精一杯だ!
もう30分くらいか?!
って、ヤバ!?
「ヌウ!!」
後ろから正重が右腕を真横に振り抜いてきた。
慌てて前に跳んで躱すが、今度は短剣を構えたディムルが迫って来ていた。
ああもう!!
「ハアアア!!」
ディムルは二振りの短剣で連撃を繰り出し、俺は何とか躱して受け流す。
短剣でも上手いな、やっぱり!
ディムルが息切れした瞬間に全力で後ろに跳ぶが、そこにハルハが合わせて俺の横に飛び込んで来た。
「げっ!?」
「はぁ!」
ハルハはスライディングしながら左手で体を起こして、右脚を突き出す。
俺は何とか両腕を交えてガードするも、横に吹き飛ばされる。
進行方向には拳を構えたアワラン。
君達、連携上手すぎない?!
アワランがラッシュを放ち、俺は急所に当たりそうな拳だけを弾いて受け流し、何発か浴びるも堪える。
「ぐっ……!」
だが、追撃の手は弱まることはなく、巴が左側から突撃してきた。
アワランはそれに合わせて後ろに下がろうとしたのか、ラッシュの勢いが弱まる。その隙を狙って、俺は全力で前に出て、アワランの左腕を抱えながら素早く転身して背負い投げを放って、途中で放り投げる。
背負い投げを放った勢いを利用して身体を屈め、両手と左脚で地面を蹴って真上に跳ぶ。
それで巴の突撃を躱そうとしたんだが……巴はギリギリで足を止めたかと思うと、ツァオがその後ろから猛スピードで飛び込んできて巴の両肩に手を置き、逆立ちしながら踵落としを放ってきた。
げっ!?
流石に空中じゃ躱せない……!
何とか右腕でガードするも、勢いよく地面に叩き落とされる。
「づあ!?」
ちっ…くしょう! 受け身失敗した!
「……驚愕。今ので終わると思った」
「先ほどまでの動きといい、見事に尽きまするな。では…参る!」
もう勘弁してえええ!!
…………
………
……
「ぐぅ……まだ体が痛い……」
俺は大通りを歩きながら身体に走る痛みに顔を顰める。
隣を歩くスセリ様は腰に両手を当てて、
「情けないのぅ。まだまだ修行が足らん」
「……それは痛感しました」
結局、俺は負けた。流石に無理だった。
あの後、アワランと巴を何回か投げたけど、ハルハとツァオの連撃を捌き切れずに蹴り飛ばされて、正重の拳を背中に喰らって倒れた。
今はハルハ対Lv.1組で戦ってると思う。
俺とスセリ様は休憩ということでギルドに向かうことにした。
ハルハ達はドットムさんが見てくれているから大丈夫だろう。
「まぁ、小一時間戦い続けたのは褒めてやっても良いがの。あの面々とは言え、格下相手に逃げの一手ばかりというのはやはり未熟の一言じゃな」
「はい……」
ぐぅの音も出ません。
俺の周りはまだまだ格上ばかりだ。……アイツらも。
生き残るためにはもっと上手く戦えるようにならないとなぁ。
ギルドに到着した俺とスセリ様はスーナさんに声をかけて、団員応募を止めてもらう。
「はい、承知しました。確かにこの数カ月で7人も増えましたからね。パーティーとしては十分かと思われます」
「うむ」
「先日、中層にてダンジョンで一夜を過ごしたとのことですが、問題はありませんでしたか?」
「ええ。頼りになる先達もいましたので。何も問題なく帰還できています」
「【ガネーシャ・ファミリア】の方ですね。報告は受けています」
相変わらず耳が早いというか、ギルドと【ガネーシャ・ファミリア】は強く繋がってるから当然と言えば当然か。
報告を終えてギルドを後にしたところで。
「あら、スセリヒメじゃない。久しぶりね」
「ん? おお、アストレアではないか」
スセリ様に声をかけたのは、優しい雰囲気を纏う胡桃色の長髪を靡かせる女神。
この方が神アストレアか。
女神の後ろには黒髪の子もいた。
「お主もオラリオに来ておったのか」
「ええ、少し前にね。先日、うちの子達があなたの子供達にお世話になったと聞いたから、近いうちにお礼ついでに一度会いに行こうと思っていたの」
「ほう?」
スセリ様は俺に顔を向ける。
そういえば、言ってなかったかもしれない。
「すいません。あの小遠征に行く時に、犯罪者を捕らえる際に軽く挨拶を交わした程度なので、世話をかけたという認識もなくて。スセリ様と顔見知りというのも存じませんでしたので」
「ああ……帰還した時にディムルが悪漢を捕まえたと何やら言っておったな。その時か」
「はい」
「アリーゼに放たれた矢を、その子が斬り落として助けてくれたそうなの。アリーゼは目の前の事に集中すると周りが見えなくなっちゃうから、あなたのおかげで怪我をせずに済んだわ。ありがとう」
神アストレアはニコリと微笑んで礼を言う。
俺は軽く頭を下げて、それに応える。
「その様子では、まだ子供達も恩恵を得たばかりのようじゃな」
「そうね。まだまだ幼くて、これからだから、あまり無茶しないで欲しいのだけど……目の前の悪事を無視出来ない良い子達ばかりだから」
「まぁ、子供とはそう言うものじゃよ。我が愛し子も何度か無茶をして、拳骨を落としたものよ。のう」
「あははは……まぁ、その他にもたくさん投げられましたね」
それは今もだが。
俺の言葉に黒髪の少女はどこか呆れた雰囲気を纏い、神アストレアは憐れむ様に眉尻を下げる。
大丈夫です。スセリ様の行動は基本俺のためですから。
「それにしても、その後ろの娘は極東の者か?」
「ええ、輝夜よ」
「お初にお目にかかります、スセリヒメノミコト様。ゴジョウノ・輝夜と申します」
「……ほぉ。ゴジョウノ、か」
「悪いけど、そこは深く訊かないであげて」
「まぁ、極東から来る者など武芸者か訳アリくらいしかおるまいて。我がファミリアにもおるしの」
「ありがとう。いつかそちらにお邪魔させて貰ってもいいかしら? 輝夜も同郷の人と話せて嬉しいと思うから」
「妾は構わんぞ」
「アストレア様……わたくしめは別に」
「いいじゃない、輝夜。ここでは極東のしがらみなんて関係ないんだから」
「……」
輝夜さんは困った顔を浮かべて黙り込む。
まぁ、他派閥だし、そんな簡単に喜べないよね。
それにしても『ゴジョウノ』か……。
サンジョウノ・春姫と同じ、朝廷に仕える名家の一つなのかもな。もしかしたら、巴も知ってるかもしれない。
確か春姫は何かしら粗相――というか嵌められて実家を勘当され、巡り巡ってオラリオに売られることになったって話だ。
もしかしたら、輝夜さんも何かあって家を捨てたのかもしれないな。
なら、俺達から踏み込むわけにもいかないか。
すると、新たな声が響いてきた。
「んお? お~! スセリヒメやないか! それにそのチビ助と……げっ、アストレア……!」
「ん?」
「あら、ロキ」
現れたのは女神ロキ。そして、僅かに眉間に皺を寄せて控えるリヴェリアさん。
顔を顰める神ロキの左手には焼き鳥、右手には酒瓶を持っていた。
どうやらリヴェリアさんは神ロキの道楽に連れ回れてるみたいだな……。
「なんで自分がここにおるんや? 大好きな趣味の慈善活動はどないしたん?」
「子供達がここに来たいと言ったのよ。人がいるなら、慈善活動はどこでも出来るしね。それに、今のオラリオには救いの手はいくら在っても困らないのではなくて?」
「……けっ」
慈愛の笑みを浮かべて言う神アストレアに、神ロキは吐き捨てる仕草をする。
……相性悪そうね。
「まぁ、精々頑張るんやな。……うちらの邪魔をしたら、容赦せぇへんぞ」
「ありがとう。大丈夫よ。あなただって、オラリオが無くなるのは嫌でしょ?」
「……ふん」
なんか……思ってたより図太いというか、底が読めない女神だな。
最強派閥の主神に睨まれて、ここまで余裕だなんて。
「これ、お主ら。仲が良いのは構わぬが、こんなところでじゃれ合うでないわ」
「仲良ぉないし、じゃれ合うてへんわ!!」
「全く……下界に降りて大分丸くなったと思うておったが……」
「ふん! 嫌いなモンは嫌いや!」
はっきりと言い放つ神ロキに、スセリ様はため息を吐き、神アストレアは変わらずニコニコとしている。
……そろそろ逃げ出したい、んだけど……。
俺はさり気なくリヴェリアさんに近づき、
「少しいいですか? 【
「……何用か? 【迅雷童子】」
リヴェリアさんは訝しむ様に片目を閉じて、こちらに視線を向ける。
「後日、うちの団員の事でお時間を頂きたくて」
「其方の……? あの双槍使いのエルフか?」
「はい。詳細は本人に深く関わることなので、ここではご容赦を」
「……私に、と言うことはエルフ族に関わることのようだな」
「ええ。場所も日時もそちらの指定で構いません。伺うのは自分とディムルだ……いえ、スセリ様も来るようです」
「当たり前じゃ馬鹿もん」
いつの間にかスセリ様が俺の傍で腕を組んで見下ろしていた。
「なので、そちらも神ロキが同席されても構いません。……【勇者】に関しても」
こっちは団長である俺が同席するからな。
【ロキ・ファミリア】側も断るのは流石に無理だろう。
リヴェリアさんは片目を閉じたまま少し考え込み、己が主神に視線を向ける。
「お~ええで~。坊主共が不意打ち仕掛けようが、フィンとリヴェリアに勝てるわけないし。まぁ、スセリヒメんとこの子が、そんな真似するとも思えんけどな」
「しませんよ。俺はそちらに恩義と借りがありますので」
「ほな、何も問題ないな」
「スセリ様もいいですか?」
「構わんぞ。ディムルの奴はどう言うかは知らんがな」
「まぁ、そこは納得してもらいますよ」
ということで、日時は明日の昼。場所は個室のある喫茶店となった。
「そういや聞いたでぇ、スセリヒメ。また随分と自分の子供増やしたらしいなぁ。それも珍しい子ばっか」
「別に妾が見つけたわけではなく、向こうから来ただけじゃからのぅ」
「今日はその新入りは連れてへんのか?」
「あ奴等なら、まだ本拠で他の子等と歓迎会がてら組手しとるじゃろうて」
「は? 組手が歓迎会?」
神ロキが首を傾げ、リヴェリアさんや神アストレア、輝夜さんも訝しみの顔を浮かべる。
まぁ、そんな顔になりますよね~。
俺とスセリ様は揃って苦笑して、
「うちの連中は武人気質というか鍛錬好きでの。魔導士でもなければ、基本は組手や模擬戦ばかりじゃよ。さっきまでフロルも参加しておったしの」
「うげぇ……フレイヤんとこみたいなことしとんのかいな。っちゅうか、そもそも武人気質なんはお前が原因ちゃうんか?」
「それは否定せんのぅ」
「……チビ助、身内に殺されんようにしぃや。……嫌になったら、うちの――」
勧誘しようとした神ロキの頭を、スセリ様がグワシ!!と掴む。
「リヴェリアにでも相談しぃや! いつでもママ代わりになるで!!」
「なるか!!」
リヴェリアさんが顔を赤くして即座にツッコみ、大きくため息を吐く。
スセリ様は神ロキの頭を掴んだまま、
「心配せずとも、まだまだ我が愛し子が一番強い。まぁ、妾にはまだ及ばぬがの」
「Lv.2の冒険者に鍛錬でも神力ナシで勝てるとか相変わらず意味分からんわ~。ところで、そろそろ頭から手ぇ放して!?」
「……仕方ないのぅ」
スセリ様は渋々解放する。
神ロキは涙目で頭を擦り、
「ひぃ~…相変わらず嫉妬深いなぁ」
「お前とて、あの【勇者】に手を出されたらキレるであろうが」
「当然や! フィンは絶対やらへんで!!」
「だったら妾の子にも手を出すでないわ」
「へいへい。さて……そろそろ帰るわ。ほな、また明日」
「うむ」
神ロキはスセリ様に挨拶し、リヴェリアさんを連れて去って行く。
……神アストレアは無視して。
「嫌われたもんじゃの」
「ロキと私は司る事柄が事柄だもの。でも、私はロキの事は嫌いじゃないわよ」
神アストレアは相変わらず優し気な笑みを浮かべている。
まるで、いたずらっ子を見守る母親みたいな感じで。
俺達もここで神アストレア達とお別れし、本拠へと戻ることにした。
さて、ディムルの説得を頑張るとしますか。
……組手で気絶してないと良いけど。
ストックがそろそろヤンバイので、次は一週間後です。
ご容赦くださいm((((;_ _))))m