【ライトニング・サムライ】~転生者はダンジョンで英雄になりたい~ 作:独身冒険者
みなさん、身体にお気を付けて
そう言えば、皆さんは『それは遥か彼方の静穏の夢』通称アルフィアIFはご存知ですか?
アルフィアとザルドがベルに会いに行って一緒に暮らしたら、と言う大森先生が書かれた公式IFです。まだ『note』というサイトに掲載されているので、まだな方はどうぞ検索を!
……泣けますぜ?
ランキングでアルフィアさんの名前をよく見るので、ついでに
あれから数日。
本拠の周りで闇派閥が現れることはなくなったが、他の場所では更に過激になっている。
そのためか、ここ最近俺達にもギルドからの
なので全くダンジョンに潜れていない……。
ちなみに俺達の本拠はオラリオの東側にある。つまり……工業地区に近いと言えば近いんだよな。
【ロキ・ファミリア】も近いから、どちらかと言えば工業地区は【ロキ・ファミリア】が主に警戒してるんだけど、それ以外の地区では俺達が動いている。
【フレイヤ・ファミリア】はギルドの要請に
ただ、【ロキ・ファミリア】【フレイヤ・ファミリア】は遠征も行かなきゃいけないから、中々にこっちはシビアな状況だったりする。
【ガネーシャ・ファミリア】はオラリオ全域に、それこそ各門の検問もしているから、どこにでも駆け付けるが、その分層は薄いと言わざるを得ない。
そして、それ以外となると……実はどこもどっこいどっこいだったりする。
【イシュタル・ファミリア】は基本歓楽街の防衛に専念しており、更にまだこの頃はアイシャ・ベルカはいないだろうし……えっと……蛙みたいな女(名前忘れた)もレベルは低いと思うから、あまり当てに出来ないと思う。
で、残念ながら俺が知ってるダンまちの知識では、他に頼りになる派閥の名前は聞いた覚えも見た覚えもない。
そもそも【ロキ・ファミリア】だって、この頃はまだアイズはもちろん、ヒリュテ姉妹、ベート・ローガもまだオラリオにいないはずだ。まぁ、流石に他のベテランもいるだろうから、そんなに戦力は変わらないかもしれないけど。……でも、本編で出ないってことは、そう言う事なんだろう。
だから、油断は出来ない。
もしかしたら、他にも凄い派閥がいるのかもしれないけど……それでも生き残れなかったことかもしれない。
【アストレア・ファミリア】みたいに。
はぁ……命懸けなのはモンスターとだけで十分だってのに。
「――いい加減にしろってぇのッ!!」
俺は二刀を振り下ろして、闇派閥構成員の両腕を斬り落とす。
「ぎゃあああバヴッ――!?」
着地と同時に跳び上がって悲鳴を叫ぶ顎を蹴り上げて黙らせる。
そして、そのまま構成員を跳び越え、そいつの頭を足場にして次の相手に向かって飛び出す。
俺の周りでは――
「ウオオオオオオ!!」
正重が大剣を薙いで纏めて敵を吹き飛ばし、
「はっはあ!!」
ハルハが大鎌を振るい、そのままの勢いでしなやかな脚を薙ぎ、竜巻が如く敵を薙ぎ倒し、
「はあああああ!」
ディムルが双槍を風のように振るい、吹き抜けざまに敵の急所を斬り、刺し、叩き、
「オラオラオラオラオラオラァ!!」
アワランが体躯から蒸気を噴き上げ、踊っているかのように一秒とて拳も蹴りも止めることなく、敵を殴り潰していく。
「ぬうううううああっ!!」
巴が二振りの大刀を地面に叩きつけ、地面を揺らして足を止めた瞬間に突撃して轢き飛ばす。
「ルゥアアアアアア!!」
ツァオが大盾で敵を押しながら突き進み、最後に全力でその豪脚で突き飛ばす。
「【デゼルト・ビブリョテカ】!」
リリッシュが魔法で砂嵐を放ち、一気に通りにいた敵を押し流して砂の川に溺れさせる。
「ずぅおりゃああああ!!」
ドットムさんが正重が造った武器《蛮月》を地面に叩きつけて、地面ごと敵を吹き飛ばす。
これを何度も繰り返す。
戦いが終わるまで、敵の戦意が枯れるまで、敵がいなくなるまで。
それでもやはり、この胸に込み上げてくる感情は――虚しさだった。
闇派閥が一斉に逃げ出し、相変わらずその背中を見送るしか出来ない俺は、ただただ虚無感に襲われてため息を吐きながら空を見上げる。
粉塵と爆煙でくすんでる……。
今のオラリオを表しているかのようだな。
「おい坊主、どうした? どっか怪我したのか?」
「……いや、大丈夫。ちょっと……虚しいなって」
「……そう思えるってこたぁ良いことだと、儂は思うぜ。こんなクソみてぇな殺しで喜べる奴だったら、儂はもちろん、お前の団員達が付いて来るわけねぇだろ」
「……はい」
「帰んぞ。お前は人一倍動き回ってんだ。体力だけじゃなく
「……はい」
「俺は少しファミリアの連中から情報を集めてくっから。先に帰っててくれや」
「分かった。お願いします」
「おう」
俺は刀を鞘に納めて、ハルハ達の元へと歩き出す。
ドットムさんの横を通り過ぎて、少ししたところで、
「……悪ぃな、坊主」
何か言われたような気がした。
「ん? 何か言った?」
「何でもねぇよ。ほれ、さっさと帰って、スセリヒメ様の膝で休んどけ」
「う、うるさいなっ! ホントにされそうだから止めてくれよ!」
「がはははは!」
ドットムさんは大笑いを上げながら俺達とは逆方向に去っていった。
最近、ドットムさんに敬語を使うことはなくなった。本人から「いい加減気持ち悪ぃ」って言われたし、出向してきてくれてるとはいえ、共に戦う冒険者同士ならそこまで気にする必要はないと言われたら、その通りだとも思うので、敬語はやめた。
それにしても、ったく……最近またスキンシップが激しくなってるんだぞ? スセリ様。
膝枕抱き枕以上の事とか、もうどうなるんだよ? 想像するのも怖ぇよ。
それにしても……そろそろいい加減ダンジョン行きたい。
一回でいい。
このままじゃ人殺しの技が染みつきそうだ。
こんな技、スセリ様に教わっていない。
こんな技、スセリ様に見せたくない。
こんな『武』じゃないんだ。俺が進みたい道は。
「こんな道の先に……『英雄』なんてあるかよ」
フロル達と別れたドットムは、絶え間なく団員達に指示を出している己が団長に歩み寄っていた。
「――者はすぐに【ディアンケヒト・ファミリア】に運べ! もうバベルの治療院は満室だ! 我らの本拠や【デメテル・ファミリア】などの商業系派閥の施設や本拠の使用要請をギルドに出させろ!」
「「「はっ!!」」」
「おい、シャクティ」
「ん? ドットムか? どうした? 【スセリ・ファミリア】に何かあったのか?」
「いや、坊主共は無事だ。無事だけどよ……」
ドットムは盛大に顔を顰めて、残った腕で後頭部をガシガシと掻く。
「坊主はかなり精神的にきちまってんな。そろそろ休ませてやんねぇと、ダンジョンや闇派閥に殺される前に、儂らがあいつを潰しちまうぞ」
「……そうか。……そうだな。大人びていても、まだアーディよりも年下の、10歳にもならぬ少年だ。そう簡単に割り切れるわけもないか」
「ったりめぇだろ。儂らだって嫌気がさしてんだぞ?」
「……そうだな。特に彼はアーディ達とは違い、前線での戦闘……精神の消耗は計り知れんか」
「まだ派閥の等級はGだから遠征の義務はねぇが、あいつらは儂らと違って遠征を免除されるわけでもねぇんだ。しかも、勢いはあるっつったって中堅派閥になったばっかだ。儂らや【勇者】のところと違って、そこまで強制する程の派閥じゃねぇだろ。ギルドに言って、いっぺん
「……分かった。ガネーシャを通して神ウラノスに直接交渉させてみよう。ロイマンに言っても了承を得られる可能性は低そうだからな」
「頼んだぜ。儂は派閥の手伝いをさせたくて、坊主のとこにいるわけじゃねぇんだ。これで坊主が潰れたら、儂らの顔が立たねぇし、あそこの主神が暴れるぞ?」
「分かっている。そもそも私や【勇者】は【スセリ・ファミリア】の強制任務には反対していたんだ。それをロイマンめ……『子供とは言え神の恩恵を授かり、冒険者を名乗る以上オラリオを守る義務が発生する』などと嘯きおって……!」
「ちっ、あの豚野郎……だったらもっと上の派閥を動かせってんだ」
「今回はそこを突っ込んでやるさ。とりあえず、しばらく【スセリ・ファミリア】はダンジョン攻略に専念させてやってくれ」
「おう、頼んだぜ」
「ああ」
ドットムの言葉に頷いたシャクティはまた部下の指示出しに戻り、ドットムは軽く見回りしてから帰ることにするのだった。
本拠への帰途へと就いていた俺達は、途中で騒ぐ集団を見つけた。
「なんだ?」
「喧嘩か?」
「ったく、闇派閥が出たばっかだってのに元気な奴らだねぇ」
全くだな。
でも、やっぱり連日の襲撃で鬱憤が溜まってるのは住民も同じか。
と、思ったけど……集団の中に見覚えがある赤髪が見えた気がした。
「ん? あれは……」
「前、会った人、いる」
「あん?」
ってことは、やっぱり。
「いい加減にしなさいよね!」
俺の予想を裏付けるように、聞き覚えのある声が響いてきた。
「やっぱり、【アストレア・ファミリア】か……」
「あぁ……あの正義少女サマかい」
「神アストレアの眷属でしたか? 自主的に街の巡回をしていると聞いたことがありますね」
「ってことは、コソ泥でも出たのか?」
「しかし、その程度の輩ならば冒険者であれば容易く捕まえられましょう?」
そうだよな。
ってことは、派閥同士の抗争か?
周囲に【ガネーシャ・ファミリア】はいないっぽいし、見た感じ冒険者もいなさそうだ。
……仕方ない。軽く様子は見ておくか。
集団に近づくと、アリーゼ達と……冒険者と思われる男達。
先頭でアリーゼを睨んでいるのは、小悪党感半端ない猫人の男。その後ろの連中もどう考えても堅気の人間じゃあない。冒険者って感じもしない。
「それは店の人達が汗水垂らして、街の人達の為に集めた商品なの! アンタ達が勝手に持って行っていいものじゃないのよ!」
「はっ! 闇派閥から守ってやったんだ。貰って当然の報酬だろうが!」
どうやら男達は崩れた店から商品を猫糞しようとしたみたいだ。随分と情けないと言うか……しかも、それを堂々とまぁ。
「守ってやったとかよく言えるわね! アンタ達はただ路地裏に隠れてただけじゃない!」
わぁお。それで報酬をくれはないな。
「馬鹿かテメェ! 俺らがここにいたから、奴らは不利を悟って逃げ出したんじゃねぇか。もしかして牽制って戦術知らねぇのか? お嬢ちゃん?」
男も随分挑発するなぁ。まぁ、確かに冒険者とは言え少女の集団に言い負けたら沽券に関わるか?
……いや、コソ泥してる時点でプライドもくそもないか。
さて……どうしたもんか。このままだとホントに抗争に突入しそうだな。
流石に現状派閥同士の抗争は避けて欲しい。そんなことになれば、更に俺達に負担がかかりそうだし。
「あ、【迅雷童子】……!」
野次馬の誰かが俺達に気付いて、一斉に無数の視線がこっちに向く。
もちろんアリーゼ達や猫人達もこっちに気付く。
「あら、おチビ童子くんじゃない」
「……【迅雷童子】」
「チビと童子は同じ意味だし、変な呼び名は止めてくれ」
とりあえず、不名誉な呼び方は最初に止めさせてもらう。
まぁ、厳密には童子の意味は違うんだろうけど、多分俺の二つ名に込められた意味は子供って意味合いが強いと思う。
俺はそんなことを考えながら、猫人に顔を向け、
「で、一応遠巻きに話は聞いてたが……報酬が欲しいなら、ギルドに言えば貰えると思うぞ。まぁ、街の修繕とかあるから、十分とはいかないだろうけど」
「っ……! 足りるわけねぇだろ! こちとらだって生きてかねぇといけねぇんだ! 神サマだって飢え死にさせるわけにいかねぇんだからよ!」
「だったらダンジョンに潜ればいいと思うが? 別にギルドから
「うるせぇな!! こんな状況でダンジョンなんかに潜れるかってんだ!」
そうか? 【ロキ・ファミリア】とか最大派閥が闇派閥の対応に追われてるから、魔石の仕入れ量が減ってて換金量が上がってるってヘファイストス様が言ってたし、むしろ今が稼ぎ時だと思うんだがなぁ。
それを知らないってことは、コイツらギルドに顔を出してないのか?
「それは残念だったな。とりあえず、闇派閥撃退の報酬はギルドに交渉することだ。だから、それは置いて行ってくれないか? まぁ、それが持ち主から好意で貰ったって言うなら、それでもいいけど。それが嘘だってバレたら、もう言い逃れ出来なくなるけどな」
「ぐっ……クソガキとクソ女が……!」
猫人とその仲間は視線で射殺さんとばかりに睨みつけてくるが、全く怖くない。
「おい、ジュラ。どうすんだよ……!」
「……ちぃ!! 覚えてやがれっ……!」
猫人達は盗もうとしてた食料や貨物を投げ捨て、捨て台詞を吐いて逃げるように走り去っていった。
……ホントにアニメみたいな小悪党だなぁ。ああいうのは意外としぶといんだよな~。
「はぁ……なんか【ネイコス・ファミリア】みたいな感じになりそうだなぁ……」
「そこは【アストレア・ファミリア】に引き受けて貰おうじゃないか」
野次馬も散り始めたところで、アリーゼ達が歩み寄ってくる。
「ごめんなさい! なんか最後任せる形になっちゃったわ!」
「別に構わない。あのまま戦闘になって怪我人が出た方が困るからな」
「そうね……負けることはなかったでしょうけど、あの手の輩は追い詰められたら何するか分からないものね」
「分からないじゃねぇよ、バカ団長。だからもう少し待てって言ったじゃねぇか」
「そうですよ。せめて包囲するなりしてからにしてくださいまし」
輝夜さんと小人族の少女がアリーゼに苦言を言い放つ。
「仕方ないじゃない。今にも持って行きそうだったんだもの。逃げられちゃ駄目だって身体が動いちゃったのよ」
「なんの言い訳にもなってねぇぞ?」
「全く……なんでこんな猪が団長なのか……」
「そりゃあ一番強くて可愛いからよん! フフン!!」
「「イラ☆」」
うん、まぁ、イラっとしたね。
これが彼女達の日常なんだろう。ストレスで倒れるなよ?
こっちも人のことはあんま言えんけどさ。
「フロル、終わったならそろそろ行くよ」
「腹減ってきちまったぜ」
「ああ、分かった。じゃあ、ここで」
「ええ。お疲れ様」
そう言って俺達はその場を後にする。
途中でドットムさんが追い付いてきて、しばらく闇派閥対応はお休みで構わないとシャクティさんから許可を捥ぎ取ってきてくれた。
やったぜ!!
フロル達を見送ったライラは小さくため息を吐く。
「ったく……少し見ねぇ間に随分とデッカくなりやがったもんだぜ」
「ああ……あれから我々も強くなったとは思うが……」
「ギルドから
「でも……大分疲れてたわね」
珍しくアリーゼが憂いを顔に浮かべて、フロルが去っていた方を見つめながら呟く。
「そりゃな。さっきまでドンパチやってたんだ。疲れもすんだろ」
「アリーゼが言いたいのはそうではない。精神面の話だ。そうだろう?」
「ええ……前に会った時とは全然表情が暗かった」
「……まぁ、どんだけ凄かろうが、アタシらよりもガキだからな」
「……」
ライラの言葉に輝夜は僅かに右手を握り締める。
そして、アリーゼは空を見上げ、
「あんな小さな子に戦ってもらわないといけないほど、オラリオは追い詰められてるってことよね」
「そうだな。そんで、あんなガキの代わりにも呼ばれねぇ程、アタシらは弱ぇってことだ」
容赦なく現実を突きつけるライラの言葉に、団員達は悔し気に、悲し気に顔を歪める。
「ま、向こうはガキ団長も含めてLv.2が3人。こっちは団員数は多いって言っても2、3人程度の差だし、全員まだLv.1だ。当然と言えば当然だがな」
「そうね……でも、このままでいいわけもないわね!」
暗くなった空気を吹き飛ばす様に、アリーゼは笑みを浮かべて胸を張る。
それにライラも不敵な笑みを浮かべ、
「そういうこった。結局やるべき事は変わんねぇ。強くなる。そんだけだ。そうすりゃあ、アイツらや他のファミリアの負担も減らせる」
「じゃ! 立ち止まってる場合じゃないわね! みんな、もう少し見回りしましょ!」
「「「おー!」」」
明るく振る舞うアリーゼに他の団員達と追随し、早速とばかりに歩き出す。
その後を苦笑したり、呆れながらも輝夜とライラが続き、今日も正義の眷属は、正義を探し求めるのであった。
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簡単キャラプロフィール!!
・クスノ・正重・村正
所属:【スセリ・ファミリア】(前【アマツマラ・ファミリア】)
種族:
職業:鍛冶師
到達階層:17階層
武器:斧剣、大刀、大太刀、斧、鎚、弓矢
所持金:89444ヴァリス
好きなもの:鍛冶、フロル、肉巻き握り
苦手なもの:おしゃべりな人、椿、小人族(うっかり蹴とばしそうだから)
嫌いなもの:武器を粗末に扱う人、チーズ
装備
《砕牙・伍式》
・斧と大剣を組み合わせた斧剣五代目
・自作 250000ヴァリス(ヘファイストス談)
・波紋鋼、少量の
・重量、硬度だけならばトップクラスで、非力とされるエルフと小人族ならばLv.4くらいにならないと持ち上げられないほど
《猛牙・村正》
・『鍛冶』アビリティを得た後に鍛造した大太刀
・自作 280000ヴァリス(ヘファイストス談)
・波紋鋼、少量の超硬金属、軽量金属を使用して鍛造した長さ2.7Mにもなる第三等級武器
・切れ味は高いが、その長さ故にダンジョン上層では中々に使いにくい
極東よりやって来た鍛冶師の獅子人。
名工村正一派の血筋だが、先々代の妾の子の為、一族の者としては認められず、捨てられそうになったところをアマツマラに拾われて育てられ、鍛冶を教わる極東版ベル・クラネルみたいな人。
年齢は18歳。
身長223Cと、地味にオッタルやウラノスよりも高い。
村正の妾の子、珍しい獅子人、その背と体格の大きさから、周囲から忌避されていたため、コミュ障まっしぐらとなってしまった。
アマツマラも口下手で寡黙な神であったため、会話術に関してはどうにも出来なかった。
周りに獅子人どころか獣人もほとんどおらず、村正を名乗ることを許されなかったため、種族にも村正にも誇りを持てなかった。
そのため、オラリオに着くまではそのどちらかであったり、両方ばかりに驚かれ、声をかけられ、求められるも、『正重』という個人を見てくれる人や神はほとんどいなかった。
一部は純粋に正重を心配し、認めて声をかけてくれた者もいたが、その周囲にいた者達はそうではなかったため信じることが出来ず、もはや人間不信になりかけていた。
そこに出会ったのが、自分よりも小さく幼いフロルだった。
自分より小さいのに強く、自分より小さいのに格上の冒険者や神にもたじろぐ事なく、自分より小さいのに過去にも負けずに前を向き進み続け、それでも驕ることなく謙虚で、優しい。
そんな少年を心から尊敬し、心から憧れた。
故に鍛冶師は想い焦がれた。
彼の力になりたいと、彼を強くする武器を造りたいと、彼を守る防具を造りたいと。
そうすれば……自分が獅子人で、村正であることを誇れるようになれると。
その覚悟の証明とも言える魔法とスキルを得た鍛冶師は、その覚悟を育ててくれた父に伝えたいと思い、ステイタス更新用紙と文、そして――今の全身全霊を籠めた一振りの刀を贈った。
その刀は今――極東の鍛冶神の私室の壁に飾られている。
今の悩みは材料費が半端なく小遣いがあっという間に無くなる事。
今の楽しみは見たことない鉱石やドロップアイテムで武器を打つ事。
ちなみに輝夜のような大和撫子系女子が好みで、ちょっと輝夜の事が気になっていたりするが、まだ彼は知らない――彼女の本性を。
サラッと因縁登場
奴らは闇派閥のはずなんですが、リューの回想でのアリーゼとの邂逅時は『ダンジョンに潜らないゴロツキ』扱い、アストレアレコードでは姿も出ないという悲しい扱いなので、この頃はまだ闇派閥に足先踏み込んだレベルの可能性が高いと愚行しております