【ライトニング・サムライ】~転生者はダンジョンで英雄になりたい~ 作:独身冒険者
とても遅くなり、申し訳ありません!!
アストレアレコード第三巻を読み、年末年始で公私でトラブルがあり、そして落ち着いた頃に本編18巻が発売間近だったので、内容から今後の構想が大きく変わる可能性があると思ったので待機
結果:『ヤベェ。なんかベルとヘディンさんのコンボが、完全にフロルの上位互換なんすけど……。しかもこのストーリーの完成度……【スセリ・ファミリア】の入り込む余地なくね?』
という感じで、ちょっと色々と考え込んでました。
ソードオラトリアも新刊出るので、ちょっとその内容によって構想の変更を余儀なくされる可能性があるので、時折更新が遅れるかもしれません
ヘディンさん。回復+雷属性付与なんて反則だよ
ベルさん。雷纏ってオッタルさんに勝って、アレンさんよりも速くなるなんて勘弁してよ
考えてたフロルさんの活躍場面、なんか薄くなるじゃん……(´;ω;`)
エーディルの素性は、やはりあっという間にオラリオ中に広まった。
と言っても、それでオロオロというか、騒いでいるのはエルフ達だけだけど。
神も一部騒いでいたけど、スセリ様の眷属だからか、すぐに大人しくなった。
でも、広まってるのはやっぱりハイエルフである事ばかり。まだ近づいてくるエルフはいないけど、エーディルが外に出るとエルフ達がジィ~~~~とエーディルを見つめて、声をかけるかどうか挙動不審な動きを見せている。
そのせいか、エーディルの機嫌がすこぶる悪い。
「余はハイエルフではなく、スヴァルディオの女王だと言っておろうに。これだから郷出のエルフ共は好かん」
と、八つ当たりとばかりにリリッシュや俺をチェスでボコボコにしていた。
いや、もうマジでチェス強いんだよ。
だってね。
カカッ……カカッ…カカッ………カカッカカッ…ガッ!
俺が駒を動かした直後にエーディルは即座に駒を動かし、酷い時には俺が駒に手を伸ばすのと同時にエーディルも駒に手を伸ばし、ほぼ同時に動かすんだよ……。
もちろん完敗記録更新中。勝てる気は全くしておりません。勝てる可能性が出るまで数十年かかる気がする。
「団長殿は真っ直ぐなのでな。非常に先手が読みやすい」
だってさ。
俺も自分が頭がいいとは思ってないからな。ぶっちゃけ指揮官には向いてないとは思う。
さて、今日はちょっと面倒事がある。
派閥会合の日です。
例の大規模襲撃以降、初めての集まりとなる。
まぁ、襲撃後にも集まったと言えば集まったのだが、ただの被害報告会だったし全員が出席したわけでもないので、カウントされていないようだ。ちなみに俺も行ってない。
「やれやれ……また集まるのか。面倒だなぁ」
「また闇派閥について何かあるってことかねぇ……」
「どうだろうな? まぁ……多分【テミス・ファミリア】の事な気がする」
「あ~……顔合わせって訳か」
「多分な。別に無理して集める必要はないと思うんだけど……」
わざわざ喧嘩の場を作らなくてもいいだろうに……。
フィンさんがこれを決めたのか? あの人なら【テミス・ファミリア】の情報もある程度集めているだろうし、少しの情報から探索系派閥とぶつかる可能性に気付かないわけがない。……なんかギルド長な気がする。
【テミス・ファミリア】の圧に負けたんじゃないか? これ。
多分歓楽街の
……行かなくてもいい?
いや、地味にギルドの召喚状での招集令だ。無視したら変にペナルティ出されるかもしれない。
はぁ……端っこで大人しくしてよ。
「会合は午後からか……。各派閥2人までってのも前と同じだな」
「ふむ……前は誰が行ったのかや?」
「俺だけだよ」
「今回はどうするのだ?」
「え? 今回も俺だけのつもりだけど?」
皆にはダンジョンに行ったり、鍛錬して貰いたいからな。
梓もとりあえず槍を選んだ。片刃の槍、前世で言う菊池槍のような槍だ。
と言ってもこれはあくまでエーディルに長柄の鍛錬をしているからだ。もう少し戦ってみて、色々な武器を試して最終的に武器を決める事になるだろう。
なので、そろそろ一度新人達を連れてダンジョンに行こうって話が出たところに……今回のギルドからの召喚状だ。
やってらんないよ、ギルド長め!
「せっかくだ。余も行かせてもらおう」
「へ?」
「他の派閥の代表がどんな者達か見ておきたいのでな。他人から話を聞かされるより、己で見聞した方が確実であろう。その方が今後なにか対策を考える際に為になる」
なんか不穏な感じだけど、まぁエーディルの過去が過去だから仕方がないか。
備えあれば憂いなしなのも確かだしな。
それにぶっちゃけ心強い。
元女王および元団長だもん。こういう会合は慣れてるよね。……よな!?
というわけで、2人で出席する事に。
……不安もないわけでもないけど。リヴェリアさんを始め、他の派閥に喧嘩を売らなければいいんだが……。
俺とエーディルは昼食後にギルド本部へ。
もちろん装備も忘れない。抗争になる可能性があるからな。
「それでだが……【テミス・ファミリア】とはどうするつもりなのだ?」
「どうするつもりと言われてもなぁ……。結局連中がオラリオで何をするつもりなのか分からないし」
「ある程度は予想出来ておろうに」
「そうは言ってもなぁ……ルール作りをして、それをギルドが認めたとしてだ。俺達や他の派閥がそれに従うかどうかは別問題だろ? そもそもオラリオの運営ならともかく、冒険者に関わる事は
「故に、先んじて眷属である冒険者を抑えようと言うわけだ。自分勝手な神々も、己が眷属が認めたら受け入れるやもしれんだろう?」
「……まぁ、その可能性もあるか。でも……どうだろうなぁ~? 問題の現二大派閥が受け入れるとは思えないんだよな」
【フレイヤ・ファミリア】は神フレイヤ次第だろうけど、【テミス・ファミリア】の提言には耳を貸さないと言うか……どうでもいいって言いそう。
【ロキ・ファミリア】はフィンさんだろうな。神ロキは……神アストレアを考えれば、神テミスとも相性悪い気がする。
でも、言えることは――どっちの女神も縛られるのは嫌うという事。
だから高確率で揉めると、俺は思ってる。
「ふむ……後は【ガネーシャ・ファミリア】がどう動くか、であるか」
「流石にシャクティさんもそろそろ限界なんじゃないか?」
ただでさえ冒険者、一般人、他国の人間、闇派閥など諸々の対応・警戒をしなきゃいけない状況なのに。
前回の大規模襲撃の後始末もまだ終わり切ってないはずだし。それに加えて、アーディ達や例の救出して迎え入れた人達のこともある。
ぶっちゃけ、そろそろドットムさんを返してくれって言われそうな気がしなくもない。
「では、我らはしばし様子見であるか」
「それが無難だな。今の俺達は【テミス・ファミリア】に構ってる暇はない。秩序作りよりも強くなる事が最優先だ」
ルールを作ったところで、闇派閥に負けたら意味はないんだ。まずは闇派閥に負けない実力を手に入れる。
もう誰も死なせないように。
それが絶望的な理想だとしても、な。
「はぁ……なんで中堅になったばかりの俺達が、こんなことを悩まないといけないんだか……」
「これまでの事を聞いた限り、色々と目をつけられて当然であろうよ。余が別の派閥であっても、間違いなくお主に興味を抱いておったぞ? もし、余がまだ女王で、お主が我が国に来ておったら、確実に一度は勧誘していたな」
「……」
「世界最年少記録然り、以前の会合での提案と発言、そして闇派閥一派の壊滅。そして、団員達もまた粒物揃い。注目せぬ方がおかしいな。主神も主神だしの」
グゥの音も出ません。
でも、その内の一つは君だからね!?
「エーディル、これから色々と団長の事、教えてくれないか?」
「ふむ……そう言われてものぅ。すまぬが、余の経験はあまりお主には役に立たんかもしれぬ」
「え? なんで?」
「確かに余はお主と同じファミリアの団長ではあったが、同じ団長ではないからだ」
……どういう意味だ?
「つまり、ファミリアの規模、志、歴も違う以上、団長としての役割も違ってしまうということだ。余の場合、女王と団長が兼任であったし、先代よりその座を継承することが決まっていたため、心構えも出来ていた。というより、余としては女王の業務の一つがファミリアの団長という意識であったしな。何より、すでにファミリアの基盤は固まっていた状態であった故、お主と比べたら楽なものだ」
「むぅ……」
「対してお主はファミリアの初代団長だ。ファミリアのこれからは全てお主が決めていかねばならん。余が出来るのは助言というよりは、お主の思考を整理させる手助け程度だよ」
そうは言ってもなぁ……。
「余に訊くくらいなら、まずは【勇者】の方が良いと思うぞ」
「フィンさんに?」
「確か【ロキ・ファミリア】は【勇者】が創設した派閥であったはずだ。以前、そう聞いたことがある。余や【フレイヤ・ファミリア】に訊ねるよりはお主の悩みを理解してくれるやもしれんぞ?」
「……う~ん」
「そもそもの話、お主はファミリアをこれからどうしたいのだ?」
「どうしたい?」
そんなの、強くなってダンジョンを攻略していくに決まってる。
「そうではなく、どんな者達を集めたいのかと言う話だ。これからお主やハルハ達、そして余らの活躍を聞いて入団を希望する者達は増えるだろう。その時、お主はどのような者を受け入れるつもりなのかという事だ」
「どのような……」
「正直な話、今回の余らに関しては同情故の入団であろう? となればハルハ達が基準となろうが……お主も含め、あ奴らは冒険者というより武人と呼ぶ方が相応しい。富や名声にそこまで興味はなさそうだったしな。そして巡り合わせが良いのかは知らぬが、余はもちろん梓や秀郷らもそこらに興味はない。しかし、そうなると……その手の欲を持つ者は、このファミリアに相応しいのか。少し、怪しいものよなぁ」
そこは……確かにちょっと思った事はある。
名を馳せたくないわけではないけど、正直それはあくまで強くなった上での話。
ダンジョン攻略もぶっちゃけ『強くなる手段』でしかなく、『目的』ではない。
強くなった先に何が得られるのか、何が見えるのか。それが知りたい、見たい。
そこが一番だ。
だから『ダンジョンを攻略したい』『モンスターを殺したい』『黒竜を倒したい』『金を稼ぎたい』というのはあまり合わないのではないかと思っている。
黒竜目的ならまだ話し合いの余地というか、目指し方に猶予があるとは思う。まだまだゼウスとヘラの敗北の衝撃の傷痕はまだまだ深いからな。
ギルドも少なくともゼウスとヘラと同等以上の実力を認めなければ遠征の許可は出さないだろう。だから、まだ俺達のペースに合わせて強くなることは出来るかもしれない。
ただ、黒竜を目的とする場合、その理由はほぼ確実に『復讐』だ。
つまり、アイズ・ヴァレンタインのような人かもしれない。その感情をどこまで制御できるのか……。
俺はアワラン達に仇への復讐を否定した。
恨み、憎むのは自分だと。
復讐すべきは自分だと。
乗り越えるべきは弱かった自分だと。
それを変えるつもりはない俺は、今後入ってくる人達全員に告げ、守ってもらうつもりでいる。
でないとアワラン達に示しがつかないからな。
だから、どんなにやる気と向上心、そして才能があっても、そこが受け入れてもらえないならば入団は認められないなぁ。
「そうなると……どう見定めたもんか……」
「梓やミュリネのように武術などの心得もない完全な素人をどうするかであろうな。正直、梓もミュリネも少々特殊な例である故、また次の新人も今回とは違うはずよな」
確かに梓は舞踊をしていたから体の動かし方はすでに身に付いてたし、ミュリネはスキルと性格が獣染みてるからな。
間違いなく、教え方も育て方も違ってくるはずだ。そこがスセリ様や俺達でちゃんと鍛えられるのか。まだまだ不安だな。
「余はまだまだ新参ではあるが……【スセリ・ファミリア】は大人数には向いてないように思うの。新興派閥というのもあるが、お主らの気質的にあまり大勢の上に立つのは好かぬであろう?」
「だろうな」
俺もやだわ。
百人とか面倒見たくない。オッタルみたいに他の人に、うちだったらエーディルに押し付けたくないし。でもフィンさんみたいに完全に指揮や指示を出せる気もしない。まぁ、エーディルやハルハと分ければいいんだろうけど、結局負担をかけたくないってのは大きい。
そもそも、うちの幹部陣は結構負担が大きい戦い方するし。変な縛りを付けたくない。
少数精鋭がうちには合ってると思う。
だからこそ、入団希望者の選別が面倒だ……。ハルハ達は鍛えるのはノリノリだけど、入団希望者の面接とかはあまり興味ないからなぁ。
俺かエーディルかって感じになりそうだ。
「はぁ……団長ってメンドクサイ」
「まぁ、入団者に関しては主神様に振ってもよいとは思うがな」
「どうせ俺がいたら呼ばれるし、俺に判断を求めてくるから大して変わらないな」
「ならば、すっぱり諦めて【勇者】に助言を求めるのだな。最大派閥の長であっても、今のお主ならまだ快く助言してくれるであろう。子供でもあるしな」
それもそれであんまり嬉しくない……。
まぁでも、贅沢は言ってられないか。
皆と生き残っていくためには利用できるものは利用しないとな。
面倒なのは全く変わらないけど。
そして遂にギルド本部に着いてしまった。
今日は静かに過ごさせてもらいたいなぁ……。
嫌な予感はもうしてるけど。っていうか、呼ばれた面子は前と同じなのか?
【イシュタル・ファミリア】とか相性最悪な気がするんだよな~。まぁ、他の派閥とも相性悪そうだけど。
前にも使った会議室に入ると、すでにチラホラと他派閥の人が来ていた。
【テミス・ファミリア】のジャンヌさんと……前俺を子供扱いした―子供だけど―神経質そうな男もいた。
神経質そうな男はジャンヌさんの護衛なのか、周囲を睨みつけるようにして他派閥を鋭く観察したり威嚇している。いや、喧嘩売るなよ。
俺とエーディルにも視線を向け、一瞬目を見開いたかと思うと苦々しく顔を顰める。
いや、なんでそんなに俺嫌われてんの?
俺達は今回は後ろ側の席に座って待つことに。
ちなみにエーディルの事は他派閥の人達もジロジロと視線を向けている。エーディルは慣れたもんだと完璧に無視しているが。
「エーディルが座ってくれ。多分各派閥椅子一つだろうから」
「うむ、すまぬな」
エーディルは椅子に腰かけて足を組む。ここで遠慮しないのがエーディルらしいな。
5分ほどすると、今回もシャクティさんがアリーゼとライラさんを連れてやってきた。
3人は俺達を見つけると歩み寄ってくる。
「やぁ、【迅雷童子】。やはり、彼女を連れて来たのか」
「まぁ、参謀としてって感じですね」
「そうか……まぁ、体つきも元に戻ってきたようで何よりだ」
「久しいな、シャクティ嬢」
「ああ。……言っておくが、ここで【九魔姫】に喧嘩を売らないようにしてくれ」
「承知しておるよ。今回はあくまで情報収集させてもらうつもりでな。余は発言する気はない」
「……なるほど」
シャクティさんはエーディルの言葉に納得したように頷いている。
どうやらエーディルの意図を正確に理解したようだ。
「へ~、あなたが噂になってるハイエルフね!」
「どのような噂なのか興味もないが、余をハイエルフと呼ぶのは止めてもらおう。余はハイエルフの血を継いでいるだけでエルフ族の王族ではないのでな」
「あらそうなの。分かったわ!」
相変わらず素直でございますね。
アリーゼが速攻で頷いたことに、シャクティさんは大きくため息を吐く。
「はぁ……本当にそちらで受け入れてくれて助かった。もし断られた時に素性が判明していたらと思うと、ゾッとする」
でしょうね。恐ろしい争奪戦が起こってたと思います。
うちでなくっても抗争が起こってたでしょうね。
スセリ様だからこそ、噂程度で済んでいると思うのは同意である。
「他の者達も壮健のようだな」
「ええ。まぁ、約一名は毎日ボロボロになってますが」
「……あぁ、彼女か」
「ええ、まぁ」
ミュリネさんは今日も元気ですよ。見込みはあるのでいいんですけど。
「ところで、今日の議題はあちらの事で?」
俺はジャンヌさん達に視線を向けて訊ねる。
シャクティさんは小さく頷き、眉間に皺を寄せる。
「一応、顔合わせと今後の巡回等に関わるすり合わせの予定だ。……何事もなければいいが」
「そりゃあ…無理な気がするがなぁ」
ライラさん、そりゃ言わんのは約束ですよ。
全員がそう思ってるんですから。
そんな不安を誰もが抱えながら、派閥会合がまた始まろうとしていた。