【ライトニング・サムライ】~転生者はダンジョンで英雄になりたい~   作:独身冒険者

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お待たせしました!

ダンメモでなんと『それは遥か彼方の静穏の夢』がフルボイスストーリー化!
まだやれてないですけど、タイトル画面ですでにウルウル


神々は和やかに

 あの荒れた会合から、あっという間に2か月と少し。

 

 俺達は宣言通り、これまで通りの巡回に参加するだけに留め、鍛錬とダンジョン探索に費やした。

 

 ちなみに新人達もあの会合の後にダンジョンに連れて行った。

 梓はその時は槍で行ったけど、基本サポーター役。突っ込むミュリネを俺やハルハ、ツァオがカバーしたり首根っこを掴んで操り、その隙を秀郷が弓矢で射貫く感じ。で、余った敵を梓が攻撃して穴を埋める。

 ここにディムルをパーティーリーダーとして指揮を任せ、俺達は基本ミュリネのフォローメイン。

 

 まぁ、とりあえず上手いこと回っている。

 ディムルも梓達に無理はさせないし、ミュリネのフォローをできる限り自分でやろうとしている。

 これまでは自分が梓達側だったからどうなるか不安だったけど、逆にその経験のおかげで相手がどう思っているのか想像できているようだ。まぁ、ミュリネという暴走獣がいるけど、それは俺達がフォローすればいいだけの話だ。いきなり全部完璧を求めるのは無理に決まってるからな。

 

 もちろん、梓達はまだまだダンジョンにもオラリオにも慣れていないので無理はさせない。

 一日ダンジョンに行ったら、翌日は本拠で鍛錬させ昨日の反省点を改善するか、スセリ様との鍛錬で戦闘技術を向上させる。

 

 その間に俺達は中層に行っている。ディムルも連れてな。

 もう少し慣れたら、梓達も連れて18階層までは行ってもいいかもしれないが、ミノタウロスがやはりネックになる。

 梓はまだミノタウロスの咆哮に耐えられないだろう。下手したらダンジョンにトラウマを持ちかねないから中々にタイミングが難しい。

 

 まぁ、焦らずだな。

 ディムルのような戦いの心得があった新人じゃないし、俺のようにスキルがあるわけじゃないからな。数年単位で考えていかないといけないってことをしっかりと理解しておかないと。

 

 で、今のステイタスはこんな感じ。

 

 

 

フロル・ベルム

Lv.3

 

力 :H 187

耐久:H 121

器用:H 153

敏捷:G 202

魔力:H 149

狩人:H

耐異常:I

 

  

クスノ・正重・村正

Lv.2

 

力 :G 263

耐久:G 204

器用:H 198

敏捷:H 111

魔力:H 109

鍛冶:I

 

 

ハルハ・ザール

Lv.2

 

力 :D 522

耐久:D 500

器用:D 508

敏捷:D 534

魔力:E 437

拳打:I

 

 

ディムル・オディナ

Lv.1

 

力 :C 614

耐久:D 532

器用:C 659

敏捷:C 602

魔力:D 571

 

 

アワラン・バタル 

Lv.2

 

力 :H 109

耐久:H 115

器用:I 52

敏捷:I 87

魔力:I 69

拳打:I

 

 

リリッシュ・ヘイズ

Lv.2

 

力 :I 22

耐久:I 20

器用:I 62

敏捷:I 49

魔力:I 97 

魔導:I

 

 

ヒジカタ・巴

Lv.2

 

力 :I 98

耐久:H 112

器用:I 64

敏捷:I 59

魔力:I 0

破砕:I

 

 

ツァオ・インレアン

Lv.2

 

力 :H 123

耐久:H 145

器用:H 102

敏捷:H 115

魔力:I 0

拳打:I

 

 

エーディル・デック・アールヴ・スヴァルディオ

Lv.2

 

力 :D 561

耐久:E 409

器用:D 548

敏捷:G 299

魔力:B 782

魔導:I

 

 

アサマ・コノハナノ・梓

Lv.1

 

力 :I 46

耐久:I 34

器用:I 57

敏捷:I 31

魔力:I 0

 

 

タチバナ・秀郷

Lv.1

 

力 :I 68

耐久:I 43

器用:I 76

敏捷:I 42

魔力:I 0

 

 

ミュリネ

Lv.1

 

力 :I 61

耐久:I 89

器用:I 21

敏捷:I 59

魔力:I 0

 

 

 

 まぁ、相変わらず俺の上昇値がおかしいけど、そこはもう誰もツッコまない。アワラン達と一緒にランクアップしたはずなのに、俺はもうアビリティGがある。……やっぱ俺のスキルって経験値上昇効果があるんだろうなぁ……。

 エーディルでさえも「ほぅ……」と言っただけで、特に深く追求してこなかった。ありがたいけど、なんかそれはそれで背中がむず痒い。

 

 でも、アワラン達だって結構伸びは良い。アワランは一時期無茶したのもあるが、それでも巴やリリッシュの成長も引けを取っていない。

 今は18階層前後で基礎から見直してるところだから、モンスターとの戦闘は最低限にしてるんだけど、それでも着実に成長してるから、また20階層より先に進めば一気にステイタスが伸びると思う。

 

 ステイタスは経験値の下積みが大事だって最近理解できた。

 下積み、つまり基礎をしっかりと鍛える事で、モンスターと戦って勝利した際の経験値の量と質も上がる。

 

 故に今も全員で朝に型の練習は続けている。

 場合によっては簡単に組手してからダンジョンにも赴いたり、ダンジョンから帰ってきてからも組手している。……これは前からか。

 でも、ここが大事なんだと思う。【フレイヤ・ファミリア】のように日夜命懸けで団員同士戦うのもステイタス的には成長するんだろうけど、なんか『経験』って意味では良質とは言えない気がするんだよな。

 

 まだ死に物狂いになる時じゃない。

 そう思ってる。

 

 そう言えば【テミス・ファミリア】だが、現在物凄く微妙な立場にいる。

 どういうことかと言うと、一部では滅茶苦茶評判が良く、一部では滅茶苦茶評判が悪い。

 

 評判がいいのは一般人やダイダロス通りの住人、そして孤児院などで、良く話題にされてるのは神テミスとジャンヌさんだ。

 

 ジャンヌさんは巡回の傍ら、積極的に炊き出しや慰問をしているそうだ。国から届く食料などの物資を配ったりもしており、住民と交流を深めている。噂ではオラリオで不足している物資を届ける様に祖国に手紙も送っているそうだ。

 神テミスもジャンヌさんと一緒に良くダイダロス通りや孤児院に赴き、孤児などに声をかけている。

 

 これに最近では【ガネーシャ・ファミリア】や【デメテル・ファミリア】【ミアハ・ファミリア】も参加するようになり、住民達に感謝されている。

 これは素直に俺も尊敬している。

 

 その一方で……ジィルを筆頭に一部の団員達がやらかしている。

 

 まぁ、この前の会合のようにあちこちで勝手に厳しい取り締まりを行っている。

 闇派閥に対してではなく、冒険者や一般住民に対してもかなり厳しくだ。

 

 その中で問題視されたのは、捕らえた犯罪者を【ガネーシャ・ファミリア】やギルドではなく、自分達で処罰している事。

 最初は引き渡していたそうだけど、軽い処罰で釈放されたりしている事が納得出来なかったらしい。最後には自分達の本拠に連れ込んで私刑を行ったそうだ。

 

 本来ならジィル達も逮捕されるべきだったのだが、運が良いことに連れ込んだ奴が闇派閥構成員だったため、厳重注意と罰金で見逃された。

 でも私刑を行った事実はあっという間に広まり、一部の人々からは怖がられるようになった。

 

 少し前までジィル達は謹慎していたそうだが、先日ダンジョンで見かけたので多分解けたんだろうな。

 ……国に送還されれば良かったのに。

 

 まぁ、ジャンヌさんに頭下げさせたんだ。もうしばらくは大人しくしてるだろう。噂じゃ副団長の座を降ろされたらしいし……大人しく出来なさそうだな、あのプライドじゃ。

 

 とりあえず、今のところ俺達に害がなければ無視だ無視。

 

 初志貫徹。

 生き残るために強くなることに集中しよう。

 

 そして、今日は――『神会(デナトゥス)』の日である。

 

 

 

 

 バベル30階。

 

 大広間には多くの神々が集っていた。

 

「いや~今回も盛り上がりそうですなぁ~」

 

「最近は神会が開かれるごとに面白い事が起こるよな」

 

「任命式が、だけどね」

 

「今回もスセリヒメのところに面白いのが来たよね~」

 

「黒のハイエルフはまさかまさかだろ。そんなのが奴隷でいたとかどんだけー!!」

 

「テミスのところも面白いことになってるわよ?」

 

「ジャンヌちゃんだろ? あの子は良いよな、あの子は」

 

「そうだな。あの子は良い、あの子は」

 

 あちこちで騒ぐ神々を尻目に、スセリヒメはヘファイストスやミアハと共に入室して、空いている席に迷わず座る。

 そして30分ほどでロキやフレイヤ、そしてテミスなどもやってきて、神会が始まった。

 

 今回の司会はミアハだった。

 

 最初の主題はもちろん闇派閥の動向について。

 その後はオラリオの現状と冒険者のダンジョン攻略状況、そして【テミス・ファミリア】についてが議題に上がる。

 

 ジィル達の行いについてはすでにギルドの裁定が下っているので、今回の神会では特にツッコまれることはなかったが、明らかに小馬鹿にした視線や嘲笑がテミスに向けられるも、それをテミスは目を閉じて無視していたが。

 

 ここでスセリが口を開いた。

 

「まぁ、やりすぎた面も確かにあるが、テミスの子は慈善活動にも精力的に行っておる。噂では遠い祖国に物資や食料を送るように要請しておるそうではないか。オラリオの為にそこまで動いておる事実を無視して、やらかした事ばかりを話題にするのはどうかのぅ」

 

「ふむ……そうであるな。すまぬな、テミス。お前には薬の素材の提供など色々と融通してもらったにも拘らず、貶めるような真似をしてしまった」

 

 スセリの言葉に頷き、テミスに頭を下げる。

 テミスはその言葉に目を開き、

 

「……構わぬよ、ミアハ。我が子が愚かな罪を犯したのは事実。罪を為した以上は裁かれ、周囲の誹りを受けるのも致し方なき事。我が子の罪は私の罪も同じ。逃げも隠れもしない」

 

 堂々と宣ったテミスに、スセリは小さく頷き、ミアハやデメテルは笑みを浮かべる。

 

「へーへー、茶番はええっちゅうねん」

 

 ロキが頭の後ろで手を組んでうんざりした顔で椅子にもたれ掛かる。

 ロキの言う通り、先程のやり取りは少しでもテミスを護ろうとスセリやミアハ達が計画した正に茶番であった。

 

「ふむ? 茶番とは言いがかりじゃのぅ。妾はただ事実を述べただけではないか」

 

「別にテミスのところをどうこうする気なんざ誰もないっちゅうに。っちゅうか、自分のところの小僧達が一番テミスのとこの子と関わり避けとるやないか」

 

「正確にはやらかした奴との関わりじゃな。別にあの娘の事は避けとらん。だがまぁ、互いに気が引けておるようじゃがな」

 

 ロキのツッコミをスセリは肩を竦めて軽やかに躱す。

 ロキはそれに小さく舌打ちして、テミスに視線を戻す。

 

「ともかく、これ以上あんまやんちゃさせんなや。うちのフィンでも庇いきれんこともあんで」

 

「承知している。其方の【勇者】には私はもちろん、我が乙女も感謝している」

 

「ふん……」

 

「では、みな議題は出尽くしただろうか?」

 

 ミアハの問いに神々が頷く。

 

「それでは、器を昇華させた子供達の任命式へと移ろう。皆、手元に資料はあるだろうか?」

 

「よっしゃ! 来た来たぁ!」

 

「今回結構多いな」

 

「この前の襲撃事件で経験値貯めこんだ奴が多かったんだろ」

 

「新参のテミスのとこも含まれてるのもあるわよ」

 

「ああ、スセリヒメの黒エルフもとかもそうだな」

 

 ギルドが急ピッチで仕上げた紙束の資料を見ながら、意見を交わす神々。

 

 テミスも真剣な表情で配られた資料に目を通しており、改めて己が派閥の立ち位置の理解に努めていた。

 

「では、上から順番に行こう」

 

 そして、いつも通り自派閥より弱小の派閥の眷属に対して、好き勝手に盛り上がってイタイ二つ名をドンドンと量産していく。

 

 あまりにも一方的に悲鳴が量産されていく状況に他人事ではないテミスは顔を顰める。

 どう考えても、今回やらかした自分の眷属達が標的にされるのは容易に想像できる。先ほど言ったように、そうされても仕方ない状況ではあるが、やはり親愛なる子供達に知らぬとはいえ、神々から馬鹿にされる称号を付けられるのは嫌なのは当然の感情である。

 

 崩れ落ちる神達を見たら猶更。

 

「では次は……テミスの子供達であるな」

 

「お! 来た来た来た来たぁ!!」

 

「最初は……まぁ、ジャンヌちゃんだよな」

 

「ジャンヌちゃんはなぁ……流石に虐められん」

 

「それな。いい子過ぎて汚したくない」

 

「変なの付けても笑えないわよね」

 

「あの子の笑顔が頭に浮かぶの……」

 

 ジャンヌと会ったことがある神々が罪悪感に襲われて、勢いを失う。

 そこにヘファイストスが口を開く。 

 

「いくらやらかしたとは言え、派閥の団長に変な称号はどうかしら? 特にこの子は精力的に慈善活動を行っているし、感謝している住民も多いわ」

 

「っちゅうてもなぁ……テミスんとこはオラリオでランクアップしたわけちゃうから、印象があんまないで」

 

「ふむ……それもそうじゃな。テミス、この娘はどのような偉業にてランクアップを果たしたのかの?」

 

「……ジャンヌを語るならば団員達はもちろん、ラムニシアの者達でも必ず挙がるのは『オルレアンの戦』だ」

 

「オルレアン?」

 

「ラムニシアの都市の1つだ。そこは数年前に他国との戦争に巻き込まれて包囲されてしまい絶望的な状況だったが、その時に旗頭となり、味方を鼓舞して包囲を見事突破してみせたのが、当時まだ下位の団員だったジャンヌだ。彼女はその戦いの中で魔法とスキルを発現し、生き抜いた果てにランクアップを果たした」

 

「へぇ……」 

 

「それ故にジャンヌはラムニシアでは【オルレアンの乙女】と呼ばれている」

 

「なるほどねぇ……つまり、彼女が団長になったのは正真正銘『旗頭』の役割と言う事かい?」

 

「うむ。実力で選ばれたわけではない。あの子の誠実さとそれ故の愚直さ、そして人を惹きつけ、力と成す人格から私が任命した。まぁ、Lv.2だから実力はラムニシアでも上位には入るが」

 

 ヘルメスの言葉に、テミスは偽ることなく話す。

 

「じゃあ、それに因んだ方がいいか?」

 

「まぁ、またランクアップしたら改めて考えてもいいしね」

 

「ふむ……」

 

 

 いくつかの候補が挙げられた末、ジャンヌに与えられた称号は――【御旗の聖女(デア・オルレアン)】。

 

 

 その後、ジィル達も称号が与えられ、いよいよ本日のメインイベントとなった。

 

「では次の子だな。次は……スセリヒメの子、エーディルであるな」

 

「来た来たぁ! 黒ハイエルフ!」

 

「え、スヴァルディオってヘルダイムの国だったのか」

 

「アイツ、送還されたんだろ? アレスの奴にだっけか?」

 

「らしいな。でも、まさか黒のハイエルフが奴隷になってたなんてなー」

 

「忠告しておくが、本人にはあまりハイエルフと口にするでないぞ。あ奴はスヴァルディオの女王であったことに誇りを持っておるが、ハイエルフである事にはあまり良い感情を持ち合わせておらん」

 

「まぁ、リヴェリアもあんま王族扱いされたない言うてるしな~」

 

「うむ。エーディルは古代において同胞を見捨てて霊峰を出奔した一族の末裔であり、妖精の王族としての責務を放棄したと考えておるのじゃろうな。ハイエルフである事はごく一部の者しか知らされぬようになっておったらしいしの。それに生を受けた時からスヴァルディオの王族として生きて来たのであれば、ハイエルフの血筋であることなど、あまり意味はなかったのであろうよ」

 

「あ~……まぁ、エルフの王族じゃなくても国の王族だもんな。確かにあんまり差はないか」

 

「でも、魔法は流石ハイエルフって感じよね。死んだ配下を騎士として召喚とか、一人で戦力差をひっくり返せるじゃない」

 

「数十人規模だけど、オラリオであれば脅威だよな。アレスとの戦争じゃあ流石に焼け石に水だったようだが」

 

「こりゃあ【九魔姫】も焦ってるんじゃないのか?」

 

「どやろなぁ。まぁ、なんか悩んでるみたいな感じやったし、なんや思うところはあるみたいやけど……」

 

「エーディルが魔法を見せた時に、色々と厳しめな言葉をかけたようじゃからな。互いに王族と言うところに思うことがあるんじゃろうて」

 

「ふぅん……でも、そんな子がなんで【スセリ・ファミリア】に?」

 

「我が子らが摘発した奴隷商に捕まっておった奴隷の中におったんじゃよ。他にも数人、我が派閥に入団しておるでな」

 

「ああ、あのアマゾネスやエルフの子?」

 

「うむ、本人的にはフロルの魔法に興味が惹かれたようじゃがな」

 

「ホント、もう【スセリ・ファミリア】の戦力がよく分からなくなってきたなぁ。人数と戦力がかみ合ってねぇもんなぁ」

 

 その後も色々と盛り上がり、脱線に脱線を重ね中々本題に戻れなかったが、フレイヤの「そろそろ決めないかしら?」の一言で、今度は数分でエーディルの二つ名が決まるのだった。

 

 そして、中々に長引いた神会が終わり、神々は各々大広間を後にしていく。

 

 スセリもヘファイストスやミアハと共に部屋を出ようとすると、

 

「スセリヒメ」

 

 テミスが声をかけてきた。

 

「先ほどは私を庇ってくれて感謝する。我が子らが貴女の愛し子に無礼を働いたというのに」

 

「その愛し子が気にしておらんからのぅ。一応、神会に赴く時に訊ねてみたが、先ほども言った通りお主やあの娘には特に悪感情は抱いておらんかったでな」

 

「そうか……貴女の愛し子は噂通り年齢通りに考えない方が良さそうだ」

 

「でなければ妾が見初めるわけがなかろう」

 

「確かに」

 

 テミスはスセリの言葉に苦笑しながら小さく頷いた。

 

「それにしても、お主にしてはあまり眷属の手綱は握っておらぬようじゃな」

 

「……そうだな。あまり私がファミリアの事に口を出し過ぎれば、ジャンヌが困るのだ。あの子はまだまだ団長を引き継いで間もない。人望は間違いなくあるが、団員からは庇護……箱入り娘のような扱いをされることも少なくない。本人もそこを悩んでいるのだ」

 

「ふむ……それもまた一つの団長の在り方ではないかと思わぬでもないが、あの娘はそれでは納得出来ぬか」

 

「ああ、だから小さきながらも団長として認められている貴女の愛し子が気にかかるようだ」

 

「む~……我が愛し子は初代団長であるでなぁ。お主の娘の悩みには答えられるかは何とも言えぬの。エーディルの方が適任やもしれんが……あ奴はなんの縁もない相手に教える性格はしておらんじゃろうな~」

 

「そうか……」

 

「まだヘファイストスやガネーシャの方が答えられるのではないか?」

 

「そうかもしれないが……ヘファイストスにもガネーシャにも我が眷属が迷惑をかけたばかりだからな。まだ信頼関係が築けていないだろう」

 

「うちの子達は別に気にしないと思うけど……探索系と鍛治系じゃ団長の感覚が違うと思うし、今のうちの団長は口下手なのよねぇ。腕は良いんだけど」

 

「ガネーシャも中々に口下手であるしな」

 

 『俺がガネーシャだ!』が口下手に入るのかと言うツッコミはない。

 

「まぁ、まだお主らは来たばかりじゃて。今は交流を増やすところからじゃろうな」

 

「……そうだな。しかし、それもまた私では口を出しにくいところだ」

 

 溜息を吐くテミスに、ヘファイストスは首を傾げて素直に疑問を口にした。

 

「……さっきから思っていたんだけど、テミス。あなた、随分と丸くなったわね。天界にいた頃は遠慮するような性格じゃなかったじゃない」

 

 遠慮なくハンマーでブッ叩いてきたヘファイストスに、テミスは苦笑して腕を組む。

 

「なに、単純な事だ。変わらざるを得なかっただけだ」

 

「というと?」

 

「天界は良くも悪くも変わらない。死にはするがいずれは同じ姿で生まれ変わるし、歳も取らない。司る事柄故に性格や生き様もあまり変わらない。……故に、馬鹿なことをする者もある程度決まっており、一度決めた掟を変える必要がなかった」

 

「そうじゃな。……じゃが、下界は違った」

 

「ああ……百年もすれば、子供達の顔触れが変わり、生活様式が変わり、考え方が変わり、価値観が変わり――求められる『掟と法』()()()()が変わる。私が意地を張ったところで、意味を為さない掟は子供達にとって害悪でしかない。それを嫌と言うほど幾度となく味わえば、嫌でも変わろうというものだ」

 

「なるほどね……流石のあなたでも、子供達の変化には抗えなかったのね」

 

「私が司る事柄は他者を排斥するものではなく、律して護るもの。護るべきものがその在りようを変えるならば、我が事柄もまた、その在り方は変わる。それだけのことだ」

 

「くくくっ! あの頑固者も、子供達の可愛さの前には脆くなるか」

 

 スセリは心底愉快とばかりに笑い、ミアハは微笑ましそうに笑みを浮かべて頷く。

 テミスは頬を少し赤くして、小さく咳払いをする。

 

「こほんっ……と言う事で、叶うならばジャンヌをスセリヒメの愛し子と会わせ、話でもしてみたかったが……今は時期尚早だろう。その時が早く訪れることを、願っている」

 

「うむ、妾もじゃ」

 

 眷属達を尻目に、神々同士では和やかな交流が行われるのであった。

 

 

 

 

 そして神会後のギルド本部では、恒例の二つ名の貼り出しが行われていた。

 

 今回の目玉はやはりエーディルと【テミス・ファミリア】の面々であった。

 

 

 本部ロビーは人で埋め尽くされており、そのほとんどがエルフ族である事からもエーディルの存在がどれだけ異質なのかが証明されていた。

 

「……これがあの方の……」

 

「リヴェリア様に並びうる……ハイエルフ様の称号」

 

「くそっ……! 何故【スセリ・ファミリア】などに……!」

 

「やめろ。あの方をお救いしたのは彼らだ。何も出来なかった我らの元に来る方がおかしい」

 

 様々な感情が渦巻きながら、多くの人々がその名を目に刻む。

 

 

 【スセリ・ファミリア】

 

 エーディル・デック・アールヴ・スヴァルディオ――【黒魔妃(スヴァルト・ヘル)

 

 

 【テミス・ファミリア】

 

 ジャンヌ・ダール――【御旗の聖女(デア・オルレアン)

 

 ライル・エティエヌ―【旗傍の憤剣(エペ・コレール)

 

 ジィル・ドルェイ――【正秩の狂犬(ファナティック・シアン)

 

 ジャド・ザントライ――【旗傍の誠剣(エペ・オネット)

 

 

 




というわけで、ジィルは降格です笑

そして、エーディルとジャンヌ達の二つ名も決定
エーディルはもしかしたら今後変更あるかもです

さぁ、今月もソードオラトリア新刊発売ダァ(白目)
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