【ライトニング・サムライ】~転生者はダンジョンで英雄になりたい~   作:独身冒険者

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テルリアさんのステイタス表記はありませんゴメンナサイ


転生した男は順調に進む……はずだった

 テルリアさんとパーティーを組んで、早2週間。

 

 テルリアさんは正真正銘【ミアハ・ファミリア】の一員だった。

 パーティーを組んで3日くらいした時に、ミアハ様が直々にうちの本拠まで来て挨拶してきたからね。

 本当に律儀な神様だよ。

 

 弊害がないわけでもないが……。

 あの優しい神様にとって、俺が冒険者をするのは超心配なのだろう。

 めっちゃ声をかけてくるし、時々バベルや本拠の前でわざわざ俺の帰りを待ち構えている時がある。

 

「フロル。怪我はしてないか?」

 

「フロル。ご飯はちゃんと食べているか?」

 

「フロル。無理をしてはいないか?」

 

「フロル。あまり根詰めるでないぞ」

 

「フロル。お菓子をやろう」

 

「フロル。これをやろう。怪我をしたらすぐに使うのだぞ」

 

 って感じで、1日1回挨拶をしています。

 ありがたいけど、あなた……自分の眷属はいいのですかってツッコミたい。

 一応、俺と一緒にいるテルリアさんにもちゃんと声をかけてるけどさ。

 

 ちなみにこの前、スセリ様がちょっとキレた。

 

 

「いい加減にせんかあああ!! 妾のフロルに構いすぎじゃ、ドアホおおおお!!」

 

 

「ぬ、スマヌ。幼子故にどうにも気になってしまう」

 

 嫉妬深いスセリ様とは意外と相性が悪いようですハイ。

 

 おかげで最近、スセリ様が俺を抱き枕扱いし始めた。

 

 さて、テルリアさんだが、サポーターになった理由はステイタスの伸びが悪いだけではなかった。

 エルフの代名詞である魔法だが、テルリアさんはその魔法が問題だった。

 

 攻撃魔法がないのだ。

 それどころか防御魔法もなく、回復魔法も無い。

 

 覚えている魔法は唯一つ。

 

 『付与魔法』だけだった。

 しかも、その付与魔法がまた厄介で、自身には使えず、他者にしか使えないのだ。

 更に更に、それは使うと身体にそこそこ負担がかかるという代物だった。故に滅多に使えない。

 

 テルリアさんの主要武器は弓で、サブは短剣。

 まぁ、攻撃魔法が使えなくて、自身に付与魔法をかけられなくて、ステイタスが伸びにくいならばそうなるよなって感じだ。

 これじゃあ、ランクアップも難しいだろうな。

 

 仕方ないとはいえ……少々やるせないな。

 

 そして、申し訳ない気持ちで一杯です……。

 

 

 

フロル・ベルム

Lv.1

 

力 :G 281 → F 352

耐久:G 262 → F 311

器用:G 275 → F 324

敏捷:F 388 → E 461

魔力:I 0

 

《魔法》 

【】

【】

 

《スキル》

【輪廻巡礼】

・アビリティ上限を一段階上げる。

(・経験値高補正)

 

 

 めっちゃ伸びてんすよ。

 おかげで現在7階層まで進んでます。

 

 7階層からは『キラーアント』というヒューマンと同程度の体格を持つ蟻のモンスターが出現する。

 これが厄介で基本的に群れで活動し、瀕死になるとフェロモンを出して仲間を集めるのだ。

 

 7階層で躓き、リタイヤする冒険者は非常に多いと言われている。

 

 一応問題なく倒せているが、やはりテルリアさんのこともあるので少々厄介ではある。

 

 それでも稼ぎが増えたのは間違いないので、文句を言うのはお門違いだろう。

 辛いなら上の階に戻ればいいだけなのだから。

 

 それにテルリアさんのおかげでもう1つ問題が解決した。

 

 予備の武器を持ち歩けるようになったのだ。

 

 テルリアさんには十字槍と太刀を背負ってもらっている。

 

 おかげで気持ち的に余裕が出来たのは事実だ。

 しかも【ミアハ・ファミリア】だから、テルリアさんにはポーションもしっかりと配給されているらしい。

 

 これでダンジョン探索も進むなぁ。

 

 

 ……と、思ってたんだけど……。

 

 

…………

………

……

 

 探索から引き上げて、4階層へと差し掛かった時、

 

「お? 見ぃ~っけ」

 

「!!」

 

 ゾクリと背筋に怖気が走り、反射的に腰の脇差を抜く。

 

 テルリアさんも短剣に手を伸ばしており、顔を真っ青にしている。

 

 暗がりから現れたのは、坊主頭に革のベストを着たガタイの良い男、その後ろに灰色のローブを纏った数人の集団が控えていた。

 

 坊主頭の男はニヤニヤと俺達を見ながら、右手で顎を擦る。

 

「ガキにぃ、エルフの女かぁ。こりゃあ売れそうだぜぇ」

 

「……」

 

「だ、誰ですか? ど、どこのファミリアの人ですか?」

 

「俺かぁ? 俺はなぁ……どこだと思う?」

 

 坊主頭の男はニヤニヤしたまますっ呆ける。

 

 テルリアさんはそれに更に口を開こうとしたが、俺が左手を上げて止める。

 

闇派閥(イヴィルス)の連中に話を振るだけ無駄です」

 

「っ!? イ、闇派閥……!?」

 

「お~! よぉく分かったなぁ、坊主ぅ。伊達にその歳で冒険者になってねぇなぁ」

 

 小馬鹿にしたように俺を褒める坊主頭の男。

 

 ……参ったな。逃げ道は完全に封じられてる。

 下の階層に逃げても、すぐに追いつかれる気がする。

 

 あの坊主頭の男、別格だ。

 多分Lv.3か4はある。

 

 くそっ……! 闇派閥はどちらかというと都市部の方で暴れてるイメージだったのに……!

 いや……気づかれてなかっただけか? でも、どうやって闇派閥がダンジョンの中に? 

 

 中で着替えただけ? でも、ここで俺達を捕まえてもダンジョンの外にどうやって出る気だ?

 もし、脱出する手段があるとするなら、それってギルドとか上位派閥のファミリアに協力者がいるってことになる?

 

 って、今はそれどころじゃない。

 

 どうにかしてテルリアさんだけでも逃がして、援軍を呼んできてもらいたい。

 

 やるしかないか……。

 

「テルリアさん。魔法をお願いします」

 

「フロルさん……!?」

 

「魔法を発動したら、俺の武器を置いて逃げてください」

 

「でも……!」

 

「迷ってる暇はありません。他の冒険者を呼んできてください!」

 

「っ!! ……【――天の怒りは此処に在る】」

 

 テルリアさんは涙を目尻に浮かべながら、歌を紡ぎ出す。

 

 それにローブを着た連中が懐から短剣を取り出して前に出てくるが、俺は素早く前に出て牽制する。

 坊主頭の男は高みの見物とばかりに笑みを浮かべたまま動かない。

 

 テルリアさんの足元に蒼紫色に輝く魔法陣が展開される。

 

「【空を裂け。大気を焼け。地を貫け。憤怒を纏いて、裁きの雷と化せ。トールの鉄槌を此処に】!!」

 

 その魔法陣が強く輝いた瞬間、俺の真上に同じ魔法陣が出現する。

 

「【ミョルニル・アルマトスィア】!!」

 

 魔法を唱えた瞬間、俺の真上の魔法陣から雷が落ち、俺に直撃する。

 

「な、仲間を!?」

 

「……いや、違う。付与魔法だ!!」

 

「なっ!?」

 

「ほぉ~」

 

 俺は全身に雷を纏い、髪が逆立つ。

 【ミョルニル・アルマトスィア】の効果時間は10分。

 

 まずは……坊主頭以外を倒す!!

 

「オオオ!!」

 

 俺は全力で地面を蹴り、闇派閥達に向かって飛び出す。

 

 バヂン!と弾ける音が響いた瞬間、俺は一瞬で闇派閥達の目の前にいた。

 

「「「はぁ!?」」」

 

「ツィ!!」

 

 俺は高速で両腕を振る。

 

 直後、一番近くにいた男の両肘から先が斬り飛ばされる。

 

「はっ!? い、ぎゃああああああああぶべっ!?」

 

 悲鳴を上げた男の両肘の断面から煙が上がり、肉が焼けたような臭いが広がる。

 

 俺は悲鳴を上げた男の顔に蹴りを叩き込み、男は大きく仰け反って坊主頭の足元まで吹き飛ぶ。

 

 その隙にテルリアさんはバックパックから俺の太刀と槍を抜いて、地面に放り投げる。

 太刀はちゃんと鞘から抜いてくれている。ありがたい!

 

 そして、下層に向けて走り出す。逃げ切ってくれよ!

 

 俺は次の標的を定め、雷を弾けさせて残像を生み出しながら高速移動する。

 

「ひっ!?」

 

「かぁっ!!」

 

「あああああああ!?」

 

 次は両脚を斬り飛ばした。

 悲鳴的に女性のようだが、殺しに来た相手を気にかける余裕はない。

 

 俺はすぐ近くの男に攻めかかる――フリをして、坊主頭に向かって左手の脇差を投擲する。

 

「おぉい!?」

 

 坊主頭は慌てて屈み、()()()()()()()()

 

 くそっ!! 完璧に不意を突いたと思ったのに……!

 あれを躱すかよ!?

 

 俺は盛大に顔を顰めるも、続けて右手の脇差を投擲した。

 

「んにゃろぉ!!」

 

 しかし、坊主頭は足元に倒れていた仲間を掴んで持ち上げて盾にした。

 

 完璧に見えてるか!

 

 俺は八つ当たり気味に目の前の男の鳩尾に右ストレートを叩き込み、続けて右飛び膝蹴りを突き刺す。

 

「ごっ! お゛っ! があああああああ!?」

 

 男はくの字に身体を曲げ、更に感電してそのままの姿勢で硬直して崩れ落ちる。

 

 俺は後ろに下がって、十字槍を拾う。

 

 両腕で抱えて、最後のローブの男にミサイルが如く全速力で突貫する。

 

「ひっ、ぐああああああああ!?」

 

 男は避けることも出来ず、十字槍が脇腹に突き刺さって、更に感電して傷はもちろん内臓を焼く。

 

「ぬぅうううう!!」

 

 俺は十字槍を全力で横に薙ぎ、突き刺したままの男を振り投げる。

 

「がぁ?!」

 

 男は背中から壁に叩きつけられて、そのまま崩れ落ちる。

 

 これで取り巻きは片付けた。

 

 残りは坊主頭だ――!!

 

「ひゃっははぁ!!」

 

「!?」

 

 坊主頭が狂気的な笑みを浮かべて、紫色の不気味な長剣で斬りかかってきていた。

 

 速いっ!?

 

 俺は何とか槍で剣撃を防ぐ。

 しかし、あまりの力に堪え切れずに後ろに吹き飛ばされる。

 

「ぐっ――!!」

 

「ははぁ~……軽ぃなぁ、坊主ぅ」

 

「ちぃ!!」

 

 俺は十字槍の石突を地面に刺してブレーキをかけ、着地と同時に飛び掛かる。

 

「しぃ!!」

 

「甘ぇなぁ!!」

 

 鋭く突き出すも軽く弾かれる。

 俺はその勢いに逆らわず、石突を奴の側頭部目掛けて振るう。

 

 それも軽く頭を下げて躱される。

 すかさず俺は右脚を振り抜いて足払いを繰り出すが、それも後ろに跳んで躱された。

 

 俺は十字槍を回して、横薙ぎに振るう。

 

「ちょぉっとうっとぉしぃなぁ!!」

 

 坊主頭が力強く長剣を振り抜いて、十字槍の柄に叩きつける。

 

「っ!?」

 

 余りの衝撃に俺は手を離してしまい、十字槍が手から飛んで行く。

 

「ひゃあ!!」

 

「!!」

 

 坊主頭の長剣が迫り、俺は身体を全力で仰け反らせて斬撃を躱す。

 

 長剣が真上を通り過ぎた瞬間、身体を全力で捻って左後ろ回し蹴りを長剣を握る腕を狙って振り上げる。

 

 だが、奴も剣を振った勢いそのままに回転して、後ろ回し蹴りを放ってきた。

 

「がっ!?」

 

 左脇腹に奴の足が叩き込まれて、俺はまた吹き飛ばされる。

 

 地面を数回バウンドし、思い切り地面を突き飛ばすように両腕で押して跳び上がる。

 

「はっはぁ!! 面白れぇなぁ、坊主ぅ!! 弱ぇくせに戦い慣れてやがるぅ。しかも、人相手の戦い方をよぉ!」

 

 俺はそれに何も答えず、太刀を拾いに行く。

 だが、坊主頭も俺の狙いに気づいて、俺を追いかけてくる。

 

 微妙に向こうの方が速い……!!

 

 ……いや、違う!!

 

「ははぁ!! 遅くなってきてんなぁ、坊主ぅ!!」

 

 制限時間が近いからか……!

 

 駄目だ! 拾う前に追いつかれる!!

 

「ひゃはぁ!!」

 

 坊主頭が鋭く長剣を突き出してきた。

 俺はヘッドスライディングするように飛び込んで躱そうとするも、背中に掠って鋭い痛みが走る。

 

「っ! ずぅあっ!!」

 

 俺は歯を食いしばって全身に力を籠め、両腕だけで身体を後ろに押し飛ばして、両脚を突き出して跳び蹴りを放つ。

 

 坊主頭は目を丸くしたが、左腕で俺の蹴りを受け止めて、素早く俺の足を左手で掴む。

 

 ヤバイ!

 

 俺は海老反りに体を起こして、右裏拳を繰り出そうとするが、その前に振り回されて壁に叩きつけられる。

 

「がぁ……!」

 

「いっ!? つぅ~! 痺れるなぁ」

 

 坊主頭は俺の雷に感電し、手を離す。

 俺は何とか身体を動かして、坊主頭から距離を取る。だが、太刀とは反対側だったため、無手のままだ。

 

 十字槍や脇差を取りに行く時間はくれないだろうな……。

 

 それに……そろそろ時間切れか。

 

「他人からの付与魔法ってよぉ……そぉんなに長いもんじゃないよなぁ。そぉろそろじゃねぇかぁ? タイムリミットォ」

 

 坊主頭はニヤニヤしながら、見事にいい当ててくる。

 

「そんでぇ、そういうタイプの付与魔法はよぉ、大抵軽くねぇ反動があんだよなぁ。例えばよぉ、()()()()()()()()()とかだなぁ」

 

「っ……!」

 

 完全に見抜かれてるか……。

 

 そう、【ミョルニル・アルマトスィア】は解除された瞬間、全身がマヒしたように痺れる副作用がある。

 まぁ、身体に電気を流して無理矢理身体能力を強化してるんだ。当然と言えば当然だ。

 

 この反動は解除が早ければ早いほど、反動は小さくなる。

 魔法の解除はかけられた本人が決めることが出来るのだが、必ず反動はあるので使い辛いのは間違いない。

 

 駄目だな。ステイタスだけじゃない。経験でも大きな差がある。

 

 今の俺じゃあ……敵わない……!

 

「ひゃっはぁ!!」

 

 坊主頭が再び俺に攻めかかる。

 俺は斬撃を紙一重で躱すが、時折織り交ぜられる拳や蹴りは躱せなかった。

 

 あっという間にボロボロになっていく俺。

 口端から、鼻から血を流し、それでも必死に食らいつこうと藻掻く。

 

 完全に弄ばれてる……!

 

「ぶっ!?」

 

 俺は左フックを頬に喰らって、横に吹き飛ぶ。

 

 地面を数回転がり、起き上がろうとしたところで、遂に魔法が解除された。

 

「!? っ――――――!!!」

 

 雷を浴びたような強烈な衝撃が全身を走り抜けて硬直する。

 

 歯を食いしばって耐えようとするが、坊主頭にはバレていた。

 

 口端を吊り上げて、長剣の腹で肩を叩きながら俺を見下ろしていた。

 

「残念無念時間切れ~ってかぁ? まぁ、よく頑張ったと思うぜぇ。ガキにしちゃあよぉ」

 

 倒れないように必死に耐える俺に、坊主頭はゆっくりと歩み寄ってくる。

 

「冥土の土産だぁ。名乗ってやんよぉ。【キクシック・ファミリア】、ゲーゼス・ドベルガスだぁ。【蛮虐公(グレンデル)】ってぇ、周りからは呼ばれてるぜぇ」

 

 キクシック……。

 聞いたことない神の名だ……。

 

「恨むならぁ弱くて運のねぇ自分を恨めよぉ。俺らに出会ったのが悪いんだからなぁ」

 

「ぐっ……!」

 

 

「いやぁ、運は良い方であろうよ」

 

 

「「!?」」

 

 俺とゲーゼスは目を見開き、ゲーゼスはすぐさまその場から飛び退いた。

 

 直後、ゲーゼスがいた場所に大斧が叩きつけられて、地面を砕く。

 

「テメェは……!」

 

「仲間を逃がした先に手前がいた。そして、駆けつけるまで見事生き延びた。これを幸運と言わずに何と言う?」

 

 現れたのは椿さんだった。

 

 身の丈ほどの大斧を片手で軽く持ち上げて肩に担ぎ、不敵な笑みを浮かべていた。

 

「まだ生きておるかぁ? フロ坊。よぉ耐えたのぉ」

 

「【単眼の巨師(キュクロプス)】がなんでこんなとこいんだよぉ……?」

 

「なに、ただの試し切りの帰りだ。それで? お前は闇派閥の輩、ということでよいのか?」

 

「……ちっ、遊び過ぎたかよぉ。流石に【単眼の巨師】を相手するにゃあ分が悪ぃなぁ……」

 

 ゲーゼスは椿さんの問いには答えず、顔を顰めて左手で頭を掻く。

 

 直後、左腕を勢いよく振り下ろすと、足元で何かが割れた音がして黒煙が噴き出した。

 

 煙幕……!?

 

「ぬ!!」

 

「あばよぉ」

 

 俺は息を止め、椿さんも深追いせずにその場で構える。

 

 黒煙はすぐに消えていき、完全に晴れた時にはゲーゼスの姿はなくなっていた。

 

「なんとまぁ逃げ足の速い。良くも悪くも手慣れておるということか」

 

 椿さんは呆れと感心が混ざった表情で呟き、大斧を地面に突き刺す。

 そして、俺に歩み寄ってきた。

 

「大丈夫かぁ、フロ坊。もう大丈夫だぞ」

 

「……助かり、ました……ありが…とう……ございま…す……」

 

「礼などいらぬ、水臭い。我がファミリアの客にして、顔見知りのお前を見捨てるなど出来るはずもあるまい」

 

「フロルさん!!」

 

 椿さんが腰に手を当てて、ニヤッと男前に笑ったところにテルリアさんが涙目で駆けつけてきた。

 

「ご無事ですか!? ああ!? 酷い怪我じゃないですか!! すぐにポーションを!! ごめんなさい! 私のせいで!!」

 

 テルリアさんはややパニック状態で、バックパックを漁り始める。

 

 それに椿さんは苦笑して、倒れている闇派閥の手下達に目を向ける。

 

「今、手前のファミリアの者がギルドに報告に行っておる。恐らく【ガネーシャ・ファミリア】を此処に寄越すであろうから、それまでゆっくりするがいい」

 

「んぐんぐ……はい……」

 

「それにしても、闇派閥がダンジョンにまで手を伸ばしておったとはなぁ。中々難儀なことになってきておるわ」

 

 俺はテルリアさんにポーションをかけられ、ポーションを飲まされながら頷く。

 

 まだ痺れは残っているけど、とりあえず怪我はほぼ完治した。

 その間にテルリアさんと椿さんが俺の武器を回収してくれた。

 

「ふむ……脇差は問題ないが、槍は刃にヒビが入り、柄にも深い亀裂が入っておるな」

 

 太刀はそもそも使ってないから当然として、やっぱり思いっきり長剣を叩きつけられた槍は駄目だった。

 

 ゲーゼスの武器はかなり業物っぽかったもんなぁ。

 まぁ、全部の武器が壊されるよりマシか……。

 

 その後、【ガネーシャ・ファミリア】の駆けつけてきて、倒れている闇派閥を全員捕らえていった。

 

 俺とテルリアさんは椿さんと【ガネーシャ・ファミリア】の方々に護衛してもらって、無事に帰還を果たしたのだった。

 

 

 




本編やメモリアフレーゼに出てくる闇派閥だけでは、ちょっとストーリー展開が難しかったのでオリジナル闇派閥です

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